医療費控除とは?対象となる費用の具体例から確定申告の方法まで

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医療費控除とは?対象となる費用の具体例から確定申告の方法まで

監修: 寺田 暁央 税理士

医療費控除とは

病気や怪我で入院したり診療を受けたりした際に、1年間に支払った医療費が一定額を超えると所得控除が受けられます

この所得控除の制度を「医療費控除」といい、確定申告で申請手続きすることで、給与などから源泉徴収されている所得税額との差額が返金(還付)されます。

なお、この場合の医療費とは、自身のものだけでなく、同居している家族や一定の親族、または同居していなくとも生計を一にしている家族や一定の親族がいればその医療費も対象です。

「生計を一にする」とは、仕送りをしている家族等がいて、その家族等が仕送りで生計を立てている様なケースを指します。

医療費控除の対象になる費用

国税庁のタックスアンサーによれば、医療費控除の対象になる医療費として12項目が定められています。

原則的な考え方としては、「治療のための費用や医師の指示による費用」ならば控除の対象です。一方で、「美容や健康増進、病気予防のための費用」は控除の対象外、と考えると分かりやすいでしょう。

こんな費用は医療費控除の対象になる?ならない?

上記のような考えのもと判断しますが、実際には対象になるかどうか分からない費用は多くあります。そこで、具体例を元に医療費控除の対象となる費用・ならない費用を確認していきます。

歯列矯正・インプラント

一般的な虫歯治療にかかる費用は、医療費控除の対象です。一方で「歯列矯正」の場合、不正咬合の治療で行うものは医療費控除の対象となりますが、容貌を美化するために行う矯正は対象外となります。

インプラントの検査料や手術料も同様に、治療目的であれば医療費控除の対象です。

補聴器

医師が診療や治療に直接必要と認めれば、補聴器の購入費用も医療費控除の対象となります。

これには下記の手順で補聴器を購入する必要があります。

  1. 補聴器相談医を受診し、必要な問診・検査を受ける
  2. 補聴器相談医に「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」に必要な事項を記入してもらう。※補聴器を必要とする主な場面の「医師等による診療や治療を受けるために直接必要」にチェックをいれる
  3. 補聴器販売店にて「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を提出し、補聴器を購入する

コンタクトレンズ

コンタクトレンズは、その購入目的により該当する場合としない場合があります。

遠視や近視といった視力矯正のために購入した場合は該当しません。ただし、白内障や緑内障、斜視などの治療のために購入した場合には、医療費控除に該当します。

リハビリ/マッサージ

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師といった国家資格保持者が治療目的で行うものであれば、医療費控除の対象となります。

一方で、アロママッサージのようなリラクゼーション目的のマッサージは健康維持が目的とみなされるため、医療費控除の対象になりません。

介護費用

医療費控除は、介護保険制度下での介護費用も対象となります。

介護施設で受けるサービスのほか、訪問看護、訪問リハビリテーションなどの居宅サービスにかかる費用も対象です。ただし「生活援助型」に分類される訪問介護サービスは、医療費控除の対象外となることがあります。

妊娠/出産

出産時の出産費用に加え、妊娠中の定期検診や入院費、不妊治療にかかった検査代や治療費などは医療費控除の対象です。

一方で、入院時に自ら個室を選んだ際の差額ベッド代、入院のために購入したパジャマ・洗面用品代、里帰り出産のための交通費といった費用は対象外です。

脂肪吸引

脂肪吸引は医療費控除の対象にはなりません。これは脂肪吸引の多くが美容目的だからです。ただし、他の費用と同様に、医師が必要と判断し医療目的であれば控除の対象になります。

医療脱毛

医療脱毛も、そのほとんどが美容目的なので対象外ですが、医療目的であれば対象になります。

人間ドック/健康診断

人間ドックや健康診断は医療費控除の対象外です。ただし、人間ドックや健康診断で重大な疾病が発見され、かつ、健康診断等の後に引き続きその疾病の治療を行った場合には、これらに要した費用は控除の対象になります。

通院等にかかる交通費

医療費控除に含まれる費用として意外と知られていないのが、通院などにかかる移動交通費です。

使用する交通手段によって、下記のように判断されます。

  • 電車・バス:対象。ただし定期券の範囲で収まるものは対象外
  • タクシー:公共交通機関が動いていない深夜や、歩行が困難なとき、突然の陣痛など、やむをえないとき
  • 新幹線・飛行機:遠方の病院に通う場合で、そこでしか治療が受けられないなど、治療のために必須であるとき
  • 自家用車:ガソリン代、駐車場代、高速料金、すべて対象外

また、子どもの治療に親が付き添うようなケースもあるでしょう。そのようなケースでは、実際に治療を受ける人の年齢や症状により、1人で移動するのが困難と判断される場合であれば、付添人の交通費も対象となります。そのため、患者さんが入院していて、その方の世話をするために支出した付添人の交通費は、医療費控除の対象にはなりません。

なお、医療費控除の申請には領収書が必要になりますが、移動交通費の場合も同様です。ただし、電車やバスはその都度領収書をもらうことが現実的ではないため、例外的に領収書は不要とされています。その代わり、使用した区間と金額のメモなどは残しておくようにしましょう。

