損してるかも?!キャバ嬢が確定申告した方が良い3つの理由

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075866955

  1. 税理士ドットコム
  2. 確定申告
  3. 確定申告のハウツー
  4. 損してるかも?!キャバ嬢など水商売の方が確定申告した方が良い3つの理由

損してるかも?!キャバ嬢など水商売の方が確定申告した方が良い3つの理由

監修: 佐藤 全弘 税理士

キャバクラやクラブで働く水商売の方(以下より、キャバ嬢とします)は、「お店で10%引かれているから、申告しなくて良い」や、「キャバクラで働いているのがバレるから申告しない」などの理由で、確定申告をしない方が多いようです。

実は、このような理由で確定申告をしていない方は、税金面で不利になっている可能性があります。

キャバ嬢はどんな場合に確定申告が必要になるのか。なぜキャバ嬢は確定申告をした方が良いのか。その理由について解説します。

目次

確定申告ってなに?

確定申告とは、税金の納税額を確定する手続きのことです。

一般的にいう確定申告は所得税の確定申告のことを指し、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得を計算し、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算します。

簡単にいうと、1年間にその人が払う税金はいくらなのかを確定させる為に、収入や経費を税務署に申告し、税金を支払う(または返してもらう)までの手続きの事をいいます。

手続きは、翌年の2月16日から3月15日の間に行います(2021年度分の確定申告期間は、2022年2月16日(水)〜3月15日(火))。

新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な場合、簡易な方法により、2022年(令和4年)4月15日まで申告・納付期限の延長申請が可能です。詳しくは国税庁発表の資料で確認いただけます

キャバ嬢も確定申告するの?

確定申告は、所得があるすべての人が対象というわけではありません。基本的に、以下のような条件にあてはまる場合に、確定申告が必要になります。

  • 個人事業主やフリーランスとして働いており、所得額が48万円を超えている人
  • 年間の副業の利益(所得)が20万円を超える人
  • 医療費控除、雑損控除、寄附金控除、住宅ローン控除などの控除を受けたい人
  • 源泉徴収や年末調整を受けていない給与がある人
  • 給与が年間2,000万円を超える人

これを水商売(キャバ嬢)の方に置き換えてみると、主に以下の4パターンに分けられます。

  1. キャバ嬢が本業で、お店との間に雇用契約があり「給料」としてもらっている場合
  2. キャバ嬢が本業で、雇用契約がなく「個人事業主」という扱いの場合
  3. キャバ嬢が副業で、お店との間に雇用契約があり「給料」としてもらっている場合
  4. キャバ嬢は副業で、雇用契約がなく、「個人事業主」という扱いの場合

これらの違いは、「お店との間に雇用契約があるかどうか」「本業か副業か」です。

自分がお店とどのような契約を結んでいるのか分からない、という方はお店に確認してみましょう。

1に該当する人:夜職が本業(雇用契約あり)

お店と雇用契約をしていて給与所得として賃金をもらっている場合は、会社員など給与所得者と同じ扱いになるので、基本的には確定申告は不要です。

ただし、「年の途中で退職するなどして年末調整を受けていない場合」、「給与が年間2000万円を超える売れっ子キャバ嬢」という場合などは、例外的に確定申告が必要になるので注意しましょう。

また、年末調整で適用されない所得控除(医療費控除やふるさと納税等)を適用したい場合や、キャバクラ以外の副業の所得(収入から経費等を引いた額)が20万円を超えた場合などでも確定申告が必要になります。

2に該当する人:夜職が本業(雇用契約なし)

お店との雇用契約が無い場合は、いわゆる「個人事業主(フリーランス)」という形になるため、1年間の所得額が48万円を超える場合に確定申告が必要となります。

ここでいう所得とは、お店から支給されるお金(収入)からキャバ嬢の仕事をするために使ったお金(必要経費)を引いたあとの金額のことをいいます。

所得 = 収入 − 経費

3に該当する人:夜職は副業(雇用契約あり)

キャバ嬢が副業で給与としてお金を得ている場合は、本業以外に年間20万円超の給与収入がある場合に確定申告が必要になります。

例として、昼はOLとして400万円の給与収入があり夜はキャバ嬢として働いている、といったケースで考えてみましょう。

  • キャバ嬢として年間300万円の収入があった → 確定申告が必要
  • キャバ嬢として年間15万円の収入があった → 確定申告は不要

4に該当する人:夜職は副業(雇用契約なし)

キャバ嬢が副業で雇用契約が無い場合は、本業以外に年間20万円超の所得がある場合に確定申告が必要になります。

ここでいう所得とは、収入(売上)から必要経費を引いたものです。

また、本業も個人事業主として事業を営んでいる場合、つまり本業で得ている所得が給与所得ではなく事業所得として区分される場合には、本業とキャバ嬢での所得を足して48万円に満たない場合は、確定申告は不要です。

確定申告をした方が良い3つの理由

キャバ嬢の方の中には、「お店で10%引かれてるから」「会社にキャバクラで働いてるのがバレたくないから」「税金の心配はあるけど何をすれば良いか分からない」といった理由で確定申告をしない人が多いそうです。

ですが、確定申告をしていないことで知らないうちに損をしてしまっていることがあります。

払いすぎた税金が戻ってくる

お店から給料をもらう際に一緒に明細書をもらう人が多いと思います。改めて明細書をよく見てみると「源泉徴収」という項目で、いくらか引かれていないでしょうか?

