年末調整とは?期限や手続きの流れなどわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

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年末調整

年末調整とは - 期限や手続きの流れなどわかりやすく解説

従業員を雇用している雇用主は、年末になると「年末調整」という手続きを行う必要があります。従業員ごとの調整が必要になり書類も多く、不慣れな担当者にとっては煩雑な業務の一つでしょう。この記事では、担当者向けに、年末調整のしかたや注意点を解説します。

目次

年末調整とは?

年末調整とは、従業員の給与から源泉徴収した所得税と、本来支払うべき所得税との差額を精算する手続きのことです。

日本の税金制度は税金の申告と納税は従業員自身が行わなければならない「申告納税制度」が原則となっていますが、給与所得において、それを勤めている会社がまとめて代行するのが源泉徴収という制度です。

従業員の給与から毎月源泉徴収している所得税は、一定の基準に基づいておおよその金額を徴収しているに過ぎず、各人で異なる各種控除などを正確に把握できている訳ではありません。そのため、本来納めるべき所得税額との間に差額が生じてしまいます。

そこで生じた差額を、それぞれの実情に沿った形で調整し、徴収した所得税が多ければ「還付」、少なければ「追加徴収」を行って精算します。

還付や追加徴収の計算方法

まずは以下の式で給与所得を計算し、そこから所得控除額を差し引いて、課税所得金額を出します。

給与総額 – 給与所得控除 = 給与所得
給与所得 – 所得控除 = 課税所得金額

課税所得金額に所得に応じた所得税率(国税庁ホームページ参照)を乗じて、所得税額を算出します。住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)がある場合は、算出した所得税額から差し引きます。

所得税額に復興特別所得税分の税率(2.1%)を乗じた額を足した金額が、その人が本来納めるべき所得税額となります。この金額から徴収済みの源泉所得税を差し引き、プラスになった場合は徴収、マイナスになった場合は還付をすることになります。

年末調整で適用される控除

配偶者控除や扶養控除などの各種控除を適用する場合は、下記表のような書類を用意し従業員に記入してもらったり、手元に届いた書類を提出してもらう必要があります。

【年末調整で適用される控除】
主な控除の種類 控除を受けられる条件 必要書類
給与所得控除・基礎控除 原則誰でも ・給与所得者の扶養控除等申告書
配偶者控除・配偶者特別控除 年間の合計所得が38万円以下(配偶者控除)、または年間の合計所得が38万円超123万円以下(配偶者特別控除) ・給与所得者の扶養控除等申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
扶養控除 控除対象の扶養親族がいる場合 ・給与所得者の扶養控除等申告書
社会保険料控除 社会保険料を支払っている場合 ・給与所得者の保険料控除申告書
・社会保険料の控除証明書
生命保険料控除 生命保険料を支払っている場合 ・給与所得者の保険料控除申告書
・生命保険料の控除証明書
地震保険料控除 地震保険料または長期損害保険料を支払っている場合 ・給与所得者の保険料控除申告書
・地震保険料の控除証明書
住宅ローン控除
※2年目以降から適用
住宅ローンを支払っている場合 ・住宅借入金等特別控除申告書
障害者控除・勤労学生控除・寡婦(寡夫)控除 障害者・勤労学生・寡婦(寡夫)の場合 ・給与所得者の扶養控除等申告書

確定申告が必要になる控除

一部の控除は年末調整では適用できず、年末調整後に従業員本人が確定申告を行うことで適用されます。

年末調整の対象となる従業員

年末調整の対象となるのは、正社員のほか、パートやアルバイトなどの給与所得者です。年末まで同じ会社で勤務していることと、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していることが条件となります。

ただし、以下の場合は年末調整の対象外となります。

  • 給与所得が2000万円を超える場合
  • 扶養控除等(異動)申告書を提出していない場合
  • 災害減免法の規定により、本年分の給与に対する源泉徴収に猶予や還付がある場合

