【図解】相続税を劇的に節税するための23の対策 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075863695

  1. 税理士ドットコム
  2. 相続税
  3. 相続税のハウツー
  4. 【図解】相続税を“劇的”に節税する23の対策

【図解】相続税を“劇的”に節税する23の対策

相続税は、正しい対策をすることで大幅に節税することができます。場合によっては相続税をゼロにすることも不可能ではありません。しかしやり方を一歩間違えると、税務調査の際に指摘されて、多額の税金を納めることになってしまうこともあります。

この記事では、正しい対策を理解し、相続税を劇的に節税するための方法を解説します。

目次

  1. 相続税の計算方法
    1. 法定相続人と法定相続分
    2. こんなに差が出る!相続税対策の節税効果
  2. 「生前」にできる9つの相続税対策
    1. 「暦年贈与」を計画的に活用して賢く節税
      1. 110万円以上の贈与でも節税できるケース
    2. 「相続時精算課税制度」で節税&財産を有効活用
    3. 「贈与税の配偶者控除」で財産分割して節税
    4. 「結婚・子育て資金贈与」で最大1000万円が非課税
    5. 「教育資金贈与」で最大1500万円が非課税
    6. 「住宅取得資金贈与」で最大3000万円が非課税
    7. 「死亡保険金の非課税枠」を活用して節税
    8. お墓などの「祭祀財産」を購入して節税
    9. 「養子縁組」で非課税枠を1100万円増やす
  3. 「生前対策」で注意すべきポイント
    1. 「名義預金」とみなされないように対策をする
    2. 受贈者が「未成年者」でも課税される
    3. 「定期贈与」とならないように贈与する
    4. 「みなし贈与」となりうる低額譲渡
    5. 「死因贈与」は不動産の相続で不利になる
    6. 「特別受益」の持ち戻し
  4. 「不動産」に関する5つの相続税対策
    1. 更地は残すな!賃貸物件を建てて賢く節税
    2. 空き家は賃貸にすると評価額が下がる
    3. 多額の現金は不動産に変えて大幅に節税
    4. 不動産管理会社を設立して節税
    5. 「小規模宅地等の特例」で評価額80%減
  5. 「相続発生後」にできる3つの相続税対策
    1. 葬儀を豪華にすると節税できる?
    2. 「正しい土地の評価」が節税につながる
      1. 土地を分筆し評価額を下げて節税
    3. 適用できる税額控除制度を探す
  6. 相続税申告で利用できる6つの「税額控除」
    1. 亡くなる3年前の贈与の加算は「贈与税額控除」で減税
    2. 「配偶者の税額軽減」で数億円分の相続財産が非課税に
    3. 満20歳未満の相続人が対象の「未成年者の税額控除」
    4. 「障害者控除」の対象は85歳未満の相続人
    5. 相次いで相続が発生したときには「相次相続控除」
    6. 国外財産の二重課税を防ぐ「外国税額控除」
  7. 相続に強い税理士の探し方

相続税の計算方法

相続税は、遺贈や相続によって取得した財産の合計が「基礎控除額」を超えると発生し、納税義務は相続する人(相続人)に課せられます。

基礎控除額 = 3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

具体的な相続税の計算方法は、まず以下の手順で「正味の遺産額」を算出します。

  1. 相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)の価額と、相続時精算課税の適用を受ける財産の価額を合計する
  2. (1)から債務、葬式費用、非課税財産を差し引いて、遺産額を算出する
  3. (2)の遺産額に相続開始前3年以内の暦年課税に係る贈与財産の価額を加算
正味の遺産額

そして、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて算出された金額(課税遺産総額)を、法定相続分通りに相続したと仮定して、「相続税の総額」を求めます。

正味の遺産額 − 基礎控除額 = 課税遺産総額
課税遺産総額 × 各人の法定相続分 × 税率 − 控除額 = 算出税額
算出税額の合計 = 相続税の総額

そして実際の相続割合に沿って按分し、各人の相続税額が決定します。ここからそれぞれの税額控除額を差し引いた残りが各人の納税額となります。

各人の相続税額 = 相続税の総額 × 相続割合(実際の相続分 ÷ 遺産総額)

法定相続人と法定相続分

民法によって定められている相続人の範囲を「法定相続人」といい、配偶者・子ども・父母・兄弟姉妹などの続柄によって相続できる順位が決まっています

法定相続人の数は、相続税の計算において必須となるため、誰が法定相続人となるかを把握しておく必要があります。

相続人の範囲
【法定相続人】
順位続柄
配偶者は常に相続人
第1順位直系卑属(子どもや孫)
第2順位直系尊属(両親や祖父母)
第3順位傍系血族(兄弟姉妹や甥・姪)

