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元国税局職員の芸人が解説!「脱税のための支出」を損金算入しようとした事例

元国税局職員さんきゅう倉田です。最近見た夢は『評価通達6項の適用基準』の夢です。

脱税。それは不正な手段や法を逸脱した方法で納税を免れる行為。実行すれば税務調査が入り、架空経費や売上除外が発覚し、本来よりも納税額が増加します。さらに規模が大きくなれば、脱税を行うにもお金がかかります。そういった「脱税のための支出」は、損金にできるのでしょうか。

経費をごまかして得た収入はどうなる?

違法な収入が課税所得となるかは、以下の通り明らかです。

所得税基本通達36-1
「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。

つまり「犯罪で収入を得ても税金払ってくださいね」ということです。

では、経費に関してはどうかというと、不動産仲介業者が、宅建業法の規制を超えて仲介手数料を支払った場合に、損金として認められた事例が過去にありました。

今回紹介する事例では、脱税を行うために他社に金銭を支払って脱税に協力させ、その支払いを損金に算入しようとしたものです。なんとも、身勝手極まりないと考え方と言わざるを得ませんが、当時、これに対するルールがなく、裁判で争われことになる事件となりました。

脱税手数料を損金に

むかしむかし、とあるAという会社が、所得を隠すために、社外の協力者に存在しない土地の造成工事の見積書と請求書を作成・提出させ、それらの金額を損金に算入し、確定申告をしました。

いわゆる「架空外注費」ですが、これが損金になるかならないかは議論の余地のないところです。本来存在しない支払いですし、費用収益対応の原則からいっても、収入の発生しない架空の造成に対する経費は認められないように思います。

このA社は、協力者に手数料を支払っていました。協力者も、お金をもらえなければ、そのような不正に協力するインセンティブはほぼないワケですから、当然のことといえます。そこでA社は、この手数料も損金にしたのです。

豪快です。海賊とか山荒らしに向いているかもしれません。

会社にとって税金とは、あまたあるコストのうちのひとつであり、その金額を少なくしたいというのは当然の考え方ではあります。だからといって、不正に協力させるための支払いを経費にするでしょうか。一般的には隠したいお金であり、帳簿に載せて損金にするなんて、逆に新しい。

法人税法22条には、法人が益金と損金にするべきものがざっくり書かれています。その4項には、益金と損金について『一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする』とあります。これを「公正処理基準」といいますが、このような支払いはこの基準に反するものです。公正さ・妥当さ、どちらもありません。

税法では、偽りやその他不正な行為により納税を免れようとする者に対し、刑罰を用意し、公平性が傾かないように図っています。この手数料を損金として認めると、それは脱税を助長することになりますし、軽減された税金は、誰が負担するのかという問題があります。

それは国が負担することになり、ひいては、国民全員でちょっとずつ負担することになります。おそらくA社は、こういった手数料が経費にできないということが、法人税法上明確にされていないということで訴えを起こしたのではないでしょうか。

それではよくないということで、この事例のあと法人税法が改正され、このような支払いは損金に算入できない旨が規定されました。

(不正行為等に係る費用等の損金不算入)
法人税法55条(抜粋) その所得の金額若しくは欠損金額又は法人税の額の計算の基礎となるべき事実を隠蔽し、又は仮装することによりその法人税の負担を減少させ、又は減少させようとする場合には、隠蔽仮装行為に要する費用の額又は隠蔽仮装行為により生ずる損失の額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

法の抜け目を掻いくぐった脱税行為

今回の会社は、税務調査を受け、売上を除外し、仕入れを過大計上して、修正申告を促されていましたが、懲りずに毎年、過少申告を行っていました。一度不正が発見されると、その後に税務調査を受ける可能性が高くなりますし、現在の税法では、重加算税が割増になります。そういったリスクを背負ってまで過少な申告を続け、さらに今回の脱税協力金を支払ってまで、架空の造成工事を損金にしたのです。

計10億円の脱税を行っていたA社は、手数料として1900万円を支払っていました。そんなに支払うのなら、税金も正しく払えばいいのに、という考えがよぎりますが、その数倍の納税をしなければいけないと考えると、不正に心が傾くのかもしれません。

倫理的、道徳的には当然のように経費にできないと考えられる支払いでも、法律上明確にされておらず、裁判で争われることがあります。脱税をしてそもそも国に支払うべきものを払わず、さらに、公務員の中でも特に給与の高い法曹関係者を多数動員させる裁判を起こして、歳入を圧迫するなんて、恣意的です。脱税により、国やあなたの隣人にどのくらいの損害が出るのか考えてほしいものです。

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