「脱税」や「租税回避」とみなされる可能性がある行為とは - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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節税のつもりだったのに!「脱税」や「租税回避」とみなされる可能性がある行為とは

著者: 山田 大悟 代表税理士

会社を経営していく上で、できるだけ税負担の少ない方法を検討するのは、事業運営の重要な検討事項の一つです。しかし、いくら税負担を軽減させるためとはいえ、節税の範囲を超えた行為はすべきではありません。そのためには、正しい節税方法を知っておく必要がありますが、そもそも脱税や租税回避とどのような違いがあるのでしょうか。実際の裁判例と共に解説します。

目次

節税と脱税、租税回避の違いとは

一般的に「節税」とは、税法が予定している範囲内で合法的に税負担をできるだけ軽くすることを目的とする行為のことをいいます。たとえば、税法上の特別控除の利用等により税負担を軽減させるようなことです。

一方で、「脱税」とは違法な手段によって納税を免れる行為のことを指します。たとえば、売上高をごまかして本来より少なく申告することや、架空の人件費を計上して利益を本来よりも少なく申告することです。

そして、「租税回避」とは法律が本来予定していない「不自然」な法形式を用いて税負担の軽減を図る行為のことをいいます。

脱税や租税回避となる具体例

次に、具体的な脱税や租税回避と認定されてしまう可能性のある行為を見ていきます。

分掌変更などでの役員退職金の支給

役員退職金は役員を引退する際に支払われるものであり、退職者の月額報酬額や勤続年数によっては、大きな額の支払いが認められるため、その分税金の支払いも軽減させることができます。また、もらった個人についても通常の給与と比べて税金計算する上では優遇されています。

同族会社などの親族経営の会社では比較的よく行われる節税で、実態に伴い支給する分にはなんら問題ありません。しかし、役員への報酬というのは、経営者にとって比較的コントロールしやすい費用項目です。そのため、恣意的な利益操作を防止するために、不相当に高額な部分は損金として認められないなど、税法上さまざまな規制があります。

さて、この役員退職金ですが、分掌変更改選による再任等に際し、常勤役員が非常勤役員になる等一定の要件を満たし、実質的に退職したと同様の事情にあると認められる場合には、その役員に対して役員退職金として支給ができることが通達に記されています。

では節税のために、たとえば代表取締役を退任し取締役となり、役員退職金を支給した場合はどうでしょうか。参考として、このようなケースの国税不服審判所の裁決事例をみてみましょう。(平成29年7月14日裁決

裁決では、代表取締役を退任していても、経営上重要な業務を担い、取締役会長として経営上主要な地位を占めていたのであるから、その役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあったとは認められないので、退職給与とは認められないという結論となっています。

給与を外注費として支給

先ほどの例は法人税関連でしたが、次は消費税関連を見ていきます。

節税として言われているものの、税務調査の論点となる項目でよくあるパターンなのが、「外注費」です。たとえば急に人手がいる場合や一人親方の職人やフリーランスに社内常駐で仕事を依頼する場合、給与として支出するか、外注費として支出するかでは消費税の取り扱いが異なります。

給与であれば消費税の課税対象ではないため、仕入税額控除の対象となりませんが、外注費であれば仕入税額控除の対象となるため、支払額が同額でも税金を含めたトータルで考えると外注費のほうが消費税分安くなります。

しかし、だからといって安易に外注費にするのはNGです。形式的には外注費は請負契約に基づくものであり、給与は雇用契約に基づくものですが、契約書の形式だけを整えていればいいのかというと、そうではありません。

このようなケースで争われた裁決では、雇用契約書の作成がなくても、実質的に雇用関係であれば給与等に該当するという結論になっています。(昭和58年3月23日裁決

参考までに、税務調査等にて指針とされる通達においては、次の事項を総合的に考慮して判断するとなっています。

  1. その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか。
  2. 役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。
  3. まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても、当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。
  4. 役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか。

免税点制度のために新設法人を設立

消費税には「免税事業者」といって、一定以下の規模の新設法人等については消費税の納税が免除されるという制度があります。

この制度に関連し、繰り返し新たな法人を設立することで消費税の納税義務を逃れようとした事例があります。(税務訴訟資料第259号 順号11306 消費税等加算税賦課決定処分取消請求事件 平成21年11月5日

最終的には国税局の調査を受け、刑事事件として処分を受けることとなったのですが、概要を紹介いたします。

まず、対象となる会社は製造業であり、取引先から製品の製造作業等を請け負い、従業員を取引先の工場に派遣し、取引先から請負代金を得るという業務を行っていました。

請負業務なので、売上として取引先から受け取る代金には消費税が含まれますが、一方で、対応する経費としては従業員に支払う給料が中心であり、消費税の仕入税額控除の対象とはなりません。そのため、売上に伴う消費税の大半は、消費税の確定申告を通じて納税することとなります。

この消費税の納税を逃れるために、新設法人を繰り返すスキームが考案されます。内容としては、従来からの会社をA社とすると、A社とは別に新会社B社等を設立し、A社が取引先から請け負った業務はA社からB社等に外注委託します。

そして、派遣する従業員の雇用はB社等で行います。これにより、A社は従来給与として支出していたものが外注費となり、形式的には仕入税額控除の対象となります。

一方、通常ではB社等は消費税を納税することとなりますが、一定の要件を満たす新設法人であれば免税事業者となるため、新設法人の納税義務免除の期間については消費税を納税する義務から逃れるということです。

そして、新設法人の納税義務免除期間が終わりに近づけば、また新たな法人を設立し、今度はそちらで同様のことを繰り返し、消費税の納税義務から逃れる、というのがおおまかなスキームです。

消費税の一定の新設法人に関する納税義務の免除自体は、違法ではありませんが、このケースについては、設立される新会社に実体がなく、A社が計上したB社等に対する外注加工費は架空であり、消費税等の計算において仕入税額控除の対象とすることはできないと判断されています。

おわりに

節税のためと形式だけを整えていても、調査や裁決・裁判では実質的にどうかという点まで踏み込んで判断されます。節税として安易に考えていた行為が、脱税や租税回避として税務調査で指摘されてしまうと、最終的にはペナルティを払うこととなり、大きな損失となってしまいます。

このようなことがないように、税理士に相談しながら正しい節税を行えるようにしましょう。

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