前順位の相続人が不在の場合は、次の相続人に権利が移ります。これを「代襲相続」といい、たとえば被相続人の子どもがすでに亡くなっている場合は、孫が相続権を得ます。

そして、原則としてそれぞれの「法定相続分」という持ち分に沿って相続財産を分けることになります。

相続人法定相続分
配偶者と直系卑属配偶者 1/2直系卑属 1/2
配偶者と直系尊属配偶者 2/3直系尊属 1/3
配偶者と傍系血族配偶者 3/4傍系血族 1/4

同一順位の相続人が複数いる場合は、法定相続分を按分します。配偶者と子ども2名の場合は、配偶者が1/2、子どもが1/4ずつということです。

こんなに差が出る!相続税対策の節税効果

相続税の節税対策の効果を理解するために、節税対策の有無によって納税額にどれくらいの差があるのかを比較してみます。

相続税の課税対象となる遺産総額が1億円で、相続人は配偶者と子ども2人というケースを例にシミュレーションしてみます。

なにも対策をしない場合

節税対策をしない場合にかかる相続税

この例では相続税の総額が630万円なので、法定相続分通りに相続した場合、各人の納税額は配偶者が315万円、子が157万5000円ずつとなります。

節税対策をした場合

節税対策をした場合にかかる相続税

被相続人が3人に対して、2000万円ずつ生前贈与を行っていたとします。

この例の場合は、相続時点での遺産総額が基礎控除額4800万円を下回るため、相続税は発生しません。相続税対策を何もしない場合と比べると、相続税額に630万円の差が生じることになります。

「生前」にできる9つの相続税対策

相続税の節税対策において重要なポイントのひとつは、生前に「贈与」をして相続時の遺産総額を少なくしておくということです。

贈与とは、ある人が別の人に無償で自分の財産を譲ることをいいます。

民法549条によると、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とされています。つまり、お互いの「あげます」「もらいます」という合意があって贈与契約が成立するのです。

さまざまな非課税制度をうまく活用して相続時の遺産を減らしておけば、相続税をゼロにすることも可能になります。

【1】「暦年贈与」を計画的に活用して賢く節税

暦年課税制度

税法では、1年間(毎年1月1日から12月31日まで)に贈与された金額が110万円(基礎控除額)を超えると、贈与税が発生します。

この仕組みを「暦年課税制度(暦年贈与)」といい、後述する「相続時精算課税制度」との選択制になります。申告しない限りは暦年贈与が適用されるので、いわゆる贈与といえば暦年贈与を指します。

暦年贈与を活用した相続税の節税方法は、毎年、非課税となる110万円以下で贈与し、相続発生までに少しずつ遺産を減らすという方法です。

この110万円というのは、贈与した人(贈与者)ごとではなく、贈与された人(受贈者)ごとの金額のため、1年間のうちに複数人から贈与を受けたときは注意しましょう。

たとえば、20歳の子どもが父親から200万円、母親から100万円の贈与を受けた場合は、「(200万円 + 100万円 − 基礎控除110万円) × 税率10% − 0円 = 19万円」が贈与税額となります。

税率は、受贈者と贈与者の関係性によって「特例税率」または「一般税率」が適用され、贈与の金額に応じて税率が変わります。

贈与税の税率一覧表

ただし相続発生から3年以内に行った贈与は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になるので、できるだけ早くから計画的に贈与を行うようにしましょう。

また、毎年決まった金額を長年に渡って贈与したり、相続人名義の口座を作って預金をしたりすると、「定期贈与」「名義預金」を税務調査で指摘されて追徴課税の対象となる可能性がありますので注意してください。

贈与の注意点の詳細は、このあとの「生前対策」で注意すべきポイントで紹介します。

110万円以上の贈与でも節税できるケース

基本的には贈与税がかからない基礎控除110万円以下で贈与を行い、節税する方法がおすすめですが、なかには例外もあります。

それは、財産が数億円以上あるようなケースです。

「財産総額が10億円で法定相続人は子ども2人」という例で、10年間に渡って基礎控除110万円以下で贈与を行った場合と、基礎控除額以上の500万円で贈与を行った場合とをシミュレーションしてみます。

 何もしない110万円 × 10年 をそれぞれに贈与500万円 × 10年 をそれぞれに贈与
贈与税0円0円970万円
相続税3億9500万円3億8400万円3億4500万円
合計3億9500万円3億8400万円3億5470万円

このケースでは、「基礎控除額以上」の贈与をしたときの合計がいちばん少なくなっています。

次に、「財産総額が1億円で法定相続人は子ども2人」というケースで同様にシミュレーションしてみます。

 何もしない110万円 × 10年 をそれぞれに贈与500万円 × 10年 をそれぞれに贈与
贈与税0円0円970万円
相続税770万円440万円0円
合計770万円440万円970万円

このケースでは、「基礎控除額以下」の贈与をしたときの合計がいちばん少なくなっています。

贈与の際は、相続税率よりも贈与税率が低い範囲内の金額で行うというのが節税のポイントですが、実際の税額の計算は難しいので、税理士に相談することをおすすめします。

【2】「相続時精算課税制度」で節税&財産を有効活用

相続時精算課税制度

暦年贈与のように細かく贈与することが難しい場合、たとえば不動産の贈与などに利用できるのが「相続時精算課税制度」です。

この制度では、贈与者ひとりにつき2500万円までの控除が受けられます。2500万円を超えた部分には、税率20%を乗じた贈与税がかかります。適用するためには、原則として「60歳以上の贈与者から20歳以上の直系卑属に対する贈与である」ことと「贈与税申告を行うこと」が条件となっています。

また、暦年贈与との選択制なので、贈与者ごとにどちらにするかを選ぶことが可能です。ただし、相続時精算課税制度を選択すると、それ以降は暦年贈与に戻すことができないので注意してください。

相続発生時には、相続時精算課税制度によって贈与された財産を課税財産に含めて計算し、この制度利用時に納税した贈与税があればその金額は控除して精算します。「税金の後払い」とイメージするとわかりやすいかもしれません。

