YouTuberが経費にできるものは?節税対策や税理士をつけたときの費用も紹介

YouTubeにアップロードした動画の再生回数に応じて広告収入を得る「YouTuber」。最近ではその影響力の高さから、企業から動画制作の依頼を受けるYouTuberも増えています。
収入が発生すれば当然、確定申告など、税金について考える必要があります。そこでYouTuberはどれくらい稼いだら確定申告が必要なのか、といった基本的なことから、動画制作にあたって経費にできるものの例まで、わかりやすく解説します。
目次
YouTuberで確定申告が必要となるのはどんな場合?
1年間にYouTubeで得た広告収入から経費を引いた所得が基準を超えたら、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
・主婦や学生など他に収入がなく専業の方:年間48万円以上
・サラリーマンとして働きながら副業の方:年間20万円以上
この他にも条件はありますが、おおまかには上記のとおりです。
YouTuberが経費にできるもの
経費として認められるには、「必要性」と「事業への関連性」がなければなりません。所得税法第37条によると、以下のように定義されています。
「事業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。」
それでは、具体的にはどのようなものが経費として認められるのでしょうか。
撮影用の機材
まず、YouTuberであれば、動画撮影用のカメラ、そして編集用のPCをはじめとした機材が必要となります。これらは、YouTubeの動画撮影に必ず使うものなので、経費として認められます。
数十万円するようなカメラなど、物によっては固定資産として計上し、耐用年数に応じて、複数年に渡って経費化(減価償却)しなければなりません。誤った会計処理をしないように注意しましょう。
なお、青色申告者であれば30万円未満なら、購入した年に一括で経費化できる特例(少額減価償却資産の特例)を受けることも可能です。
撮影用で使用した材料や道具
撮影に使用した「材料」は基本的には経費とすることができますが、個別の判断が必要なものも多くあります。
たとえば、自分で料理を作って食べるような動画の場合、動画撮影に使った分の食材は経費にできますが、動画撮影ですべて使い切ることができない調味料などは、100%経費として計上するのは難しいでしょう。
また、化粧品のレビュー動画であれば、化粧品そのものが動画撮影に必要なので経費に計上することが可能です。ただし、その後プライベートで使用するようなことがあると、家事按分して計上する必要があります。
家賃・光熱費
事務所を借りて活動しているなら、その家賃や光熱費は当然経費として認められます。しかし、自宅で作業している場合はどうなるのでしょうか。
経費として認められるのは、Youtubeを撮影するために使用している分だけとなるため、使用時間や面積を元に家事按分して計上することになります。
なお光熱費の中では、水道代やガス代は一般的には動画投稿と直接関係ないことが多いため、経費として認められないケースがあります。
通信費
通信費は動画投稿する際に必ず必要なものなので、経費に計上することが可能です。先ほどの「家賃・光熱費」などと同様、通信費の全額を計上するのではなく、YouTuberとしての活動に要した割合のみ計上します。
交際費
企業からの依頼で動画作成する方も増えています。そうすると、企業の方と会食をするようなケースもあるでしょう。ここでかかった費用は、交際費として計上できます。
当然ですが、仕事とは無関係な飲食代などは経費に入れないようにしましょう。あまりに交際費が多かったり、金額と人数が合わなかったりすると、税務調査で指摘を受けることになります。
また、購入したものを視聴者にプレゼントをするような企画にかかった費用であれば、交際費または広告宣伝費として計上することができます。
移動交通費
撮影の際に発生する移動交通費も経費に計上することができます。公共交通機関など領収書の発行が難しい場合は、出金伝票を用意しましょう。
自家用車を使用する場合でも、ガソリン代や駐車代、自動車税なども経費にすることが可能です。その場合は、自動車の走行距離の割合で按分し、算出します。
経費として認められないもの
すでに説明したとおりですが、事業に関係のない私的支出や、事業に関係ない人との食事代などの交際費は経費として認められません。
また、プライベート旅行のついでに観光レビューの動画を撮影する、といった場合も動画撮影のみを目的としていないため、経費として認められる部分はかなり限られてきます。
判断に迷う場合は、管轄の税務署やYouTuberに詳しい税理士に聞いてみるとよいでしょう。
YouTuberができる節税対策
YouTuberの節税対策でもっとも簡単で確実なのが、経費にできるものを漏れなく計上することです。そのほか、青色申告を選択する方法もあります。
白色申告と比べて、青色申告は貸借対照表・損益計算書の提出が必要となるなど、仕組みが複雑になっていますが、その分税務上の恩恵を受けることができます。
3年間繰越して純損失を計上することができる「純損失の繰越控除」や、複式簿記で帳簿付けするなどの要件を満たせば、最大65万円の「青色申告特別控除」が適用できるなどのメリットがあります。
青色申告というと難しいイメージがあるかもしれませんが、知識のない方でもクラウド会計ソフトを使って簡単に作業できる方法もあります。また税理士に記帳や確定申告を代行してもらうこともできるので、青色申告での確定申告を一度検討してみるとよいでしょう。
ただし、事業規模と認められないような事業内容だと青色申告を選択することはできません。
- 青色申告の申請方法&取り消し手続きまとめ〜届出書の書き方や注意点など〜
- 青色申告で経費になるものとは?知っておくべき特例を詳しく解説
- 赤字を繰越しできる青色申告のメリット「純損失の繰越控除」とは?
