小規模企業共済とは?節税効果・加入条件・メリットを徹底解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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経営者のための退職金制度「小規模企業共済」とは?メリットや節税効果を徹底解説

退職金というと、ある程度規模の大きな会社に勤める人の特権、というイメージがありますが、小規模企業の経営者や役員、個人事業主でも利用できる「小規模企業共済」という制度があります。

毎月掛金を積み立てることで退職時に共済金としてもらえるだけではなく、いざというときには貸付制度も利用でき、さらに節税効果も期待できます。

では「小規模企業共済」の加入条件やメリット、節税ポイントについて詳しく解説します。

目次

「小規模企業共済」とは

小規模企業共済」は経営者や個人事業主が毎月掛金を積み立て、退職時や事業を廃止したときに、支払った月数と掛金額に応じて共済金として受け取れる制度です。

掛金はその全額を所得から控除できたり、共済金を受け取る際には退職所得扱いになるなどのメリットがあります。

2018年3月末現在で約138.1万人が加入者として在籍しており、共済金の平均受給額は1087万円となっています。

加入条件

小規模企業共済は、経営者や個人事業主だからといって誰でも加入できるわけではありません。対象となる業種ごとに、常時使用する従業員(1年以上雇用している、またはそれが見込まれる人)数の規定があり、以下の通りとなっています。

業種常時使用する従業員・組合員数加入対象者
建設業・製造業
運輸業
宿泊業・娯楽業
不動産業
農業
20人以下経営者・役員
個人事業主
共同経営者
卸売業・小売業
サービス業(宿泊業・娯楽業以外)
5人以下経営者・役員
個人事業主
共同経営者
企業組合・協業組合
農事組合法人
20人以下経営者・役員
士業法人(税理士法人・弁護士法人など)5人以下社員

事業によっては個人事業主と共同経営している人も加入できますが、その場合個人事業主1人につき2人までとなります。ただし、常時使用する従業員には共同経営者ならびに家族従業員は含まれません。

また加入後、上記条件を満たさなくなった場合にも、小規模企業共済制度には継続して加入できます。

加入手続きの方法

小規模企業共済は、金融機関や商工会議所などの委託機関の窓口で申込みをします。加入申込みの際には中小機構の様式書類のほか、加入者の立場によって以下の公的書類が必要になります。

  • 法人の役員
    役員登記されていることが確認できる書類(商業・法人登記簿謄本など)
    ※交付後3か月以内の原本
  • 個人事業主
    確定申告書の控え(または開業届の控え)

手続きに問題がなければ、申込み後およそ40日程度で中小機構から「小規模企業共済手帳」と「小規模企業共済制度加入者のしおり及び定款」が送られてきます。

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済は多くのメリットがあります。では具体的にどういうメリットがあるのかみていきましょう。

税額が軽減される

小規模企業共済のいちばんのメリットは、掛金を全額所得控除できることによる節税効果です。

たとえば、課税所得が400万円のAさんが小規模企業共済に加入しなかった場合とした場合でシミュレーションします。なお、所得税率は20%、住民税率は10%と仮定します。

  • 小規模企業共済に加入しなかった場合の納税額
    400万円 ✕ 30% = 120万円
  • 小規模企業共済に加入し毎月3万円掛金を支払ったときの納税額
    (400万円 ー 3万円 ✕ 12ヶ月)✕ 30% = 109万2,000円

このケースでは小規模企業共済に加入することで、年間で10万8,000円の節税効果が得られます。

月1000円から少額の積立ができる

月々の掛金は1,000円という少額から、500円きざみで自由に設定できるのも魅力です。月1000円の掛金でも、年間で1万2,000円の所得控除が受けられます。

掛金以上の共済金が受け取れる

共済金は、毎月の掛金額や納付月数によって算定される「基本共済金」と掛け金の運用によって得られる「付加共済金」の合計金額になります。そのため、一定期間以上掛金を支払うと積み立てた掛金額以上の金額を受け取ることも可能です。

低金利かつ無担保・無保証人で借入ができる

小規模企業共済で設けられている貸付制度においては金利が年0.9%〜1.5%と低く、さらに無担保・無保証人で借入できます。厳しい審査などもないので、資金調達の難易度は比較的低いです。

掛金について

掛金は月額1,000円から最大7万円まで設定できます。掛金の増額・減額は500円単位から可能で、変更する際は「掛金月額変更申込書」を金融機関や商工会議所などの委託機関、ならびに中小機構に提出します。

掛金の支払いは役員または事業主個人の口座振込で、月払い・半年払い・年払いから選択し、一括で前納することもできます。

また、支払った掛金は「小規模企業共済等掛金控除」が適用され、課税対象となる所得から全額を控除できます。ただし契約者自身の収入の中から納付することになるので、事業上の損金または必要経費として算入できません

