税務調査の対象となりやすい個人事業主は?特徴や業種、対応策などを詳しく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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税務調査の対象となりやすい個人事業主とは?【税務調査ガイド】

監修: 門田 睦美 税理士

「税務調査は大企業に対して行われるもの」と考えている個人事業主の方もいるかもしれません。残念ながら、それは大きな間違いであって、税務調査は個人事業主に対しても実施されます。

では、税務調査の対象となりやすいのはどういった個人事業主でしょうか。税務調査の対象になった場合に気をつけることとあわせて解説します。

目次

税務調査が入る確率は?

まず、税務調査は、大きく「任意調査」と「強制調査」の2種類に分かれています。

国税局査察部が脱税が疑われる法人などに行う調査として「強制調査」がある一方で、「任意調査」とは、税務署などが納税者の協力により申告内容を確認するために行う調査となっています。

一般的には税務調査のほとんどが「任意調査」と言われており、納税者が提出した申告書や独自に収集した情報などをもとに、納税者の実態を把握するための「準備調査」が行われたあと、調査員が現地に出向いて調査を行う「実地調査」が行われます。

国税庁が2018年に発表した「税務行政の現状と課題」によると、税務調査のうち実地調査件数の割合は、法人は3.2%、個人は1.1%となっています。

つまり、実地調査が行われるサイクルを単純計算すると、法人で約30年に1回、個人の場合はおよそ100年に1回の確率で行われるということです。

そう言われると「税務調査などめったに来るものではない」と考えがちですが、一概にそうとも限りません。営んでいる業種や、売上・経費などの会計内容により、調査を受ける可能性が高まるケースがあるのです。

税務調査の対象になりやすい個人事業主の特徴は?

個人事業主の場合、一般的に以下のような特徴が見られると税務調査の対象となりやすいと言われています。

  • 売上高が大きい
  • 売上高に比べ所得金額が極端に少ない
  • 売上高や所得金額の変動が大きい
  • 脱税や申告漏れが多いとされる業種(風俗業、IT業、建築業など)

ただし、これらの項目に該当するからといって、必ずしも税務調査が入るわけではありませんし、反対に該当しない場合でも、税務調査の対象となる可能性は十分にありえます。そのため、税務調査を他人ごとと思わず、いつでも対応できるように準備しておくに越したことはありません。

業種別に見る税務調査の対象となりやすい個人事業主とは?

続いて、業種別に申告書でやりがちな間違いなど「税務署から目をつけられやすい点」を説明します。

フリーランス

フリーランスとして働いている場合、「売上の実態が把握しづらい」「報酬金額が高額になりやすい」などの理由から税務調査の対象となることがあります。

日頃から注意すべきこととしては「取引関係を明らかにしておく」という点です。報酬の出所はどこで、いくら報酬をもらったのかを証明できるようにしておきましょう。とくに、フリーランスのエンジニアやプログラマーといったIT関係の仕事ではあまり経費が発生しないと想定されるため、必要経費が多い場合は目がつけられやすくなるでしょう。

一人親方

とび工事や解体工事、防水工事などの建築関係の事業を行っている「一人親方」と呼ばれるような、個人事業主が注意すべきは「外注費関係」です。

従業員を雇っていない場合、業務の一部を外注するケースも多くみられますが、そのときは必ず領収書を受け取って、事業に必要な経費であることを証明できるようにしておきましょう。

農家

少し前の話ですが、2014年11月に大阪国税局が京都府、滋賀県、兵庫県の米農家に対して一斉に税務調査を行ったという事例があります。かつては農協を通しての販売がメインでしたが、最近ではネット通販や直売所などで直接販売する農家が増えたことから、調査対象となるケースがあるようです。

一方で、農家の方でいまだに確定申告をきちんと行なっていない方も少なくないようです。まずは毎年の確定申告を怠らないこと、日々の売上や費用を記録し、帳簿を作成することが大切です。直売している場合は、その売上管理の漏れに気をつけましょう。

飲食店

飲食店のような現金商売の場合は、抜き打ちでの税務調査(無予告調査)が行われやすいといわれます。

ただし、無予告調査はあくまでも「税務当局に正確な所得額などを把握させないように、納税者が違法行為・不法行為を行う恐れのある場合」に限られています。

もし無予告調査が行われた場合には、調査自体の拒否はできませんが、「税理士が来るまで待ってもらう」「調査日を改めてもらう」といった対応を取ることは可能です。なるべくお店の営業に影響しないような状況で税務調査を受けるといいでしょう。

その上で飲食店が気をつけるポイントは「売上管理」と「所得隠し」です。日々の売上高の記帳はもちろん、レジの打ち忘れや売上の不正な除外は行わないようにしましょう。

美容室・美容院・エステサロン

美容室や美容院、エステサロンなども、飲食店と同様に現金商売を行っているため、税務調査の対象となりやすくなっています。特に、エリアや店舗の規模が同じくらいの同業者と比べて、利益が著しく少ない場合には、税務署の目に留まりやすいといわれています。

気をつけるポイントも飲食店と同様に「売上管理」と「所得隠し」です。税務調査官は来店管理表などから正しく売上管理がされているかをチェックします。日ごろから来店数や売上高を管理して、指摘を受けないように努めましょう。

