相続税の基礎控除とは?基礎控除額の早見表と計算手順
相続税は、相続する財産が相続税の基礎控除の範囲内であれば、申告および納税を行う必要はありません。
相続税といえば、一定の富裕層だけが対象になるイメージもありましたが、2015年1月より基礎控除額が大きく引き下げられた影響により、相続税の申告・納税を行う必要がある人が増え、以前よりも相続税が身近な税金になりました。
- 相続税っていくらからかかるの?
- 相続税の基礎控除ってなに?
- 相続税ってどうやって計算するの?
- 相続税の基礎控除の一覧が見たい
相続税申告をする必要がある人が相続税の申告を行わない場合には、無申告税などのペナルティが課せられ、本来の税金よりも多くの金額を払うことになってしまいます。
相続税の申告・納税を適切に行うためにも、具体的な相続税の基礎控除の仕組みを学びましょう。
目次
相続税っていくらからかかるの?
相続税は、亡くなった人(被相続人)から相続や遺言によって財産を受け取った場合に、その相続財産の課税価格の合計額が「基礎控除額」を超えるとかかる税金です。
そして、基礎控除額を超える相続財産がある場合は、相続税の申告と納税(相続税申告)の手続きが必要になります。
相続税申告は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。ただし、申告期限が土日祝日の場合は、これらの日の翌日が申告期限となります。
相続税の基礎控除の計算方法
相続税の基礎控除とは、一律で相続税が非課税となり免除される部分のことを意味します。
相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって異なります。
- 相続税の基礎控除額 = 3000万円+(600万円 × 法定相続人の数)
基礎控除額の計算例
基礎控除額をわかりやすく考えるために、以下に2つの例を挙げて、計算をしてみます。
父・母・息子・娘の家族で、父が亡くなったとき
このケースだと、法定相続人は3人(母・息子・娘)になるため、基礎控除額は4,800万円になります。
3,000万円+(600万円 × 3人)= 4,800万円
父・母・子ども4人の家族で、父が亡くなったとき
このケースだと、法定相続人は5人(母・子ども4人)になるため、相続税の基礎控除額は6,000万円になります。
3,000万円+(600万円 × 5人)= 6,000万円
基礎控除額早見表
法定相続人が何人になると基礎控除額がいくらになるか、以下の表に一覧で記載しました。相続税発生の有無を確認する際に活用してください。
法定相続人 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
6人 | 6,600万円 |
7人 | 7,200万円 |
8人 | 7,800万円 |
9人 | 8,400万円 |
10人 | 9,000万円 |
相続税の計算方法と手順
相続税の計算手順は以下のとおりです。
- 課税対象となる相続財産額を計算する
- 相続開始の過去3年以内の贈与額を加え、課税価格を算出する(※)
- 基礎控除額を引いて、課税される相続財産額を求める
- 法定相続分で按分する
- それぞれの相続人ごとに相続税額を算出し、合計して全体の相続税額を算出する
- 実際の遺産分割の割合に応じて、全体の相続税額を配分する
- 税額控除がある場合には対象となる相続人から額を差し引く
留意して頂きたいのが、「生前贈与」として行っていた贈与も相続開始から3年以内(※)のものだと、贈与ではなく「相続」とみなされる可能性が高い点です。生前贈与を行う際には、これらを踏まえて計画的に行うことをおすすめいたします。
※2024年1月以降は、相続税の課税対象となる贈与が、相続開始の過去3年以内から7年以内に段階的に延長。
相続税率一覧
相続税率は、相続した財産の額によって以下のように変動します。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税申告は税理士へ
相続税の計算をしっかりと行うためには、相続財産額を正確に評価・算出することが前提となります。
しかし、相続税の計算で最も複雑なのは、相続財産の課税価格の算出です。現金だけでなく、土地や不動産、有価証券などが相続財産にあればさらに複雑化します。
また、相続する額が大きければ大きいほど、ちょっとした間違いが大きな金額になってしまいます。
相続税に関する専門家である税理士は、年間数件~数十件と相続税申告を行いますので、申告までの流れやポイントを熟知しています。ですから、自身で相続税申告を行うことが困難な方は、税理士に依頼することを視野にいれても良いでしょう。
わからないことがあれば、税理士に無料で相談ができる「みんなの税務相談」を活用してみてください。
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※ゼネラルリサーチ調べ