水商売の税理士費用の相場は?顧問契約のメリットも解説

キャバクラやスナック、ホストクラブ、ガールズバーなどの水商売は、税務調査が入る割合が高い業種です。
税務調査で申告漏れを指摘されると、ペナルティとして多額の税金を納めることにもなりかねません。
そのような事態を防ぐには、やはり正しく申告することが重要です。そこで頼りにすべきが「顧問税理士」ですが、料金の相場はどのくらいなのでしょうか?
目次
水商売における税理士費用の相場は?
「税務調査の心配をせずに、店舗運営に専念したい」。そう考えた際にまず気になるのは、「どのくらい費用がかかるか」ではないでしょうか。
税理士ドットコムにおける相談実績では、水商売のお店を営む方の顧問料は、個人店で約24万円、法人で約45万円が平均金額となっています(※)。
ただし、売上が高いお店や、税理士に依頼する業務が多い場合などには、その分税理士の作業負担が増えますので顧問料の金額も高くなります。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」における相談
実際いくら?水商売の税理士費用の実例
では、水商売の事業者で顧問税理士をつけている方は、どのくらいの費用で契約しているのでしょうか。税理士ドットコムにおける実例をいくつか紹介します。
実例1)年間顧問料:280,000円
売上高3000万円/スナック(東京都・個人事業主)
スナックを経営する個人事業主から、これまでお付き合いのあった税理士の対応に不満があるため税理士を変更したいというご相談です。
税務や経理面に関してあまり知識がないため、わかりやすく説明いただける税理士をご希望されていました。
現在の年間顧問料30万円(税別)と同額程度でお探しし、相性面でも好印象だった税理士と年間28万円(税別)でご契約されました。
実例2)年間顧問料:400,000円
売上高4000万円/ホストクラブ(神奈川県・個人事業主)
別の方が運営していたホストクラブを引き継がれた方より、顧問税理士を探しているというご相談です。
これまでお店では経理担当をされていたとのことですが、税務面で不安があるため、ホストクラブの顧問経験があり手厚くサポートいただける税理士をご所望でした。
税理士を3名紹介させていただきましたが、最初に面談した税理士が好感触だったとのことで年間40万円(税別)のご契約で即決となりました。
実例3)年間顧問料180,000円
売上高1200万円/カラオケパブ(東京都・法人)
カラオケパブを経営されている合同会社の方より、決算書類のチェックと月次相談ができる税理士をお探しというご相談です。
仕訳や書類作成は自社で行うので、なるべく金額は安く20万円程度で依頼したいとのご希望でした。
ご予算に合う水商売の顧問経験のある税理士をご紹介し、年間18万円(税別)でご契約されました。
実例4)年間顧問料480,000円
売上高5000万円(見込み)/ラウンジ(滋賀県・法人)
新しくラウンジ店をオープンされる予定の方より、顧問税理士をお探しというご相談です。
記帳代行や年末調整の依頼と、現在使用されている会計ソフトへの対応のほか、お店の近くの距離の税理士をご希望でした。
条件に合う税理士をご紹介し、記帳代行、年末調整込み年間48万円(税別)でご契約となりました。
実例5)年間顧問料630,000円
売上高5000万円(見込み)/キャバクラ・バー(京都府・法人)
キャバクラやバーを経営されている株式会社の方より、顧問税理士をお探しというご相談です。
法人は計2社あり、創業したばかりで契約中の税理士がいないため早急に探したいというご依頼でした。
3つの税理士事務所とご面談され、いちばん好印象だった税理士と、2社分記帳代行込み年間63万円(税別)でご契約されました。
顧問税理士がいれば万が一の税務調査も怖くない
税理士といえば「確定申告の代行をお願いできる専門家」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし、税務調査が入りやすい水商売においては、顧問税理士をつけるメリットはそれ以上にあるといいます。
そこで松本税務会計事務所の松本崇宏税理士に、解説をしていただきました。
Q.水商売業を経営される方にとって、税理士と顧問契約することでどのようなメリットがあるでしょうか?