医療費控除の計算方法

医療費控除の金額(所得から差し引ける金額)は、総所得金額等が200万円未満かどうかで計算方法が以下のように異なります。

総所得金額等が200万円以上の人:
実際に支払った医療費の合計額 - 給付金(保険金などで補填される金額) - 10万円

総所得金額等が200万円未満の人:
実際に支払った医療費の合計額 - 給付金(保険金などで補填される金額) - 総所得金額等の5%

つまり、総所得金額等が200万円以上の人であれば年間10万円以上、200万円未満の人であれば総所得金額等の5%以上の医療費を負担した場合に医療費控除が適用できる、ということです。

ここでいう「実際に支払った医療費の合計額」とは、確定申告をする前の年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の合計です。このときの医療費は、高額療養費や限度額適用認定を適用した費用も対象となります。

なお、医療費控除の金額は200万円が上限となっています。

給付金がある場合の医療費控除の計算

給付金は、対象となった入院や通院からそれぞれ差し引くのがルールです。

たとえば、Aさんが1年間で以下のように医療費がかかったとします。

  • 甲病院 手術入院代 :60万円
  • 乙病院 内科医院通院代 :50万円
  • 丙病院 歯科医院治療代 :40万円

各々に対して以下のとおり給付金が支給されました。

  • 甲病院 手術入院に対する給付金:50万円
  • 乙病院 内科医院通院に対する給付金:60万円
  • 丙病院 歯科医院治療に対する給付金:0万円

この場合、医療費控除の金額はまず、
(1)甲病院 60万円 ー 甲病院給付金 50万円 = 10万円
(2)乙病院 50万円 ー 乙病院給付金 60万円 = -10万円 ※マイナスになる場合はゼロとします
(3)丙病院 40万円 ー 丙病院給付金 0万円 = 40万円
とそれぞれを計算し、
(1)+(2)+(3)を合計した50万円が医療費控除を算定する際の金額になります。

節税効果のシミュレーション

どのくらい税負担を軽減できるのか、簡易的にシミュレーションしてみます。

たとえば、課税される所得金額が300万円、医療費の実負担額が15万円であれば、5万円が医療費控除の金額です。このとき所得税率は10%なので「5万円× 10%= 5,000円」の節税効果があるということです。

先述のとおり、医療費は家族分をまとめることができます。実際の所得金額にもよりますが、所得のいちばん多い人(税率のいちばん高い人)が医療費控除を申請すると、節税効果がもっとも高くなります

なお、医療費控除は住民税にも影響します。住民税の場合は、前年の所得額を元に税額が決定するため、翌年の税金が減るということになります。

医療費控除を受けるには確定申告が必要

医療費控除を受けるには、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して申請する必要があります。

「医療費控除の明細書」は各自治体や国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。国税庁「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、情報入力後そのままe-Taxで送信することも可能です。あるいは、お近くの税務署の窓口で入手したり、郵送で取り寄せることもできます。

医療費控除の明細書

1月1日~12月31日の1年間の領収書などを元に、治療等を受けた人と病院や薬局ごとの小計を算出して記入していきます。

領収書は申告書提出時に添付する必要はありませんが、保管義務は5年と決められているので確定申告が終わった後もすぐには捨てずにおきましょう(※一部所定の費用については領収書の添付を求められることがあります)。

なお、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などの医療費通知がある場合は、添付することでその分の明細記入を省略できます。

医療費控除の明細書の詳しい書き方は以下のページをご参照ください。

確定申告後に見つかった医療費や給付金はどうする?

確定申告後に誤りに気づいた場合には、「更正の請求」または「修正申告」という手続きをすることで内容を訂正できます。

たとえば「医療費の申告が漏れていた」場合には「更正の請求」を行うことで払いすぎていた分の税金が還付されます。

一方、「医療費控除の計算時に給付金の額を差し引いていなかった」という場合には「修正申告」を行い、本来納めるべき金額の税金と、延滞税や加算税などをあわせて納付し直す必要があります。

医療費に関するそのほかの制度

医療費控除のほか、医療費の負担額が大きい場合や、医療費控除とは無縁という場合に利用できる制度があります。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、支払う医療費が自己負担限度額を超えたときに、超過した分が払い戻される公的医療保険制度です。自己負担限度額は、年齢と年収によって金額区分が決められています。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制は、病気予防のための市販薬の購入費が対象です。

医療費控除の特例として、最大88,000円まで所得控除が受けられます。令和2年現在は2017年1月1日〜2021年12月31日までの措置となっていますが、令和3年度税制改正で2026年12月31日まで5年間延長されました。

ただし、医療費控除制度との併用はできないため、どちらかを選択して適用することになります。

おわりに

医療費控除の対象かどうかは「医療目的であるかどうか」がポイントです。医療費として支払ったものでも「美容目的」などであれば、医療費控除の対象外となります。

自身での判断が難しいという場合は、お近くの税理士や税務署にて確認するか、税理士ドットコムが提供するオンライン税務相談サービス「みんなの税務相談」や「クラウド税務相談」をご活用ください。

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