そのため、相続税の節税という意味ではあまり効果がないように思われますが、上手く活用すればメリットを享受することも可能です。

たとえば値上がりしそうな株式や不動産などを購入し贈与して、受贈者が配当や家賃収入などの利益を得ることができれば、それを相続時の納税資金に充てることもできます。

【3】「贈与税の配偶者控除」で財産分割して節税

贈与税の配偶者控除とは

所得税だけでなく、贈与税にも「配偶者控除」の制度があるのをご存じでしょうか。

夫婦間の贈与時に適用されることから“おしどり贈与”とも呼ばれ、以下の条件を満たすと、基礎控除額110万円とは別に最大2000万円の控除が受けられます。

  • 結婚(法律婚)してから20年以上経過している
  • 贈与された財産が、居住用不動産またはその取得資金である
  • 贈与された年の翌年3月15日までに居住用不動産に住んでいて、その後も住み続ける見込みがある

贈与税の配偶者控除を適用すれば、通常であれば数百万円以上かかる自宅の贈与でも、大幅に節税することができます。

しかし、相続税における「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の評価減」の制度と比較すると、あまり相続税対策にはならないともいわれています。

贈与税の配偶者控除は、“生前に財産を分割したい”というときには有効になる制度ですので、長年連れ添ったパートナーに対して「感謝の気持ちを表す方法」として贈与をするのであれば、ぜひこの制度を使うと良いでしょう。

適用するには、贈与税申告の際に「贈与日から10日経過した後に作成された戸籍謄本」や「戸籍の附票」などを添付する必要があります。

制度を適用したことによって贈与税額が0円になる場合でも、贈与税申告の手続きを行わなければいけませんので覚えておきましょう。また、同じ配偶者からの贈与では一度しか適用できないので注意してください。

【4】「結婚・子育て資金贈与」で最大1000万円が非課税

結婚・子育て資金贈与の非課税措置とは

親が子どもの結婚や子育て費用を援助する、という話はよくあることかと思います。

その際に、まとめた金額を贈与したいという場合は「結婚・子育て資金贈与の非課税措置」を利用するのがおすすめです。

以下の条件を満たすと、基礎控除額110万円とは別に最大1000万円の控除が受けられます。

  • 受贈者が20歳以上50歳未満で、贈与者が直系尊属である
  • 2015年4月1日から2021年3月31日までに行われる贈与である
  • 信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1000万円以下(2019年4月1日以降の贈与)

結婚・子育て資金には、挙式費用・婚礼費用・不妊治療費用・分娩費用などが当てはまります。このうち結婚費用については300万円までとなっています。

この制度を適用するためには、金融機関で専用口座を開設し、そこに振込みをする必要があります。そして、金融機関を経由して申告そのほか必要手続きを行います。

なお、受贈者が50歳を超えた時点での残高には贈与税が課税されるのと、使い切る前に贈与者が亡くなると相続財産に含まれてしまうなどの注意点があるので、利用前によく検討しましょう。

【5】「教育資金贈与」で最大1500万円が非課税

教育資金一括贈与の特例とは

学校の入学金や学費などを贈与するときには「教育資金一括贈与の特例」が利用できます。

基礎控除額110万円とは別に最大1500万円の控除が受けられ、その適用要件は以下のとおりです。

  • 受贈者が30歳未満で、贈与者が直系尊属である
  • 2015年4月1日から2021年3月31日までに行われる贈与である
  • 信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1000万円以下(2019年4月1日以降の贈与)

教育資金には、入学金・授業料・習い事の月謝・通学定期代などが当てはまります。このうち学校以外のサービスに支払う費用については500万円までとなっています。

この制度を適用するためには、金融機関で専用口座を開設し、そこに振込みをする必要があります。そして、金融機関を経由して申告そのほか必要手続きを行います。

なお、受贈者が30歳を超えた時点での残高には贈与税が課税されてしまう点に注意しましょう。

【6】「住宅取得資金贈与」で最大3000万円が非課税

住宅取得等資金贈与の特例

父母や祖父母などの直系尊属から、居住用家屋の新築や増改築のための資金が贈与されると、最大3000万円の控除が受けられます。

適用要件は以下のとおりです。

  • 2015年1月1日から2021年12月31日までに行われる贈与である
  • 贈与者が直系尊属である
  • 受贈者が贈与された年の1月1日時点で20歳以上である
  • 贈与された年の受贈者の合計所得金額が2000万円以下である
  • 贈与時に日本国内に住所がある
  • 2009年から2014年までの贈与税申告で、「住宅取得資金の非課税」を適用していない
  • 贈与された年の翌年3月15日までに、家屋を新築・増改築し、居住する見込みがある

また、購入する住宅の床面積が「50m2以上240m2以下」でかつ「家屋の床面積の2分の1以上が居住用」でなければなりません。

適用するには、贈与税申告の際に「戸籍の謄本や新築・増改築の契約書」などを添付する必要があり、贈与期間や住宅の種類によって控除の限度額が異なりますので、申告前によく確認しましょう。

【7】「死亡保険金の非課税枠」を活用して節税

生命保険の効果は、家族に財産を残すためだけでなく、節税対策にもつながります。

まず、死亡を原因として受け取る保険金(死亡保険金)は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。ただし、相続税が課税されない非課税枠というものが設けられていて、「500万円 × 法定相続人数」までは税金がかからないような仕組みになっています。

