一般社団法人の「税務」「会計基準」「決算」についてわかりやすく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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一般社団法人の「税務・会計基準・決算」はどうなる?注意点などをわかりやすく解説

社団法人には「公益社団法人」と「一般社団法人」があり、さらに一般社団法人は「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人」に分けることができます。このうち非営利型法人に該当する場合は、税制上の優遇制度を利用できますが、税務・会計処理が普通型法人とは違っているため注意が必要です。

そこでこの記事では、一般社団法人の税務や会計と非営利型法人の要件について解説します。

目次

一般社団法人の「税務」

一般社団法人は、法人税法上の「普通法人」となります。そのため、税務上では、基本的に株式会社など他の普通法人と同じ扱いになります。

会費や寄付金も含めたすべての所得が課税対象となり、法人税率は原則23.2%です。法人税以外にも、法人住民税や法人事業税なども課されます。これらの税率は地域や所得額などによって異なります。たとえば、東京都(事業所が23区内にある)の場合は、法人住民税率は12.9%~16.3%法人事業税率は3.4%~7.18%となっています。詳しい税率については、該当する地方自治体に確認してください。

また、売上高が1000万円以上であれば「消費税」が、建物や土地などの不動産を所有している場合は「固定資産税」もかかります。

非営利型法人の税制優遇

後述する「非営利型法人」の要件を満たす場合は、法人税法上の「公益法人等」となります。収益事業から生じた所得のみが課税対象になり、会費や寄付金に対しては課税されません。

社団法人の課税対象分類

法人税は、年800万円以下の部分には軽減税率が適用されます。なお、普通型法人でも中小法人(事業年度終了時点の出資金が1億円以下の法人)に該当する場合は、非営利型法人と同じ法人税率が適用されます。

区分税率
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているもの又は人格のない社団等年800万円以下の部分:19%(15%)
年800万円超の部分:23.2%

※括弧内は2019年3月31日までの間に開始する事業年度に適用

このほかにも税目ごとに以下のような優遇制度が設けられています。

  • 法人住民税(均等割):通常どおり課税されるが、都道府県によっては免除される
  • 法人住民税(法人税割):収益事業で得た所得に対してのみ課税される
  • 法人事業税:収益事業で得た所得に対してのみ課税される
  • 消費税:原則として会費や寄付金などには課税されない

普通法人から非営利型法人へ変更する場合は、非営利型法人の要件を満たした上で、税務署に「異動届出書」を提出すれば完了します。行政庁への認定手続きは不要です。

みなし寄付金の制度は適用されない

収益事業から生じた利益を非収益事業のために使った場合は、その分を収益事業に係る寄付金とみなして損金算入できる「みなし寄付金の制度」があります。

この制度は公益社団法人、公益財団法人のみの適用なので、一般社団法人の非営利型法人では適用できません。

非営利型法人とは

非営利型法人とは、「非営利性が徹底された法人」または「共益的活動を目的とする法人」のどちらかに当てはまる法人のことをいいます。

非営利性が徹底された法人とは、「事業によって収益を得ること」または「得た利益を分配すること」を目的としない法人のことです。認められるには、以下の4つの要件を満たす必要があります。

(1)「剰余金の分配を行わない」旨を定款に定めている
(2)解散時に「残余財産を国や地方公共団体などに贈与する」旨を定款に定めている
(3)「理事及びその親族である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下」である
(4)「上記(1)~(2)の定款の定めに違反する行為」や「上記(1)〜(3)の要件に該当する期間に特定の個人や団体に特別の利益を与えること」を行っていない

共益的活動を目的とする法人とは、「会員に共通する利益を達成すること」を目的としている法人のことです。認められるには、以下の7つの要件を満たす必要があります。

(1)「会員に共通する利益」を図るための活動を行っている
(2)定款等に「会費の定め」がある
(3)主たる事業として収益事業を行っていない
(4)「特定の個人や団体に余剰金の分配を行う」旨を定款に定めていない
(5)解散時に「残余財産を特定の個人や団体に帰属させる」旨を定款に定めていない
(6)「理事及びその親族である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下」である
(7)「上記(1)~(6)の要件に該当する期間に、特定の個人や団体に特別の利益を与えること」を行っていない

