会計ソフト導入のための基礎知識と選び方〜主要会計ソフトの一覧付き〜
会計業務を始めたばかりの個人事業主や経営者、これまで紙や書類を中心に会計業務を行ってきた経理や会計担当者の中にも、ITの導入による効率化を図りたいと考え始める方が増えています。
会計ソフトのシェアはインストール型が全体の半分を占めていますが、近年クラウド型もシェアを伸ばしてきています。各社から提供されている製品やサービスの違いを把握し、自社に合った会計ソフトを選ぶことが重要です。
- 会計ソフトはどんな種類がある?
- 会計ソフトを使うメリットは?
- 会計ソフトは素人でも使える?
- 会計ソフトはいくらくらいするの?
- 会計ソフトはどうやって選べば良い?
- 主要な会計ソフトはどれ?
このページでは、会計ソフト導入のための基礎知識と選び方、主要会計ソフトの特徴や導入費用をご紹介いたします。
目次
会計ソフトとは
会計ソフトとは、「会計」に関する処理をおこなってくれるソフトウェアの総称です。会計というと、簿記の知識が必須で、手書きで伝票を作成しその伝票から帳簿に転記を行うという面倒な作業、というイメージがあるかもしれません。しかし、現在では会計ソフトの普及により会計知識のない人でも楽にこの記帳を行うことができます。
会計ソフト上で勘定科目を選んで入力していくだけで、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表も自動に作成することができます。また、勘定科目を選ぶときなど、最低限の知識が合ったほうが良いですが、会計ソフトによっては、仕訳がわからない場合にサポートをしてくれるサービスもあります。
会計ソフトには「インストール型」と「クラウド型」の2種類あり、それぞれ特徴とメリットがあるので、以下でご紹介いたします。
「インストール型」の特徴とメリット
現在の会計ソフトのシェアは約8割がインストール型で、従来からよく使用されている形式です。インストール型会計ソフトは、ソフトがインストールされたパソコンの中で全ての処理を行う必要があります。
また、インストール型の購入にはパッケージ版とダウンロード版があります。プログラムの機能に違いはありませんが、パッケージ版では印刷物やCD-ROMからのソフトウェア提供となり、ダウンロード版だとメールやオンライン上からソフトウェアをダウンロードすることになります。
初期費用はクラウド型と比べると導入コストが高く、価格は数万円から数十万円するものまで様々ですが、一度ソフトを購入すればそのまま使い続けることが可能です。加えて、インターネット接続を必要としない為、動作が安定している、セキュリティ面でも安心といったメリットもあります。
デメリットとして、基本的に処理を1台のコンピューターで行う必要があるため、情報のシェアに手間がかかることがあります。また、USBメモリーや外付けHDDにバックアップを取っていないと、パソコンが壊れたときにデータが消えてしまうという点もあります。
「クラウド型」の特徴とメリット
近年では、クラウド型の会計ソフトの普及が急速に進んでいます。クラウド型は、データベースをオンラインで共有することを可能にし、複数のデバイスでの情報共有を容易にしています。また、銀行口座やクレジットカードと連携し、自動で記帳する機能を備えるものがあるなど、会計の知識に乏しくても使えるような仕様になっています。
一方で、インターネットを使用するシステムなので、快適に操作ができるかは回線速度に左右されるというデメリットがあります。また、費用面でも、月額や年額での契約のため、長期的に見るとコストも大きくなりやすい傾向にあります。さらに、メリットである外部との連携機能についても、利便性を高めるほど、セキュリティ面でのリスクが大きくなる傾向にあります。
主要会計ソフトの特徴と導入費用
主要な(シェアの多い)会計ソフトは以下のとおりです。各会計ソフトのキャッチコピーと共に、費用面から見た比較をまとめました。
クラウド会計ソフトfreee

「会計業務をかんたんに、大幅効率化!自動帳簿作成から管理レポートまで」クラウド会計ソフトfreee
クラウド会計ソフトfreeeはクラウド型会計ソフトとなっており、30日間無料お試し期間が定められています。有料プランは法人向けプランと個人事業主向けプランがあり、価格表はそれぞれ以下のとおりです。
スターター | スタンダード | プレミアム |
980円/月 9,800/円年 | 1,980円/月 19,800円/年 | 39,800円/年 |
- スターターは「とにかく確定申告をしたい方」を対象に。
- スタンダードは「日々の経理から確定申告までをしたい方」を対象に。
- プレミアムは「複数店舗経営などを行っている方」を対象に。
ライト | ビジネス |
1,980円/月 19,800/円年 | 3,980円/月 39,800円/年 |
- ライトは「会社を設立したばかりでまだ小規模な会社向け」を対象に。
- ビジネスは「取引先や従業員・部門などを管理したい会社向け」を対象に。
個人向け、法人向けの両プランは管理者を含め3名まで無料で利用可能です。個人事業者向けプランではスタータープランでは4人目以降の追加は不可となっておりますが、スタンダードプランでは1人あたり月額300円もしくは年額で3000円支払うことで管理者を追加することが可能です。プレミアムプランでは年額支払いのみで1人あたり3000円の追加料金が必要となります。
法人向けプランだと、管理者の4人目以降は1名につき月額300円、もしくは年額3000円の追加料金が必要になります。
弥生会計18

