「3,000万円特別控除」を使えば税金ゼロのはずが思わぬ誤算も…。自宅の譲渡に関する確定申告の注意点
税金・お金
住宅価格の高騰を受け、マイホームの売却益(譲渡所得)が出るケースが増えている。そんなときに活用できるのが「居住用財産の3,000万円特別控除」だ。
これは、マイホームを売った際に出た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を差し引ける特例のこと。適用されれば、本来売却益にかかるはずだった所得税や住民税を大幅に減らす、あるいはゼロにすることができる。
しかし、この特例で税金を抑えられたとしても、「特別控除を適用する前の金額で判定されるケース」もあるため注意が必要だ。
そこで、「3,000万円特別控除」の盲点について、三宅伸税理士に聞いた。
●配偶者控除や扶養控除は、控除前の「合計所得金額」で判定される
ーー「3,000万円特別控除」で譲渡に係る税金が0円になったり減額されても、家族の「扶養」の要件に影響が出ると聞いたのですが、本当ですか?
「3,000万円特別控除」は、あくまで本人の所得税や住民税等を計算する際に適用できるというルールです。これによって、納税額を減額できる大きなメリットがあります。
一方で、家族の「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」などの判定では、この特別控除を差し引く前の「合計所得金額」が基準となります。
よって、不動産を売却して利益が出た場合は、扶養控除等から外れる場合があります。
●控除前の合計所得金額が58万円超なら、配偶者控除から外れる
ーー専業主婦(主夫)が、自分名義の自宅を売って利益は出たものの、「3,000万円特別控除」を受けて、売却時にかかる税金がゼロになりました。この場合でも配偶者の所得税計算における「配偶者控除」には影響しますか?
はい。前述のとおり、配偶者(特別)控除の判定は、「3,000万円の特別控除額を控除する前の合計所得金額」が基準となります。
例えば配偶者控除は、年間の合計所得金額が58万円以下(令和7年度以降)の場合に対象となります。そのため、3,000万円控除を適用する前の所得(利益)が58万円を超えると、その年は配偶者控除から外れてしまいます。
●社会保険への影響にも要注意
ーー税金以外にも、注意すべき点はありますか?
会社員家族の社会保険(健康保険)の被扶養者については注意が必要です。もし売却益も含めた収入で判定されると、一時的に扶養から外れ、自身で保険料を納める必要が出てくる可能性があります。
なお、判定基準は各健康保険組合により異なり、一時的な所得は加味しないところが多いようですが、心配であれば確認しておくとよいでしょう。
●特例の適用で税金を0円にしても「所得がある人」とみなされるケース
ーーそのほかにも、3,000万円特別控除適用前の所得金額(合計所得金額)が基準となる具体的なケースを教えてください。
控除前の所得金額(合計所得金額)を用いて判定するものには、主に以下のものがあります。
・住民税(均等割)の非課税判定
・未成年、寡婦、ひとり親、障がい者の住民税の非課税判定
・配偶者(特別)控除、扶養控除の対象となるかどうかの所得要件
・配偶者(特別)控除の適用を受ける場合の納税者の所得要件
・寡婦、ひとり親控除の適用を受ける場合の納税者の所得要件
・勤労学生控除の適用を受ける場合の納税者の所得要件
特例を使って税金を0円にしても、「所得がある人」とみなされる場合があるため、これまで受けていた 福祉サービスの減免措置などが一時的に停止してしまう可能性 がありますので、注意が必要です。
【取材協力税理士】
三宅伸(みやけ・しん)税理士
大学卒業後、大手リース会社に勤務。夫の仕事で渡米し一時離職後、子育てを機に税理士を志し資格取得、2014年に独立開業。現在は肥後橋で税理士事務所を運営。専門は起業・スタートアップ支援(会社設立、資金繰り、税務全般)と相続分野で、スタートアップカフェ大阪の税務相談員として創業期の伴走支援を実施。相続学会理事としても活動し、Yahoo!ニュース等で取材掲載。共著で「デジタル遺産」を執筆中。顧客目線で共に成長する支援を大切にしています。
事務所名 :三宅伸税理士事務所
事務所URL:https://miyake-tax.jp/















