タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)とは?2019年度改正のポイントを解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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【2019年度改正】租税回避を防ぐ「タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)」とは?

日本の大企業や富裕層が、節税対策の一環でタックスヘイブンによる租税回避をし、これにより多額の税金がタックスヘイブンへ流出していることが、以前より問題視されています。

この対策として「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」という制度が導入されており、2019年度にはより課税の公平性が保たれるよう、税制が改正されました。

この記事ではタックスヘイブンについての基礎知識に加え、タックスヘイブン対策税制の改正点について解説します。

目次

タックスヘイブンについて

「タックスヘイブン(tax haven)」とは日本語で「租税回避地(そぜいかいひち)」を意味し、法人税や相続税などの税負担が軽い国や地域のことを指します。誤読が多い言葉なのですが、天国のheaven(ヘブン)ではなく、避難所の意味であるhaven(ヘイブン)が正しい呼び方です。

具体的には次のような特徴があります。

  • 無税または極端に低い税率
  • 法人の設立・運営などが容易
  • 金融規制がゆるい
  • 秘匿性が高い

さらに、タックスヘイブンとなる国や地域における税法の特徴により4つに分類されます。

分類税法
タックス・パラダイス所得に対する課税なし(法人税・所得税等)
ロー・タックス・ヘイブン条約締結国に対して低税率を適用
タックス・リゾート特定業種に対して減税または非課税
タックス・シェルター国外源泉所得に対して減税または非課税

タックスヘイブンとして有名なのは、イギリス領のケイマン諸島、パナマ文書で話題になったパナマ諸島、シンガポールや香港などが挙げられます。主にヨーロッパの小国やイギリス周辺の島々、カリブ海、東アジアに多く存在しています。

日本の法人実効税率(いわゆる法人税率)が約30%であるのに対し、タックスヘイブンである諸国は0%~20%以下と極めて低く、これは、資源や産業の少ない小国や発展途上国が他国の企業や個人の資産などを自国に呼び込むことが目的であるとされています。

タックスヘイブンを利用した租税回避のしくみ

タックスヘイブンのしくみ

米国や日本など税率が高い国にある企業や資産家などは、これらのタックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立し、資金を移して自国での法人税や所得税などの納税額を減らすという「租税回避行為」を行っています。

タックスヘイブン諸外国の証券会社やFX会社の金融商品の豊富さなどを挙げると、税制上の優遇だけではない多数のメリットを受けられる可能性があることから、各国の大企業や富裕層は節税と称し、タックスヘイブンを利用するのです。

なお租税回避とは、脱税などの違法行為には該当しない、合法な租税負担の軽減・排除のことで、主に税法や課税庁の意図しない方法のことを指すので、節税とは似て非なるものです。

ペーパーカンパニーとは

ペーパーカンパニーとは、登記だけされており、事業活動の実態がない会社を指す俗語で、幽霊会社やダミー会社とも呼ばれます。

タックスヘイブンの問題点

タックスヘイブンは秘匿性が高く、情報開示を求めても応じないケースが多いため、監視や規制が行き届かない状態になっています。自国への多額の納税を避けるために、このような方法をとることが「課税逃れ」であると批判されています。

このように、本来徴収されるべき税金がタックスヘイブンによる租税回避により自国で徴収できなくなることが問題とされており、日本ではこの対策として「タックスヘイブン対策税制」が導入されています。

日本の資金63兆円がケイマン諸島に

2015年のパナマ文書流出の際に判明したのが、タックスヘイブンによる租税回避で、日本の資金がケイマン諸島だけで合計約63兆円流出しているというものでした。米国についで世界で2番目に多い金額です。

タックスヘイブン対策税制とは

「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」とは、タックスヘイブンを利用しての租税回避行為を抑止するための制度であり、1978年度税制改正時に制定されました。

タックスヘイブンによる海外への流出金額は、日本円にして約6兆円といわれており、これは消費税を2%あげたときの税収と同等ともいわれています。

外国関係会社のうち、税負担が極端に低いとされるものを「特定外国子会社等」といい、これに該当する場合、親会社等である内国法人が保有する株式に対応する所得とみなして、内国法人の所得に合算して課税するという内容です。

近年では、2017年度税制改正でトリガー税率が廃止されるなど大幅に改正されましたが、2019年度税制改正でも見直しが検討されています。

2019年度税制改正での主な改正点

2019年度税制改正では、持株会社などがペーパーカンパニーから除外されることで、より課税の公平性が保たれる内容となりました。

また、パススルー制度や連結納税制度を適用している場合は、租税負担割合等の計算を再度見直す必要があるなどの変更があります。

ペーパーカンパニー

ペーパーカンパニーの範囲から、次の外国関係会社が除外されます。 

  • 持株会社である一定の外国関係会社
  • 不動産保有に係る一定の外国関係会社
  • 資源開発等プロジェクトに係る一定の外国関係会社

事実上のキャッシュボックス

次のいずれにも該当する外国関係会社は、事実上のキャッシュボックスの範囲に入ることとなりました。 

  • 当該事業年度における非関連者等からの一定の収入保険料(特定収入保険料)の合計額の収入保険料合計額における割合が10%未満である外国関係会社
  • 当該事業年度における収入保険料(上記特定収入保険料を除く)に係る非関連者等に対する一定の支払再保険料合計額の収入保険料合計額に対する割合が50%未満である外国関係会社

会社単位の合算課税制度における適用対象金額

現地法令基準を用いて適用対象金額を計算する場合の基準所得金額は、外国関係会社の本店所在地国の法人所得税に関する法令の規定から、連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いて計算した外国関係会社の所得の金額に、非課税所得等の金額の調整を加えた金額となります。

適用免除基準における租税負担割合

2017年度税制改正で、合算対象となる外国法人を入り口で絞る「トリガー税率」は廃止されましたが、適用免除基準として租税負担割合が採用されることになりました。

  • 所得の金額
    外国関係会社の本店所在地国の外国法人税に関する法令の規定から、連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いて計算した外国関係会社の所得の金額に、非課税所得等の金額の調整を加えた金額となります。
  • 外国法人税の額
    外国関係会社の本店所在地国において課される外国法人税に関する法令の規定から、連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いて計算した、外国関係会社の所得の金額に課されるものが外国法人税の額となります。

部分合算課税制度における部分適用対象金額

(A)-(B)の金額を、部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く)に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に加えることとなります

(A) 収入保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額
(B) 支払った保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額

二重課税調整

内国法人が合算課税の対象となった外国法人等から受ける配当等に係る二重課税調整について、修正申告書又は更正請求書にその適用を受ける金額等を記載した書類の添付がある場合にも、その適用を受けることができる等の見直しが行われます。

また、外国関係会社が本店所在地国で連結納税等を適用している場合、内国法人が合算課税の適用を受ける際に控除される外国法人税の額のうち、外国関係会社の本店所在地国において課される外国法人税の額の計算方法が変わります。

外国関係会社の本店所在地国において課される外国法人税に関する法令の規定から、連結納税の規定及びパススルーとして取り扱われる規定を除いて計算した、外国関係会社の所得の金額に課されます。

合算課税対象の判定フロー図

合算の対象となるか否かの判定のフロー図です。こちらは参考として、実際の判定は税理士に相談しましょう。

合算課税対象の判定フロー図

おわりに

この記事で解説した改正内容の適用は、内国法人の平成31年4月1日以後に終了する事業年度の合算課税(外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係るものに限る)についてです。改正内容の詳細については、平成31年度税制改正大綱で確認することができます。

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