学生のアルバイトでも確定申告は必要なの?掛け持ちしている場合はどうなる?

アルバイトをしている学生の中には、「飲食店でアルバイトをしながらインターンをしている」、「コンビニのアルバイトとファミレスのアルバイトを掛け持ちしている」など、複数の仕事を掛け持ちしているという方もいるかと思います。
原則として、収入が1箇所からのみで、年末調整がされていたり、年間103万円以下の給与収入であれば、確定申告は不要です。しかし、前述のケースだと、確定申告が必要になる可能性があります。
そこで今回は、複数のアルバイトを掛け持ちしているときに確定申告が必要となる基準についてご説明いたします。場合によっては税金が返ってくることもあるので、自分が当てはまるケースについてよく確認してみましょう。
目次
学生でも確定申告って必要?
まずは通常の確定申告の要件を見ていきましょう。確定申告が必要な状況は、以下のとおりです。
- 年末調整されていない給与所得がある
- 公的年金に係る雑所得から所得控除を引いて残額がある
- 源泉徴収されていない退職所得や給与所得がある
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える
- 2か所以上から給与の支払いを受けている
- 仮装通貨やFXなどで利益がでている
- 1~6にはあてはまらないが、「(総所得 ー 所得控除)× 所得税 ー 配当控除額」で残額がある
約7割の学生が学生期間中にアルバイトを経験するともいわれていることから、学生にあてはまるのは(1)の給与所得があるケースでしょう。学生だから、未成年だから関係ない、なんて思って気にもかけていなかった人も多いのではないでしょうか。しかし、学生・未成年に関係なく適応されます。
確定申告が必要な条件に当てはまるのにも関わらず、申告を怠ると、無申告による罰則が課せられることもあるので注意しましょう。
次に、「103万円や130万円の壁、扶養や勤労学生控除」についても確認していきます。
103万を超えるとどうなる?
学生の間でよく聞く103万円の壁というのは、一言でいえば「子供が年間103万円以上稼いでしまうと親の税金が増える」ということです。
所得税には扶養控除というものがあり、16歳以上の扶養親族がいれば一定額を所得から控除することが可能です。しかし扶養家族に年間103万円(給与の場合)を超える収入があると、学生である皆様がこの扶養親族というものにみなされなくなり、扶養控除を使うことが出来なくなってしまいます。
またそれと同時に、年間の給与が103万円(給与所得控除 + 基礎控除)を超えると自らにも所得税が発生します。ただし、学生であれば一定の条件を満たすと27万円の勤労学生控除を受けることが可能になります。
この控除を受けると親の扶養親族からは外れてしまうのは変わりませんが、「103万円(給与所得控除 + 基礎控除) + 27万円 (勤労学生控除)= 130万円」ということで、130万円までは所得税を払う必要はありません。
勤労学生控除の手続き
勤労学生控除を適用するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- アルバイトなどによる所得があること
- 貰った給料の合計額が130万円以下であること
- 特定の学校の学生、生徒であること(一般的な大学であれば問題ない、専門学校や職業訓練学校などは学校に確認してみましょう)
勤労学生控除を申請する方法は年末調整と確定申告の2種類あります。
アルバイト先で年末調整がされる場合は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の勤労学生と書かれているところに必要事項を記入するだけです。
確定申告を自ら行う場合は以下の3点から選べますが、手続きで不安なことがある場合は税務署でやり方を教えてもらうことも可能です。
- 税務署で確定申告書類を作成する
- 自宅で確定申告書類を作成する
- e-Taxを利用して確定申告書類を作成する
100万円を超えると住民税がかかる
103万円や130万円ほどは耳にしませんが、忘れてはならないのが100万円の壁の存在です。
住んでいる(住民票がある)地域によって課税基準となる金額が異なりますが、大半は年間給与が100万円(給与所得控除 + 所得割の課税基準)を超えると住民税の課税対象となります。
130万円を超えると社会保険の被扶養者から外れる
年収が130万円未満であれば、親の社会保険の被扶養者になり、社会保険料はかかりません。(国民健康保険の場合は除く)
130万円を超えると、自分で社会保険か国民健康保険に加入しなくてはならなくなります。
複数のアルバイトをしている場合の確定申告は?
