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医療法人化する6つのメリットとは?設立の流れやかかる費用などわかりやすく解説

監修: 伊香賀 照宏 税理士

クリニック(医院)の独立開業を考えている方の中には、個人開業医か医療法人かどちらにするか迷っている方も多いでしょう。また、収益が安定してくると税理士などから「法人成り」を勧められ、医療法人化を視野にいれている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、医療法人のメリット・デメリット、設立の流れと費用をわかりやすく解説します。

目次

医療法人とは

医療法人とは、病院や医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設することを目的として、医療法に基づき設立される法人のことです。

大きくは「社団医療法人」「財団医療法人」と、法人の実体に応じて区分され、現在では、医療法人の90%以上が「社団医療法人」として設立されています。

設立するにあたり、「病院」と名乗るためには、医療法に定められた基準を満たしていなければなりません。簡単にいうと、複数の診療科と20以上の病床を持つ医療機関が病院と表記することが認められます。

一方で、病床数が1~19の有床診療所や病床をもたない場合は、「診療所」として営業することになります。診療所に分類される医療機関は、○○クリニック、○○医院など自由に名称をつけることができます。

医療法人の附帯業務

開設する病院や診療所等の業務に支障のない限り、定款や寄附行為にその旨を定めれば、医療関係者の養成又は再教育、医学又は歯学に関する研究所や疫病予防のためのさまざまな施設の設置・事業など、医療法42条各号に定める行為を附帯業務として行うことができます。

社団医療法人の場合は、その開設する病院や診療所等の経営に収益を充てることを目的とし、法の要件を満たす場合には、収益業務も行うことができます。

医療法人化するメリット

次に、クリニック(医院)を医療法人化するメリットを紹介します。

一定以上の所得で節税になる

まず個人開業医の場合は、自身に給与を支給することはできません。得た利益は事業所得として申告します。一方で法人の場合は、自身の給与を支給することができます。そして事業所得の場合は、青色申告所得控除の最大65万円ですが、給与所得の場合は、給与所得控除として所得額に応じて「65万円から220万円まで」の所得控除を受けることができます

また、所得税は「超過累進税率」ですが、法人税は税率が一定である「比例税率」のため、所得額が500万円を超えたあたりで比例税率のほうが低くなります。さらに、特定医療法人であれば、法人税の軽減税率が適用されます。

経費計上できる範囲が広がる

個人開業医よりも、法人のほうが経費として認められる範囲が広くなります
たとえば、個人開業医の場合は、退職金の支給は必要経費として認められていませんが、法人であれば「役員退職金」として支給することができます。

また、自宅の家賃については、個人開業が経費にできるのは仕事としての使用分に限られますが、法人であれば、自宅を法人名義で契約して社宅として自身に貸し出すことが可能になります。

このとき、無償で貸し出す場合は、役員報酬(給与)として所得税や住民税の課税対象になるため注意しましょう

保険契約についても同様です。個人開業医が生命保険に加入する場合は「生命保険料控除」が適用できますが、この限度額は12万円までと定められています。一方、法人の場合は生命保険料の限度額が決められていないので、より多くの節税効果を得られる可能性があります。

このように個人開業医の場合、事業に直接関係のあるものしか経費計上できませんが、法人の場合、事業に関連する費用についても経費として認められやすくなります

資金調達がしやすくなる

節税だけでなく、資金調達の面でもメリットがあります。具体的には、資金調達の手段が増えること、社会的な信用が増して借り入れしやすくなるということです。

その理由として、法人はその事業実態が明確であり、組織としての安定感や企業の成長の期待値があることが挙げられます。融資を受けるには主に返済能力がどの程度かを審査されますが、法人は設立段階で登記手続きや設立費用の調達という過程を経ており、一定の土台が確立されています。

そのため、一般的には個人開業医よりも返済能力についての社会的信用度が高くなり、融資審査に通りやすくなります。

事業承継が容易になる

医療法人化には、税制優遇措置や資金調達が有利になるといったことに加え、事業承継の際にも大きなメリットがあります。

個人診療所の場合、事業承継は親族への承継か第三者への譲渡といった2択となります。そして、いずれの選択にかかわらず、診療所の廃止手続きをした上で、再度、新規開設手続きをしなければなりません。

