資金流出は約63兆円!?租税回避を防ぐためのタックスヘイブン対策税制の改正内容とは? - 税理士ドットコムハウツー

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  1. 資金流出は約63兆円!?租税回避を防ぐためのタックスヘイブン対策税制の改正内容とは?

資金流出は約63兆円!?租税回避を防ぐためのタックスヘイブン対策税制の改正内容とは?

はじめに

日本の大企業や富裕層が、節税対策の一環で、タックスヘイブンによる租税回避をし、これにより多額の税金が、タックスヘイブンへ流出していることが、以前より問題視されています。

この対策として「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」という制度が導入されており、2017年度の税制改正で、より課税の公平性が保たれるような内容となるように、税制が改正されました。

そこで、このページでは、改めてタックスヘイブンとは何か、また、タックスヘイブン対策税制の改正点についてまとめています。

目次

タックスヘイブンってなに?

「タックスヘイブン(tax haven)」という言葉を、一度は聞いたことがある方も多いと思います。

誤読が多い言葉なのですが、日本語に訳すと「租税回避地」という意味で、天国のheaven(ヘブン)ではなく、避難所の意味であるhaven(ヘイブン)が正しい呼び方です。

タックスヘイブン(租税回避地)というのは、一般的に、法人税や相続税などの税金の負担が軽く、優遇されている国や地域のことを指し、次のような特徴を有しています。

  • 無税又は極端に低い税率
  • 法人の設立・運営などが容易
  • 金融規制がゆるい
  • 秘匿性が高い

タックスヘイブンの分類

また、タックスヘイブンは、4つの種類で分類ができます。

分類 税法
タックス・パラダイス 所得に対する課税なし(法人税・所得税等)
ロー・タックス・ヘイブン 条約締結国に対して低税率を適用
タックス・リゾート 特定業種に対して減税又は非課税
タックス・シェルター 国外源泉所得に対して減税又は非課税

タックスヘイブンに法人を設立する理由とは

タックスヘイブンとして有名なのが、イギリス領のケイマン諸島、パナマ文書で話題になったパナマ諸島、シンガポールや香港などが挙げられます。

主にヨーロッパの小国やイギリス周辺の島々、カリブ海、東アジアに多く存在しています。

日本の法人実効税率(いわゆる法人税率)が約30%であるのに対し、タックスヘイブンである諸国は0%~20%以下と極めて低く、これは、資源や産業の少ない小国や発展途上国が他国の企業や個人の資産などを自国に呼び込むことが目的であるとされています。

租税回避のためにタックスヘイブンを利用する

米国や日本などの、税率が高い国にある企業や資産家などは、これらのタックスヘイブンにペーパーカンパニー(※)を設立し、資金をそちらに移して自国での法人税や所得税などの税金の納税額を減らすという(租税回避)行為を行っています。

※ペーパーカンパニーとは、登記だけされており、事業活動の実態がない会社を指す俗語で、幽霊会社やダミー会社とも呼ばれます。

タックスヘイブン諸外国の証券会社やFX会社の金融商品の豊富さなどを挙げると、税制上の優遇だけではない多数のメリットを受けられる可能性があることなどから、各国の大企業や富裕層は節税と称し、タックスヘイブンを利用するのです。

なお、租税回避とは、脱税などの違法行為には該当しない、合法な租税負担の軽減・排除のことで、主に税法や課税庁の意図しない方法のことを指すので、節税とは似て非なるものです。

タックスヘイブンによる租税回避はなぜ問題なのか

タックスヘイブンは、秘匿性が高く、情報開示を求めても応じないケースが多いため、監視や規制が行き届かない状態になっており、自国への多額の税金を払うのを避けるために、このような方法をとることが、「課税逃れ」であると批判されています。

日本の資金約63兆円がケイマン諸島に

2015年のパナマ文書流出の際に判明したのが、タックスヘイブンによる租税回避により、ケイマン諸島だけでこれまでに、日本の資金が約63兆円流出しているというものでした。米国についで世界で2番目に多い金額です。

このように、企業や富裕層の本来徴収されるべき税金が、タックスヘイブンによる租税回避行為により、自国で徴収できなくなることが問題とされており、日本では、この対策として「タックスヘイブン対策税制」という税制が導入されています。

タックスヘイブン対策税制とは

「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」とは、タックスヘイブンを利用しての租税回避行為を抑止するための制度であり、1978年度税制改正時に制定されました。

外国関係会社のうち、税負担が極端に低いとされるものを「特定外国子会社等」といい、これに該当する場合、親会社等である内国法人が保有する株式に対応する所得とみなして、内国法人の所得に合算して課税するという内容です。

2017年度の税制改正では、外国関係会社であるかの判定基準や、部分課税の範囲、適用除外基準の見直しなどについて、改正がされました。

2017年度税制改正での主な改正点について

現行制度では、特定外国子会社等の判定において、租税負担水準がトリガー税率(20%)以上であれば、経済実体を伴わないケースでも、合算対象外となる一方で、活動実体が事業である場合でも、合算課税されてしまうケースがあるなど、制度の問題点として指摘されていました。

