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大谷翔平のスポンサー収入は198億円。支払う企業の「勘定科目」はどうなる?税理士が解説

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大谷翔平のスポンサー収入は198億円。支払う企業の「勘定科目」はどうなる?税理士が解説
Kohei / PIXTA

MLBで3年連続のMVPを獲得し、2026年3月のWBCでも大活躍を見せるなど、世界中を熱狂させている大谷翔平選手。大谷選手のスポンサー収入は2026年には198億円を得る見込みで、スポーツ選手として史上最高額だと米スポーツビジネス専門メディアが報じている。

ファンとしては喜ばしい限りだが、気になるのは、スポンサー企業による巨額の契約金やサポート費用が、会計上どう処理されるかだ。

企業が、大谷選手をはじめとするアスリートをサポートする形は多岐にわたる。「契約金やCM出演料」はもちろん、ブランドの顔として纏う「スーツや時計などの衣装提供」、最高のパフォーマンスを支える「寝具やサプリメント、飲料水の提供」など、その支援の形は実にバラエティ豊かだ。

しかし、ここで経理担当者や経営者の中には、「これらは全部『広告宣伝費』で計上していいのか?」という疑問を抱く方も多いはずだ。今回は意外と知られていない勘定科目のルールについて、大久保優里加税理士に聞いた。

●契約金やCM出演料は原則「広告宣伝費」として計上する

ーー契約金やCM出演料は、原則どのような勘定科目で仕訳するのでしょうか?

契約金やCM出演料など、いわゆるスポンサー料は、基本的に「広告宣伝費」として処理されます。これは、企業の名前や商品を多くの人に知ってもらうための支出だからです。大谷選手のようなスーパースターの発信力を借りることは、企業にとって大きな宣伝効果があるため、まさに広告活動といえるでしょう。

ただし注意したいのが複数年契約の場合です。例えば「3年契約で15億円」を契約時に一括で支払った場合、その15億円をその年に全額を経費算入することはできません。

実務上は、支払時に「長期前払費用」などの資産として計上し、期間に応じて費用化していくことになります。

この例であれば「1年目:5億円」「2年目:5億円」「3年目:5億円」という形で、15億円を3年間で分割し、毎年費用として計上します。

つまり、巨額の契約金を支払っても、その年の利益を一気に減らせるわけではないという点には注意が必要です。

●交際費や寄附金と判断されると、経費と認められる金額が制限される

ーースーツや時計などの衣装提供、寝具やサプリメント、飲料水の提供の場合はどうでしょうか。

スーツや時計、寝具、サプリメント、飲料水などを提供する場合も、基本的には「広告宣伝費」として処理されるケースが多いです。

ただし、自社製品か他社製品かによって、考え方が少し変わります。

【1】自社製品を提供する場合

アスリートに自社商品を使ってもらい、商品の魅力をアピールしてもらう場合は、「広告宣伝費」として処理します。

このとき注意したいのは計上する金額です。経費になるのは、販売価格ではなく、原価です。

例えば「500万円の高級時計を提供」とニュースになっても、企業の経費になるのは、その時計の製造原価や仕入原価になります。

【2】他社製品を購入して提供する場合

スーツや時計など、他社製品を購入して提供する場合は、提供の目的によって勘定科目が変わります。

例えば、試合やイベント、SNSなどで使用・紹介してもらうことを想定して提供する場合には、「広告宣伝費」として処理するケースが一般的です。

スポンサー契約に基づく提供や、着用・使用による露出が見込まれる場合は、広告宣伝としての性格が強いと考えられます。

一方で、特に広告やPRの依頼をしていない場合や、関係維持のための差し入れ的な意味合いで提供する場合には、税務調査で「交際費」と指摘されるリスクがあります。

また、完全に活動支援として見返りを求めない提供をする場合には、「寄附金」の要素が強いと言えます。

「交際費」や「寄附金」と判断されると、税務上は経費として認められる金額に制限があります。

そのため企業としては、税務上不利にならないよう、「広告宣伝費」として認められる形で契約内容や実態を整えておくことが重要です。

●スポンサー契約の影響が決算書の「広告宣伝費」から見て取れることも

ーーアスリートやタレント等と契約する場合に、企業が税制面で特に気をつけるべき点を教えてください。

税務上トラブルになりやすいのは、主に次の2つです。

【1】源泉徴収漏れ

企業がプロアスリートやタレントなどの個人に報酬を支払う場合、企業は所得税を差し引いて国に納める「源泉徴収」を行う必要があります。

例えば「手取り15億円」という契約をした場合、企業は税金分も含めて予算金額を計算する必要があります。

また、大谷選手のように海外で活動している選手の場合、日本での活動なのか海外なのかによって税務の扱いが変わるため、租税条約の確認も必要になります。

【2】「これは本当に広告活動か?」を証明できるようにする

先ほどの物品提供の話にも繋がりますが、税務署は「お付き合いのための贈答(交際費)ではないか?見返りのない寄附金ではないか?」という目でチェックします。

「広告宣伝費」として堂々と処理するためには、契約書で提供の目的や使用条件(SNSでの発信義務など)を明記し、実際に広告として機能した証拠(着用時の写真や動画、SNSの反響データなど)をしっかり保管しておくことが大切になります。

スーパースターとの契約は企業にとって夢のある話ですが、その裏側では会計や税務の整理も必要になります。

実際に企業の財務諸表を見ると、スポンサー契約の影響が「広告宣伝費」などに表れていることもあります。ニュースでスポンサー契約を見かけたら、その企業の決算書を少しのぞいてみると、また違った面白さが見えてくるかもしれません。

【取材協力税理士】
大久保 優里加(おおくぼ・ゆりか)税理士
自身の経験から「わからないことを何でも聞けるフレンドリーな雰囲気」を大切にし、相談される方のお困りごとにゆっくり耳を傾け、専門用語を使わないわかりやすい説明でご案内することを心がけている。「税理士に頼りたい、相談したいすべてのお客様にとって、優しい税理士であり続けたい」をモットーに、法人から個人まで、会計知識及び経験に裏付けされたサービスを提供している。
事務所名:おおくぼ税理士事務所
事務所URL:https://okubo-kaikei.com/

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