つまり同じ金額でも、生命保険で受け取ったほうが非課税枠の分だけ相続税が減らせるということです。

また、死亡保険金を相続税の納税資金に充てることもできるため、不動産など、現金以外の相続財産が多い場合にも有効です。ただし、生命保険料の負担者が被相続人でなければ、相続税ではなく所得税や住民税がかかるので注意しましょう。

5000万円を生命保険で受け取ったときの節税シミュレーション

非課税枠があるため、現金よりも生命保険の方が節税になる

5000万円を現金で受け取った場合と、死亡保険金として受け取った場合の節税効果を見てみましょう。相続人は配偶者と子の計2名で、他に財産はないものとして計算します。このときの基礎控除額は、「3000万円 + 600万円 × 2人 = 4200万円」となります。

■現金の場合
{5000万円 − 4200万円(基礎控除額)} × 10% = 80万円

■死亡保険金の場合
5000万円 − {500万円 × 2人(非課税枠)} = 4000万円
4200万円(基礎控除額)以下なので相続税はゼロ。

【8】お墓などの「祭祀財産」を購入して節税

お墓や仏具などの祭祀財産は、相続税がかからない「非課税財産」に該当します。

そのため、遺産総額が相続税の基礎控除額を上回ることが予想される場合は、生前にお墓を建てたり仏壇や仏具などを購入したりして相続財産を減らすことで、相続税を節税することができます。

このとき重要なのは、生前にその支払いを済ませておくということです。通常であればローンなどの債務は遺産総額から控除できますが、祭祀財産のローンは控除対象外となるからです。

また、骨とう的価値があるなど高価なものは、課税対象となることがあるため注意が必要です。

祭祀財産を生前に購入したときの節税シミュレーション

祭祀財産は非課税なので生前に購入しておくと節税になる

祭祀財産を相続発生後に購入したときと生前に購入した場合に分けて節税効果を見てみましょう。購入する祭祀財産は300万円、遺産総額は5000万円、相続人は配偶者と子の計2名で、他に財産はないものとして計算します。

■相続発生後に購入した場合
{5000万円 − 4200万円(基礎控除額)} × 10% = 80万円

■生前に購入した場合
{4700万円 − 4200万円(基礎控除額)} × 10% = 50万円

生前に購入することで30万円の節税効果があることがわかります。

【9】「養子縁組」で非課税枠を1100万円増やす

養子縁組による非課税枠と相続税基礎控除

養子縁組によって養子がひとり増えると法定相続人もひとり増えるため、基礎控除額が600万円、生命保険の非課税枠が500万円増えて、その分節税につながります。また、一人あたりの相続財産額が減ることにより相続税率が低くなることもあります。

ただし、相続税の計算上では法定相続人として計算できる養子の数に制限があり、被相続人に実子がいれば養子は1人まで、実子がいなければ養子は2人までとなっています。

また、節税目的のみで養子縁組をする場合は、遺産分割時にトラブルが起きやすいなどのデメリットもありますので、よく検討しましょう。

「生前対策」で注意すべきポイント

生前に節税対策をしても、方法を誤ってしまうと税金の負担が増えて、せっかくの対策が無意味になってしまうかもしれません。

そうならないためにも、以下のポイントを抑えて正しい対策を行いましょう。

「名義預金」とみなされないように対策をする

名義預金とは

「親が内緒で子ども名義の預金口座を作っていた」という話を聞いたことはないでしょうか。このように、管理・所有者と口座の名義人が違う預金のことを「名義預金」といいます。

よくあるケースではありますが、相続においては問題になるということを覚えておかなければなりません。

なぜなら、名義預金は被相続人の財産として課税対象になり、かつ、遺産分割の対象となるからです。

申告をせずに税務調査で名義預金があることを指摘されると、追徴課税となり高額な税金を負担することになってしまいます。

名義預金とみなされないためには、贈与が済んでいることを証明する必要があります。

贈与は、あげる・もらうといった双方の意思があれば成立しますが、それを第三者(税務署)に示すためには、以下のような対策が必要になります。

  • 銀行振込で贈与する
  • 預金の管理は受贈者が行う
  • 暦年贈与で贈与し直す
  • 贈与税申告・納税を行う
  • 「贈与契約書」を作る

銀行振込で贈与すると通帳に履歴が残るため、贈与の証拠を示すにはいちばん簡単な方法となります。しかし、ただ財産を移動しただけと見られてしまう可能性もありますので、贈与契約書を作成して、より確かな証拠として残しておくと良いでしょう。

贈与契約書の作り方

贈与契約書には「誰が(贈与者)」「誰に(受贈者)」「いつ(贈与時期)」「何を(贈与財産の内容)」「どうやって(贈与方法)」を記載します。

ひな形を利用すれば、金額や月日を変えるだけなので手間がかかりません。

受贈者が「未成年者」でも課税される

未成年者への贈与とは

未成年者への贈与は、親権者の同意があれば成立します。

つまり、「0歳の赤ちゃんのように自ら意思を表示することができない場合」や「子どもが贈与の事実を知らない場合」でも、親権者の同意さえあれば贈与が認められるということです。

ただし、未成年だからといって贈与税が非課税になるわけではなく、暦年贈与であれば原則どおり1年間で110万円を超える部分に課税され、贈与税申告は本人ではなく親権者が行います。

