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自己資本比率とは?計算方法や融資を受ける際の目安をわかりやすく解説

金融機関などが融資額を決定する際のひとつの指標として、「自己資本比率」があります。自己資本比率が高いと、全体資産に対して負債が占める割合が少なくなるため、経営が健全であるとの評価を受けやすくなります。

そこでこの記事では、融資を受ける際の自己資本比率の目安、自己資本比率の上げ方、融資の際に自己資本比率以外で気をつけておきたい経営指標などについて解説します。

目次

自己資本比率とは

自己資本比率とは、総資本(自己資本と他人資本の合計額)のうち、自己資本が占める割合のことをいいます。

会社の安全性を見る指標のひとつで、会社の財政基盤が安定しているかどうかを見るための経営指標です。

自己資本と他人資本

貸借対照表(B/S)の貸方を構成する要素には、自己資本と他人資本があります。自己資本とは資本の部に入る、返済の必要がない資本です。一方、他人資本とは負債の部に入る、返済の必要がある資本のことです。

自己資本比率の計算方法

自己資本比率は、自己資本、他人資本、総資本をもとに以下のように算出します。

自己資本比率 = 自己資本(純資産)÷ 総資本(負債+純資産)× 100

たとえば、総資本が1億円で自己資本が5,000万円の場合は、自己資本比率は「50%(5,000万円 ÷ 1億円 × 100)」となります。

自己資本比率の目安

自己資本比率は高ければ高いほど財政が安定していることを表し、低いほど借金への依存度が高いことを表します。

自己資本比率が表す数値は、それぞれ以下のように段階的に評価することができます。

自己資本比率「50%以上」

自己資本比率が50%以上の場合は、一般的に優良企業という評価がされます。ちなみに東証1部上場企業のうち、自己資本比率50%以上の企業の割合は約53.92%で、数は1154社となっています(2019年3月期時点)。

中小企業よりも株式発行による資金調達がしやすい上場企業でも、自己資本比率50%以上の企業は半数程度です。60%以上であれば、超優良企業と判断することができます。

自己資本比率「20%~49%」

自己資本比率が20%~49%の場合は、標準的な資金力であるといえます。

経済産業省が発表した「平成30年中小企業実態基本調査速報」によると、中小企業の自己資本比率の経営指標の状況は40.47%となっています。自己資本比率が40%以上あれば財務は比較的安定していると考えられ、倒産リスクは低いと判断できます。

自己資本比率「19%以下」

自己資本比率が19%以下の場合は、資金力が低い状態とみなされます。自己資本比率が9%以下の場合は、すぐに経営状態が悪化するリスクは低いですが、資本欠損(債務超過)のリスクが高いといえます。

なお、自己資本比率がマイナスの場合で債務超過の状態にある場合は、すべての資産を売却しても負債を返済することはできません。つまり、資金回収が不可能になる恐れがあるので、金融機関は融資に対して消極的になります。

ただし、仮に貸借対照表上は自己資本比率がプラスの状態であっても、回収不能な売掛金や不良在庫などがある場合は、実際の資産は少なくなります。そのため、実際はこのような価値の無い資産を差し引いて、自己資本比率を計算・評価します。

業界別の平均値

自己資本比率の平均値は業種ごとに異なります。そのため上記の比率はひとつの目安とし、自社の経営指標は業界ごとの自己資本比率をベンチマークしましょう。

経済産業省による「平成30年企業活動基本調査速報-平成29年度実績-」では、業種ごとの平均値は以下のようになっています。

  • 製造業:51.0%
  • 電気、ガス業:23.1%
  • 情報通信業:51.5%
  • 卸売業:37.9%
  • 小売業:42.5%
  • クレジットカード業、割賦金融業:10.8%
  • 飲食サービス業:45.9%

このように自己資本比率の差が出る理由は、業種によって店舗、工場、倉庫、機械類といった設備投資の要否が異なるからです。また利益率が低い業種は、自己資本比率も低くなりやすい傾向にあります。そのほかにも、金融業のように預金者の預金で事業を運営している場合は、預金を他人資本として扱うので自己資本比率は低くなります。

ただし、同じ業種であっても企業ごとに自己資本比率の適正基準は異なります。たとえば、通信業界であれば、NTT(日本電信電話)は41.6%で、ソフトバンクは21.6%です。また、自動車業界であれば、トヨタは38.2%で、日産は28.0%です。

身近な例を挙げると、金融業であるゆうちょ銀行は5.4% 、飲食サービス業である串カツ田中ホールディングスは55.6%、 製造販売業であるニトリホールディングスは80.7% 、小売業であるセブン&アイ・ホールディングスは43.5% となっています。

