フリーランスなのに退職金!?小規模企業共済で賢く節税&積立 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075863695

  1. 税理士ドットコム
  2. 節税
  3. 節税のハウツー
  4. フリーランスなのに退職金!?小規模企業共済で賢く節税&積立

フリーランスなのに退職金!?小規模企業共済で賢く節税&積立

サラリーマンからフリーランスになると、自由度や収入が大幅にアップし、「これぞ起業の醍醐味」と感じることができるかもしれません。一方で、会社から様々な面で手厚いサポートをうけられるサラリーマンが羨ましいと思うこともあります。

その一つが、「退職金制度」です。終身雇用制の根強い日本では比較的多くの会社に退職金制度があり、従業員の退職後の生活のため、会社が給与とは別に積立を行っています。

それに対して、当然ながらフリーランスには退職金を支払ってもらうべき会社がありません。「ただでさえお金の管理が大変なのに、老後のことまで考えると頭が痛い」「退職金があったら良いな」と思う方も多いのではないでしょうか。

実は、フリーランス(税務署からみると個人事業主)でも退職金を受け取れる、「小規模企業共済」という制度があります。しかも同共済は節税に役立つ便利な仕組みになっていて、これを利用しない手はありません。

今回はこの小規模企業共済で、賢く節税と積立をする方法を学びましょう。

目次

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは「個人事業主を廃業したり、会社役員を退職した際に、あらかじめ積み立てていた掛金に一定の利率を上乗せした共済金を受け取れる制度」です。 言わば、自営業者のための退職金積立制度ですね。

小規模企業共済の嬉しいところは、上乗せされる利率が1.0%(2014年8月現在)と高いことです。銀行の利子率に比べるとその有り難みが良くわかります。共済金の受け取りは一括でも分割でも、またはその併用でも可能なので、受け取り時の状況に応じて判断できるのも嬉しいポイントです。

さらにこの小規模企業共済には貸付制度もあり、それまで納付してきた掛金の範囲内で迅速に資金を準備することができます。まさにいざというときの備えですね。

小規模企業共済の節税ポイント

小規模企業共済が個人事業主にとっての退職金となり、旨味のある制度であることはご理解いただけたかと思います。さらに嬉しいことに小規模企業共済は節税の観点からも、個人事業主に大きなメリットのある一石二鳥の制度なのです。ここでは小規模企業共済の節税ポイントをご紹介します。

掛金は全額所得控除にできる

所得税の確定申告書の所得控除の項目の一つに、「小規模企業共済等掛金控除」という欄が設けられており、小規模企業共済の掛金は全額所得控除にすることができます。民間の個人年金保険では最大5万円までしか所得控除が認められないのに対し、全額控除が認められる小規模企業共済は、最大でなんと84万円も控除できるのです。

掛金はいつでも変更可能

小規模企業共済の掛金の額は、1,000円から7万円までの範囲を500円単位で選択することができます。そしてこの掛金は「いつでも」変更が可能で、申請した月から適用されます。そのため、利益が出ている年は増額し、経営状態が悪化した際には減額するということが可能なのです。

年末に一括払いでも全額控除

小規模企業共済は加入時に1年分の掛金を前納することができます。そして所得控除が認められるのは実際に支払った金額なので、年末に加入しても最大で1年分の節税効果を得ることが可能です。ただし、小規模企業共済の加入には審査期間が約40日かかるので、11月の始めには準備をしておきましょう。

どのくらいの節税効果になるのか

では実際にどのくらいの節税効果になるのか見ていきましょう。次の表は課税所得金額が500万円の場合の節税額です。

掛金月額掛金年額節税額
10,000円120,000円36,500円
20,000円240,000円73,000円
30,000円360,000円109,500円
40,000円480,000円146,000円
50,000円600,000円182,500円
60,000円720,000円219,100円
70,000円840,000円255,600円