また、個人診療所の中でも病床を有する診療所については、地域医療計画により、新たに新規開設届けを提出しても病床を引き継ぐことはできません。引き継ぐ際は入院患者が入院していることが条件となります。

医療法人の場合、第三者に譲渡する場合を除いて、理事と管理者の変更で足り、新規開設扱いとはなりません。そのため、個人診療所の場合よりも、時間や手間をかける必要がありません。また、他の医療法人との合併という選択肢もとることができます

相続税の負担が軽減できる

2007年4月以降は、医療法が改正によって設立できるのは持分のない医療法人のみとなりました。持分のない医療法人の場合は、最初に拠出した資産以外は相続財産にならないので、相続についてのトラブルを心配することなく医業に集中することができるのです。

分院が開設できる

個人で診療所を経営している場合、原則として分院を持つことができません。個人診療所の開設者・管理者は、他の医療施設の開設者・管理者となることができないからです。

一方医療法人は、医療法人自体が開設者となることで分院をもつことが可能になります。そのため、介護施設や老人ホームなど、医療・介護を中心とした事業を拡大し、地域に貢献することもできます。

医療法人のデメリット

一方で、医療法人化によるデメリットもあるので覚えておきましょう。

管理運営が煩雑になる

医療法人設立の手続きは煩雑であり、都道府県の認可が必要になります。また、定期的に各種関係機関に事業報告の届け出を行う必要があり、事業報告書や資産登記、理事会の議事録など書類作成の手間がかかります。

これら各種の届出は自分で行うことも可能ですが、作成に専門知識が必要とされる書類もあるため、専門家に依頼する必要があります。

さらに、従業員の社会保険や厚生年金への加入が義務付けられ、人件費が増大します。

このように、個人開業医よりも管理運営が煩雑になるという点がデメリットとして挙げられます。

解散時も手間がかかる

医療法人の場合は、解散時も都道府県の認可が必要で容易に行うことはできません。これは、地域医療の担い手であるという観点から、事業の永続性を求められているためです。そのため、廃業するような場合にはM&Aなどの検討が必要になる場合があります。

このように医療法人は、営利を目的としない非営利法人で国民の保健衛生を担う立場にあるため、常に行政庁の監督下にあります。

また、現在では出資持分の定めのない医療法人しか設立できないため、解散時は残余財産が国や地方公共団体に帰属することになります。

交際費の制限ができる

法人は、原則として交際費は損金不算入です。ただし「交際費課税の特例措置」を利用すれば、一定額までは損金算入が認められます。

資本金1億円以下の中小法人の場合は最大で800万円まで、資本金1億円超の大企業の場合、上限なく飲食費の半額を損金算入できるようになっています。

この点、個人開業医は法律によって交際費の上限額が定められていませんので、上限なく計上することができます。

医療法人設立の流れと費用

医療法人の設立のためには、まず都道府県に設立を申請することからはじまります。この手続きは煩雑で、複数回にわたるやり取りが必要となります。

申請の流れは、各都道府県によって多少異なりますが、大まかなスケジュールは以下のとおりです。

  1. 定款・設立趣意書などの作成
  2. 設立総会の開催
  3. 設立認可申請書の作成および審査
  4. 設立認可申請書の本申請
  5. 都道府県医療審議会への諮問および答申
  6. 設立認可書の交付
  7. 設立登記申請書類の作成・申請

そして申請が受理されたら、設立の手続きは完了です。

個別の状況により金額は異なりますが、専門家への報酬等の費用も考えると、50万円から100万円程度の設立手数料が必要になります。

また、医療法人設立認可申請は、通常年2〜3回程度の決まった期間に限定され、設立認可まで6か月ほどかかります。その後の法人登記や診療所開設などを含めた場合には、10か月程度かかるため余裕を持った準備を行いましょう。

おわりに

このように、医療法人にはメリットも多数ありますが、設立と運営管理が煩雑であるということを覚えておきましょう。

設立の前段階において、想定される事業規模などからメリットとデメリットを比較検討し、税負担のシミュレーションや法人設立費用の見積もりをしてみることをおすすめします。

医療法人の手続きは専門的な必要で、設立後の税務処理も複雑です。そのため、設立準備段階から、医療法人に詳しい税理士にその後の税務顧問も併せて相談してみることをおすすめします。

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