給与所得者の扶養控除等申告書とは

給与所得者が、その給与について扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続きです。なお、扶養親族などがいない人も提出する必要があります。

勤務先が複数箇所ある場合は、メインで働いている勤務先に提出することになります。雇用主側は、給与所得者の扶養控除等申告書の提出があれば甲欄、なければ乙欄で源泉所得税の計算をします。

従業員が副業をしている場合の年末調整

雇用している従業員が副業をしている場合は、本業となる自社で年末調整を行います。アルバイトやパートが就業先を掛け持ちしている場合は、収入の多い方の会社で年末調整を行います。

自社で年末調整を行う場合には扶養控除等申告書を提出してもらう必要があります。他の就業先で年末調整を行う従業員の場合は、年末調整をする前の源泉徴収票を発行します。

年の途中で年末調整が必要な従業員

以下のような場合は、年の途中で年末調整が必要になります。

  • 海外の支店等に転勤し、非居住者となった場合
  • 死亡による退職の場合
  • 心身障害によって退職し、年内の就職が困難な場合
  • 12月分の給与を受け取った後に退職した場合
  • その年の給与見込額が103万円以下である人が退職した場合

年収103万円以下の従業員への年末調整

年収が103万円以下の場合、給与所得控除65万円と基礎控除35万円を差し引くと課税所得が0円になるため、所得税は課税されません。ただし、毎月の給与が変動する人の場合は、社会保険料控除後の給与が8万8000円以上の月は源泉徴収を行うことになっています。

そのため、年収が103万円以下の場合でも、給与が8万8000円以上の月があり源泉徴収を行っているケースもあります。そうした場合には、年末調整で精算をして、源泉徴収した税額を全額還付する手続きを行います。

年末調整の時期や期限

年末調整の期限は1月31日となっているため、期限に間に合うように準備します。

年末調整関連の書類が税務署から届いたら、10月下旬から11月中に従業員に必要書類を作成してもらいます。その書類を元に12月中に年末調整を行い、源泉徴収票を税務署に提出します。

誤りがあった場合、期限内なら再提出可能なので、早めに終わらせるようにしましょう。

従業員からの書類の提出が遅れたら?

書類の提出が年末調整までに間に合わなかったり、年末調整後に申告内容の誤りに気付いた場合、年末調整をやり直すかどうかは会社の任意となります。年末調整をやり直ししない場合は、従業員個人で確定申告をしてもらう必要があります。

年末調整の手順

年末調整の具体的な手順は以下のとおりです。

1.年末調整に必要な書類を収集

税務署から送られてきた書類を従業員に配布して、必要事項を記入してから提出してもらいます。その際に、生命保険料や地震保険料の控除証明書など、控除に必要な添付書類も一緒に提出してもらう必要があります。

記入してもらった内容に間違いがないか、記入漏れや足りない書類がないかなど、くまなくチェックします。

年の途中で転職してきた従業員がいる場合は、前の会社の源泉徴収票も忘れずに提出してもらいましょう。

2.給与所得控除後の給与額を計算する

12月の給与が確定した時点で、その年の給与の合計額も確定することになるので、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を参考に、給与所得控除後の給与額を計算します。

また、併せて源泉所得税の合計額や給与から差し引いた社会保険料等の金額を集計しておきます。

集計については、あらかじめ「源泉徴収簿」を作成しておくと年末調整のときに便利です。

給与の支払が翌月の場合

年末調整は、本年中に支払の確定した給与の総額に対して行います。この場合の収入の確定する日は、契約や慣習により支給日が定められている給与についてはその支給日、支給日が定められていない給与についてはその支給を受けた日をいいます。

つまり、1月1日~12月31日までに支払われた給与なので、12月勤務分の給与が1月20日に支払われる場合は、この給与は本年中の年末調整には含まないことになります。

3.給与から各種控除を差し引く

給与所得控除後の給与額から、配偶者控除や扶養控除などの各種控除を差し引いて「課税給与所得金額」を求めます。従業員によって差し引く控除が異なるため、初めに提出してもらった書類をもとに計算をしていきます。

