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【図解】「法定相続人」の範囲・順位と「法定相続分」をわかりやすく解説

人が亡くなると、その人が持っていた財産については、民法に規定されている「法定相続人」が「法定相続分」に則って相続します。相続には代襲相続という制度があるため、自分は相続とは無関係と思っても、ある日突然多額の遺産を相続することになるかもしれません。

そこでこの記事では、法定相続についてと、あまり聞き慣れない「遺留分」などについても分かりやすく解説します。あらかじめ誰が相続人なるかを把握しておき、生前に対策ができるようにしておきましょう。

目次

「法定相続人」とは

民法という法律で決められている、相続する資格がある人のことを「法定相続人」といいます。

この資格は、被相続人(亡くなった人)との続柄によって決められています。そのため、あの人は好き、あの人は嫌い、などという感情は加味されません。

法定相続人は、亡くなった人が亡くなったときを基準に、生きている人が対象になります。事故や災害などでどっちが先に亡くなったのか分からないという場合には、同時に死亡したとして法定相続人が決まります。

「遺贈」「死因贈与」との違い

法定相続人以外でも遺産を承継する方法があり、「遺贈」や「死因贈与」といいます。

いずれも被相続人から遺産を譲渡する人を指定する方法ですが、以下のような違いがあります。

  • 遺贈:遺言書によって遺産を譲渡する
  • 死因贈与:生前に遺産を譲渡することを契約する

大きな違いは、遺産を譲渡することを双方が許諾しているか否かという点です。遺贈の場合は、被相続人のみの意思で譲渡が決定されたものですが、死因贈与は双方の意思をもって譲渡が決定されます。

そのため、遺贈の場合は遺言書に全財産をAに譲ると書かれていても、他の相続人と話し合って分けることができます。一方で、死因贈与の場合は生前の契約に基づき実行されるので、簡単に放棄することはできません。

遺贈も死因贈与も、死亡を要因とした財産の譲渡なので、相続税がかかります。法定相続人以外が相続する場合は、相続税の2割加算など計算方法が複雑になるため、税理士など専門家に相談するようにしましょう。

法定相続人の範囲と順位

法定相続人になる人の範囲は、「配偶者」および「被相続人と血縁関係のある人」です。被相続人との続柄によって法定相続人になる順位が決まっています

法定相続人の範囲と順位

配偶者は常に相続人

まず、必ず法定相続人となるのは配偶者です。配偶者とは、夫や妻といった立場にいる人を指します。

配偶者以外の法定相続人は、以下の順位で配偶者と共に相続権を得ることになります。

第一順位:子や孫

まず法定相続人となるのが、被相続人の子です。子がすでに亡くなっている場合は孫が、孫も亡くなっている場合はひ孫が第一順位の法定相続人になります。

第二順位:父母や祖父母

第一順位の法定相続人がひとりもいない場合に、法定相続人となるのが被相続人の父母です。父母がすでに亡くなっている場合は祖父母が、祖父母が亡くなっている場合は曾祖父母(そうそふぼ)が第二順位の法定相続人になります。

第三順位:兄弟姉妹や甥姪

前順位の法定相続人がひとりもいない場合に、法定相続人になるのが被相続人の兄弟姉妹です。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は甥姪が、甥姪が亡くなっている場合は姪孫(てっそん)が第三順位の法定相続人になります。

次の世代が相続する「代襲相続」

すでに亡くなっている法定相続人の地位を、代わりに受け継ぎ相続することを「代襲相続」といいます。

たとえば、父方の祖父が亡くなったときに、すでに自分の父親(祖父からすると子)が亡くなっていた場合、孫である自分が父親の代わりに相続権を得るというしくみのことです。もし孫である自分が亡くなっていれば、自分の子(祖父からするとひ孫)が相続権を得ることになります。このように、その世代の法定相続人がいない場合は、次の世代に再代襲します。

ただし、第三順位に限っては一代まで(甥姪)までとされていて、姪孫は法定相続人にはなりません。また、叔父や叔母など、法定相続人の配偶者となる人も法定相続人にはなりません。

事実婚や連れ子は除外される

法定相続人になれる配偶者は、戸籍に載っている配偶者をいいますので、事実婚状態で籍を入れていない場合は該当しません

反対に、婚姻関係が破綻しているが戸籍はそのまま、という場合は戸籍に載っている配偶者が法定相続人になります。

子の場合も同様で、養子縁組をしていない連れ子の場合は法定相続人にはなりません

こうした事実婚状態の配偶者や連れ子に遺産を引き継がせたいという場合は、遺言を残すことで、遺贈させることが可能になります。ただし、先述のとおり2割加算がされるなど相続税の面では不利になってしまいます。