源泉徴収とは、勤め先が前もって給料から所得税に相当するであろう額を引いて、代わりに国に納めることをいいます。

この源泉徴収は、個人の事情を加味せずに計算されているため、本来納めるべき税額よりも多めに引かれていることがあります。その分を年末調整にて調整するのですが、中には年末調整がされないお店もあるでしょう。

また、年末調整で適用できない医療費控除などの所得控除を受けたい場合に、確定申告(還付申告)を行うと、「還付」という形で払いすぎた分を返してもらうことができます。

つまり、先ほど説明した確定申告が不要なケースに該当する場合でも、自ら確定申告をすることによって税金が返ってくる可能性があるということです。

還付を受けることができるのに、このことを知らずに手続きをしないことはとてももったいないことです。自分が該当するかどうか、明細書を確認してみると良いでしょう。

会社バレを防げるかもしれない

「昼はOL、夜はキャバ嬢」と、副業としてキャバクラで働いていて、「会社にバレると困る…」という方もいらっしゃるかと思いますが、そもそもどうして副業が会社にバレてしまうのでしょうか?

もちろん、「働いているキャバクラにたまたま上司が来た」等の理由でバレてしまうこともあるかもしれませんが、ここでは税金に関連したお話をします。

副業が住民税からバレる?

「住民税から副業をしているかバレる」といった話を、聞いたことがある方もいるかと思います。

住民税とは、国に納める所得税とは異なり、各地方公共団体(市町村などの自治体)に納める税金です。税務署に所得税の確定申告を行うと、その内容が税務署から管轄の市区町村の役所に送られ、住民税が計算されます。

基本的には、住民税も会社の給与から天引きされる仕組みになっていて、これを「特別徴収」といいます。このため役所は、おおよそ4月から5月の間に本業の勤め先である会社に住民税額を伝えることになります。

つまり、キャバ嬢として稼いだ額を加味した住民税額が会社に送られてしまうため、この時点で会社の経理が、「この人、昇給してないのにもかかわらず、住民税額が上がっているぞ?」「同じ給料をもらっている人の中でずば抜けて住民税が高いぞ?」となり、会社以外からの所得の存在(副業)がバレるということにつながります。

これを防ぐため、住民税の支払いを自身が直接市町村に納める「普通徴収」という方法に変更することができます。

これは確定申告時に、確定申告書の第二表の住民税の欄の「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」の「自分で納付」にチェックを入れることで可能になります。

これにより、副業分の住民税を自ら納めることができるため、会社に副業分を加えた住民税額が通知されません。

ただし、お住いの市町村によって普通徴収が認められない場合もありますので、この対処法はあくまで、バレる確率を低くするものです。

また、税金以外からの情報でも副業がバレる可能性は多数ありますので、副業が絶対にバレない方法はないと念頭に置いておきましょう。

無申告は罰則の対象

確定申告をしないといけない方が、確定申告をしないと「無申告」という扱いになり、罰則の対象となってしまいます。

具体的には、本来行うべきだった申告を怠った場合に追加で納める必要がある「無申告加算税」や、納税すべき税金を期限までに納めなかった場合に追加で支払う「延滞税」という「追徴課税」が課されます。

「今まで確定申告していないけど一度も取り立てとか来てないよ?」という方もいらっしゃるかもしれません。確かに、現時点ではバレていないかもしれませんが、税務署が調査を始めれば必ず見つかってしまいます。

税務調査は過去5年に遡って調査できるため、場合によっては既に目をつけられていて、泳がされているということもあるかもしれません。実務上では、3年というケースが一般的ですが、偽りその他不正の行為の場合は7年に遡って調査される可能性もあります。(国税通則法70条)

後からまとめて税務署からのお尋ねを受けて、数十万円〜数百万円の税金を払ったというケースもあるようです。そのようなことがないように、確定申告の対象となる方は必ず確定申告をしましょう。

住民税に関するよくある誤解

これまで説明したとおり、副業の収入が20万円以下であれば確定申告は不要です。

ただし住民税申告は、所得税の確定申告が必要ではない場合でも必要になる可能性があるので自治体に確認しましょう。なお、所得税の確定申告をすれば住民税申告は不要です。

キャバ嬢が経費にできるもの

必要経費とは、事業を行う上で必要な出費を指し、キャバ嬢の場合は「お店での接客に際して必要な出費」が経費にあたります。

所得税は文字通り「所得にかかる税金」なので、所得を減らすことが税負担を減らすことに繋がります。

たとえば、収入が同じ500万円だとしても、必要経費が0円か100万円なのかで納める税金の額が変わります。

つまり、経費として認められる額が多ければ多いほど、納める税金が少なくなるのです。

それでは、キャバ嬢の「必要経費」として認められる具体的なものを、以下に紹介します。

ヘアメイク代

ヘアメイク代やコスメ代などは、接客に必要な範囲内で経費として認められます。

ただしファンデーションなどコスメ代に関しては、日常生活で使用できる分、つまりは業務外でも使用できるとみなされる可能性があるため、全額を経費にすることは難しいでしょう。

