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高額療養費制度とは?自己負担限度額や申請・計算方法をわかりやすく解説

監修: 中西 博明 税理士

入院や手術をしたり長期の治療が必要になったときには、身体の心配のほか、経済的な不安が大きくなりがちです。そこで公的医療保険では「高額療養費制度」という措置が設けられており、申請することで医療費負担が軽減されます。

病気以外にも、帝王切開など出産時に発生する治療費にも適用できますので、限度額や申請方法を確認しておきましょう。

目次

高額療養費制度とは

国民健康保険や会社の健康保険などの「公的医療保険」では、かかった医療費の3割が自己負担金額となっています。

高額療養費制度とは、その自己負担金額がひと月に一定額(自己負担限度額)を超えたときに超過した分が払い戻される制度です。

自己負担限度額について

自己負担限度額は年齢と年収によって金額区分が決められています。平成30年(2018年)8月診療分からは、70歳以上の人の高額療養費の負担限度額も所得水準に応じて金額が細分化されました。

なお、複数の医療機関にかかったり、同じ病院でも入院と外来ではそれぞれ別に計算するので、支払いが自己負担限度額以上になるケースがあります。その場合には、高額療養費の申請をして後日払い戻しを受けることになります。

70歳未満の自己負担限度額
年収※1自己負担限度額
約370万円以下
・標準報酬月額 ※2 :26万円以下
・賦課基準額 ※3 :210万円以下
5万7600円
約370万円〜約770万円
・標準報酬月額:28万円〜50万円
・賦課基準額:210万円〜600万円
8万100円+(医療費 ※4 ー 26万7000円)×1%
約770万円〜約1160万円
・標準報酬月額53万円〜79万円
・賦課基準額600万円〜901万円
16万7400円+(医療費 ー 55万8000円)×1%
約1160万円〜
・標準報酬月額83万円以上
・賦課基準額901万円以上
25万2600円+(医療費 ー 84万2000円)×1%
住民税非課税者3万5400円
70歳以上75歳以上の自己負担限度額
所得水準年収外来 (個人用)ひと月の上限額 (世帯ごと)
一般約156万円〜約370万円
・標準報酬月額:26万円以下
・課税所得:145万円未満
1万8000円5万7600円
現役並み約370万円〜約770万円
・標準報酬月額:28万円以上
・課税所得:145万円以上
8万100円+(医療費−26万7000円)×1%
約770万円〜約1160万円
・標準報酬月額:53万円以上
・課税所得:380万円以上
16万7400円+(医療費−55万8000円)×1%
約1160万円〜
・標準報酬月額:83万円以上
・課税所得:690万円以上
25万2600円+(医療費−84万2000円)×1%
住民税非課税世帯8000円2万4600円
住民税非課税世帯 (年金収入が80万円以下)1万5000円

※1 年収:源泉徴収票の総支給額

※2 標準報酬月額: 健康保険や厚生年金保険の保険料を計算する際に使用する基準額。4月から6月までの給与の平均額を「標準報酬月額表」にあてはめて決定される

(参考)全国健康保険協会|平成31年度保険料額表(平成31年4月分から)

※3 賦課基準額: 国民健康保険料のうち、所得に応じて決定される「所得割額」を計算する際に使用する基準額で、総所得金額から住民税の基礎控除額33万円を差し引いて求められる

(参考)世田谷区|保険料の計算方法

※4 医療費:自己負担額(3割)ではなく、保険適用される診察費用の総額(10割)

なお、後期高齢者医療制度(75歳以上もしくは認定を受けた65歳以上)においては所得水準が上記の表とは異なります。

多数該当とは

直近12か月以内に3回以上自己負担限度額を超えて医療費を支払った場合には、4回目以降の自己負担限度額が引き下げられます。

これを「多数該当」と言い、これにより入院などで長い期間にわたって医療費を払った場合には、自己負担分がさらにおさえられることになります。

ただし、加入する健康保険制度を途中で変更したり、被保険者の変更がある場合には、変更前の回数は多数該当に含まれません。

70歳未満
年収多数該当における4回目以降の自己負担限度額
約370万円以下
・標準報酬月額:26万円以下
・賦課基準額:210万円以下
4万4400円
約370万円〜約770万円
・標準報酬月額:28万円〜50万円
・賦課基準額:210万円〜600万円
4万4400円
約770万円〜約1160万円
・標準報酬月額:53万円〜79万円
・賦課基準額:600万円〜901万円
9万3000円
約1160万円〜
・標準報酬月額:83万円以上
・賦課基準額:901万円以上
14万100円
住民税非課税者2万4600円
70歳以上75歳未満
所得水準年収多数該当における4回目以降の自己負担限度額
一般約156万円〜約370万円
・標準報酬月額:26万円以下
・課税所得:145万円未満
4万4400円
現役並み約370万円〜約770万円
・標準報酬月額:28万円以上
・課税所得:145万円以上
4万4400円
約770万円〜約1160万円
・標準報酬月額:53万円以上
・課税所得:380万円以上
9万3000円
約1160万円〜
・標準報酬月額:83万円以上
・課税所得:690万円以上
14万100円
住民税非課税世帯適用なし
住民税非課税世帯(年金収入が80万円以下)

