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相続税の節税まとめ〜生前にやるべき2つの対策と相続発生後でもできる4つの方法

監修: 山本 晃司 税理士

相続税は、正しい対策をすることで大幅に節税することができます。その方法は多岐に渡り、生前に行うものから相続発生後でもできる方法があります。

場合によっては相続税をゼロにすることも可能ですが、やり方を間違えると、反対に多額の税金を納めることになってしまうこともあります。

この記事では、相続発生後でもできる方法をメインに、相続税の節税方法をわかりやすく解説します。

目次

相続税はどうやって計算する?

相続税は、遺贈や相続によって取得した財産の合計が「基礎控除額」を超えると発生し、納税義務は相続する人(相続人)に課せられます。

基礎控除額 = 3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

計算方法はまず、課税遺産総額を法定相続分で相続したと仮定して、相続人ごとの相続税額を求めます。その相続人ごとの相続税額を合計した金額が「相続税の総額」となります。

そして実際の相続割合に沿って按分し、各人の相続税額が決定します。ここからそれぞれの税額控除額を差し引いた残りが各人の納税額となります。

  1. 正味の遺産額(※) − 基礎控除額 = 課税遺産総額
  2. 課税遺産総額 × 各人の法定相続分 × 税率 − 控除額 = 算出税額
  3. 算出税額の合計 = 相続税の総額
  4. 相続税の総額 × 相続割合(実際の相続分 ÷ 遺産総額) = 各人の相続税額

※相続や遺贈によって取得したプラスの財産(遺産総額)と、相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の総額から、葬式費務などのマイナスの財産額と非課税財産額を差し引きます

相続人は誰?財産はどうやって分ける?

相続人の範囲

民法によって定められている相続人の範囲を「法定相続人」といい、配偶者・子ども・父母・兄弟姉妹などの続柄によって相続できる順位が決まっています

【法定相続人】
順位続柄
配偶者は常に相続人
第1順位直系卑属(子どもや孫)
第2順位直系尊属(両親や祖父母)
第3順位傍系血族(兄弟姉妹や甥・姪)

法定相続人の数は、相続税の計算において必要な要素のため、誰が法定相続人となるかを把握しておく必要があります。

前順位の相続人が不在の場合は、次の相続人に権利が移ります。これを「代襲相続」といい、たとえば被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合は、孫が相続権を得ます。

そして、原則としてそれぞれの「法定相続分」という持ち分に沿って相続財産を分けることになります。

相続人法定相続分
配偶者と直系卑属配偶者 1/2直系卑属 1/2
配偶者と直系尊属配偶者 2/3直系尊属 1/3
配偶者と傍系血族配偶者 3/4傍系血族 1/4

同一順位の相続人が複数いる場合は、法定相続分を按分します。配偶者と子ども2名の場合は、配偶者が1/2、子どもが1/4ずつということです。

「生前」にやるべき2つの相続税対策

相続税の節税は、生前にどれだけ対策しておけるかが重要です。

方法としては大きく分けて2つあり、「遺産総額を少なくしておく」ことと「不動産を活用した対策をしておく」ことです。

非課税制度の活用で遺産総額を減らす

財産を生前に子や配偶者などの相続人に移動しておく(贈与する)ことで相続時の遺産額が減り、相続税の節税につながります。

ただし、年間110万円を超える贈与は贈与税がかかるため、贈与の方法を工夫する必要があります。

方法としては、年間110万円以下の贈与税がかからない範囲で少しずつ遺産を減らすか、非課税制度をうまく活用して数千万単位の贈与を一度に行うかのいずれかです。

贈与税の非課税制度

「不動産」を活用した節税対策

国税庁のデータによると、土地や建物などの不動産は相続財産の約5割を占めています。そのため、相続税を節税する上では以下のような不動産への対策が欠かせません

更地や空き家を賃貸にして土地や建物の評価額を下げる

賃貸物件には、相続税評価額を大幅に引き下げる措置があります。そのため、更地や空き家を賃貸にすることで節税につながります。

多額の現金は不動産に変える

現金はその全額にそのまま課税されますが、不動産は購入価格ではなく、相続税評価額に対して課税されます。さらに評価額を下げる措置が設けられているので、現金で相続するよりも大幅に節税できます。

不動産管理会社を設立し財産を法人に移行する

法人の資産は被相続人の相続財産に含まれません。そのため、複数の不動産を所有している場合は、不動産管理会社を設立し個人の資産を法人に引き継ぐことで相続で有利になる可能性があります。

「小規模宅地等の特例」で土地の評価額80%減

一般的な家庭の自宅の大半は、小規模宅地等の特例の対象となり、土地の評価額を80%減額することができます。

特に多額の財産がある方は、不動産の活用によって大きな節税効果を得ることができます。

不動産に関する各制度は複雑で理解が難しい部分が多いため、実際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

こんなに差が出る!相続税の節税効果

参考までに、相続税の節税対策の有無によって納税額にどれくらいの差があるのかを比較してみます。

相続税の課税対象となる遺産総額が1億円で、相続人は配偶者と子ども2人の計3人というケースを例にシミュレーションしてみます。

なにも対策をしない場合

節税対策をしない場合にかかる相続税

この例では相続税の総額が630万円なので、法定相続分通りに相続した場合、各人の納税額は配偶者が315万円、子が157万5000円ずつとなります。

節税対策をした場合

節税対策をした場合にかかる相続税

被相続人が3人に対して、2000万円ずつ生前贈与を行っていたとします。

この例の場合は、相続時点での遺産総額が基礎控除額4800万円を下回るため、相続税は発生しません。相続税対策を何もしない場合と比べると、相続税額に630万円の差が生じることになります。