「胎児」や「養子」も含まれる

法定相続人となる子には、「胎児」や「養子」も含まれます

胎児は、戸籍にはまだ載っていませんが、例外として法定相続人になります。これは、被相続人が亡くなったのが子がお腹にいるときと生まれてからとで、相続できるできないが変わってしまうと子に不利益が生じるため、その不利益を生じないようにしようという趣旨があります。

残念ながら、子が生きて生まれなかった場合は相続をやり直すことになります。

子は実子、養子、嫡出子、非嫡出子に関係なく法定相続人になります。両親が離婚していて何十年も疎遠であるという場合も同様です。

「戸籍謄本」で確認できる

第三者から見て、孤独にひとり暮らしをしているように見えても、実は認知している子がいたり、離婚によって子と住んでいないような場合があります。

そのようなケースでは、法定相続人が誰か分からないといったこともあるでしょう。

子の存在については、戸籍謄本で確認することができます。もしも離婚などで新しく籍を作っていても、除籍簿などには記録が残っていますので、確認することができるのです。

相続の手続きにおいて、「被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍」が必要とされているのは、法定相続人の存在をきちんと把握するため、というのもひとつの理由なのです。

また、平成29年5月より開始された「法定相続情報証明制度」による、法定相続情報一覧図の写しによっても、法定相続人を確認することができます。

法定相続人がいないとき

もし法定相続人がすべていないとき、たとえば全員亡くなっていたり、相続放棄したりといった場合が該当します。

相続人不在の状態になると、遺産(相続財産)は民法第951条により法人という扱いになり、利害関係者によって相続財産管理人が任命され、精算手続きをすることになります。

精算手続きは、法定相続人を探したり、特別縁故者に対する相続分与手続きなどから、債権者に対する弁済などを行います。

「法定相続分」とは

遺産を受け取る人だけでなく、その分け方も「法定相続分」として民法に定められています

法定相続分の割合

法定相続分の割合については、相続の順位と人数によって以下のように決められています。

配偶者と直系卑属(第一順位)

配偶者と直系卑属(第一順位)

法定相続人が、配偶者と子の場合は2分の1ずつ、要するに1:1で分けます。

もし子が2人いる場合は、2分の1を2人で分けるので4分の1ずつ均等に分けることになります。子が3人いるときは、6分の1ずつになるということです。

代襲相続の場合、孫は子の分を均等に分けることになります。たとえば、法定相続人が配偶者と子Aと子Bの子(孫)が2人がいるとします。

この場合、3人で均等に分けるのではありません。孫は子Bの分(2分の1)を均等に割って相続します。つまり、配偶者は2分の1、子Aは4分の1、子Bの子(孫)2人はそれぞれその半分の8分の1を相続することになります。

配偶者と直系卑属(第一順位)

配偶者と直系尊属(第二順位)

配偶者と直系尊属(第二順位)

子や孫など、被相続人の直系卑属がいない場合は、直系尊属が相続することになります。

父母など直系尊属の場合は、配偶者が3分の2を相続するため、残りの3分の1を相続します。被相続人の両親共に健在な場合は、6分の1ずつ分けることになります。

配偶者と傍系血族(第三順位)

配偶者と傍系血族(第三順位)

子や親など、被相続人の直系卑属も直系尊属もいない場合は、傍系血族が相続することになります。

兄弟姉妹など傍系血族の場合は、配偶者が4分の3を相続するため、残りの4分の1を相続します。兄弟が複数人いる場合は、4分の1を均等に分けることになります。

法定相続が適用されないケース

民法に定められた法定相続分にしたがって相続するのが原則です。ただし例外もあるので、それらについて解説します。

遺言書がある

遺言書がある場合は、遺言書の内容が優先されます。生きているうちは、自分で自由に財産を処分することができます。そのため、自分が死んだあとにも自由に処分できるというのが根底の考えとしてあります。

遺言書で指定すれば、法定相続人以外の人へ遺贈させることや、法定相続分と異なる割合で相続させることも可能です。

寄与分が認められる相続人がいる

「寄与分」とは、被相続人の財産形成などにおいて特別に寄与した相続人に対して、寄与の程度によって多めに相続させるという制度です。被相続人の妻が、介護を長年してきたような場合にも寄与分が認められます。

寄与分がある場合は、その法定相続人が自ら主張しなければなりません。しかしその評価でもめる場合も多いとされています。調停などではきちんと計算されることになりますが、法定相続人間での話し合いでの遺産分割協議では、なかなか評価がはっきりしない場合が多いのです。