そこで、外国子会社の経済実態に則して課税すべきとし、2017年度税制改正において、タックスヘイブン対策税制の見直しが行われ、適用対象となる内国法人および外国関係会社の判定方法などが改正されました。

主な3つの改正点について、以下より説明をしていきます。

1.外国関係会社の判定等の変更

まず、外国関係会社について、大きく2つの改正のポイントがあります。

実質支配基準の導入

これまで、外国法人に対する持分割合(50%超)により外国関係会社の判定が行われていましたが、今回の改正で、実質支配基準が新たに導入され、これにより、持分割合が50%以下であっても、実質支配関係がある外国法人については、外国関係会社に該当することになります。

次の要件に該当する場合は、実質支配関係がある外国法人と判定されます。

  • 内国法人(又は居住者)が外国法人の残余財産の概ね全部について分配を請求することができる等の関係がある場合
  • 内国法人(又は居住者)が外国法人の財産の処分の方針の概ね全部を決定することができる旨の契約等がある場合

トリガー税率の廃止・特定の外国関係会社の導入等

外国関係会社が特定外国子会社等に該当するかどうかを判定するための租税負担割合の20%未満の基準(いわゆる、トリガー税率)が廃止される一方で、租税負担割合が20%以上であれば適用対象外とする制度が別途新設されます。従って、20%未満という判定基準自体は実質残る形となります。

ただし、外国関係会社の租税負担割合が30%未満であり、次のいずれかに該当する場合は、特定の外国関係会社と判定され、その場合は合算課税の対象とされることとなります。

  • ペーパーカンパニー
    事務所等の固定施設を持たず、事業活動の実態がない会社
  • 事実上のキャッシュボックス
    総資産の額に対する一定の受動的所得の割合が30%を超え、且つ、総資産の額に対する金融資産等の割合が50%を超える外国関係会社
  • ブラックリスト国所在
    租税に関する情報交換の協力が著しく不十分な国又は地域として、税務大臣に指定される外国関係会社

2.適用除外基準の見直し

租税回避目的ではなく、活動実態を持ってビジネスをやっている企業に対しても、一律に制度の対象にしてしまうと、企業の成長の妨げにもなりかねないということもあり、一定の基準を満たす活動実態がある会社については、制度の対象外にするという内容が定められています。

これまでは「適用除外基準」という名前で対象外になる基準が定められていましたが、今回の改正で名前を「経済活動基準」と改め、一部の内容についても変更がされました。

改正後の「経済活動基準」の概要は次のとおりです。

  • 事業基準...主たる事業が次に該当しないこと
    (A)株式又は債権の保有
    (B)無形資産等の提供
    (C)船舶又は航空機のリース等(航空機のリースのうち一定のものを除外)
  • 実体基準...本店所在地に主たる事業に必要な事務所等の施設を有していること
  • 管理支配基準...事業の管理、支配、運営をその本店所在地国において自ら行っていること
  • 次のいずれかであること
    (A)非関連者基準...事業全体の50%超が非関連者との取引であること
    (対象業種)卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水運業又は航空運送業
    (B)所在地国基準...主たる事業を本店所在地国で行っていること
    (対象業種)不動産業、製造業、小売業などの(A)以外の業種

3.受動的所得の部分合算課税の範囲拡大

経済活動基準を全て満たす外国関係会社であっても、資産運用的な一定の「受動的所得」がある場合には、部分的に合算課税されることになっています。

「受動的所得」の範囲は、次のように拡大されました。

項目 除外対象
配当等 持分割合25%以上の株式等に係る配当を除く
※一定の資源投資法人から受ける配当にあっては、10%以上
利子 通常の業務の過程で得る預金利子、一定のグループファイナンスに係る貸付利子等を除く
有価証券の貸付の対価 -
有価証券の譲渡損益 持分割合25%以上の株式等に係る譲渡を除く
デリバティブ取引損益 ヘッジ目的のもの、一定の商品先物取引業者等が行う一定のデリバティブ取引に係る損益を除く
外国為替差損益 事業に係る業務の通常の課程で生ずるものを除く ※外国為替差損益を得ることを目的とする事業以外
上記所得に準ずる所得 ヘッジ目的のものを除く
有形固定資産の貸付の対価 一定のリース事業に係る対価、本店所在地国使用資産等に係る対価を除く
無形資産の使用料 自己開発等の一定のものに係る使用料を除く
無形資産の譲渡損益 自己開発等一定のものに係る譲渡損益を除く
異常利益 -

合算課税対象の判定フロー(図)

合算課税の対象の外国法人かの判定方法を、簡単なフローチャートにしてまとめました。

以下の図を参考にして、判定をするための役に立ててください。

おわりに

タックスヘイブンによる海外への流出金額は、日本円にして約6兆円といわれており、これは消費税を2%あげたときの税収と同等ともいわれていて、タックスヘイブン対策税制により、流出に歯止めがかけられれば、消費税を増税する必要がないという声もあります。

なお、改正内容の適用は、外国関係会社の2018年4月1日以後に開始する事業年度からです。改正内容の詳細については、平成29年度税制改正大綱で確認することができます。

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