小規模企業共済に加入するには

ここまで小規模企業共済の制度とメリットを学んできました。個人事業主の方なら興味が出てきたのではないでしょうか?それでは次に加入方法を見ていきましょう。

1.申込書の記入

小規模企業共済に加入するには、まず中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)と契約する必要があります。必要書類は以下2点です。

  • 契約申込書
  • 預金口座振替申出書

残念ながら上記書類はサイトからダウンロードすることができません。以下の申請フォームから資料請求すると良いでしょう。

2.提示書類の準備

申込書を記入したら次は申請に行くのですが、その際提示しなければならない書類があります。個人事業主の場合は「所得税の確定申告書の控え」が必要です。もし開業した年でまだ確定申告を行っていない場合は、「開業届の控え」提示すればOKです。

3.窓口で手続き

書類が整ったら申込窓口で加入手続きを行います。手続きができる場所は金融機関か委託団体になり、振替口座のある金融機関かどうかで手続きが異なります。

振替口座のある金融機関で手続きする場合

「契約申込書」と「確定申告書(開業届)の控え」を提出し、「預金口座振替申出書」に取扱店口座確認印をもらいます。このとき申込金(前払いの掛金)は支払わず、「契約申込書」を受け取ります。振替口座ですので、申込金は自動で引き落とされます。

委託団体・その他の金融機関で手続きする場合

「契約申込書」と「確定申告書(開業届)の控え」を提出し、申込金を支払います。申込金を支払った際の領収書は確定申告の際に添付するのでなくさないようにしましょう。

手続きができる委託団体や金融機関は以下になります。

4.共済手帳の受け取り

窓口で手続きをすれば、書類と申込金は金融機関から中小機構に送られます。その後約40日の審査機関を経て、中小機構から「共済手帳」と「加入者のしおり及び約款」が届けば無事加入完了です。

小規模企業共済の注意点

小規模企業共済に加入するに当たって注意すべきことが2点あります。それは加入資格の有無と解約による元本割れです。

加入資格の有無

小規模企業共済には加入資格が定められていて、個人事業主なら誰でも加入できるわけではありません。小規模企業共済の加入資格は公式サイトに詳しく掲載されていますが、個人事業主に関する部分だけ抜粋すると注意点は以下の3つになります。

  • 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は、常時使用する従業員の数が5人以下
  • 上記以外の業種の場合は、常時使用する従業員の数が20人以下
  • 給与所得があり兼業で事業を行っている場合には加入できない

「小規模」というだけあって規模の制限があるのは納得です。フリーランスであれば基本的には誰でも加入できるでしょう。この条件は加入時点の要件で、加入後従業員数が増えたとしても契約は継続することができます。

なお、小規模企業共済は個人事業主だけでなく、会社役員なども加入できます。詳細を知りたい方は下記公式サイトをご覧ください。

解約で元本割れするより、廃業で元本割れを防ぐが吉?

もう一つの注意点は、「解約により元本割れが発生する」場合があることです。しかし、実はこれは「廃業」によって回避することが可能です。以下で詳しくご説明します。

解約した場合には、これまで紹介してきた共済金ではなく解約手当金がもらえますが、金額は掛金の支払いの長さに応じて決定されます。掛金の支払いが12ヶ月以上の場合、その期間に応じて掛金の80~120%を受け取る仕組みになっており、掛金分を100%回収するには、最低でも240ヶ月分(20年間)の支払いが必要です。つまり「掛金の支払が短く、解約手当金で掛金分を100%回収できない」場合が巷で言われる元本割れにあたります。

元本割れを防ぐにはどうすればよいでしょうか。その場合は、解約手当金ではなく共済金を受け取るようにすることで元本割れを防ぐことが可能です。共済金も支払期間に応じて変動しますが、必ず掛金の100%が受け取れる仕組みになっています。

個人事業主が、共済金を受け取ることが出来る場合は以下の通りです。

  • 廃業した場合
  • 事業を譲渡した場合
  • 法人成りして役員にならなかった場合
  • 法人成りして小規模企業でなくなった場合
  • 老齢(65歳以上)で掛金を180ヶ月以上納付している場合
  • 死亡した場合(家族が受取人となる)