「定期贈与」とならないように贈与する

定期贈与と連年贈与の違い

「定期贈与」とは、たとえば1000万円を贈与する約束をして、それを10年間に分けて行う契約のことなどをいいます。

この場合は、1年ごとに贈与を受けたと考えるのではなく、贈与の約束をした年に1000万円の贈与を受けたものとして贈与税がかかることになります。

一方で、100万円の贈与を毎年繰り返し行うような贈与のことを「連年贈与」といいます。連年贈与の場合は、毎年の贈与額が基礎控除以下であれば非課税で贈与できます。

同じ1000万円の贈与でも、定期贈与なのか連年贈与なのかで大きく税額が変わるので、贈与契約の際は注意が必要です。

定期贈与として課税されないようにするには、はじめから〇〇円を贈与すると決めるのではなく、毎年新たに贈与の契約を結ぶようにしましょう。

その際には、贈与する金額や日付を変えて、さらに贈与契約書も作成しておけば、定期贈与と疑われる可能性は低くなります。

「みなし贈与」となりうる低額譲渡

みなし贈与とは

贈与税が課税されるのは、現金や物を無償であげたときだけではありません。

たとえば、子どもや身内に安く土地を売ってあげたというケースでも贈与税の課税対象となります。

一見すると、無償ではなく対価を受け取っているので贈与の対象ではないように思えます。しかし、「みなし贈与」という規定により、土地の相場価格と売った価格の差額分に贈与税が課税されてしまうのです。

具体的な例を挙げると「相場価格が1億円の土地を子どもに3000万円で売った」という場合は、差額の「1億円 − 3000万円 = 7000万円」が贈与したとみなされて、贈与税がかかります。

みなし贈与として課税されないためには「時価の80%以上の価格で売却する」か「使用賃借(無償で借りて返す)契約にする」などの対策が必要です。

「死因贈与」は不動産の相続で不利になる

死因贈与と遺贈の違い

生きているうちに「自分が亡くなったら財産をあげる」という契約を結んでおくことを「死因贈与」といいます。

贈与契約のうちのひとつなので、両者の意思を持って成立します。ただし、死亡を機に財産が移転するので相続税の対象となります。

遺言書で財産を受け取る人を指定する「遺贈」とも似ていますが、こちらは故人の意思のみで決定できるため、死因贈与とは性質が異なります。

なお、死因贈与は不動産取得にかかる税金が高くなるため、自宅を特定の家族に相続させたいというときなどは注意が必要です。

「特別受益」の持ち戻し

特別受益の持ち戻しとは

生前贈与や遺贈によって受け取った財産を「特別受益」といいます。

特別受益を受けた相続人がいる場合、その分を考慮して財産を分けることになります。これを「特別受益の持ち戻し」といい、他の相続人と公平に財産を分けるために設けられている制度です。

具体的には、以下のようなものが特別受益に該当します。

  • 婚姻のためになされた贈与
  • 養子縁組のためになされた贈与
  • 生計の資本のためになされた贈与
  • 「遺贈」や「死因贈与」によって受け継ぐ財産

ただし、少額である場合や扶養義務内の贈与である場合は対象となりません。実際にどの贈与を特別受益として持ち戻すかは相続人同士の話し合いで決めることになります。

しかし、話し合いで解決せずに争いになるケースもよくあります。争いを防ぐためには、「平等に生前贈与する」または贈与者があらかじめ「特別受益の免除」をする旨を示しておくと良いでしょう。

長年連れ添った配偶者が受贈した自宅は対象外

2018年の法改正により、「婚姻期間20年以上の配偶者が受贈した自宅」は特別受益の持ち戻しの対象外とすることになりました。

「不動産」に関する5つの相続税対策

国税庁のデータによると、土地や建物などの不動産は相続財産の約5割を占めています。

そのため、相続税対策では不動産への対策が欠かせません。不動産に関する各制度は複雑で理解が難しい部分もありますが、相続税対策として理解すべきポイントや考え方はシンプルです。

特に多額の財産がある方は、不動産の活用によって大きな節税効果を得ることができますので参考にしてください。

【10】更地は残すな!賃貸物件を建てて賢く節税

手付かずになっている土地(更地)がある場合は、賃貸物件を建てると節税できる可能性があります。

更地は土地評価額がそのまま相続税の課税対象額となるため、相続税が高くなりがちです。そこでアパートなどの貸家を建てることで「貸家建付地」となり土地の評価額が下がるため、相続税を節税することができるのです。

貸家建付地の評価額は以下のように計算します。

貸家建付地の評価額 = 自用地(更地)としての価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

「借地権割合」および「借家権割合」とは、土地の中にどれくらいの借地権・借家権の価値があるかを表したものです。借地権割合は、国税庁の路線価図・評価倍率表ページにより確認することができます。借家権割合は、国税庁が公示する財産評価基本通達によって一律30%と決められています。

そして「賃貸割合」は、家屋をどれくらい賃貸しているかの割合を表したものです。

更地に賃貸物件を建てた場合の節税シミュレーション

更地と賃家を建てた場合の相続税額の違い

では、「更地のまま相続した場合」と「賃貸アパートを建てた土地を相続した場合」に、相続税額がどれくらい違うのかをみていきましょう。

例として、相続人が1人で、5000万円の更地を相続する予定とします。条件は、借地権割合70%、賃貸割合100%とし、このときの基礎控除額は「3000万円 + 600万円 = 3600万円」となります(借家権割合は一律30%)。

■更地のまま相続した場合
評価額がそのまま課税対象となるため、課税対象額は5000万円となります。
そこから基礎控除額を引くと1400万円になり、相続税額は「1400万円 × 相続税率15% − 控除額50万円 = 160万円」になります。