自己負担限度額と支給金額の計算例

では実際に自己負担限度額と支給金額を計算してみましょう。

50歳で年収約550万円の人が入院・手術をしたときの1か月間の医療費が100万円、そのうち窓口で30万円を支払った場合を例にします。

まず、このケースでの自己負担限度額は以下のように計算します。

8万100円 +(100万円 ー 26万7000円)× 1% = 8万7430円

高額療養費として支給される金額は、窓口負担額から自己負担限度額を差し引いた金額になるので、以下のようになります。

30万円 ー 8万7430円 = 21万2570円

高額療養費の申請は合算できる

高額療養費制度では、1人あたりの医療費が自己負担限度額に達していない場合でも、世帯で合算すると自己負担限度額を超える場合にも申請できます(世帯合算)。ただし70歳未満は自己負担分がひと月で2万1,000円を超えた場合のみ、合算の対象となります。

また、同じ人が複数の医療機関にかかった場合や、同じ医療機関の外来と入院を受診した場合にも合算した金額で高額療養費の申請ができます。

なお、この場合の「同じ世帯」とは同じ健康保険制度に加入している家族を指します。

高額療養費制度の申請方法

事後に申請する場合

高額療養費の支給を受けるには、加入している公的医療保険の窓口に支給申請書を提出(または郵送)します。国民健康保険の場合は住所地の市区町村役場の国民健康保険担当窓口で確認しましょう。

申請には領収書・保険証、印鑑、振込口座番号がわかるものなどが必要です。申請手続きを行った後、確認作業が行われ、後日、医療費が払い戻されます。

万が一高額療養費の申請を忘れていた場合は、診療を受けた月の翌月から2年間支給申請ができるので、後からでも申請手続きを行いましょう。

あらかじめ高額の支払いになることが予想される場合(限度額適用認定証)

事前に申請する場合

医療費が高額になることがあらかじめ予想される場合には、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けておくことで、支払い額を自己負担限度額までに抑えることができます。限度額適用認定証は、各健康保険の窓口に申請すると交付され、有効期間は最長1年となっています。

なお、所得区分が一般、または年収約1160万円以上に該当する70歳以上の人は認定証の交付がされませんが、医療機関の窓口で健康保険証、高齢受給者証を提示することで支払いが自己負担限度額までとなります。

また、申請書受付月より前の月の限度額適用認定証は申請できないので注意しましょう。

多額の医療費を支払うのが難しい場合(高額医療費貸付制度)

高額療養費は申請をしてから支給されるまで3か月程度かかります。そのため、急な手術や入院などで「限度額適用認定証」の申請が間に合わなかった場合には、払い戻しを受けるまでの間、一時的に医療費を負担しなければなりません。

一時的とはいえ多額の医療費を支払うのが困難な場合には、「高額医療費貸付制度」の利用を検討しましょう。

高額医療費貸付制度は、高額療養費が支給されるまでの間、一時的に立て替えなければならない費用の一部を借り入れることができる制度です。

この制度は健康保険料の滞納がなければ基本的に誰でも利用でき、高額療養費として支給される予定額のおよそ8割の金額を無利息で借り入れることができます。

利用する場合は、申請者が加入している健康保険の窓口で申請します。高額な治療費の支払いが難しい場合には、このような制度の利用を検討しましょう。

高額療養費制度の注意点

高額療養費制度は、その月の1日から月末までを1か月とするので、月をまたいで発生する医療費は、自己負担限度額を超える支払いをしたとしても、高額療養費制度の対象外になる場合もあります。

たとえば、12月15日から1月20日まで入院したとすると、12月15日から12月31日までと、1月1日から1月20日までとに分けて自己負担限度額を計算します。支払いがふた月に分かれるとそれぞれの月ごとに自己負担限度額以上の支払いにならないと高額療養費制度が適用されませんので、注意しましょう。

また、高額療養費制度の対象となる医療費は、保険適用される診療や薬代などに支払った部分です。入院時の食事療養費や生活療養費、差額ベット代、先進医療や保険適用外の漢方薬代などは対象外になります。

おわりに

高額療養費制度は、多額の医療費がかかったときに一定額以上支払った分が払い戻されるありがたい制度です。長期入院や手術をして高額な医療費がかかったときでも、お金の心配が軽減されます。

高額療養費制度のほか、多額の医療費を負担したときには、所得税や住民税の計算において医療費控除を受けることができます。

医療費控除を受けるには確定申告が必要ですが、高額療養費制度の対象とならない医療関連支出でも医療費控除の対象としては申告できるものがあるので、こちらの手続きも忘れないようにしましょう。

医療費控除など確定申告にまつわる疑問があれば、「みんなの税務相談」で税理士に相談してみましょう。

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