その場合は、仕事で使用する分とプライベートの分と按分して計算し、経費として計上することになります。

衣装代

お店で着るドレスや衣装は経費として認められます。ただしこちらもコスメ代と同じく、普段着るような衣服に関しては経費としては認められません。

タクシーなど移動交通費

お店に出勤する、もしくはお店から家に帰るタクシー代や電車代なども必要経費として認められます。

プレゼントなどの交際費用

常連のお客さんにプレゼントを渡したり、外食をしたりする場合などに使ったお金も経費とすることができます。

携帯代

プライベートとは別に、お店用(仕事用)の携帯を持っている方も多いと思いますが、この料金についても経費になります。

プライベートと仕事用が同じ携帯の場合は、仕事で使っている分だけが経費として認められます。

高額なプレゼントをもらうと税金がかかる?

キャバクラやホストクラブなど夜のお店で働いていると、お客さんからプレゼントをもらうということもあるのではないでしょうか?

中には、バッグ、貴金属、車、マンションの部屋など高価なものを受け取っている方もいらっしゃると思います。

この点、気をつけて頂きたいのが、高価なプレゼントには税金がかかるということです。

年間110万円を超える財産を受け取った場合には、贈与税が発生してしまいます。

このとき自分が欲しいと思ったものでなくても、法律上は相手が「あげる」という意思表示をして、自分が「もらう」という意思表示をした時点で「贈与」が成立します。

1年間で受け取ったプレゼントのトータル額が110万円を超える場合、贈与税申告が必要になるので注意しましょう。

また、不要になって質屋やフリマアプリで売ったときはそこで得た利益に対して所得税が発生する場合があるので、覚えておきましょう。

確定申告のやり方と準備

最後に、給与ではなく個人事業主として収入を得ているキャバ嬢向けに、確定申告のやり方と事前に何を準備すれば良いのかを簡単に説明します。

領収書を保管しておく

まず、経費が経費としてきちんと認められるためには、支出の「証拠」が必要です。その証拠となるのが「領収書」「レシート」です。

領収書やレシートを残しておくことで、のちに税務署からお尋ねがあった際でも、いつどこで何を買ったかが分かるため、経費として認められやすくなります。

反対に、レシートや領収書がないことで本来であれば経費として認められたはずの支出が経費として認められないことがあります。今まで、レシートや領収書を捨ててしまっていた方もこれからはきちんと保管するようにしましょう。

青色申告か白色申告か

雇用契約を結んでいないキャバ嬢(個人事業主としてキャバクラで働いている方)が確定申告を行うときには、「白色申告」「青色申告」のどちらかを申告方法として選ぶ必要があります。

それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。

 メリットデメリット
白色申告

・事前申請が不要
・帳簿付けが簡単
・確定申告時に提出書類が少ない

・青色申告で得られるメリットが受けられない

青色申告

青色申告特別控除(最高65万円)
・赤字が繰り越せる(3年間)
・家族への給与が経費にできる

・事前申請が必要
・帳簿付けがやや複雑
・確定申告時に提出書類が多い

青色申告を選択する場合は、事前に「青色申告承認申請書」を提出しなければならないので、あらかじめ準備しておきましょう。

期限内に申告する

最初の方にも述べた通り、確定申告が必要な人は、翌年2月16日から3月15日の間に1年間分の所得について、最寄りの税務署に申告しなければなりません。

期限内に、確定申告書や帳簿などの必要書類を揃え、お住いの管轄の税務署に提出またはe-Taxという制度を利用して確定申告を行いましょう。

年収が高い場合は専門家に依頼

年収が高くなればなるほど、所得にかかる税金も多くなります。つまり節税をすることで抑えられる税金の額も大きくなるということです。

そういった場合、専門家に確定申告の代行を依頼することで、高い節税効果を得られることがあります。また、経費の仕訳などの作業もすべて請け負ってくれる税理士もいます。

場合によっては、依頼料を払ってもなおトータルでプラスになることもありますので、税理士に確定申告の代行を依頼するということも検討してみても良いでしょう。

おわりに

確定申告は、面倒だし税金を払わなきゃいけないから損をする、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、無申告はペナルティが課せられる上に、確定申告をしたほうがお得だったというケースもあります。

「私の場合、どうなんだろう?」と疑問や不安に感じることがあれば、税務署や税理士に相談しましょう。

税理士に税務相談したいときは

クラウド税務相談」では、税理士探しの手間をかけずに、低コストで税務相談が可能です。トークルームは非公開なので、具体的な所得金額などの書き込みもOK。24時間お好きなタイミングで相談を投稿いただけます。

もっと記事を読みたい方はこちら

無料会員登録でメルマガをお届け!

確定申告に関する他のハウツー記事を見る

もっと見る
他の税務相談を探す
分野

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る