ー 松本崇宏 税理士
税理士と顧問契約をするいちばんのメリットは、税務調査を見据えた対応が取れることではないでしょうか。
水商売は特に税務調査が多い業種と言われています。さらに、調査で不正が発見される割合がもっとも高いのも、バーやクラブといった水商売関係の事業となっています。
事実として、水商売を営む事業者の方の中には、意図的に脱税や違法行為をされる方が多いです。
税務署の方でも、こういった事情は把握していますので、毎年多くの税務調査が行われています。
中には、意図的に不正をしたわけではない方もいらっしゃるはずですが、その場合でも不正とみなされてしまうと多額の追徴課税をうける可能性は否めません。
税務調査の知識と経験がある税理士と顧問契約をしておけば、こうしたリスクに備えることができます。
「水商売は税務調査が入りやすい」その実態は?
国税庁では「所得税及び消費税調査等の状況」により、<個人事業主1件当たりの申告漏れの所得金額が高額な10の業種>を公表しています。
令和3事務年度の調査では水商売はランク外となっていますが、それ以前は過去10年において、キャバクラ、風俗業、バーなどの水商売は、申告漏れの多い業種トップ10にランクインしているのです。Q.税理士に依頼することで、どのようなサポートをしてもらえますか?

ー 松本崇宏 税理士
税務調査の知識と経験がある税理士と顧問契約をしておけば、こうしたリスクに備えることができます。
まず第一に、税務調査が入る前に対策が取れます。税務調査で指摘されやすいポイントというのはいくつかありますので、知識と経験のある税理士であれば適切な助言をくれるでしょう。
また、もし税務調査の対象になった場合には、経営者と税務署の間に立って交渉をするのが税理士です。
経営者の方が直接調査官とやり取りをすると、一挙手一投足が駆け引きの材料になります。調査が始まったとしても、店の運営自体は続いていくので、経営者の方が税務調査対応と経営を両立するのはかなりのストレスがかかります。
事前に顧問契約があれば税理士が適切に対処し、経営者の方とお店を守ってくれるでしょう。
面倒な記帳もおまかせ!
水商売は、現金でのやりとりが多いうえに売上・経費伝票が大量であることから、日々の経理が煩雑になりがちです。そこで、顧問税理士に記帳代行を依頼するのもひとつの手段です。
税務に関する業務を顧問税理士にお願いすることで、煩わしい作業の手間や余計なミスをなくし、お店の運営に専念することが可能になります。
税理士を選ぶときのポイント
費用も気になりますが、顧問契約をするのであれば、「どんな税理士に依頼すればいいか」も悩むところでしょう。そこで、松本税理士に「水商売における税理士選びのポイント」についても伺いました。
Q.税理士選びのポイントを教えてください

ー 松本崇宏 税理士
水商売は他の業種と比べても、特殊な処理や判断が必要になる場面が多い業種です。
専門的な知識をもって、適切な処理や提案をしてくれる税理士であれば安心して任せられるでしょう。
たとえばプレイヤー・キャストの報酬は水商売の税務調査で大きな争点になります。業務委託として報酬を支払うのか、雇用契約として給与を支払うのかで、消費税・源泉所得税・社会保険料などの金額が大きく変動します。そのため、税務調査官も特に注意するポイントなのです。
知識のある税理士であれば、お店の実態に合わせて適切な処理や提案をしてくれるでしょう。
Q.そのほか注意するポイントはありますか?

ー 松本崇宏 税理士
当事務所にご相談に来られるお客様の中には、前任の税理士に誤った処理や助言をされている方も多く見受けられます。
また、税理士をつけずに、周囲の経営者に言われるがままに税務処理を行い、結果的に脱税行為をしてしまっている方もいらっしゃいます。
そういった場合であっても、税務調査の際には追徴課税の対象になりますので、経営者の方は不本意に負担を強いられることになってしまいます。
お店に税務調査が入った際に、プレイヤー・キャストの調査に移行する可能性もゼロではありません。従業員にも不安を与えますし、その後のお店の運営にも大きなリスクになりますので、広い視野をもってアドバイスをくれる税理士であれば安心でしょう。
水商売業に強い税理士をお探しのときは
「会計や税務に明るくないので指導してくれる税理士が良い」「今の税理士に不満があるので変更したい」など税理士探しでお悩みの方は、税理士ドットコムの<税理士紹介サービス>までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!