仕訳について

前述の通り、小規模企業共済の掛金は個人的な支出になるため仕訳は不要です。しかし、事業用の口座から掛金を支払ったときは「事業主貸」で仕訳をしなければなりません。

確定申告書の記入方法

小規模企業共済で所得控除を受けるには、年末調整か確定申告の際に今年度支払った掛金額を記入しなくてはなりません。年末調整は「給与所得者の保険料控除申告書」、確定申告は確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」に記入し、「小規模企業共済金払込証明書」と共に提出します。

共済金、解約手当金について

退職時や廃業時には積み立てた掛金を共済金として受け取れるほか、解約時にも解約手当金として受け取ることができます。

共済金または解約手当金を受け取るには一定の請求事由が必要です。請求事由は加入者の立場によって異なり、それによって受け取れる共済金の種類が異なります。

ただし、共済金A、共済金Bは掛金納付月数が6か月未満、準共済金、解約手当金については掛金納付月数が12か月未満の場合、受け取ることができません。

受け取れる金額

共済金・解約手当金の受け取り金額は、掛金の月額と納付月数に応じ、請求事由ごとに「小規模企業共済法施行令」によって定められています。

【掛金月額1万円の場合の基本共済金の額(※1)】
掛金納付年数共済金A共済金B準共済金解約手当金
5年621,400 円614,600 円600,000 円480,000円
10年1,290,600 円1,260,800 円1,200,000 円(※2)
20年2,786,400 円2,658,800 円2,419,500 円
※1 共済金A・共済金B・準共済金の額は源泉徴収前の金額です
※2 解約手当金の支給率は納付月数が12か月以上84か月未満で80%、84か月目以降は6か月単位で支給率が段階的に増加し、最高で120%になります

さらに運用利益がある場合には付加共済金としてその金額が加算されます(解約手当金は対象外)。付加共済金の支給率については、毎年経済産業大臣により定められます。

なお、詳しい受取金額については中小機構の「定型書類の自動発送サービス」を利用すると調べられます。

受取方法

共済金などの種類一括受取分割受取一括と分割の併用
共済金A
共済金B
準共済金不可不可
解約手当金不可不可

共済金は一括・分割・一括と分割の併用の3種類の受取方法があり、その方法によって税法上の取り扱いが異なります。

たとえば一括受取すると「退職所得」として扱われ、分割受取をすると「雑所得」として扱われます。退職所得として扱われると退職所得控除が受けられ、他の受取方法に比べて税金の負担を減らせます。

ただし、共済金Aと共済金Bはすべての方法で受け取れますが、準共済金と解約手当金は一括受取でしか受け取れません。また、分割受取ならびに一括受取と分割受取の併用をするには、それぞれ下記の要件が設けられています。

<分割受取>
・共済金が300万円以上
・契約者が請求時点で60歳以上

<一括受取と分割受取の併用>
・共済金が330万円以上
・分割受取金額が300万円以上かつ一括受取金額が30万円以上
・契約者が請求時点で60歳以上であること

共済金・解約手当金の税法上の取扱い

受け取る共済金は税法上、取り扱いが以下のようになります。

<退職所得となるもの>
・死亡以外の事由による一括受取りの共済金
・準共済金
・65歳以上の契約者の任意解約手当金
・法人成りによる解約手当金

退職所得

共済金が退職所得として扱われる際、所得金額は「(共済金等の額 ー 退職所得控除額)÷ 2」で求めます。

たとえば受け取る共済金が3000万円、支払期間が40年だった場合、退職所得控除額は「800万円+70万円✕(40年ー20年)=2200万円」となり、課税対象となる退職所得金額は以下のようになります。

「(3000万円 ー 2200万円)÷ 2 = 400万円」

なお、退職所得扱いになると、所得税と住民税を控除してから共済金等が支払われるため、原則確定申告が不要になります。

<公的年金等の雑所得となるもの>
・分割共済金

公的年金等の雑所得

共済金が公的年金等の雑所得として扱われる際、所得金額は「共済金等の額 ✕ 割合 ー 控除額」で求めます。割合と控除額は、共済金等の合計額と受取人が65歳未満かどうかで異なります。

たとえば、65歳未満の人が分割共済金を合計3000万円受け取ったとすると、公的年金等に係る雑所得は以下のようになります。

「3000万円 ✕ 95% ー 155万5000円=2694万5000円」

<一時所得となるもの>
・65歳未満の契約者の任意解約手当金
・中小機構により解約されたときの手当金

一時所得

共済金が一時所得として扱われる際、所得金額は「(共済金等の額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額)」で求めます。なお、積み立てた掛金額は「収入を得るために支出した金額」に該当しません。

