【3ステップでわかる】相続税に強い税理士の選び方
(監修:VSG相続税理士法人 桑原 弾 税理士)
「相続税の申告が必要そうだけど、どの税理士に依頼すべきかわからない……」
医者に「内科」や「外科」といった専門分野があるように、税理士にも「得意分野」があります。
実際、多くの税理士は企業や個人事業主から依頼を受けて、「法人税・所得税」の分野でサポートをすることを主な業務としています。
一方、「相続税」に関しては、課税されるのが資産の多い人に限られ、1人の方が一生のうちに何度も課される税金でもないため、税理士によっては「ほとんど扱ったことがない」というケースも珍しくありません。
そのため、相続税が不得意な税理士に依頼してしまうと、次のような不利益を被るリスクがあります。
- 税額を軽減できる制度を適用し忘れて、納税額が高くなる
- 税務署に提出する申告書の書き方を間違えて、税務調査の対象になる
そこで今回は、これまで20年にわたり、40万人以上の実績がある「税理士ドットコム」が、「相続税が得意な税理士の選び方」をお伝えします。
故人が遺してくれた大切な財産を守るためにも、ぜひこの記事を参考にしながら、安心して任せられる税理士を探しましょう。
目次
【3ステップ】相続税に強い税理士の選び方
いざ依頼する税理士を選ぼうと思っても、世の中にはたくさんの税理士事務所があり、専門分野もそれぞれ異なりますので、どこへ頼めばいいのか迷ってしまいます。
「相続に強い」税理士を探したいときには、次の3ステップを踏み、少しずつ候補を絞り込んでいくことをおすすめします。
- 「3つの最低条件」で3〜5社に絞り込む
- 専門性の「質」で2〜3社に絞り込む
- 「担当者の人柄」で依頼先を決める
この手順で進めることで、最後にはあなたが本当に安心して任せられる税理士を見つけられます。
それでは、具体的な絞り込みの流れを見ていきましょう。
ステップ1:「3つの最低条件」で3〜5社に絞り込む
最初のステップでは、数ある選択肢のなかから、依頼先の候補となる事務所を3〜5社まで絞り込みます。
まずは、Googleなどの検索エンジンに「相続 税理士」と入力して、検索してみてください。
そこで表示された検索結果を上から順番に見ていき、次の3つの条件をすべてクリアしている事務所をメモしていきましょう。
- 相続専門の事務所である
- ワンストップで対応してくれる
- 通いやすい場所に事務所がある
以下では、それぞれの条件について詳しく見ていきます。
条件1:相続専門の事務所である
もっとも重要なチェックポイントは、その事務所が「相続」を専門に扱っているかどうかです。
全国の税理士の登録者数が「約8万人」(2025年8月末日現在)のところ、1年間で相続税の申告が必要となる件数は「約16万件」(2023年分)しかありません(参考:国税庁「令和5年分 相続性の申告事績の概要」)。
これを単純に計算すると「税理士1人あたり、1年間に2件ほど」しか、相続税に携わらないことになります。
しかも、実際には事務所ごとに得意とする領域は異なるため、依頼を受ける件数にも偏りがあります。そのため、多くの税理士は「相続税の経験が少ない」と言わざるをえません。
このことから、安心して手続きを任せるには「相続専門」の税理士を選ぶことを強くおすすめします。
相続専門の税理士であれば、年間で数十件の申告を担当していることも珍しくなく、その豊富な経験からスムーズに手続きを進めてくれることを期待できます。
そこでまずは、候補となる税理士事務所のWebサイトにアクセスし、トップページに「相続専門」の文言や「相続税申告の実績」が記載されているかを確認しましょう。
条件2:ワンストップで対応してくれる
相続が発生したときには、「相続税の申告」だけではなく、「相続登記(不動産の名義変更)」や「自動車の名義変更」など、ほかの手続きも必要になるケースが多いです。
これらの手続きは、「1人の専門家」がすべて代行できるわけではなく、それぞれ別の専門家に依頼しなければなりません。
- 相続税の申告:税理士
- 相続登記:司法書士
- 自動車の名義変更:行政書士
さらに、遺産分割などで親族同士で揉めてしまったときには、「弁護士」への依頼が必要になることもあります。
それぞれの専門家を個別に探し、何度もご自身の状況を一から説明するのは、大変な労力がかかります。
このような手間を減らすためには、相続関係の手続きを「ワンストップ」で引き受けてくれる事務所を選ぶのがおすすめです。
司法書士・行政書士・弁護士などと提携している「税理士事務所」や、複数の専門家が集まっている「士業グループ」であれば、窓口の担当者が必要に応じて、あなたと専門家をつないでくれます。