収益事業について

非営利型法人の収益事業については、法人税法によって「34事業」が定められています。たとえば、販売業、製造業、通信業、運搬業、請負業などがあり、一般的に営利目的のものはこの収益事業に該当します(法人税法2条13号、法人税法施行令5条)。

ただし、以下に当てはまるものは収益事業から除外することができます。

  • 公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業
  • 身体障害者及び生活保護者等が事業に従事する者の総数の2分の1以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの等

課税所得額の計算方法

収益事業から生じた所得のみが課税対象となるので、課税所得額は収益事業と非収益事業に分けて計算をします。

収益事業による収益の合計額 - 収益事業に要した費用の合計額 = 課税所得額

まず収益項目が収益事業に該当するかを1つずつ確認します。1つの科目の中にも、収益事業に該当するものとしないものがあるので、それを分けた上で「収益事業による収益の合計額」を計算します。

費用は大きく「収益事業に使った費用」「非収益事業に使った費用」「収益事業と非収益事業の両方に共通する費用」の3つに分けられます。

このうち問題になるのが「両方に共通する費用」で、人件費や賃料、水道光熱費などが該当します。これについては、従事割合や使用割合などで費用を按分し「収益事業に要した費用」に加えます。

消費税の計算が複雑

非営利型法人の場合は、消費税の計算方法が複雑になります。なぜなら、一般的に寄付金や補助金、助成金などの割合が高いからです。

これらは消費税法上は「特定収入」といいますが、消費税がかかりません。そのため、仕入分の消費税のみが多くなり、納付する消費税が少なくなる可能性があるのです。

このことから、特定収入が多い場合は、税制上優遇されすぎないようにと、特定収入割合が5%以上に該当する場合は、課税売上割合に応じた計算方法で消費税の調整を行います

特定収入割合
特定収入 ÷( 課税売上 + 免税売上 + 非課税売上 + 特定収入 )

上記計算では、まず売上を「課税売上」「免税売上」「非課税売上」「不課税売上」の4つに分けます。そして、不課税売上を「特定収入」と「特定収入以外の収入」に分類します。

課税売上割合とは次のように計算し、課税売上高に応じて、該当する方式で仕入税額控除を計算します。

課税売上割合
( 課税売上 + 免税売上 )÷( 課税売上 + 免税売上 + 非課税売上 )

課税売上割合仕入税額控除方式
95%以上課税期間中の
課税売上高が5億円以下
全額控除方式
課税期間中の
課税売上高が5億円超
個別対応方式または一括比例配分方式
95%未満個別対応方式または一括比例配分方式

「全額控除方式」は、課税売上にかかる消費税額から、課税仕入にかかる消費税額の全額を控除することができます。

「個別対応方式」は、まず課税期間中の仕入にかかる消費税額を以下の3つに区分します。

(A)課税売上にのみ要する課税仕入
(B)課税売上と非課税売上げに共通して要する課税仕入
(C)非課税売上にのみ要する課税仕入

(A)は消費税を全額控除、(B)は課税売上割合分が控除でき、(C)は全額控除できません。これを踏まえた計算式は以下のとおりです。

個別対応方式
 {(A)課税売上げにのみ要する課税仕入×6.3/108}+{(B)課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入×6.3/108×課税売上割合}= 仕入控除税額

一括比例配分方式は、仕入にかかる消費税額を区分せずに計算する方法です。以下のように計算します。

一括比例配分方式
すべての課税仕入 × 6.3/108 × 課税売上割合 = 仕入控除税額

一括比例配分方式の場合、仕入にかかるすべての消費税の合計額に、課税売上割合を乗じて計算するので、個別対応方式と比べて納める消費税額が多くなる可能性もあります。一方で、仕入れの区分が必要ないため、事務負担が軽くなります。

なお、個別対応方式と一括比例配分方式のどちらを選ぶかは、任意で選ぶことができます。ただし、一括比例配分方式を選択すると2年間は継続する必要がありますので、どちらを選択するか迷ったら税理士に相談するとよいでしょう。

