支払調書とは?源泉徴収票との違いや提出義務がある人、記入例までわかりやすく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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【記入例付き】「支払調書」とは?提出義務や期限、作成方法のまとめ

監修: 内山 瑛 公認会計士・税理士・行政書士

「支払調書」とは、フリーランスなどの個人事業主に仕事を依頼した場合に作成・提出が必要となる書類のことです。そのほか原稿料・講演料などへの報酬にも作成が必要で、一定の場合には税務署への提出が義務付けられています。

この記事では、支払調書に関する基礎知識から、提出義務が課せられる要件、源泉徴収票との違い、記入例、支払調書がもらえなかった場合の確定申告の方法までわかりやすく解説します。

目次

支払調書とは

支払調書とは「法定調書」のひとつで、税務署に提出が義務づけられている書類です。法定調書は現在60種類以上あり、「所得税法/相続税法/租税特別措置法/国外送金等調書法に規定するもの」の4つに分類されます。

そのうち、事業者がフリーランスなどの個人事業主に報酬を支払ったときに提出が必要になるのは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、会社員などの給与所得者が勤め先から年末に受け取る「源泉徴収票」と似た役割の書類です。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「源泉徴収票」のどちらも「所得税法に規定するもの」に分類されています。

この記事では主に「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」について解説していきます。

源泉徴収票との違い

事業者が従業員に対して発行する「給与所得の源泉徴収票」も法定調書のひとつです。

これは支払った給与の額とそこから源泉徴収した所得税の額を証明する書類で、給料などを支払っている事業者は、従業員に対して源泉徴収票を発行する義務があります。

源泉徴収によって本来の税額よりも多く納め過ぎた分は年末調整で還付されることになっており、源泉徴収票はそのタイミングで作成されるのが一般的です。

支払調書の提出義務者

源泉徴収票に対し、支払調書は支払いを受けた者への交付義務はありません。ただし、一定の要件に該当した場合には税務署への提出は義務付けられています

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を税務署へ提出しなければならないのは、前年中(1月1日から12月31日まで)に個人事業主に支払った報酬等が以下の項目に当てはまる場合です。

支払先が法人であっても、支払われる報酬・料金などが源泉徴収の対象とならない場合や、支払金額が源泉徴収の限度額以下となる場合についても、下記に該当する場合には支払調書の提出が必要となります。

支払い区分支払い金額
プロボクサー・モデル・外交員・電力量計の検針人などへの報酬年額50万円を超える
ホステス・バンケットホステス・コンパニオンなどへの報酬
広告宣伝のための賞金
社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
馬主に支払う競馬の賞金1回の支払い賞金額が75万円を超えるものの支払いを受けた方にかかる、その年中のすべての支払い金額
プロ野球などスポーツ選手に支払う報酬、契約金年額5万円を超える
弁護士・税理士などの特定資格を持つ人への報酬
原稿料・講演料・デザイン報酬など
上記のいずれにも当てはまらず、所得税法第204条第1項の各号に規定されている報酬や料金

なお、自社が源泉徴収義務者でない場合はそもそも源泉徴収をする必要がありませんので、支払調書を作成する必要もありません。

提出期限

「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」は、上表に該当するものを支払った年の翌年の1月31日までに支払い者の住所地を管轄する税務署へ提出しなければなりません。所轄税務署は国税庁のホームページから調べることができます。

提出方法

書面による提出が原則ですが、一定の要件を満たせばe-Tax(国税電子申告・納税システム)、パソコン等で作成し法定調書データを記録した光ディスクおよび磁気ディスクによる提出も認められています

支払調書を光ディスク等により提出したい場合には、所轄の税務署に「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」を提出して申請し、承認を受ける必要があります。

データで提出できる媒体の種類は、3.5インチFDおよびMO、12インチCDおよびDVDです。それぞれ規格や記録容量など使用できる媒体が決められているので、指示通りに作成しましょう。

書類で提出する場合には郵送での提出も認められており、提出期限までの消印有効となっています。

万が一提出期限に間に合わなかったとしても追徴課税など税務的なペナルティは発生しませんが、「所得税法第242条の5」により1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることがあります。