■賃貸アパートを建てた土地を相続した場合
対して、賃貸アパートを建てた土地の評価額は「5000万円 × (1 − 70% × 30% × 1) = 3950万円」となります。
そこから基礎控除額を引くと350万円となり、相続税額は「350万円 × 10% = 35万円」になります。

【11】空き家は賃貸にすると評価額が下がる

貸家にすることで評価額が下がるのは土地だけではありません。建物自体の評価額も下がることになり、その場合の貸家の評価額は以下のように計算します。

貸家の評価額 = 建物の評価額 × (1 − 借家権割合 × 賃貸割合)

そこで賃貸する割合が多ければ多いほど評価額が下がり、相続税を節税することができるのです(借家権割合は一律30%)。

空き家を賃貸物件にした場合の節税シミュレーション

空き家と賃貸した場合の相続税額の違い

では、「空き家のまま相続する場合」と、「空き家を賃貸にした場合」に、相続税額がどれぐらい違うのかをみていきましょう。

例として、相続人が1人で、4000万円の空き家を相続する予定とします。賃貸割合は100%と仮定し、このときの基礎控除額は「3000万円 + 600万円 = 3600万円」となります(借家権割合は一律30%)。

■空き家のまま相続した場合
課税対象額は、基礎控除額を引いた400万円になるため、相続税額は「400万円 × 相続税率10% = 40万円」となります。

■空き家を賃貸にして相続した場合
対して、建物を建てて賃貸すると、建物の評価額は「4000万円 × (1 − 借家権割合30% × 賃貸割合100%) = 2800万円」となります。課税対象額は基礎控除額以下になるため、相続税額は0円となります。

【12】多額の現金は不動産に変えて大幅に節税

多額の現金がある場合は、それを生前に不動産に変えておくことで大幅に節税することができます。

なぜなら、現金のままであればその全額にそのまま課税されますが、不動産の場合は先述したように評価額を下げる措置が設けられているからです。

現金を不動産に変えた場合のシミュレーション

現金と不動産と不動産賃貸をした場合の相続税額の違い

では、「現金のまま相続した場合」と「現金を不動産に変えて相続した場合」に、相続税額がどれくらい違うのかをみていきましょう。

例として、相続人が1人で、1億円の現金をそのまま相続した場合と、土地6000万円と建物4000万円を相続した場合を比較してみます。この場合の基礎控除額は、「3000万円 + 600万円 = 3600万円」となります。

■現金のまま相続した場合
課税対象額は、基礎控除額を引いた7400万円になるため、相続税額は「7400万円 × 相続税率30% − 控除額700万円 = 1220万円」となります。

■現金を不動産に変えて相続した場合
対して、生前に土地6000万円・建物4000万円を購入し、相続税評価額はそれぞれ土地4800万円・建物2400万円だとすると、課税対象は「4800万円 + 2400万円 = 7200万円」となります。課税対象額は、基礎控除額を引いた3600万円になるため、相続税額は「3600万円 × 相続税率20% − 控除額200万円 = 520万円」となります。

このとき、建物を賃貸するとさらに評価額が下がり、土地の評価額は「4800万円 × (1 − 70% × 30% × 100%) = 3792万円」、建物の評価額は「2400万円 × (1 − 30% × 100%) = 1680万円」となります。評価額の合計は5472万円で、課税対象額は基礎控除額を引いた1872万円になるため、相続税額は「1872万円 × 15% − 控除額50万円 = 230.8万円」となります。

また、賃貸ではなく相続人が居住するための不動産とすれば、小規模宅地の特例を利用して評価額を80%軽減できます。

【13】不動産管理会社を設立して節税

複数の不動産を所有している場合は、不動産管理会社を設立すると相続で有利になる可能性があります。なぜなら、法人が所有する資産については、被相続人の相続財産には含まれないからです。

後継者となる相続人は、不動産管理会社の株式を相続することなり、その評価額によって相続税が課税されます。つまり、不動産管理会社を設立し個人の資産を法人に引き継げば、不動産をそのまま相続するよりも節税できる可能性があるということです。

ただし、節税目的のみで法人化するのはあまりおすすめできませんので、法人化を検討する際はそのほかのメリット・デメリットを踏まえて税理士に相談することをおすすめします。

【14】「小規模宅地等の特例」で評価額80%減

小規模宅地の特例とは

被相続人が住んでいた土地が相続財産に含まれているケースでは、「小規模宅地等の特例」を適用するのがおすすめです。

この特例を適用すれば、相続税評価額を50%または80%減額することができます。

対象となるのは、宅地等(住宅用の土地など)に限定されていて、利用区分や面積に応じて減額割合が異なります。一般的な家庭の自宅の大半は80%減額の対象となります。

相続財産が自宅と現金数百万円のみというケースであれば、ほとんどが相続税の基礎控除以下におさまるため、相続税ゼロで相続することも可能になります。ただし、小規模宅地等の特例で減額できるのは土地のみなので、建物の評価額が高額な場合はこの限りではありません。

小規模宅地等の特例の節税シミュレーション

【評価額5000万円の土地と2000万円の家屋、現金1000万円を相続した場合】

小規模宅地等の特例を適用すると、土地の評価額が1000万円となり、課税財産は合わせて4000万円になります。

配偶者と子どもで相続したと仮定すると、基礎控除額は「3000万円 + 600万円 × 2人 = 4200万円」なので、基礎控除額以下におさまります。

「相続発生後」にできる3つの相続税対策

すでに相続が発生した後でもできる相続税対策があります。生前対策をほとんどしなかった、という方はこれらの方法を検討してみてください。

【15】葬儀を豪華にすると節税できる?