ワンストップ対応が可能な事務所は、Webサイトに「司法書士・行政書士・弁護士と連携」「相続手続きを丸ごとサポート」などと記載していますので、チェックしてみましょう。
条件3:通いやすい場所に事務所がある
最後のチェックポイントは、「ご自宅から無理なくアクセスできる場所に事務所があるかどうか」です。
実際に手続きを進めるにあたり、「何かあったら、すぐに顔を見て相談できる」という安心感は大きな心の支えとなります。
そのため、Webサイトの「事務所概要・アクセス・拠点一覧」といったページを見て、オフィスの所在地を確認しておきましょう。
ご自宅の近くに拠点がない事務所は、候補から外すことをおすすめします。
以上、税理士を絞り込む際のチェックポイントとして、下記の3つを紹介しました。
- 相続専門の事務所である
- ワンストップで対応してくれる
- 通いやすい場所に事務所がある
この3つの条件をすべてクリアした事務所が3〜5社見つかったら、最初のステップは完了です。
次のステップでは、絞り込んだ候補をさらに細かく比較していきます。
ステップ2:専門性の「質」で2〜3社に絞り込む
このステップでは、候補の事務所のWebサイトを詳しくチェックし、「専門性の質」の観点から、さらに2〜3社まで絞り込みます。
具体的なチェックポイントは、次の2つです。
- 専門知識をわかりやすく発信しているか?
- 書面添付制度の利用をすすめているか?
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
チェック1:専門知識をわかりやすく発信しているか?
事務所の専門性の深さは、「情報発信の内容」で見極められます。
相続関係の手続きは非常に複雑で、官公庁のWebサイトなどを見ても、理解しづらいことが多いです。
そのような難しい制度を初心者の方にも理解できるように説明するためには、「豊富な知識」が欠かせません。
そこで、「Webサイトのコラム記事」や「YouTube」などを通じて、わかりやすい情報発信ができている事務所は、専門性の質が高いと判断できます。
また、所属税理士が相続関連の書籍を出版しているかどうかも、事務所の専門性をチェックできるポイントです。
丁寧な情報発信をしている事務所であれば、実際に相談に行ったときにも、親身になって対応してもらえることが期待できます。
チェック2:書面添付制度の利用をすすめているか?
相続税の申告をするときに、多くの方が不安に感じるのが「税務調査」です。
申告手続きが終わっても、「いつ税務署から不備の指摘があるかわからない」という状況では心が休まりません。
このことから、「税務調査への対策は万全か?」という点も、税理士事務所を選ぶうえでは大事なチェックポイントになります。
その際に確かめたいのが、事務所が「書面添付制度に対応しているかどうか」です。
書面添付制度とは、税理士が「申告内容の根拠となる書類」を申告書と一緒に提出する制度です。
書面添付のされている申告書は、税務署からの信頼性が高まり、税務調査の対象になる可能性を下げられます。
また、もし調査の対象に選ばれたとしても、納税者に連絡がいく前に、担当の税理士へ「意見聴取」がされ、そこで疑問が解消されれば実地調査は行われません。
このようにメリットの多い書面添付制度ですが、税理士によっては利用を渋るケースもあります。
その理由は、書面添付制度を利用した申告書に誤りがあると、作成した税理士が懲戒処分の対象になるからです。
それでもなお、顧客に書面添付制度を積極的にすすめることは「申告の精度」に自信を持っていることの現れなので、Webサイトでこの制度に言及している事務所を選ぶことをおすすめします。
以上、ステップ2では、専門性の「質」で事務所を絞るためのチェックポイントとして、次の2つを紹介しました。
- 専門知識をわかりやすく発信しているか?
- 書面添付制度の利用をすすめているか?
こうして、候補の事務所を2〜3社にまで絞り込めたら、いよいよ最後のステップに進みます。
ステップ3:「担当者の人柄」で依頼先を決める
最後のステップではまず、ここまで2〜3社に絞り込んだ事務所に「無料相談」を申し込んでみましょう。
ここまではWebサイト上の情報が判断材料でしたが、最後は事務所の担当者と直接会って、その「人柄」をチェックします。
相続税の申告をする際は、大切な人が亡くなって時間が経っていないなか、故人の財産や借金、親族関係などを包み隠さず税理士に伝えなければなりません。
このため、事務所の担当者が「心から信頼できる人」でないと、手続きを進めるうえで大きなストレスになります。
そこで、初回の無料相談を活用して、下記のポイントをチェックしながら、担当者の人柄を見極めましょう。
- こちらの悲しい気持ちに寄り添う言葉をかけてくれるか?
