【住民税申告完全ガイド】必要な人や確定申告との違い、計算方法、支払い方法を解説

個人や法人が納める住民税という税金について、聞いたことがあるかと思います。この住民税というのは、どのように決められているのでしょうか?確定申告をしていない場合、住民税の申告というものが必要になってきます。そこで、本記事ではこの「住民税申告」について、ご説明していきます。
目次
住民税とは?
住民税とはみなさんが暮らしている自治体の行政サービスなどに使うための費用を、その能力(担税力)に応じて分担するための税金です。
例えば、治安維持や公共事業・施設などに住民税を使用します。わかりやすくいうと、防災や道路整備、教育(学校)や福祉などに使われているということです。
個人に係る「個人住民税」と法人に係る「法人住民税」とがありますが、このページでは、この個人住民税について、ご説明していきます。
確定申告とは?
まずは住民税と確定申告等の関係について理解しておきましょう。
確定申告とは1年間(1月1日~12月31日)に得た所得を計算し、各個人の納税額を確定する手続きのことです。原則として、毎年2月15日から3月15日の間に確定申告を行うことが必要です。
このときに申告した所得や控除などの内容を、税務署がお住いの地方公共団体(自治体)に通知してくれるため、自動的に住民税の計算も行われることになります。よって、確定申告または年末調整をすれば、住民税申告は不要になります。
年末調整
会社勤めやアルバイト・パートなどの給与取得者は、ほとんどの場合、源泉徴収という形で税金を徴収されています。そして年度末に税金の納税額の確定・調整(年末調整)が行われ、この際に、税金の還付または追加徴収が行われます。
よって、この年末調整がなされている場合は、基本的に確定申告は不要です。
しかし、住宅ローン控除や医療費控除など、年末調整ではできない控除の適用を受けたい場合などは、確定申告が必要になることがありますので、覚えておきましょう。
確定申告が必要な人
フリーランスや個人事業主の方だけではなく、サラリーマンやアルバイトの方でも確定申告が必要になる場合があります。確定申告が必要な人は以下のとおりです。
- 給与収入が年間2,000万円を超える人
- 副業の利益(所得)が年間20万円を超える人
- 給与収入が2ヶ所以上ある人
- 源泉徴収や年末調整を受けなかった給与がある人
- 給与収入以外の所得金額が20万円を超える人
- 退職所得がある人(源泉徴収されていない場合)
- 医療費控除・雑損控除・寄附金控除・住宅ローン控除などを受けたい人
- 年の途中で退職し、就職してない人
個人住民税とは?
「都道府県民税・都民税」と「自治体民税・特別区民税」を合わせて、「個人住民税」と呼びます。
個人住民税(以下、住民税)には、それぞれに「所得割」と「均等割」があり、合計した額を納付します。
所得割と均等割
所得割と均等割については、以下のとおりです。
所得割とは、前年度の課税所得金額に応じて課税される金額のことです。
前年の総所得金額 - 所得控除額 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 - 税額控除額 = 納税額
均等割とは、所得金額にかかわらず、すべての納付義務者にかかる均等な金額で、定額で課税されます。
都道府県民税 ・都民税 | 1500円(※) | 4%(※) |
自治体民税 ・特別区民税 | 3500円(※) | 6%(※) |
※上記金額は、課税標準額であり、自治体により異なる場合があります。詳しくは、各自治体のホームページなどでご確認ください。
課税対象月
1月1日時点に住民票がある場所(自治体)で課税されるので、仮に1月2日に転居した場合でも1月1日時点で居住していた自治体に納付することになります。
2016年10月1日にA県A市からA県C町に引っ越した例で考えると、以下のようになります。
【2016年度の住民税】2015年の所得を基準に、A県A市に支払います。
【2017年度の住民税】2016年の所得を基準に、A県C町に支払います。
住民税の支払い方法