ただし、贈与の方法によっては贈与税がかかるため、実際の節税効果は贈与税も加味して考える必要があります。

「生前対策」で注意すべきポイント

生前に節税対策をしても、方法を誤ってしまうと税金の負担が増えて、せっかくの対策が無意味になってしまうかもしれません。

そうならないためにも、以下のポイントを抑えて正しい対策を行いましょう。

「名義預金」とみなされないように対策をする

名義預金は被相続人の財産とみなされます。

受贈者が「未成年者」でも課税される

相手が未成年でも贈与を受けた本人が贈与税を負担する必要があります。

「定期贈与」とならないように贈与する

毎年110万円以下でもはじめから合計の贈与額が決まっているとみなされる場合は、「定期贈与」として贈与した合計額に贈与税がかかります。

「みなし贈与」となりうる低額譲渡

不動産などの財産を、社会通念上妥当とされる価格より著しく低い価格で売却すると、実質的に贈与とみなされて贈与税がかかります。

「死因贈与」は不動産の相続で不利になる

「死亡を機に財産を譲る」というような内容の贈与契約は、贈与税ではなく相続税の対象となります。

「特別受益」の持ち戻し

生前贈与や遺贈によって受け取った財産を「特別受益」といい、相続時にはこれを考慮して財産を分けなければいけません。

「相続発生後」でもできる4つの節税方法

すでに相続が発生した後でもできる節税対策があります。生前対策をほとんどしなかった、という方はこれらの方法を検討してみてください。

葬儀を豪華にすると節税できる?

相続税の計算において、告別式やお通夜などの葬儀費用は遺産総額から差し引くことができるため、葬儀を豪華にすれば節税対策になるといわれています。

ただし、香典返しに使った費用や生花・お供えにかかる費用などの、葬儀と直接関係ないものは控除対象になりません

葬儀を豪華にすれば、当然相続できる財産も減ることになるので「税金を支払うよりも葬儀にお金をかけたい」という場合はおすすめの方法といえます。

「正しい土地の評価」が節税につながる

相続税における土地の評価額は、原則として「路線価」を用いて計算します。

路線価とは路線価図に定められている道路ごとの価値のことで、毎年7月1日に国税庁から公表されています。

路線価の評価額は、実際の取引価格(実勢価格)の70〜80%くらいの金額が目安となっていますが、同じ広さの土地であっても、形状や周辺環境などの条件によって実際の価値は異なります

たとえば以下のような土地については、それぞれに定められている補正率を土地の評価額に掛けて減額できます。

  • 地積規模の大きな宅地
  • 線路沿いに位置する土地
  • 無道路地
  • 傾斜地
  • 高圧線が上を通る土地
  • 不整形地
  • 忌み地
  • 庭内神祠のある土地
  • セットバックをした土地
  • 縄伸び・縄縮みしている土地

土地は価額が高いため、この補正を行うかどうかで金額が大きく異なり、納税額にも影響します。

しかし土地評価に関する計算はかなり複雑で、税理士でも計算を誤ることがあります。相続の得意な税理士に相続税申告のセカンドオピニオンを受けたら、土地が高く評価されていたのが発覚し、多額の税金が還付されたというケースは少なくありません。

そのため、特に土地が相続財産に含まれているような場合は、相続税申告の経験が豊富な税理士に業務の依頼をするのがおすすめです。

また、あらかじめ「不動産鑑定士」や「土地家屋調査士」などに依頼して、評価額を正確に算出しておくのも良いでしょう。生前にどのくらいの財産になるかが把握できていれば、前述したような相続税対策もしやすくなります。

土地を分筆し評価額を下げて節税

上述のとおり、土地の評価は利用しやすい土地のほうが高くなります。

そのため、土地を共有相続する場合に、あえて利用しづらいように分筆することによって評価額を下げることができます

土地の分筆とは

たとえば、2つの道路に面する土地があった場合は、道路に面する部分が少なくなるようにしたり、細長い土地に分筆したりすることで評価額が下がります。

適用できる税額控除制度を探す

相続税は“富の再分配”という性質のもと課せられる税金ですが、それによって遺された人の生活を脅かすことがあってはいけません。そこで、一定の条件を満たすと相続税が軽減できる税額控除制度がいくつか設けられています。

税額控除は、相続税額からそのまま差し引くことができるため、大幅に相続税を減額することができます。

相続税申告のタイミングで適用できる制度を調べることもできますが、条件は複雑なものばかりなので、生前からどのような制度がどういった条件で適用できるかをあらかじめ把握しておくのが良いでしょう。

相続税の税額控除

控除する順序は決まっていて、以下の順番どおりに控除額を計算します。

  1. 贈与税額控除
  2. 配偶者の税額軽減
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除

1〜6の順で控除額を計算した結果、税額がゼロまたはマイナスになった場合は、いずれもゼロとなります。

ただし、相続時精算課税制度の贈与税額分がある場合は、(6)のあとにその分を差し引きます。その結果、マイナスになった金額は還付を受けることができます。
※(6)までの計算で算出されたマイナス分は含まれません

税額控除の例

税額控除で相続税がゼロになる場合でも、相続税申告時に手続きをしなければ適用されませんので、忘れないようにしましょう。

相続に強い税理士の探し方

これらの対策を自分で行うこともできますが、適用要件などが複雑なため、専門家である税理士に依頼することが一般的です。

そのときに、相続専門と謳っていたり申告実績が年間50件以上あったりするような“相続税申告に強い税理士”であればより安心です。

また、相続税申告を依頼するとなると、遺産や親族の内情などデリケートな話題をすることもあります。そのような話をしても良いと思えるような、相性の良い税理士であることも重要でしょう。

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