- 専門用語を使わず、素人にもわかる言葉を選んでいるか?
- かかる費用について、ごまかさずに説明してくれるか?
- 質問したとき、面倒くさそうな表情になっていないか?
こうして、いくつかの事務所と話をして、「この人になら、すべてを安心して任せられる」と心から思えた事務所こそ、あなたが依頼すべき事務所です。
自分で探すのが大変なら、無料紹介サービスがおすすめ
ここまで、相続に強い税理士を選ぶための流れを3ステップでお伝えしました。
しかし、大切なご家族を亡くされ、まだ気持ちが落ち着かない状況では「自分で探すのは大変そう……」と感じてしまったかもしれません。
そのような方のために、当サイトでは<税理士紹介サービス>を無料で提供しています。
このサービスでは、今のご状況やご要望をコーディネーターにお伝えいただくだけで、あなたに最適な「相続に強い税理士」を私たちが代わりにお探しします。
サービスの利用に費用は一切かかりませんので、まずはお気軽にご連絡ください。
相続に強い税理士を探している方からよくある質問
最後に、相続に強い税理士を探すうえで、多くの方が疑問に思われる点について、Q&A形式でお答えします。
Q1:料金が安い税理士に頼んでも大丈夫?
「料金の安さ」だけで税理士を選ぶのは、おすすめできません。
相続税の計算は非常に複雑で、経験の浅い税理士が担当すると、使えるはずの特例などを見逃してしまい、税額が高くなってしまうケースがあります。
こうなると、税理士に払う料金が安くても、納税額を含めたご自身の負担はかえって重くなるおそれがあります。
このため、相続税を依頼する税理士を選ぶ際には、「料金」よりも「専門性」を重視するようにしましょう。
なお、それでも事務所ごとに実際にかかる費用が気になる方のために、下記のページでは主要な事務所の費用比較をしています。ご興味があれば、併せてご覧ください。
Q2:相続のことは、役所や銀行にも相談できる?
「市町村役場・税務署」や「銀行・信託銀行」にも、相談すること自体は可能ですが、下記の点に注意が必要です。
| 市町村役場・税務署 | ・手続きの一般的な流れや、書類の書き方などは教えてくれる ・ただし、「どうすれば税負担を軽くできるか」といったアドバイスは立場上できない |
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|---|---|---|---|---|---|---|
| 銀行・信託銀行 | ・銀行はあくまで「窓口」で、手続きの実務は提携先の税理士が行う ・このことから、税理士と直接やり取りするよりも、時間がかかったり、費用が割高になったりする可能性がある |
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このことから、相続税の申告をスムーズに進めたいのであれば、はじめから相続専門の税理士に直接相談することをおすすめします。
Q3:事務所は自宅から近いほうがいい?
「何かあったときに、直接顔を見て相談できる」ことは、手続きを進めるうえでの安心感につながるため、近くに拠点がある事務所が理想ではあります。
ただし、最近は遠方の事務所でも、パソコンやスマートフォンの画面越しに、WEB面談でいつでも相談に乗ってくれるところが増えています。
「ビデオ通話による相談でも、安心感を持って手続きを進められる」という方は、「拠点の近さ」の条件は重要度を下げてもよいかもしれません。
Q4:いつごろ税理士を探し始めればいい?
相続税の申告・納付は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」に行わなければなりません。
このため、税理士への相談は早ければ早いほど、スケジュールに余裕を持って手続きを進められます。
とはいえ、大切な方が亡くなられてすぐのタイミングでは気持ちの整理もつかず、なかなか相続税のことまで考えられないと思います。
このことから、少し気持ちが落ち着かれた「四十九日」を過ぎた頃から、税理士を探し始める方が多いです。
Q5:自分で相続税の申告をするのは難しい?
亡くなった方の遺産が「預貯金のみ」といったシンプルなケースであれば、ご自身で申告することも不可能ではありません。
しかし、遺産に「不動産(土地・家屋)」も含まれているのであれば、申告の難易度が非常に高いため、専門家に任せることを強くおすすめします。
万が一、申告内容に誤りがあると、本来払わなくてもよかったペナルティの税金が課されるリスクもあります。
あなたに合った税理士を見つけましょう
今回は、相続に強い税理士を選ぶ方法を3ステップで紹介しました。
相続が発生すると、悲しい気持ちを抱えながら、複雑な手続きを期限までに終えなければなりません。
そのため、「この人になら、すべてを安心して任せられる」と心から思える税理士を見つけることが大切です。
ぜひ、この記事を参考にしながら、心から信頼できる税理士を探してください。
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※ゼネラルリサーチ調べ