会社設立を税理士に依頼するメリットは?税理士選びのポイントも解説
会社設立は税理士をつけるべきタイミングのひとつです。
会社設立の手続きは必ずしも税理士でなくても行うことができますが、創業時から顧問税理士をつけることで、得られるメリットは大きくなります。
起業家の方のために、会社設立で税理士をつけるメリットと、会社設立における税理士選びについて詳しく解説します。
目次
会社を設立したら税理士が必要?
会社を設立するにあたり、「どのタイミングで税理士をつけるか」はよくあるお悩みです。
実際のところ、税理士をつけるのは会社を設立したあとでも問題ありません。
しかし、税理士にしかできない業務があるため、設立のタイミングから税理士と顧問契約することで、多くのメリットを受けられます。
「税理士にしか依頼できない業務」がある
税理士は「税務に関する専門家」として、納税者をサポートし申告納税制度を推進するという役割を担っています。
なかでも以下の3つの業務は、税理士しか行うことができない独占業務です。
- 税務代理(申告業務)…確定申告の手続きや青色申告の承認申請などの税務業務の代行
- 税務書類の作成…確定申告書など税務代理に関わる書類の作成
- 税務相談…税務に関わる具体的な相談
このような業務を依頼するのであれば、設立時から税理士に依頼することを検討するといいでしょう。
会社設立時に税理士をつける4つのメリット
では、会社設立時から税理士をつけることでどのようなメリットを受けられるのか、具体的に見ていきましょう。
会社設立の手続きを任せられる
会社設立の手続きを税理士に依頼すれば、申請等の事務手続きだけでなく、「どの法人形態にするか」「資本金や役員報酬の金額をいくらにするか」「決算月はいつがいいか」など、様々なお悩みにも幅広くサポートしてもらえます。
なお、会社設立の手続きにおいて、登記申請は司法書士、許認可申請(※)は行政書士の専門ですが、会社設立の手続きを行う税理士であれば、これらの専門家と提携していることが多く、ワンストップで対応が可能です。
また、電子定款に対応しているので、自身で行うよりも設立費用自体は安く済むことがあります。
※一部業種の許認可申請は社会保険労務士が専門
創業資金の調達をサポートしてくれる
創業資金としてまとまった金額が必要な場合は、助成金などの申請を検討しましょう。
申請する制度によっては、事業計画書の作成や金融機関との面談など、面倒な諸手続きが発生します。
設立時に資金調達に強い税理士と顧問契約を結ぶことで、手続きのサポートを受けることができるほか、付き合いのある金融機関を紹介してくれることもあります。
経理や税務関連業務を一任できる
法人の経理は個人事業主とは経費の範囲も異なり、作業も煩雑です。また、法人の決算申告は書類も多く、会計ソフトで対応していないこともあり、自身で作成する手間も発生します。
経理や税務関連業務を税理士に一任することで、正確に処理をすることができるほか、経営者はその時間を会社の利益につながる本業に費やすことができます。
決算対策や節税がより効果的に行える
会社設立時から税理士に顧問をお願いすることで、期中のうちに節税や決算対策の相談ができます。
いざ決算を迎えるタイミングでは、そのような相談・対策が難しいこともあるので、効果的かつ最大限の節税アドバイスを受けたいのであれば、創業当初から税理士をつけるとよいでしょう。
設立時の顧問契約で報酬や手数料が安くなることも
会社設立を税理士に依頼する際、顧問契約を前提とすることで、初年度の顧問報酬や会社設立にかかる手数料を特別価格にしてくれるケースも多いです。
そのため、いずれ顧問契約をお願いするのであれば、会社設立のタイミングで依頼するのがベストといえます。費用についてはこちらを参考にしてください。
ただし依頼する税理士によって金額感は異なりますので、複数の税理士に相見積もりを取ってみるとよいでしょう。
会社設立したい人が選ぶべき税理士の特徴
税務の専門家である税理士に「会社設立だけを依頼する」というケースはあまりありません。
会社設立を検討する段階で顧問契約をお願いしたい税理士を見つけて、その税理士に会社設立のサポートをしてもらうのが一般的な流れです。
では、「会社設立したい人が選ぶべき税理士の特徴」を確認しておきましょう。
創業支援を得意としている
開業したての頃は、当面の運転資金や設備資金が必要です。創業支援を得意としている税理士であれば、創業期ならではのキャッシュフローについて的確なアドバイスが期待できます。
また、設立後は社会保険の加入手続きなどが必要ですが、創業支援の実績が豊富な税理士であれば社会保険労務士と連携していることも多く、そのような労務関連の手続きもまかせることができます。
業種や法人形態ごとの専門知識がある
飲食業や小売業、建設業など、その業種ごとに税務や会計には特徴があるものです。
また、一般社団法人やNPO法人といった非営利法人も、より専門的な税務・会計の知識が問われます。
そのため、これから設立する法人の形態や営む事業について専門性が高い税理士に依頼することも非常に重要なポイントとなります。
※業種、法人別の税理士選びについては、下記のリンク先で詳しく解説しています
飲食店|パン屋|運送業|教育・学習支援業|小売業|建設業|製造業|農業|宿泊業|IT関連|不動産|美容関連|病院・クリニック|歯科医院|調剤薬局|治療院|一般社団法人|NPO法人|社会福祉法人|マイクロ法人
長く付き合えそうな人柄である
以上のことを考慮して条件が揃った税理士が見つかったとしても、すぐに契約するのではなく、面談を通じて税理士との相性を確認しておきましょう。
たとえば面談時点で話しにくい・相談しにくいと感じた場合は、長く付き合う顧問税理士としては合っていないのかもしれません。
会社を設立したら終わりではないからこそ、自社にあった税理士を見つける際には、何人かの税理士を探して、実際に話してみることをおすすめします。
会社設立を税理士に依頼するときの注意点
会社設立のタイミングで税理士に依頼することでさまざまなメリットがある一方、以下の点にも注意しておかなければなりません。
他の専門家のサポートも必要
税理士は本来、税務や税金の専門家です。
会社設立の手続きにおいては、たとえば「登記」は司法書士が専門であったり、「許認可」については行政書士が専門であったりと、ほかの専門家のサポートも必要となってきます。
ですので、会社設立を税理士に依頼するのであれば、「どこまでサポート可能か」「他士業と連携しているか」という点を事前に確認しておく必要があります。
毎月顧問料が発生する
顧問契約を結んだ場合、毎月の固定費として顧問料が発生します。
顧問料は売上高や業務量、訪問頻度などで金額が決まりますので、顧問としてどこまでのサポートをお願いしたいかを相談し、金額を確認した上で契約しましょう。
途中解約するときは契約内容を確認
顧問税理士は契約期間の途中でも解約(別の税理士に変更)することが可能です。
ただし、解約については「◯か月前までに申し出が必要」などと契約書に記載されているケースが一般的です。期限後に解約を申し出ると違約金を請求されることがあります。
また、解約する前に次の税理士を探しておかなければ、その後の業務に支障が出る可能性もある、ということを考慮しておきましょう。
税理士選びでお悩みの方へ
会社設立時に税理士へ依頼すれば、設立手続きのサポートが受けられるだけでなく、設立後の税務アドバイスなど、さまざまな業務をまかせられる安心感があります。
「会社設立からお願いできる税理士を探したい」「決算申告を税理士に依頼したい」など税理士選びでお困りの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
また、予算が気になる場合は<税理士の費用・料金相場>を参考に、おおよその料金を把握しておくとよいでしょう。
税理士選びでお悩みなら税理士ドットコムにご相談ください

※ショッパーズアイ調べ 2020年6月調査