住民税は、前年度の所得(1月~12月まで)をもとに計算され、6月から納付がスタートします。住民税の支払いについては、普通徴収と特別徴収の2種類に分かれています。
特別徴収
年末調整の説明の部分で、会社勤めやアルバイト・パートなどの給与取得者は、源泉徴収という形で税金が徴収されるとご説明しましたが、住民税が源泉徴収されることを「特別徴収」といいます。
以下の流れで「特別徴収」がなされます。
- 勤め先から前年度1〜12月の給与支払報告書が自治体へ送付される。
- 自治体が納税額を決定し、決定通知書と納付書が会社へ送付される。
- 6月スタートで、毎月給与から天引きされる。
普通徴収
特別徴収されていない場合は、普通徴収という形で自身で一括または4期分割で納付手続きをします。これを「普通徴収」といいます。支払い方法は、届いた納付書や、自治体によってはクレジットカードや銀行口座振替で支払えるところもあります。
納付書での納付の流れは、以下のとおりです。
- 確定申告を行う際に、住民税に関する欄に必要事項を記入して提出する。
- 確定申告書から必要事項が自治体へ送付される。
- 自治体から、個人宛に確定された住民税の決定通知書と納付書が送付される。
- 納付書にて納付を行う。(納付ができる金融機関は納付書の裏に記載されています)
住民税が非課税になる要件
以下の条件のいずれかを満たすと「所得割」「均等割」ともに非課税になります。
- 生活保護受給者
- 寡婦、寡夫、障がい者、未成年者、で前年度の合計所得金額が125万円以下(給与所得のみの場合、給与収入が204万4,000円未満)
- 前年度の合計所得金額が各自治体の条例で定める金額以下
所得割が非課税になる
所得割のみが非課税になる場合は以下のとおりです。
- 前年度の所得が、控除対象配偶者・扶養親族がいない場合は35万円以下
いる場合は、(控除対象配偶者の人数+扶養親族の人数+1)×35万円+32万円以下 - 前年度の合計所得金額が各自治体の定める金額以下
均等割が非課税になる
- 前年度の合計所得金額が各自治体の定める金額以下
住民税申告が必要な人
はじめにお伝えしたとおり、原則として年末調整や確定申告をした方は、改めて住民税申告をする必要はありません。
しかし、年末調整や確定申告をしていない方で、以下の条件に該当する場合は住民税申告が必要になります。
- 給与、公的年金以外に所得がある人
- 年の途中で退職した等で年末調整をしていない給与がある人
- 住民税が課税される基準以上の所得がある人
※金額は自治体によって異なります - 住民税が非課税になる条件の人
※医療費控除、配偶者控除などの各種控除の適用によって、住民税が非課税になる人
また、国民健康保険料や介護保険料の免除をする場合や、児童手当、助成金の手続きなどで「非課税証明書」が必要な人などは、住民税申告が必要になります。
つまり、確定申告または年末調整をしている人は住民税申告は不要で、していない人は基本的に住民税申告が必要であるとおぼえておくと良いでしょう。
住民税申告方法
確定申告と同じ時期の2月16日~3月15日の間に、お住いの自治体役場に住民税の申告をする必要があります。
申告に必要な書類を揃えて、窓口に持参、もしくは郵送して手続きを行います。
必要書類
基本的には以下の書類を用意すれば問題はありませんが、詳細はお住いの自治体のホームページなどで確認してみることをおすすめいたします。
- 住民税申告書(窓口でもらう、インターネットから印刷する)
- 印鑑
- 収支内訳書、収入・経費(領収書)がわかる書類(給与所得者以外)
- 源泉徴収票(給与取得者、公的年金受給者)
- 各種控除を受けるために必要な書類
おわりに
住民税についておわかりいただけたでしょうか。収入が少なく確定申告が必要がない人などでも、住民税申告のみは必要になる場合があります。
また、住民税の支払いを怠ると、延滞金が発生したり、財産が差し押さえられたりしてしまうので、注意が必要です。そういった場合、まずはお住いの自治体などに相談することをおすすめいたします。
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