一般社団法人の「会計基準」

会計基準には「企業会計基準」や「公益法人会計基準」といった種類があります。

一般社団法人は、どの会計基準を採用するかは義務付けられていないため、何を採用したらいいか迷ってしまうこともあるでしょう。次項ではそれぞれの会計基準の基本と、採用のポイントを解説します。

企業会計基準

企業会計基準とは、株式会社などに適用される財務諸表を作成するためのルールのことをいいます。たとえば、「役員賞与に関する会計基準」や「金融商品に関する会計基準」などがあり、それぞれ会計処理のルールが細かく決められています。

基本的には、一般社団法人のうち、法人税法上で普通型法人に当てはまる場合は、企業会計基準を採用するのが一般的です。

公益法人会計基準

公益法人会計基準とは、公益法人等に適用される財務諸表を作成するためのルールです。これには貸借対照表、正味財産増減計算書、キャッシュフロー計算書、財産目録などの作成が必要になります。

正味財産とは公益法人会計基準特有の考え方で、さらに「一般正味財産」と「指定正味財産」「基金」の3つに分かれています。

  • 一般正味財産:事業活動から発生した、法人が自由に使うことのできる財産
  • 指定正味財産:寄付による財産で、寄付者の意思で使途や管理方法などに制約があるもの
  • 基金:普通法人でいう資本金のこと

寄付金は基本的に公益事業のために使われるお金のため、運転資金に充てることができません。そのため、公益法人会計基準では、運転資金と寄付金を「一般正味財産」「指定正味財産」などと区別して会計処理を行うようにルール化しています。

非営利型法人の場合は、法人税法上は公益法人等に区分されるので、公益法人会計基準を採用するのが一般的です。将来的に公益法人認定を受けようと考えている場合も、公益法人会計基準に従って会計処理を行っておくとよいでしょう。

ただし、収益事業の所得が多かったり、助成金が少なかったりする場合は、企業会計基準に従って会計処理を行うとよいでしょう。

NPO法人会計基準

「NPO法人会計基準」はNPO法人が会計報告を行うためのルールのことで、「活動計算書を使う」「会計処理を統一する」などが決められていますが、前述した会計基準と比べると簡易な内容となっています。公益認定を目指していない、利益ではなく共益活動を目的とする法人の場合は、NPO法人会計基準を採用してもとよいでしょう。

一般社団法人の「決算」

決算書類は事業年度ごとに作成して、社員総会で提出しなければなりません。

提出書類や流れは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」で細かくルールが決められており、大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 計算書類などの作成
    一般社団法人の決算の際には貸借対照表、損益計算書、事業報告書、附属明細書などを作成します。作成する計算書類などは会計基準によって異なり、公益法人会計基準を採用している場合は、正味財産増減計算書を作る必要があります。
  2. 監事監査
    監事とは株式会社でいう「監査役」に相当する機関です。一般社団法人で監事を設置している場合は、先述した貸借対照表や損益計算書などについて監査を受ける必要があります。また、会計監査人を設置している場合は、別途、監査を受けなければなりません。
  3. 理事会の承認
    理事会とは株式総会でいう「取締役会」のことです。理事会を設置している一般社団法人の場合は、監査を受けた計算書類について理事会で承認を行う必要があります。
  4. 定時社員総会の承認
    社員総会とは株式会社でいう「株主総会」に相当します。貸借対照表や損益計算書などの書類一式を提出して、承認を受ける必要があります。なお、社員総会の開催にあたっては、総会の1週間前までに招集通知を発送しなければなりません。
  5. 決算公告を行う
    定時社員総会が終結したら、その後、貸借対照表を公告する必要があります。公告とは「決算公告」のことで、財務情報を世間に開示することです。決算公告の方法には、官報に載せたり、電子公告を使うなどの方法があり、定款で定めた方法で行います。

おわりに

以上の通り、一般社団法人の税務や会計はとても複雑なため、一般社団法人の税務に詳しい税理士に相談したり助言を求めるようにしましょう。

特に非営利型法人を目指しているのであれば、設立前の定款を作成する段階から相談するのがおすすめです。

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