決算賞与の未払計上が損金として認められる条件をわかりやすく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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【決算期にできる節税】「決算賞与」を未払計上するときのポイントとは

業績好調で大幅に利益が出た場合、「決算賞与」を支給することで従業員のモチベーションアップのほか、節税対策としても活用できます。原則として、賞与は実際に支給した事業年度の損金となりますが、決算賞与については支払いが翌期であっても「条件を充たした場合」には、当期中の損金として処理することが可能です。

そこで本記事では、決算賞与を損金算入するための一定の要件や注意点などを解説します。

目次

決算賞与とは

決算賞与とは、決算時期に支払われる特別な賞与のことを指し、労働協約または就業規則によって定められている通常の賞与(ボーナス)とは異なります。

決算賞与の相場

決算賞与額は基本的に公表されず、利益額や従業員数、経営方針などによって企業ごとに異なるため相場という概念はありません。

基本的な金額決定の方法としては、目標の業績を達成した場合に払うのが一般的です。そのほか、基本給に利益水準などによる支給率をかける、あるいは全員同額支給、といったものがあります。

また、決算賞与はすべての従業員に支払う必要はありません。あくまでも賞与は、人事評価などによって決まるものなので、不支給の人がいても基本的には問題ありません。ただし、就業規則によっては従業員の同意を取る必要がありますので注意しましょう。

決算賞与を未払計上するための要件

本来であれば、賞与は「支給日の属する事業年度の損金」として扱います。そのため、決算後に支給するのであれば翌事業年度の損金として処理することになります。しかし、次の3つの要件を満たすことで、支払いが翌期になっても当期の損金として未払計上できます。

要件1:支給する全員に通知を行う

1つめの要件は、賞与の支給を受ける全ての従業員に、その支給額を各人別に通知をすることです。通知内容は支給額のほか、通知日、受給者名、支給日などが必要になります。

要件2:事業年度終了の翌日から1か月以内に支給する

2つめの要件は、事業年度終了の翌日から1か月以内に、通知をした全ての従業員に賞与を支払うことです。たとえば、事業年度が4月1日~翌年3月31日の場合、翌年4月30日までに賞与を支給します。期限を1日でも過ぎてしまうと、決算賞与は翌期の損金として扱わなければなりません。

要件3:未払賞与として損金処理する

3つめの要件は、当期中に決算賞与を未払賞与(未払金)として損金処理することです。通知をした時点で未払賞与の仕訳をして、決算書にも計上しておきましょう。なお、仕訳方法については、後述の「決算賞与の会計処理」にて詳しく解説します。

決算賞与を未払計上するときのポイント

もし税務調査の対象となることがあれば、決算賞与の損金算入が正しい処理であるかどうかもチェックされることになります。そのときに、損金算入を否認されないためにも、以下の「未払計上する際のポイント」を意識するとよいでしょう。

通知は書面またはメールで行う

決算賞与の通知は、書面またはメールで行うようにしましょう。税務調査の際には「決算賞与を通知した事実」の証明が大切になるため、必ず書面やメールで残しましょう。

支払いは振込で行う

税務調査では「支給した事実」についても確認されるため、支給日や支給金額などを客観的に証明できる銀行振込で行うのがよいでしょう。現金での支給は避けた方が無難ですが、支給する場合には、領収書をもらうようにしてください。

支給を在籍者に限定しない

就業規則や給与規則などで、「賞与支給日まで在籍していない者には、決算賞与を支給しない」といった項目を設けないようにしましょう。通知書内にも同様の内容を記載しないようにしてください。支給者を在籍者のみにすると、決算日時点では退職者の有無が分からないため、決算賞与額が確定していないと見なされてしまいます。

就業規則などの作成は専門に相談する

就業規則や給与規則を作成する場合には、法律に沿ったものを作成する必要があります。そのため、社労士や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。その際、税務について不安があれば、税理士事務所に勤務する社労士や、社労士資格も持つ税理士に相談するとよいでしょう。

決算賞与の未払計上が認められないケース

仮に未払計上が否認された場合、その決算賞与は原則どおり「支給日の属する事業年度の損金」として扱われます。節税効果が得られないだけでなく、修正申告が必要になるほか、延滞税なども発生してしまいます。

そこで否認される具体的なケースについて確認してみましょう。

個別に支給額を通知しなかった

決算賞与を支給する場合は、個別に支給額を通知する必要があります。全員に同額を支給する場合であっても、「従業員全員に○○万円支給する」という旨を全体に通知するのではなく、各従業員ごとに通知しなくてはなりません。

退職者に支給しなかった

決算賞与を未払計上する場合は、支給の旨を通知した全従業員へ支払う必要があります。そのため、決算賞与の支給日までの間に従業員が退職してしまい、その人に決算賞与を支払わなかった場合には否認されてしまいます。この場合、退職者分の賞与額だけではなく、全従業員の賞与額が翌期の損金として計上されることになります。

