歯科医院の税理士顧問料の相場は?顧問契約のメリットや税理士選びのポイントまで

歯科医院に精通している税理士を味方につけることで、正しい申告・納税を行える以外にも、節税に有利になるなどのメリットがあります。
そこで、歯科医院の税理士選びのポイントについて、山崎大蔵税理士事務所の山崎大蔵税理士に伺いました。あわせて、かかる費用の相場について実例と共に紹介します。
目次
歯科医院の税理士顧問料はいくら?
税理士の顧問料は「月額顧問料+確定申告(決算申告)」がベースとなり、これに「記帳代行」などの付随業務にかかる金額が上乗せされます。
税理士ドットコムでの成約実績から割り出した顧問料の平均金額は、個人の歯科医院で年間約34万円、医療法人では年間約43万円となっています(※)。しかし、税理士報酬の規定は自由化されていますので、同じ業務内容でも依頼する税理士によって異なります。
では、歯科医院を営む方は具体的にどのような内容で顧問契約をしているのでしょうか。参考までに、ご相談実績の一部を紹介します。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」に寄せられたご相談。2019年2月〜2023年1月集計
実例1)年間顧問料:210,000円
売上高1500万円/(福島県・個人医院)
契約中の税理士がいますが、年間70万円の顧問料が負担になってきているため、顧問料を下げるために税理士を変更したいというケースです。
税務調査がはいったときを想定し、近くの税理士が良いというご要望でした。
予算50万円以内でお探しし、確定申告料、記帳代行、年末調整込み年間21万円(税別)でご契約となりました。
実例2)年間顧問料:250,000円
売上高未定/(京都府・個人医院)
歯科医院を開業予定の個人の方より、継続的にお付き合いのできる税理士を探しているとのご相談です。
開業にあたりすでに関与されている税理士がいますが、補助金や節税に詳しい税理士がいればそちらとの顧問契約を検討したいというご依頼でした。
条件に合う税理士を数名ご紹介し、その中から1名と面談され、確定申告料、年末調整込み年間25万円(税別)でご契約されました。
実例3)年間顧問料:500,000円
売上高5000万円/(埼玉県・医療法人社団)
ご契約中の税理士が体調を崩されたため、新しく顧問税理士を探されているというケースです。
これまで年間80万円でご契約されており、同額程度で記帳代行も依頼したいというご要望で、決算申告料、記帳代行、年末調整込み、年間50万円(税別)でご契約されました。
実例4)年間顧問料:570,000円
売上高7000万円/(大阪府・医療法人)
これまで年間100万円程度で顧問契約している税理士がいましたが、顧問料を抑えるために税理士変更を検討しているというケースです。 歯科医院に精通していて、記帳代行込みで年間60万円以下で依頼できる税理士をご希望でした。
複数の候補のうち1名と面談をし、決算申告料、記帳代行、年末調整込み年間57万円(税別)で希望条件通りだったので、ご契約となりました。
実例5)年間顧問料:690,000円
売上高1.5億円/(東京都・医療法人社団)
ご契約中の税理士がご高齢であることへの懸念と、記帳にミスがあるなど対応に不満があり、新しく税理士を探しているというケースです。
訪問不要で、Zoomや電話相談の対応ができる税理士をご希望で、代表個人の確定申告も依頼したいとのことでした。
希望条件に合う税理士をご紹介し、記帳代行、給与計算、年末調整、決算申告料込み年間69万円(税別)と、代表者様の確定申告料 5万円(税別)でご契約となりました。
顧問税理士をつけるメリット
決算申告などの業務を単発で依頼するのではなく、顧問として税理士と契約することでどんなメリットがあるのでしょうか。
顧問税理士をつけるメリットと、歯科医院における税理士選びのポイントを山崎大蔵税理士事務所の山崎大蔵税理士に伺いました。
Q.歯科医院を営む方にとって、税理士と顧問契約することでどのようなメリットがあるでしょうか?
ー 山崎大蔵 税理士「経営体質の強化や歯科特有の会計・税務処理の適正化が可能になります」
歯科医院が税理士と顧問契約することにより、次の3つのメリットが得られるといえます。
- 管理会計による経営体質の強化
税理士とともに、医院の収益構造を明らかにし、それに基づいた管理会計・事業計画を作ることで、医院の経営体質を強固にすることができます。 - 効果的な節税対策
毎年のように改正される税制(特に税額控除)を、医院の申告に適用することができ、納税額を、ダイレクトに少なくすることができます。
また、扶養家族の社会保険料の一括化といった所得控除を用いた節税など、複数の合わせ技による節税ができます。 - 歯科特有の会計・税務処理の適正化
買掛金、貸倒引当金の計上などオーソドックスな方法をはじめ、医師優遇税制の摘要、保険料収入、自由診療収入、回収貴金属の売却益の処理など、歯科特有の会計・税務処理を適切に適用することができます。
3つの中でも、人口減少が加速度的に進行する社会を見据え、(1)の「管理会計による経営体質の強化」が重要と言えます。
顧問税理士を活用して、(1)をしっかり作り上げ、売上の変動があっても、着実に利益を出せる体質にしていくことが大切です。
Q.税理士を選ぶ際のポイントを教えてください。
ー 山崎大蔵 税理士「税制・節税について、タイムリーに説明や提案をしてくれているかが重要です」
タイムリーに税制・節税について、説明・提案してくれているかどうかは、税理士選びの1つの基準になるかと思います。
しかしながら、会計・税務は、今、DX化や制度改正により、時代の転換点を迎えています。
たとえば直近では、近年に無かった大きな改正が2つ「インボイス制度」、「電子帳簿保存法」が予定されています。
これらは、歯科の事業に対しても大きな影響(自由診療収入等)が想定されます。特に、インボイス制度ついては、事業者登録が令和5年3月末となっており、逆算すると、遅くても今年の秋までに対応を検討する必要があります。
これらの時代の変化に機敏に対応する税理士が、歯科の先生方にとって医院を守る本当に必要な税理士といえるのではないでしょうか。
歯科医院に強い税理士をお探しのときは
「今の顧問料が高いと感じるので税理士を変更して費用を見直したい」「節税について積極的にアドバイスしてくれる税理士を探している」「経営面までサポートしてくれる税理士が良い」など税理士選びでお悩みの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。
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