生前贈与(特別受益)を受けている相続人がいる

生前贈与を受けている法定相続人がいるときは、「特別受益」といってその分も含めて遺産分割することになります。

たとえば被相続人が生きているときに、長男が家を建てる費用を出してもらったというケースが該当します。

もともと1億の相続財産があり、長男が2000万円の生前贈与を受けていた場合、1億2000万円あるとして遺産分割します。法定相続人が、配偶者、長男、長女の場合、法定相続分の割合からは、配偶者が2分の1の6000万円、長男、長女が3000万円ずつ相続することになります。しかし、長男はすでに2000万円の生前贈与を受けているため、特別受益としてその分を引いて1000万円、長女は3000万円を相続することになります。

ただし、生前に特別受益の免除を受けていれば、法定相続分通りに受け取ることができます。

なお、特別受益はその他の法定相続人が申し出ることではじめて適用されます。

相続欠格や相続排除された相続人がいる

相続欠格や相続廃除された相続人がいる場合は、代襲相続で次の世代が相続することになるため、相続する割合も変わります。

相続欠格

被相続人の生命や身体に危害を加えたり、不正な方法で財産を手に入れようとした場合に「相続欠格」となり、相続権を失います。

相続欠格になる行為は民法891条に「欠格事由」として規定されています。

相続廃除

被相続人が家庭裁判所にて「相続廃除」を申し出ることで、その人は相続権を失います。

生前に家庭裁判所で申し立てを行うまたは、遺言書にて遺言執行者を指定し、「長男を相続人から廃除する」などと記載し、相続廃除に該当するどのような行為があったのかを続けて記載します。

「遺留分」で最低限の保証がされている

被相続人は自分が残す財産について、遺言書などで遺産を自由に処分することができる権利があります。一方で法定相続人には、最低限の遺産を相続できる「遺留分」という権利があります。

遺留分は、被相続人の財産形成に少なからず関わってきたにもかかわらず、まったく相続できないのは、法定相続人に不利だということ、家族にはその財産がなければ生活できなくなってしまうという不都合を解消しよういう趣旨から定められています。

たとえば、夫と専業主婦である妻、子がいたとします。夫は知らないところで愛人を作っており、遺言によって遺産をすべてその愛人に譲ると書いてあった場合、妻や子は困ってしまいます。そこで、妻や子が「遺留分減殺請求」をすると、一部の遺産を受け継ぐことが可能になります。

遺留分の割合

遺留分の割合は、法定相続分の2分の1になります。

先ほどの例の、妻と子3人と愛人がいて、遺言によって遺産である1億2000万円すべてを愛人に譲るというケースで遺留分を計算してみます。

本来ならば法定相続分として、配偶者が6000万円、子がそれぞれ2000万円ずつ相続する権利がありました。よって遺留分は、それぞれ2分の1の配偶者が3000万円、子がそれぞれ1000万円ずつ愛人に対して遺留分減殺請求をすることが可能ということです。

ただし遺留分については、最低限の保障という意図が強いことから、兄弟姉妹には認められていません

遺留分の放棄

子どもがいない夫婦のうち夫が亡くなったとします。まだ、夫の両親は生きています。遺言書で、夫が妻にすべて相続させるといった内容を残していた場合、両親は本来ならば遺留分を行使することができます。しかし、主張しなければそのままです。

また、遺留分の放棄という制度があります。これは、被相続人が生きているうちに遺留分の放棄をしてもらうというものです。夫が両親に対して、妻に全財産を残すよう遺言書を書いたから、遺留分を放棄してほしいと要請し、両親がそれに応じるという流れです。

遺留分の放棄は家庭裁判所での手続きが必要になります。遺留分の放棄と似た制度に、相続放棄がありますが、まったく異なる制度ですので、注意が必要です。

相続放棄は、生きているうちにすることができませんし、被相続人が強制することもできません。法定相続人が自分の意思で放棄すると決める必要があるのです。

2018年の法改正

2018年7月6日に成立した改正民法により、相続法の大きな見直しがされました。これにより、特別受益・寄与分・遺留分などの扱いが変わります。

おわりに

相続は「争族(あらそうぞく)」といわれることもあるほど、複雑になることがあります。身内だけでは揉めてしまうことも、専門家の力を借りることによってすぐに解決することもあります。

遺産が多額で、相続税が発生しそうであれば、税理士に相続税申告について相談をすることもできます。この記事を読んで自分にも相続が発生しそうというときは、相続税の節税のための生前対策のアドバイスなどを受けることも可能ですので、一度相談することを検討してみてください。

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