自己資本比率を改善するには

自己資本比率が目標(適正基準)に達していない場合は、自己資本比率を上げることが必要と考えられます。改善するには、大きく「自己資本を増やす方法」と「他人資本を減らす方法」があります。

自己資本を増やす

当然ですが、利益を増やし内部留保(利益剰余金)を増やせば自己資本が増加するので、自己資本比率も高くなります。

また、固定費を削減することも利益の増加に繋がるため、自己資本比率の改善になります。固定費には人件費、賃料、水道光熱費、宣伝広告費、保険料など、さまざまな項目がありますので無駄な出費を削減するようにしましょう。

他人資本を減らす

貸借対照表(B/S)の借方の項目である、固定資産や流動資産を見直すことも大切です。

たとえば遊休資産の売却、不採算事業からの撤退などがあります。そして不要な資産を売却して得た資金を借入金の返済に充てれば、他人資本を減らすことができます。その結果、自己資本比率は高くなります。

また、デットエクイティスワップ(DES)という、企業の負債を株式に転換する方法で自己資本比率を上げることができます。一般的にデットエクイティスワップは、金融機関への返済が滞った際に、金融機関が取引先を支援する目的で行うことが多く、「債務の株式化」とも呼ばれます。

なお、DESは金融機関からの借入金だけでなく、役員借入金(役員から会社に貸しているお金)に対しても使用できます。負債を減らし資本を増やすことができるので、役員借入金を資本金に振り替えるというのもひとつの手段となります。

自己資本比率以外の重要な指標

融資の審査では、現預金残高、流動比率、固定比率、ROE(自己資本利益率)といった項目も重視されます。

現預金残高

自己資本比率が低くても、十分な現預金残高(会社の現金と預貯金)があれば融資が受けられる可能性があります。

たとえば、以下のような自己資本比率1%の企業と100%の企業があるとします。

  • 自己資本比率1%の企業:
    現預金1,000万円、その他資産9,000万円/資本金100万円、負債9,900万円
  • 自己資本比率100%の企業:
    現預金0円、その他資産1億円/資本金1億円、負債0円

この場合、自己資本比率だけを見れば、後者の自己資本比率100%の企業の方が健全だといえますが、現預金残高が0円であり、すぐに返済財源を確保できない状態にあります。一方、前者の企業は自己資本比率が1%ですが、現預金残高が1,000万円なので、返済財源があると分かります。

融資の審査では返済能力をみられるため、「現金預金がいくらあるのか」「残高が増加傾向か減少傾向か」「どこの金融機関の預金口座か」なども確認されます。

流動比率

流動比率とは、短期的な支払能力を分析する際に使用する経営指標です。流動比率は「流動資産が流動負債をどの程度上回っているのか」を示す指標であり、経営の安全性や資金の流動性を判断できます。

流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100%

流動資産は現金、預金、売掛金、受取手形、商品などの1年以内に換金可能な資産のこと。流動負債は買掛金、支払手形、短期借入金といった1年以内に支払期限が訪れる負債のことを指します。

流動比率が高い場合は「短期的な支払能力が高い」と解釈できるので、融資の際も流動比率は高い方が有利です。その数値の目安にはさまざまな意見がありますが、一般的には120%以上が望ましいとされています。

固定比率

固定比率とは、長期的な支払能力を分析する際に使用する経営指標です。「固定資本のうち、どの程度自己資本でまかなわれているのか」を表す指標であり、経営の長期的な安全性を判断できます。

固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 × 100

固定資産とは、土地、建物、機械設備、工具備品といった1年超にわたって現金化されず、長期的に使用される資産のことです。

固定比率は流動資産と違い、その数値が低ければ「固定資産よりも、自己資本の方が多い」ということを表します。一般的に固定比率は100%を下回っていれば、「長期的に経営が安定している」といえます。

ROE(自己資本利益率)

ROE(自己資本利益率)とは、事業の効率性を分析する際に用いる指標です。ROEは「自己資本に対して、どれだけ利益を生み出したのか」を表すので、この指標からは企業の収益性などを判断できます。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

一般的にROEが10%以上であれば優良企業だといわれています。なお、自己資本比率とROEは相反する関係にあり、自己資本が増えれば自己資本比率は高まりますが、ROEは低くなります。いずれの指標も大切なので、経営者や財務担当者は両方とも意識しましょう。

おわりに

自己資本比率の適正基準は、企業の経営環境や業種などによって異なります。また、自己資本比率は融資の可否を判断するための目安のひとつになりますが、それ以外の経営指標も重要です。

経営指標だけでなく、事業計画書やどういった資金調達方法を選択するか、ということも重要になってくるので、あらかじめ資金調達に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

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