確定申告の税理士費用 - 丸投げしたときの料金相場と5つのメリット
(監修:港公認会計士・税理士事務所 井上大輔 税理士)
確定申告は自分で行うこともできますが、ある程度の税務知識が必要になり、手間や時間もかかります。また、正確性も求められるため、税理士に確定申告業務の依頼を検討する方も多いでしょう。
そこで、確定申告にかかる税理士費用や依頼するメリットなどを解説します。
目次
※顧問税理士の費用・報酬相場については以下の記事で解説しています
確定申告が必要な人とは
まず、どのようなときに確定申告が必要になるかを説明します。ここでいう確定申告は所得税の確定申告を指します。
会社員やアルバイト・パートなどの給与所得者で、年末調整済みの方は原則として確定申告を行う必要はありません。
ただし給与所得者でも、次に該当する人は確定申告が必要になります。
- 給与収入が年間2,000万円を超える人
- 給与収入以外(副業等)の所得が年間20万円を超える人
- 給与収入が2か所以上ある人
- 源泉徴収や年末調整を受けなかった給与がある人
- 年末調整で受けられない各種控除(医療費控除・雑損控除・寄附金控除・住宅ローン控除など)を受けたい人
- 年の途中で退職し、就職してない人
個人事業主など、給与所得者ではない人は、次に該当すると確定申告が必要になります。
- 所得が48万円を超える人(総収入 ー 経費)
- 青色申告者で赤字を翌年に繰り越したい人
- 各種控除を適用したい人(還付を受けたい人)
おおまかに、給与所得者は副業を行って一定以上の収入がある方、税金の還付を受けたい方(還付申告)、個人事業主はほとんどの方が、確定申告が必要になると覚えておくとよいでしょう。
2021年(令和3年)分の確定申告について
2021年(令和3年)分の確定申告期間は、2022年(令和4年)2月16日(水)~3月15日(火)までとなっています。
ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な場合、簡易な方法により、2022年(令和4年)4月15日まで申告・納付期限の延長申請が可能です。詳しくは国税庁発表の資料で確認いただけます。
確定申告を税理士に依頼するメリット
次に、確定申告を税理士に依頼するか迷っている方のために、依頼するメリットを紹介します。
手間が省けて本業に専念できる
確定申告では、1年分の領収書や請求書などの資料を取りまとめて帳簿を作成し、申告書を作成する必要があります。
給与所得者の還付申告や、経理担当者や慣れている個人事業主であればそれほど手間もかけずに行うことができ、1年間のうちに少しずつ進めていくこともできるでしょう。
しかし、はじめて確定申告を行う人や多忙で時間を作ることができない人には全く手が付けられないという場合もあります。
その点、税理士はこれらの作業をすべて代行することができるため、かかる手間を大幅に省くことができ、本業に専念することができます。
期限通りに申告できる
原則として、確定申告期限を過ぎてから申告すると、無申告加算税や延滞税といった追徴課税が課されて、本来納めるべき税金以上の負担が必要になってしまいます。
もし申告期限ぎりぎりになってしまったとしても、税理士であれば手早く作業できるので、期限に間に合う可能性が高くなります。
しかし、申告内容が複雑だったり帳簿など必要書類が一切用意されてなかったりすると、税理士でも間に合わせることが難しくなるので、できるだけ早めに依頼しましょう。
正確さと申告後のフォロー
税理士の役割(業務)は税理士法第2条に定義されており、確定申告の代行は税理士だけが行うことができる業務です。
税理士は年間数十件、数百件と確定申告を行っており、確定申告のプロとして数字に漏れが無いか、税金の計算に間違いが無いかを厳密にチェックし申告をします。
はじめて確定申告をする人や大雑把な計算で確定申告をしてきた方にとって、税理士に依頼することは大きな安心につながるでしょう。
また、税務調査が来ることになった場合に、税務署とのやり取りや申告内容の説明などのフォローも期待できます。ただし、税務調査への立会いは別途料金が発生しますので事前に金額を確認しておくと良いでしょう。
適切な節税対策ができる
予想外に副業の売上が増えてしまった方や、利益が増えてきた個人事業主の方などであれば、節税対策が気になるところです。
どうしたら節税ができるのか、自分の行おうとしていることが税法上では問題がないかということは、素人ではなかなかわかりません。
税理士は税務の専門家なので、節税対策は得意分野となります。ただし、確定申告直前で行える節税対策は限られるため、利益がある程度出ている場合には、定期的に相談ができるように税理士と顧問契約を結んでおくことも有効な方法のひとつです。