年末調整が行われていれば確定申告は不要とご説明しましたが、これは給与が1箇所からの場合です。
以下では、アルバイトを複数かけもちしているという学生の方に向けて、「源泉徴収が行われている場合」と「行われていない場合」に分けて、確定申告が必要かどうかについてご説明をいたします。
源泉徴収がされていない
源泉徴収がされてない方は、そもそも税金が発生するほど稼いでいない、ということが大半です。
「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」をアルバイト先に提出の上、年間103万円または毎月の収入が8万8千円を超えていない場合には、源泉徴収の対象外となります。
しかしアルバイトを複数かけもちしており、どのアルバイト先からも源泉徴収がされていないが合計給与が年間103万円を超える、という場合は自ら確定申告をして税金を納めなければなりません。
源泉徴収がされている
源泉徴収をされている方は、さらに以下の2つのケースに分けられます。
- 年間給与が合計103万円を超えない
- 年間給与が合計103万円を超えている
まず(1)のケースでは、源泉徴収をしているアルバイト先に扶養控除申告書を提出していた場合はアルバイト先が年末調整を行います。しかし、年の途中でアルバイトを辞めてしまって年末調整がされていない給与がある場合は、自ら確定申告を行わなければなりません。
次に(2)のケースで気をつけたいのが、扶養控除申告書をどのアルバイト先に提出しているかということです。扶養控除申告書は同時に2か所には提出できず、提出していないアルバイト先では高い税額で源泉徴収をされ、年末調整も行うことができません。
多めに源泉徴収をされているので、自ら確定申告を行うことによって払いすぎている税金が戻ってくる可能性があります。
3か所以上でアルバイトをしている
学生の中には3か所以上でアルバイトをしているという方もいると思いますが、確定申告の有無は2か所以上のときと条件は変わりません。
ただし掛け持ち先からの収入が給与なのか、それ以外の所得なのかで条件が変わるので注意が必要です。
どうやって確定申告をすれば良いの?
ここまでで自分が確定申告をしなければならないかどうかが確認できたかと思います。アルバイトを掛け持ちしている上で、確定申告を行う際に注意をすることは、全ての勤務先から給与明細または源泉徴収票をもらっておくということです。
確定申告の手続きをする際に、自分がいくらもらって、いくら源泉徴収されたのか、控除額はいくらかなどを計算するために必要となります。
現金手渡しで給与明細もなかったら?
実際には源泉徴収の義務を怠って給与を現金で手渡し、明細も発行しないという会社があるのも現状です。その際はもらった給与の金額をメモなどに記録する癖をつけましょう。メモと共に他の給与明細があれば、それを元に確定申告書類を作成することになります。
もし対応に困った際は、確定申告時期によく開かれている無料相談会で、税理士が申告書の書き方を教えてくれますので、利用してみましょう。
源泉徴収票がもらえなかったら
給与を支払う側には、源泉徴収書を発行する義務がありますので、もらえない場合は発行を依頼することからはじめましょう。それでも解決しない場合は税務署へ相談をして指示を仰ぐことをおすすめします。
おわりに
自ら申告するとなると少しややこしそうな確定申告ですが、確定申告が必要な条件にあてはまったら、手続きを忘れずに行いましょう。
2か所以上でアルバイトをする学生は特に、税金が返ってくる可能性がありますので、給与明細と源泉徴収票を保管する癖をつけましょう。また、確定申告時期には税理士が無料で開催している相談会がありますので足を運んでみると良いでしょう。
わからないことがあれば、無料で税理士に質問ができる「みんなの税務相談」も活用してみてください。
あなたに最適な税理士をご紹介いたします!