ネットショップ(EC)

最近では個人でネットショップを開業している方も多くなっています。そのため、こうした人に向けた税務調査も近年は行われているようです。

「複数のネットショップモールに出店している」という場合には「すべてのショップの売上管理」に気をつけましょう。異なるネットショップの店舗名で出店している場合には、すべての店舗の売上・費用を管理してしっかりと帳簿を作成することが大事です。

税務調査に対応する際のポイント

税務調査対応する際には、次のポイントをおさえておきましょう。

日程調整

実地調査は1~2日程度かかるのが一般的です。税務署からの事前通知により日程の指定がされますが、指定日で不都合がある場合は調整してもらうことが可能ですので、遠慮なく申し出ましょう。それにより調査に影響があることはありません。

用意しておく資料

税務調査の対象となる書類やその調査対象期間は、事前通知で知らされます

個人事業主の場合は、帳簿書類、領収書、請求書などの準備ができていると安心です。帳簿書類は一部を除いて、7年間保存しておくことが義務付けられていますので、日頃から整理して保管するようにしておきましょう。

なかには、資料を税務署に持ち帰って調査するというケースもありえます。手元にないと業務に支障をきたすと思われる書類は、コピーを取るなどで対応しましょう。

なお、当日の調査官への昼食やお茶の準備は必要ありません。調査官は「国家公務員倫理規程」により飲食提供を受けることはできないことになっています。

税務申告ミスは事前に修正申告する

税務調査の連絡を受けて書類を整理しなおしていたら、過去の申告ミスが見つかった、なんてことがあるかもしれません。

申告内容に誤りがあり、本来納めるべき税額よりも少ない税額で申告・納税していた場合には「過少申告加算税」が課せられるほか、利子として延滞税も課せられます。これらは税務調査の結果を待つ前に自ら修正申告をすることで低減させることができます。

ですので、税務調査が実施される準備段階で申告ミスに気がついたときはすぐさま修正申告するようにしましょう。

税理士に立会いを依頼した方がいい?

税務調査の対象となったときには、税理士に調査当日の立会いなどを依頼できます。税務調査で対応してくれること、依頼するタイミングなどを、あらかじめ確認しておきましょう。

税理士が対応してくれること

税理士は税務調査の当日だけではなく、「必要書類の準備・確認」や「書類の不備の指摘・是正」などといった事前準備にも協力してくれます。調査当日には「質疑応答のサポート」や「指摘内容の妥当性の判断」といった対応をしてもらえます。もし税務署から指摘事項があった場合には、修正申告が必要になりますが、その手続きまで対応してくれます。

税理士に立会いを依頼するメリット

税理士に立会いを依頼するメリットとしては、税務署とのやり取りや交渉を一任できる点や、不要な追徴課税を回避できる点があります。

税理士への報酬こそ発生しますが、納税者である個人事業主本人がひとりで対応するよりも身体的・時間的・精神的に負担が少なくて済むケースが多くなります。

税理士に依頼するタイミング

税務調査は原則として事前通知によって実施予定日が連絡されます。事前通知が行われる目安は決まっていませんが「通知から調査までは相当の時間的余裕を置く」とされているため、事前通知が来た時点ですぐに税理士に相談するといいでしょう。

調査通知について

以前は事前通知後に自主的に修正申告を行えば、加算税は課されませんでした。つまり、事前通知がくることを悪用して、調査が入る前に修正申告をするといったことが可能だったわけです。

そこで加算税制度が2017年1月に改正され、事前通知の前に「調査通知」がされることになったのです。それに伴い、調査通知後に修正申告を行った場合は、過少申告加算税が5%(一定金額を超える部分は10%)が課されることになりました。

ちなみに調査通知で通知されるのは、次の3項目です。

  • 実地調査を行う旨
  • 調査対象となる税目
  • 調査の対象となる期間

万が一、間違って税金を少なく申告してしまった場合には、調査の通知が入るまで放置せず気づいた時点で速やかに修正申告を行うことが大切です。

依頼費用の相場は?

税務調査の依頼料は、依頼内容・依頼日数などによって異なります。税理士や税理士事務所によって金額に差はありますが、依頼料の目安金額はおおよそ以下のとおりになっています。

  • 調査前の対応:3万円~5万円/1日あたり
  • 調査当日の立会い:3万円~5万円/1日あたり
  • 修正申告の代理手続き:10万円~20万円/1回あたり

なお、通常であれば税務調査は1~2日程度で終了となりますが、場合によってはそれ以上の調査日数を要することもあります。そのため、税理士に依頼する際には、報酬についてもよく考えるようにしましょう。

おわりに

大切なのは、日頃から売上管理や帳簿管理などをきちんと行っておくことです。それでも税務調査の対象となった場合には、事前通知が来た時点でなるべく早めに税理士に立会いの依頼をするといいでしょう

ただし、税理士といえども全員が税務調査に精通している訳ではありません。それぞれの税理士、税理士事務所によって得意とする税務の分野が異なりますので、「国税庁OB」などの経歴があり税務調査に強い税理士を選ぶことをおすすめします。

また、税務署管轄の税理士も税務署長や統括官とコミュニュケーションをとっていることもあり、顔なじみであることの優位性があることもありますので、税理士選びの際に検討されるとよいでしょう。

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