確定申告を税理士に依頼したほうがよいケース
確定申告を税理士に依頼すると、前述のようなメリットがありますが、当然費用はかかります。売上があまりなく、利益も少ない方にとっては、数千円〜数万円だったとしても、税理士に支払う報酬というのはネックになるでしょう。
還付申告のみや、副業が雑所得で利益も少ないなど、申告内容が簡単な場合は自分で確定申告を行う方が得策と言えます。
また、確定申告シーズンは混雑が予想されますが、税務署で指導を受けながら自分で確定申告書を作成するという方法もあります。
一方で、ある程度の事業売上があったり不動産所得がある方などであれば、税理士に依頼することで自分では見逃していた経費の計上や特例制度の適用などで、かかった費用以上の節税効果が得られるケースもあります。
費用負担に比べて、手間の軽減や正確さ、節税によるメリットのほうが大きいと感じるのであれば、税理士に依頼したほうがよいでしょう。
確定申告を税理士に依頼する流れ
確定申告を税理士に依頼するときの流れを説明します。
まずは、所得を証明する書類や控除関係書類など、税理士から指定される書類をすべて預けます。記帳が終わっていない場合は記帳代行から依頼することができますが、申告期限まで日数があまりない場合には対応してもらうのが難しいこともあります。
マイナンバーカード、印鑑 | マイナンバーカードがない場合は、本人確認書類とマイナンバーが確認できる書類 |
---|---|
口座番号がわかるもの | 口座振替で納税する場合や還付金を受け取る場合に必要 |
所得を証明する書類 | 源泉徴収票や支払調書など |
帳簿書類 | 総勘定元帳や仕訳帳など |
控除関係書類 | 医療費控除の領収書や住宅ローンの借入金残高証明書、生命保険料控除証明書など |
青色申告決算書または収支内訳書 | 青色申告者:青色申告決算書 白色申告者:収支内訳書 |
確定申告書AまたはB | 予定納税がなく、給与所得、配当所得、一時所得、雑所得のみの場合:確定申告書A 上記以外の場合:確定申告書B |
税理士から確定申告が完了した旨の連絡を受けたら、申告書類の控えや預けていた書類を返却してもらいましょう。その後、納税が必要であれば納税を、還付金がある場合は税務署から入金されるのを待つという流れです。
確定申告の税理士費用相場
たとえば会社員の方で、「給料(給与所得)以外の利益(所得)が年間20万円を超えたので確定申告をする」という場合は、その所得が「雑所得」か「事業所得」かによって、相場が異なります。
まず、事業として行っている場合に生じた所得は「事業所得」、それ以外であれば「雑所得」に分類されます。
具体的には、FXや趣味などで行っているもので生じた利益であれば、ほとんどが雑所得に分類され、その場合は5万円程度が相場となります。
雑所得の確定申告にかかる税理士費用相場・・・5万円程度
一方、事業所得の場合は、「白色申告」か「青色申告」かで相場が変わります。
白色申告の場合の確定申告料金
個人事業主(事業所得)の白色申告であれば、5万円~10万円程度が相場です。
白色申告は多少の知識があれば自分で行うことも可能なので、必要書類を準備して最終チェックを税理士に依頼する、という内容であればもう少し料金が抑えられます。
青色申告の場合の確定申告料金
個人事業主(事業所得)の青色申告を税理士に依頼するときは、「売上規模」「記帳代行(会計ソフトへの入力業務)の有無」が、ポイントになります。
この2点によって報酬が変動することが多く、一般的な相場は以下のとおりです。
年間売上 | 記帳は自分で行う場合 | 記帳代行も依頼する場合 |
---|---|---|
500万円未満 | 5万円〜 | 10万円〜 |
500万円以上1000万円未満 | 7万円〜 | 15万円〜 |
1000万円以上3000万円未満 | 10万円〜 | 20万円〜 |
3000万円以上5000万円未満 | 15万円〜 | 25万円〜 |
5000万円以上 | 応相談 | 応相談 |
これらはあくまで相場なので、実際の売上規模や業務の依頼内容によって変動するということを念頭に置いておきましょう。また、顧問契約をする場合は月額顧問料の4~6か月分が相場となっています。
できるだけ報酬を安く済ませたい方は、会計ソフトへの入力を完了させていたり、日頃の帳簿をしっかりつけてあれば、記帳代行という作業が省けるため、その分報酬が安くなります。
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