相続税の計算において、告別式やお通夜などの葬儀費用は遺産総額から差し引くことができるため、葬儀を豪華にすれば節税対策になるといわれています。

ただし、香典返しに使った費用や生花・お供えにかかる費用などの、葬儀と直接関係ないものは控除対象になりません

葬儀を豪華にすれば、当然相続できる財産も減ることになるので「税金を支払うよりも葬儀にお金をかけたい」という場合はおすすめの方法といえます。

【16】「正しい土地の評価」が節税につながる

相続税における土地の評価額は、原則として「路線価」を用いて計算します。

路線価とは路線価図に定められている道路ごとの価値のことで、毎年7月1日に国税庁から公表されています。

路線価の評価額は、実際の取引価格(実勢価格)の70%〜80%くらいの金額が目安となっていますが、同じ広さの土地であっても、形状や周辺環境などの条件によって実際の価値は異なります。

たとえば以下のような土地については、それぞれに定められている補正率を土地の評価額に掛けて減額できます。

  • 地積規模の大きな宅地
  • 線路沿いに位置する土地
  • 無道路地
  • 傾斜地
  • 高圧線が上を通る土地
  • 不整形地
  • 忌み地
  • 庭内神祠のある土地
  • セットバックをした土地
  • 縄伸び・縄縮みしている土地

土地は価額が高いため、この補正を行うかどうかで金額が大きく異なり、納税額にも影響します。

しかし土地評価に関する計算はかなり複雑で、税理士でも計算を誤ることがあります。相続の得意な税理士に相続税申告のセカンドオピニオンを受けたら、土地が高く評価されていたのが発覚し、多額の税金が還付されたというケースは少なくありません。

そのため、特に土地が相続財産に含まれているような場合は、相続税申告の経験が豊富な税理士に業務の依頼をするのがおすすめです。

また、あらかじめ「不動産鑑定士」や「土地家屋調査士」などに依頼して、評価額を正確に算出しておくのも良いでしょう。生前にどのくらいの財産になるかが把握できていれば、前述したような相続税対策もしやすくなります。

土地を分筆し評価額を下げて節税

土地の分筆とは

上述のとおり、土地の評価は利用しやすい土地のほうが高くなります。

そのため、土地を共有相続する場合に、あえて利用しづらいように分筆することによって評価額を下げることができます。

たとえば、2つの道路に面する土地があった場合は、道路に面する部分が少なくなったり、細長い土地にしたりすると、評価額が下がります。

【17】適用できる税額控除制度を探す

相続税は“富の再分配”という性質のもと課せられる税金ですが、それによって遺された人の生活を脅かすことがあってはいけません。そこで、一定の条件を満たすと相続税が軽減できる税額控除制度がいくつか設けられています。

相続税申告のタイミングで適用できる制度を調べることもできますが、条件は複雑なものばかりなので、生前からどのような制度がどういった条件で適用できるかをあらかじめ把握しておくのが良いでしょう。

相続税申告で利用できる6つの税額控除

税額控除は、相続税額からそのまま差し引くことができるため、大幅に相続税を減額することができます。

控除する順序は決まっていて、以下の順番どおりに控除額を計算します。

  1. 贈与税額控除
  2. 配偶者の税額軽減
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除

1〜6の順で控除額を計算した結果、税額がゼロまたはマイナスになった場合は、いずれもゼロとなります。

ただし、相続時精算課税制度の贈与税額分がある場合は、(6)のあとにその分を差し引きます。その結果、マイナスになった金額は還付を受けることができます。
※(6)までの計算で算出されたマイナス分は含まれません

税額控除の例

税額控除で相続税がゼロになる場合でも、相続税申告時に手続きをしなければ適用されませんので、忘れないようにしましょう。

【18】亡くなる3年前の贈与の加算は「贈与税額控除」で減税

贈与税額控除とは。その計算式

相続開始の過去3年以内の贈与は、みなし相続財産として相続財産の課税対象に含まれます。ただし二重課税を防ぐために、相続開始の過去3年以内に納めた贈与税額は控除できる仕組みになっています。

贈与税額控除額 = A × (C ÷ B)

A:贈与を受けた年分の贈与税額(相続時精算課税における贈与税額を除く)
B:贈与を受けた年分の贈与税の課税対象になった財産額
C:相続税の課税価格に加えた贈与財産の価額

贈与を受けた財産の金額は、贈与を受けた時点での評価額となります。

贈与税額控除の計算シミュレーション

2015年に父親から1000万円の贈与を受けて、210万円の贈与税額を納付済みだとします。2017年に父親が亡くなり、みなし相続財産(900万円)を含めた財産の相続税額が500万円だった場合の税額控除額は以下のとおりです。

  • 「210万円 × (900万円 ÷ 1000万円) = 189万円(贈与税額控除額)」
  • 「500万円 − 189万円 = 311万円(相続税の納税額)」

※このときの計算には、延滞税・加算税・利子税は含まれません

【19】「配偶者の税額軽減」で数億円分の相続財産が非課税に

配偶者の税額軽減とは

被相続人の配偶者は、贈与税と同じように、相続税についても「配偶者の税額軽減」が適用できます。

この特例を適用すれば、取得した正味の遺産額が「1億6000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い方の金額まで相続税が課税されません