控除の種類 控除額 参照する書類 備考
基礎控除 38万円 - 一律に適用される控除
扶養控除 38万円 扶養控除申告書 ・特定扶養控除・・・63万円
・老人扶養控除(同居の場合)・・・58万円
・老人扶養控除(同居以外の場合)・・・48万円
障害者控除 27万円 ・特別障害者を扶養する場合・・・40万円
・同居特別障害者を扶養する場合・・・75万円
寡婦(寡夫)控除 27万円 ・特別寡婦の場合・・・35万円
勤労学生控除 27万円 -
配偶者控除 13万円~48万円 配偶者控除申告書 ・配偶者の合計所得が38万円以下の場合
配偶者特別控除 1万円~38万円 ・配偶者の合計所得が38万円超123万円以下の場合
社会保険料控除 支払額の全額 保険料控除申告書 ・控除証明書が必要
生命保険料控除 一定額 ・控除証明書が必要
地震保険料控除 一定額 ・控除証明書が必要

※平成30年度税制改正により、基礎控除や給与所得控除の金額が2020年より変更になります

4.所得税(年調年税額)の計算をする

課税給与所得金額を算出したら、「年末調整のための算出所得税額の速算表」を使用し、算出税額を確認します。算出税額から住宅ローン控除を差し引いたものが年調所得税額となります。

年調所得税額に102.1%乗じて、復興特別所得税を含む「年調年税額」が各人の納めるべき所得税額となります(100円未満切り捨て)。

5.還付または徴収する(過不足金の精算)

源泉所得税が、年調年税額よりも多い場合は「還付」、少ないときは「徴収」を行います。

毎月の源泉所得税には各種控除が反映されていないため、基本的には還付となるケースが多くなります。還付や徴収は、12月分の給与で精算することが一般的ですが、会社によっては1月分の給与で精算することもあります。

6.法定調書を税務署に提出する

法定調書とは税務署への提出が義務付けられている書類のことで、支払調書や源泉徴収票などのことをいいます。

同時に「給与支払報告書」を従業員の居住する市区町村に提出する必要があり、提出期限はいずれも1月31日となっているので、間に合うように作成しましょう。

年末調整書類の確認方法

従業員から提出してもらった申告書に間違いや記入漏れがあると、再提出や年末調整計算のやり直しが発生する場合があります。そのため、余計な手間や時間をかけないように、担当者が申告書の内容をしっかりと確認し、間違いに気付くことがとても重要になります。

そこで、年末調整に必要となる代表的な4種類の書類の書き方を、画像を交えながら詳しく説明していきます。

給与所得者の扶養控除等申告書

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

(1)枠内をすべて記入し、押印がしてあるかを確認します。

(2)Aの源泉控除対象配偶者の欄には、生計を一にする配偶者の合計所得金額が95万円以下の場合に、その所得の見積額を記入します。

Bの控除対象扶養親族の欄には、生計を一にする親族の合計所得金額が48万円以下の場合に、その見積額を記入します。なお、ここに記入できるのは16歳以上の扶養親族となります。

(3)該当する項目があった場合はチェックを付けて、右側の「左記の内容」に事由を記入します。

(4)他の所得者によって扶養される親族がいる場合に記入します。

(5)16歳未満の扶養親族がいる場合に記入します。単身児童扶養者に該当する場合は下部の欄にチェックを付けて、必要事項を記入します。

もし、扶養控除申告書を提出した後に扶養親族や配偶者の情報に変更があった場合は、提出済の申告書を従業員に返却し、変更事由を朱書きして氏名欄に押印した上で、再提出をしてもらう必要があります。

給与所得者の配偶者控除等申告書(希望者のみ)