支払調書の作成方法と記入例

1年間(1月1日〜12月31日)に支払った報酬・料金等を以下のような支払調書の用紙に記載します。

支払調書の用紙
支払を受ける者支払い相手の「住所・氏名・マイナンバー」を記載します。
※支払い相手に支払調書の写しを交付する場合には、個人番号を記載してはいけません。法人番号であればそのまま記載して問題ありません。
区分提供を受けた役務の内容を記載します。
細目区分より詳細な内容があれば記載します。
支払金額1年間に支払いの確定したものを記載します(源泉徴収されなかった分もすべて、記載漏れのないように)。
支払調書の作成日時点で未払いのものがある場合は、未払額を内書きします。
源泉徴収税額源泉徴収の合計額を記載します。
支払金額の時と同様に、未徴収額を内書きします。
摘要摘要事項があれば記載します。
支払者支払いを行った「会社の名称や個人事業主の屋号・氏名・電話番号・マイナンバー」を記載します。
※支払い相手に支払調書の写しを交付する場合には、個人番号を記載してはいけません。法人番号であればそのまま記載して問題ありません

具体的な記入例

例として、平成30年に個人事業主であるライターに業務を外注し、原稿料として1回10,000円×4回(合計40,000円)で仕事を依頼、1月・3月・6月・12月に報酬が発生、そのうち12月分は未払いというケースでの書き方をご説明いたします。

なお、源泉徴収税額については、消費税及び地方消費税の額を含めて判断しますが、これについて明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても差し支えありません。

支払調書の記入例
支払を受ける者ライターの「住所・氏名・マイナンバー」を記載します。
区分今回は、原稿料として支払っているので「原稿料」とします。
細目区分によって内容が変わります。原稿料なので支払回数を記載しています。
支払金額平成30年中に支払いの確定した43,200円(税込)を記載します。
12月分が未払いのため、10,800円(税込)を内書きします。
源泉徴収税額平成30年中の源泉徴収の合計額を記載します。
支払金額の時と同様に、未徴収額を内書きします。
摘要このケースでは特筆事項はありません。
支払者支払いを行った「会社の名称や個人事業主の屋号・氏名・電話番号・マイナンバー」を記載します。

支払調書への社印(角印)の押印の義務はありませんので、押しても押さなくてもどちらでも大丈夫です。

報酬等の支払い先が非居住者だった場合には「非居住者等に支払われる給与、報酬、年金及び賞金の支払調書」などの提出も必要になります。

「支払金額」に記載する金額

「支払金額」の欄に記載する金額は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払いが確定した金額となります。つまり、支払調書の作成時点で未払いの金額があったり、源泉徴収の対象とならない報酬等の金額があったとしても「支払金額」に含まれるということになります。

いずれの場合でも支払金額は源泉徴収する前の金額で、原則として消費税を含めた額となります。未払いの金額がある場合は該当欄の上段に未払い額を内書きします。

支払調書の交付を求められた場合

本来であれば支払調書は税務署への提出義務があるのみで、支払いを受ける受注側に対しての交付義務はありません。

しかし、受注側となる個人事業主の中には支払調書を元に確定申告をする方もいるため、発注元に対して支払調書の交付を希望する場合があります。

税務署に提出する支払調書を作成する際に、もう一部同じものを作成すればよいだけなので手間はかかりませんし、今後の発注などを見据えて関係値を円滑にするためと考え、交付を求められた場合はできる限り応じると良いでしょう。

ただしその際はマイナンバーの扱いなど記載事項には注意しましょう。

マイナンバーについて

平成28年1月から支払調書へマイナンバーを記載しなければならないことになっています。このため、事業者は業務を委託して報酬を支払っている者に対し、12桁のマイナンバーの提供を受ける必要があります。

マイナンバーを取得するときには、その利用目的を明確にして本人に通知することが義務付けられており、通知した利用目的以外にマイナンバーを利用してはいけないことになっていますので十分に注意してください。

なお、報酬の支払いを受けた方対して支払調書を交付する場合には、マイナンバーは記載しません。

【支払いを受ける側】支払調書がもらえない場合の確定申告

くりかえしになりますが、そもそも支払調書は支払いを受けた者への交付義務はありません。

また、支払いを受けた側に対しても、確定申告の際に支払調書の提出が義務付けられているわけではありません。しかし支払調書があれば源泉徴収額が一目瞭然となり確定申告書作成の手間が軽減されるので、支払いを受けた側としては手元に欲しいところでしょう。

もし、支払調書がもらえなかった場合には、これまでにやり取りした取引の明細・帳簿等をすべて確認し、それを元に確定申告書に金額等を記載することになります。いざ確定申告書を作成するときになって慌てないためにも日頃から管理するようにしましょう。

おわりに

平成28年1月からマイナンバーの記載が必要になったため、支払調書の様式も一部変更されました。このように税法は毎年改正されるため、必ずしも毎年同じ内容で作成できるとは限りません。支払調書を作成する前に毎年必ず確認しましょう。

また、支払調書の提出義務の確認や作成、提出は税理士に代行依頼することもできますので、顧問税理士と相談しておくとよいでしょう。

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