つまり、もし小規模企業共済を退職金と考えて積み立てるのであれば、解約して元本割れするよりは、廃業や事業譲渡をした方がよいでしょう(もちろん、「すぐに資金が必要だが、事業も継続したい」という場合はその限りではありません)。

念のため補足しますと、元本割れが発生し得る「解約」については、次のようなケースが該当します。

  • 自身で解約を申し込んだ場合
  • 12ヶ月以上掛金を滞納した場合
  • 小規模企業として法人成りし役員になった場合

もし、掛金が高く掛金を滞納してしまいそうな場合、月額1,000円まで減額することが可能です。また、もしその1,000円すら払えないという経営状態でしたら、貸付制度を利用するか、廃業という選択肢が自ずと見えてくるのではないでしょうか。

以上より、「解約の前に、廃業という選択肢がある」ということを覚えておきましょう。

また、法人成りする場合にも、事業を譲渡するタイミングや小規模企業に該当しなくなるタイミングで法人成りすれば、解約を防ぐことができます。初めから法人化を検討している場合には、節税額や掛金の回収率を勘案し、損益分岐点をシミュレーションすることをおすすめします。

共済金を申請できる条件やその種類、解約となる状態などの詳細は、下記公式サイトをご覧ください。

おわりに

ここまで小規模企業共済の紹介と節税に役立つポイント、加入方法を説明してきました。老後の不安を一掃し、同時に節税までできてしまう、そんな優れた制度が用意されいたのですね。特に掛金額を自由に変更できるという柔軟性が、フリーランスの気心に合っているように思います。

みなさんも「小規模企業共済で賢く節税&積立」を実践し、サラリーマンにも劣らない退職金制度を手に入れてみてはいかがでしょうか?

節税に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

節税に関する税務相談Q&Aをみる

  • 会社員・不動産の節税について

    私は現在会社員なのですが、昨年相続した不動産があります。 ですが税金のことに浅識ですので来年の確定申告や節税についての相談を、税理士さんにお聞きしたいなと思いご...
    税理士回答数:  1
    2019年09月20日 投稿
  • 扶養の仕組みがよくわかりません

    お父さんの扶養にお母さんと私で入っています。私は高校生なのですが、来月からアルバイトを始めます。 私はお母さんに言われた通り、「お母さんと私合わせて130万円ま...
    税理士回答数:  2
    2019年09月18日 投稿
  • 相談者・妻・障害4級夫自営、妻はパート扶養内で働きたいが103万の限度は同じですか?

    相談内容が上手に伝わるか不安ですが、相談者の私は妻。  まず現状の説明です。 夫、障害4級で自営業。家業は毎年赤字です。経営不振で家業が暇になり、住民税非課税世...
    税理士回答数:  1
    2019年09月18日 投稿
  • 育休中 配偶者控除 年末調整

    育休中の配偶者控除の方法に関しての相談です。 現況 妻 正社員 社会保険加入 2019年は育休中のため収入は ゼロ 夫 正社員 ...
    税理士回答数:  2
    2019年09月18日 投稿
  • 個人商店_収益は個人の利益ですか?

    ○○男商店(個人事業主)を設立し、利益に年間250万円ほど(月20万円くらい)を見込んでいます。 そこから私(個人事業主)へ給料という形で100万円くらいを月割...
    税理士回答数:  1
    2019年09月18日 投稿

顧客満足度の高い税理士を無料でご紹介します。

このようなニーズがある方は、お気軽にご相談ください。

  • 税理士を変更したい
  • 初めての税理士を探したい
  • 相続税の申告をしたい
  • 会社設立・開業をしたい
  • 個人事業主の節税・申告をしたい
税理士選び〜契約までをサポート
  • 最短当日
  • 24時間受付
  • 年中無休
  • 全国対応