給与所得者の配偶者控除等申告書

(1)氏名と住所が記入され、押印がしてあるかを確認します。

(2)従業員の所得金額の見積額と、配偶者の情報を記入します。右側の区分Ⅰ、Ⅱは、(4)の表をもとに判定した区分を記入します。

(3)従業員と配偶者それぞれの合計所得金額の内訳を記入します。

(4)左の表を参考に算出した配偶者控除または配偶者特別控除の控除額を記入します。

給与所得者の保険料控除申告書(希望者のみ)

給与所得者の保険料控除申告書

(1)従業員の氏名と住所が記入されており、押印がしてあるかを確認します。

(2)生命保険料についての情報を記入します。保険会社等の名称や支払った保険料の金額などの情報と、生命保険料控除額がきちんと記入してあるかを確認します。

(3)地震保険料についての情報を記入します。保険会社や支払った保険料の金額、地震保険料控除額がきちんと計算されているかを確認します。

(4)社会保険料についての情報を記入する欄です。社会保険の種類、保険料支払先の名称、保険料を支払った人の氏名と続柄、1年で支払った保険料の金額とその合計が記入されていれば問題ありません。

(5)1年間に支払った小規模企業共済等掛金の金額とその合計額を記入します。

年末調整を行うときの注意点

年末調整では、計算ミスや書類の記入漏れなどに気を付けることはもちろん、ほかにも注意しなければならないことがいくつかあります。

年末調整を怠ると懲役または罰金に

従業員に給与を支払っている雇用主には、源泉徴収や年末調整を行う義務があります。義務である年末調整を怠ると、10年以下の懲役または200万円以下の罰金といった重いペナルティが科せられます。

マイナンバーの提出を拒否されたら経過を記録

税務署に提出する源泉徴収票と給与支払報告書、扶養控除等申告書には、従業員のマイナンバーの記載が必要です。しかし、現在の法令では従業員が会社にマイナンバーを提出する義務はないため、なんらかの理由で記載を拒否される可能性もあります。

そのような場合は、従業員に提出を求めた経過等を記録、保存し、義務違反ではないことを明確にしておく必要があります。なお、経過記録には、提出を拒否した理由までは記載する必要はありません。「いつ提出を求め、その結果、提出を拒否された事実」を記録しておきましょう。

年末調整の書類は7年間保存が必要

会社などの源泉徴収義務者は、税に関する書類を保管しなければならないことになっています。保管期間は、所得税の徴収権の消滅時効に合わせて、申告書等の提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日から7年間です。

税務調査などによって税務署から書類の提出を求められた場合に対応できるように、きちんと保管をしておきましょう。

【保管する書類一覧】

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書(令和2年分以降)
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 所得金額調整控除申告書(令和2年分以降)
  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

年末調整の効率化

年末調整は煩雑で、時間のかかる作業なので、給与計算ソフトを使ったり、税理士にアウトソーシングするのがおすすめです。

給与計算ソフトを使う

給与計算ソフトは、普段の給与計算だけでなく年末調整機能がついているものも多くあります。

集計作業や計算、書類作成まで一括で行えるので、手書きで行うよりも正確に能率的に完了することができます。

税理士にアウトソーシングする

年末調整では、常に法改正に対応しなければならない、計算ミスがないように注意しなければならないなどの負担がありますが、税務の専門家である税理士に代行を依頼すれば、それらの負担が大幅に軽減されます。また、計算ミスなどの心配もなく、法改正に対応した正しい年末調整を行ってくれるというメリットがあります。

料金相場は基本料金が1~3万円となっており、従業員数が一定数を超えると、1人あたり1000円~3000円が加算されていく従量制となっている場合が一般的です。

また、少人数の会社の場合は、顧問料の範囲で年末調整を行ってくれる場合もあるので、顧問税理士がいる場合や顧問契約を考えている場合は、相談をしてみるとよいでしょう。

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「どんな税理士がいいの?」「もっと親身な税理士に変更したい」など税理士選びでお困りの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。

また、予算が気になる場合は<税理士の費用・料金相場>を参考に、おおよその料金を把握しておくとよいでしょう。

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