通知とは異なる金額を支給した

決算賞与を未払計上するには、通知した賞与額と実際に支給した賞与額が一致しなければなりません。1円のズレも認められないので、きちんと通知したとおりに賞与を支給しましょう。

決算日から1か月以上経過した

決算賞与を未払計上する場合、必ず決算日翌日から1か月以内に支給する必要があります。1日でも過ぎてしまうと、税務調査にて全額否認されます。そのため、利益額だけでなく、自社の資金繰りについても踏まえた上で支給するかを決定するのがよいでしょう。

決算賞与を支給するときの注意点

決算賞与には節税効果だけでなく、従業員のモチベーションアップといったメリットもあります。しかし、利益がない、あるいは少ない年も当然あるため、毎年継続して決算賞与を支給することはできません。そのため決算賞与を支給するにあたり明確なルールを作成し、従業員と共有しておくようにしましょう。

そのほかにも、決算賞与は源泉徴収が必要になったり、キャッシュフローを悪化させる可能性があったりします。決算賞与を支給する際は、節税効果以外にも目を向けて導入を検討しましょう。

源泉徴収が必要

決算賞与の支給額に対して源泉徴収が発生します。源泉徴収税額は通常、以下のように算出します。

(1)前月の給与額から社会保険料などを差し引く

(2)上記(1)を参考に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で税率を求める

(3)決算賞与額から社会保険料等を差し引き、それに上記(2)の税率を乗じる

このようにして求められた金額が、源泉徴収税額となります。なお、「前月の給与の金額の10倍以上を支給する場合」や「前月に給与の支給がない場合」は、月額表を使って税額を計算する必要があります。

社会保険料の負担が増える

源泉徴収に加え、社会保険料の負担も発生します。負担額は、賞与額に対して毎月の保険料率と同じものを乗じて算出します。なお、決算賞与を支給した場合は通常の賞与を支給した場合と同様、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」などの書類を日本年金機構または各健康保険組合に提出する必要があります。

社会保険料は未払計上できない

社会保険料は未払計上することができません。なぜなら、従業員が月の途中で退職した場合、その従業員に係る保険料を納付する必要がないからです。つまり、「決算賞与を支給する」旨を決定をした時点では社会保険料額が確定していないため、未払計上にできないのです。

実際、法人税基本通達9-3-2には、「法人が負担すべき社会保険料額は、当該保険料等を計算する月の属する事業年度の損金とする」という旨の記載があります。そのため、決算賞与を支給する場合は、あくまでも決算賞与額のみを未払計上できると覚えておきましょう。

キャッシュフロー管理が重要

従業員に賞与を支給すれば、当然、手元に残るお金は少なくなります。しかも、法人税を納付した場合に比べ、よりキャッシュフローが悪化する可能性があります。そこで「利益額1,000万円、法人税率30%」として、賞与を支給する場合としない場合を比較してみましょう。

まず、「決算賞与を支給しない場合」は、法人税額は300万円となります。一方、「100万円を決算賞与として支給した場合」は、法人税額は270万円となり、30万円分の節税効果が見られます。しかし、合計で見ると「手元のお金が370万円減っている」ことが分かります。このように節税効果がある一方で、キャッシュフローを悪化させる可能性があるので注意が必要です。

決算賞与の会計処理

決算賞与の通知をした場合には、以下のように仕訳を行いましょう。

【従業員に1,000万円の決算賞与を支給する旨を通知した場合】
借方金額貸方金額
賞与10,000,000円未払賞与10,000,000円

また、実際に決算賞与を支給した場合には、以下のような仕訳が必要になります。

【決算日以降に社会保険料と源泉徴収税等を差し引いた賞与を支給した場合】
借方金額貸方金額
未払賞与10,000,000円普通預金8,500,000円
預り金1,500,000円

決算賞与を未払計上する場合、まずは未払賞与勘定(負債)を使って仕訳します。そして、決算書にも未払賞与を計上します。その後、実際に決算賞与を支給した際には、先ほどの未払賞与勘定を使って仕訳を行います。

おわりに

決算賞与は税務調査の対象となった場合に否認される可能性もあるので、なるべく当期中に支給することをおすすめします。ただし、キャッシュに余裕がないのであれば無理に決算前に支給する必要はありません。

また、決算賞与を支給する場合は、次期以降の資金繰りも考慮したり、支給計画を立てることが重要です。適用要件を満たせば「所得拡大税制」も併用できます。

このように決算賞与は将来の事業活動にも影響を与える可能性があるので、税理士と相談しつつ自社にとって有利になるよう決算賞与を利用しましょう。

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