「会計業務に必要な機能をしっかりカバー。」弥生会計18
弥生会計18のパッケージ版プランはインストール型の会計ソフトで、基本的に小規模から中規模の個人事業者または法人に向けたサービスです。パッケージ版にはスタンダードプランとプロフェッショナルプランがあり、更にプロフェッショナル2ユーザーというプランも選択可能です。
価格表は以下のとおりです。
スタンダード | プロフェッショナル | プロフェッショナル 2ユーザー | |
セルフプラン | 42,120円 | 78,300円 | 103,680円 |
ベーシックプラン | 42,120円 | 78,300円 | 103,680円 |
トータルプラン付き | 57,240円 | 99,900円 | 125,280円 |
- スタンダードは「日々の記帳から集計・決算まで、1本でおまかせ」
- プロフェッショナルは「部門管理や経営分析にも使える多機能会計ソフト!」
- プロフェッショナル2ユーザーは「プロフェッショナルを2名でシェアしたい人用」
スタンダードプランでは2台での運用は不可となっており、プロフェッショナルプランでは2ユーザーを選択することで複数台での運用を可能にしています。
MFクラウド会計

「バックオフィス業務の面倒な作業を効率化」MFクラウド会計
MFクラウド会計ソフトはクラウド型の会計ソフトとなっており、フリープランは無料で50件まで仕訳することができます。その他にライトプランと、ベーシックプラン、バリュープランがあり、価格表は以下のとおりです。
ライトプラン | ベーシックプラン | バリュープラン | |
月額 | 1,980円 | 2,980円 | 3,980円 |
年額 | 21,780円 | 32,780円 | 年額プランは無し |
- ライトプランは主に従業員5人未満の会社を対象として。
- ベーシックプランは主に従業員5人以上の会社を対象として。
- バリューパックはバックオフィス全般の効率化を目的として。
EPSON財務応援 R4

「かんたん入力を追求した財務会計システム」EPSON財務応援
EPSON財務応援R4はインストール型の会計ソフトとなっており、追加料金を払うことによって2台まで使用可能になります。価格表は以下のとおりです。
Premium | Lite+ | |
標準価格 | 300,000円 | 150,000円 |
追加1ユーザー | 150,000円 | 100,000円 |
年間保守料金 | 38,000円 | 30,000円 |
追加1ユーザー | 10,000円 | 10,000円 |
年間保守サービスに加入すると、以下の特典が利用可能になります。
- プログラム自動配信
- 税制・機能アップ対応
- 電話・FAXサポート
- 各種マスターデータの提供
- 遠隔サポート
MJS

「豊富なラインナップで最適なソリューションをご提供します。」MJS
MJSかんたん!シリーズはインストール型の会計ソフトとなっており、他の会計ソフトと比べてサービスが細かく別けられており、以下のように事業形態に沿った多くのプランがあります。
名称 | 値段 |
MJSかんたん!会計12 | 27,000円 |
MJSかんたん!法人会計12 | 32,400円 |
MJSかんたん!青色申告12 | 7,776円 |
MJSかんたん!販売仕入12 | 32,400円 |
MJSかんたん!給与12 | 27,000円 |
MJSかんたん!見積納品請求11 | 5,400円 |
JDL IBEX 会計net

「高度な経理処理に取り組む企業に最適なSaaS型ソフトウェア提供サービス」JDL IBEX 会計net
JDL IBEX 会計netはクラウド型の会計ソフトとなっており、6ヶ月または12ヶ月のみの支払い単位となります。本体ソフトウェアの購入とは別に有償、無償オプションソフトウェアを追加することによって好みの機能を追加することが可能です。
有償オプションソフトウェアの支払い単位は12ヶ月のみになっております。本体ソフトウェアは月額利用料1,480円となっており、支払い単位を6ヶ月で選択すると8,880円、12ヶ月を選択すると17,760円となります。
会計ソフトの選び方のポイント
数多くある会計ソフトの中から、自社に合うものを選ぶには、会社の規模や導入コストを頭に入れておく必要があります。
まず、経営が安定している業務規模が大きな会社で、会計の知識を活かして自社内で本格的な運用を進めるには各社のインストール型のソフトが適していると言えます。反対に、業務規模がまだ小さい会社または個人事業者が、他の業務も含めて会計業務を行うような環境であればアシスト機能の多いクラウド型会計ソフトも有効な選択肢となります。
コスト面から考えると、長期的なコストではインストール型が優れる傾向にあります。しかし、クラウド型は固定費用が発生する代わりに事業規模や会社形態の変化に合わせて利用するサービスを変更できるという強みがあります。
インストール型、クラウド型のどちらを選ぶにしてもベストなソフトを絞り込むのはなかなか難しいでしょう。そこで、本格的に導入する前に、各製品、各サービスが提供しているフリープランを試用してみることをおすすめします。
税理士選びでは対応会計ソフトも重要
顧問税理士がいる場合や、これから顧問契約をするという場合は、どの会計ソフトに対応しているかということを確認することが必要になります。
顧問契約時に「そのソフトには対応していないので変えてください」や「対応していないのでうちでは受けることができません」などと言われることもあります。そのような問題が後になって発覚しないように、どの会計ソフトに対応しているのかを事前に確認しましょう。
また、会計ソフトによっては、顧問税理士を追加ユーザーとして追加しようとしても、運営会社が独自に認定している税理士のみ会計ソフトに追加を許しているというケースもあるので注意が必要です。
税理士選びでお悩みの方へ
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