- 事業所得と雑所得の違いは?会社員の副業収入はどちらで確定申告を行うべき?
YouTuberが税理士をつけるメリット
確定申告自体は申告者自身でもできることですが、内容に誤りがあれば「追徴課税」などのペナルティを受ける可能性があります。
その点、税理士は税務の専門家ですので、こうした心配をせずに確定申告が完了できます。また、確定申告に割く時間が軽減できるので本業に集中できるメリットもあります。
顧問契約をした場合は、常に税理士が最新の会計や資金状況などを把握できるため、計画的な節税対策や資金調達のアドバイスを受けることも期待できます。場合によっては、顧問料以上の節税効果が見込めることもあるでしょう。
YouTuberの税理士費用はいくらかかる?
確定申告を税理士に依頼した場合の相場は、5万〜15万円程度です。売上1000万円を超えると消費税申告も必要になるため、相場は10万円程度〜となります。
顧問契約をした場合の月額顧問料の相場は1万〜2万円程度が最低料金で、さらに、確定申告料として月額顧問料の4〜6か月分程度加算されます。
自計化したり訪問頻度を減らせば、その分月額顧問料を引き下げてもらえます。反対に、売上が多い場合や記帳代行や年末調整なども依頼する場合は、その分報酬額が加算されます。
実際に税理士に支払う費用がいくらかかるのか、税理士ドットコムにこれまでに寄せられた約10万件の相談実績(※)をもとに、YouTuberとして収入があり、税理士と顧問契約した方の料金実例をみていきましょう。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」に寄せられたご相談
実例1)年間顧問料240,000円
売上高1000万円/個人事業主
YouTuberとして生計を立てている個人事業主の方より、顧問税理士を探しているというご相談です。
ゆくゆくは法人化を検討しており、記帳代行や節税対策など税務全般を委託できる税理士をご所望でした。
毎月訪問をしていただけるなど条件に合う税理士をご紹介し、記帳代行、確定申告料込み年間24万円でご契約となりました。
実例2)年間顧問料170,000円
売上高1200万円(見込み)/個人事業主
YouTuberやインフルエンサーとして広告収入を得ている方より、顧問税理士を探しているというご相談です。
自計化を検討しているが、税金について何もわからないので、しっかりサポートしてもらえる税理士が良いというご依頼でした。
ご予算年間20〜40万円でYouTuberの顧問経験がある税理士をお探しし、確定申告料込み年間17万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料300,000円
売上高4000万円/法人
これまで個人でYouTuberとして活動されており、確定申告のみ関与されている税理士がいましたが、独立して法人成りをされたため、顧問税理士を探しているというケースです。
Zoom等のオンライン対応ができ、動画配信業の顧問経験があるなど、条件に合う3名の税理士をご紹介しました。
ご面談で好印象だった税理士と、記帳代行、年末調整、決算申告料込み年間30万円でご契約されました。
おわりに
専業の場合も副業の場合も、売上と経費をしっかり管理して、正しく確定申告しましょう。
特にYouTuberの経費はプライベートと仕事用が混同しやすいため、しっかり按分計算して計上することが重要です。
「毎度判断に迷ってしまい記帳に時間がかかる」「収益が多額になってきたのでできるだけ節税したい」などでお悩みの場合には、税理士との顧問契約も検討してみましょう。
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