対象となるのは民法上の配偶者のみで、内縁関係は含まれません。そして「相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること」が条件となっています。

二次相続で不利になる可能性がある

二次相続とは、被相続人の相続人が亡くなったときの相続のことをいいます。たとえば、父親が亡くなってそのあとに母親が亡くなったときが二次相続となります。

二次相続では、相続人がひとり減ることや、税額軽減が設けれられていないことにより、相続税は高くなるケースが多くなります。

そのため、税額軽減があるからといって一次相続で母親がほとんどの財産を相続してしまうと、二次相続での子の相続税の負担額が大きくなってしまいます。負担額を減らしたいという場合は、一次相続で配偶者がどの1くらい相続するかのバランスが重要となります。

【20】満20歳未満の相続人が対象の「未成年者の税額控除」

未成年者の税額控除とは。その計算式

未成年の多くは収入が少なく、学費などがかかるため税制上優遇されています。

相続税における未成年者の税額控除の条件は「相続人の年齢が満20歳未満であること」と「法定相続人であること」で、控除額は年齢に応じて以下のように変わります。

未成年控除額 = 10万円 × (20歳 − 年齢)

たとえば16歳であれば、40万円を税額控除することができます。

【21】「障害者控除」の対象は85歳未満の相続人

障害者控除とは

障害者控除は、税法上の「一般障害者」と「特別障害者」のどちらに当てはまるかで、控除額が以下のように変わります。

  • 一般障害者:満85歳になるまでの年数1年につき10万円
  • 特別障害者:満85歳になるまでの年数1年につき20万円

たとえば、50歳の一般障害者であれば「(85歳 − 50歳) × 10万円 = 350万円」が控除額となります。

対象となるのは85歳未満の障害者で、法定相続人であることが条件となっています。

また、相続税額よりも控除額が上回った分は、他の相続人(扶養義務者)に適用することができます。

【22】相次いで相続が発生したときには「相次相続控除」

相次いで相続が発生し相続税が課税されていた場合、同じ財産に立て続けに課税されることになってしまいます。

そういった状態を回避するために「相次相続控除」という制度が設けられていて、対象となるのは、10年以内に連続して起きた相続(相次相続)です。たとえば、祖父が亡くなった1年後に父が亡くなってしまったという状態が該当します。

控除額は以下のように計算します。

相次相続控除 = A × {C ÷ (B − A)} × (D ÷ C) × {(10 − E) ÷ 10 }

A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額
(取得財産の価額 + 相続時精算課税適用財産の価額 − 債務及び葬式費用の金額)
C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額
D:今回のその相続人の純資産価額
E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

※{C ÷ (B − A)}が1より大きい場合は1とする
※「純資産価額」とは、相続した財産から債務・葬式費用を控除した額のこと

相次相続控除の計算シミュレーション

相次相続控除の説明と計算式

計算が少し複雑なため、具体例に基づいて見ていきましょう。

  • 父親が亡くなったため、その財産を相続した。
  • 6年5か月前(E)には祖父が亡くなっており、父親は2000万円の相続税(A)を納めている。
  • 父親が祖父から相続した純資産価額(相続財産から債務等を引いた後の額)は2億円(B)。
  • 今回、父親から相続する全体の純資産価額は2億5000万円(C)で、そのうち自分が相続する純資産価額は1億円(D)で、相続税額は1000万円。

これを計算式に当てはめて計算すると「2000万円 × 1 × 0.4 × 0.4 = 320万円」が控除額となります。

【23】国外財産の二重課税を防ぐ「外国税額控除」

外国税額控除の説明と計算式

国外にある財産についても、相続人が日本の居住者(無制限納税義務者)であれば、日本の相続税の課税対象となります。

そこで、国外の相続税との二重課税の負担を調整するために「外国税額控除」という制度が設けられています。控除額は、以下のいずれかの少ない方の額です。

  • 「国外で納税済みの相続税に相当する額」
  • 「A × (C ÷ B)」

A:相続税額からその他の税額控除(贈与税額控除・配偶者の相続税額の軽減・未成年者控除・障害者控除・相次相続控除を控除)を差し引いたあとの金額
B:遺産額(取得した財産のうち債務控除後の金額)
C:国外財産額(取得した国外財産のうち債務控除後の金額)

相続に強い税理士の探し方

これらの対策を自分で行うこともできますが、適用要件などが複雑なため、専門家である税理士に依頼することが一般的です。そのときに、相続専門と謳っていたり申告実績が年間50件以上あったりするような“相続に強い税理士”であればより安心です。

また、相続税申告を依頼するとなると、遺産や親族の内情などデリケートな話題をすることもあります。そのような話をしても良いと思えるような、相性の良い税理士であることも重要でしょう。

おわりに

記事内の相続税の計算は、遺産総額や法定相続人数で変わるため実際の納税額とは異なります。計算方法の参考としてご覧いただき、個別の相続税の算出は税理士に依頼しましょう。

相続税に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

相続税に関する税務相談Q&Aをみる

顧客満足度の高い税理士を無料でご紹介します。

このようなニーズがある方は、お気軽にご相談ください。

  • 税理士を変更したい
  • 初めての税理士を探したい
  • 相続税の申告をしたい
  • 会社設立・開業をしたい
  • 個人事業主の節税・申告をしたい
税理士選び〜契約までをサポート
  • 最短当日
  • 24時間受付
  • 年中無休
  • 全国対応