たとえば、共済金が3000万円だったとき、特別控除額を50万円だとすると、一時所得は以下のようになります。

「3000万円 − 50万円= 2950万円」

一時所得は、算出した金額の2分の1を他の所得と合算して確定申告しなければなりません。よって今回の場合は1,475万円が確定申告の対象額となります。

このように受け取る共済金額が同じでも、受取方法によって課税対象となる所得金額や税負担額が異なるので注意しましょう。

貸付制度について

小規模企業共済には貸付制度もあり、一定の要件を満たせば納付した掛金の合計金額内で資金の借入ができます。借入金の用途によって、以下の7つの制度があります。

  • 一般貸付制度
    迅速に事業資金を借入れできる基本的な貸付制度です。
  • 緊急経営安定貸付
    一時的な経済状況の変化により資金繰りが困難になったときに借入れできます。
  • 傷病災害時貸付
    ケガや病気、または災害により被害を受けたときに借り入れできます。
  • 福祉対応貸付
    契約者と同居する親族の福祉向上が必要なときに借り入れできます。
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付
    新規開業や事業を展開させたいときに、必要な資金を借入れできます。
  • 事業承継貸付
    事業承継時において、事業用資産や株式等の取得に必要な資金を借入れできます。
  • 廃業準備貸付
    事業の廃止または会社の解散を円滑に行うための資金を借入れできます。

一般貸付制度の利率は年1.5%、それ以外は0.9%です。

小規模企業共済のポイント

上記のメリットや制度のほか、次のようなポイントもおさえておきましょう。

掛金を前納すると減額金が受け取れる

掛金は1年分以内の掛金分を前払いできます。その際、前払いした金額や期間に応じて「前納減額金」を受け取ることができます。よって手元の資金に余裕があるのであれば、前納するほうが得になると言えます。

前納減額金の計算例

前納減額金は「毎月の掛金額 × 0.09% × 前納月数の累計」で求められます。

前納月数の累計とは、通常よりも早く納めた月数の合計です。例えば、4月に1年分前払いすると、5月分は1ヶ月先に納付、6月分は2ヶ月先に納付、7月分は3ヶ月先に納付したと考えられるので、前納月数の累計は「1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66」になります。

例えば、毎月の掛金額が1万円で、1月に半年分前払いすると、前納減額金は以下のように計算されます。

「1万円 ✕ 0.09% ✕(1+2+3+4+5+6)=189円」

元本割れを回避するには

共済金は基本的には積み立てた掛金以上の金額が受け取れますが、240ヶ月以内に解約した場合には、受け取る手当金の額は掛金総額より少ない金額となってしまいます。

よって加入の際は、そのような元本割れのリスクを考慮した上で検討しましょう。

なお、廃業事由による請求時には支払った期間にかかわらず、掛金の100%相当が戻ってきます。

掛金の減額はなるべくしない

掛金額の変更は自由に行なえますが、減額した場合、減額した金額分と減額後の金額分に分けて納付期間を考えるため、受け取る共済金が掛金総額よりも少なくなる可能性があります。

例えば、最初の5年間は月7万円、その後は月4万円に減額し、トータル20年間積み立てたとします。このような場合、「掛金4万円部分」と「減額した3万円分」に分けて納付期間を数えます。

このとき、「掛金4万円部分」については納付期間が240か月、「減額した3万円分」については60か月となり、元本割れすることになります。

そのため加入当初は掛金を低額に設定し、あとから増額するのもひとつの方法です。

掛金の未払いに注意

小規模企業共済の掛金は毎月口座から引き落とされるため、口座の残金が少ないと未払いになります。未払いになると一定期間掛金が運用されなかったり、後納割戻金を追加で支払わなくてはならないので注意しましょう。

なお、原則払い止めはできませんが、所得がなくなったり災害に遭った場合は、6か月間あるいは12か月間払い止めができます。ただし、その期間は契約期間に含まれず、追納もできません。

他にもある「共済制度」

小規模企業共済以外にも、節税効果のある共済制度はいくつかあり、それぞれ適用要件が異なります。

中退共(中小企業退職金共済)制度

中小企業の退職金積立を目的とした共済制度で、掛金は従業員ひとりあたり月額5,000〜30,000円の範囲で任意に設定できます。

掛金納付期間が24か月〜42か月であれば掛金の100%を、43か月以上になると掛金以上の金額を従業員は退職金として受け取ることが可能です。

小規模企業共済と同様、掛金は損金または必要経費にできます。

特退共(特定退職金共済)制度

従業員向けの退職金制度、という点で小規模企業共済や中退共と似ていますが、運営主体が商工会議所、商工会などとなります。また、加入期間が1年未満でも退職金が支払われるなどの違いもあります。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)

取引先の倒産により不良債権が発生した際に、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れできる制度です。経営セーフティ共済の掛金も同様に、損金または必要経費に算入できます。

また、小規模企業共済との併用も可能です。

おわりに

小規模企業共済に加入すれば、掛金を支払う際や共済金を受け取る際に税金が軽減されるだけでなく、退職後の備えにもなり安心です。役員や個人事業主に非常におすすめな制度ですが、長期的に加入しないと享受できるメリットが少なくなります。経済状況や今後の事業展開などにも留意しつつ、加入を検討するときは税理士に相談するとよいでしょう。

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