税務調査の対象となりやすい法人とは?【税務調査ガイド】 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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税務調査の対象となりやすい法人とは?【税務調査ガイド】

税務調査はどんな会社にやって来る?

結論を言うと、どんな会社でも税務調査の対象になる可能性はあります。そこで、法人税に関する税務調査の実態から、税務調査の対象になりやすい法人の特徴を見ていきましょう。

法人に税務調査が入る割合

国税庁が発表した『平成28年度 法人税等の調査実績の概要』(以下、同調査の概要)を参照すると、1年間の調査件数は9万7000件で、そのうち法人税の非違があった、つまり税務調査によって指摘事項があったとされる件数は7万2000件 でした。同年の申告法人数は約268万件だったので、実調率(税務調査数÷法人数)は約3.6%であることがわかります。

参考:国税庁│平成28年度 法人税等の調査実績の概要

税務調査の対象となりやすい法人の特徴

ところで、税務当局は納税者の情報を「国税統合管理システム(KSKシステム)」で管理しています。このシステムで申告内容を一括管理し、税務調査の対象にすべき法人をピックアップしているそうです。税務当局は「どのような法人に対して税務調査を行うか」を明言はしていませんが、一般的には以下のような特徴がある法人は、税務調査の対象となりやすいといわれています。

  • 売上高や利益額が大きい
  • 売上高や利益額に大きな変動が見られる
  • 設立後、税務調査を受けたことがない
  • 以前の税務調査から期間が開いている
  • 以前の税務調査で追加の税金を払った
  • 申告漏れの多い業種、業界に属する

上記に該当しているからといって、必ずしも税務調査が入るわけではありませんし、反対に、該当していなくても税務調査が行われる可能性はあります。そのため、いつでも税務調査に対応できるように、普段から正しく記帳・申告するように心がけましょう。

赤字でも対象になる?

同調査の概要によれば、全法人のうち黒字申告している法人の割合は33.2%となっています。言い換えると、約3分の2の法人は「赤字を出している法人」「(繰越欠損金控除を使って)所得額0円で申告している法人」などで、黒字ではない法人なのです。

そしてたとえ赤字だったとしても、税務調査の対象になり得ます。同調査の概要を参照すると、平成28年には約3万4000件の無所得申告法人に対して税務調査を行っています。この無所得申告法人とは、簡単にいえば先ほど説明した「黒字ではない法人」のことです。このことからもわかるとおり、赤字法人であっても税務調査の対象になるのです。

なぜ黒字ではない法人も税務調査の対象となり得るかというと、「虚偽の申告により赤字となっていないか」を確認する必要があるからです。赤字と偽って脱税している法人を取り締まることはもちろんですが、赤字は翌年以降に繰り越せるので金額の正確性を確認しているのです。

また、黒字ではなかったとしても、それは会計上の赤字なだけで税務上は黒字である場合も考えられます。法人税は課税所得に対して、つまり会計上の利益額に税務調整を行った金額に課されます。そのため、税務調査を行うことで「本当に赤字かどうか」を確認するのです。

無申告でも税務調査の対象になる

同調査の概要によれば、平成28年には2623件の無申告法人に対しても税務調査が行われています。無申告法人とは、なんらかの理由で決算の申告をしていない法人のことです。税務当局は納税者の公平性を担保するため、必要に応じて無申告法人に対しても税務調査を行っているのです。

任意調査、強制調査とは

そもそも、税務調査には「任意調査」と「強制調査」の2種類があり、違いは以下の通りとなっています。

  • 任意調査:税務署などが「申告内容を確認する」ために行う調査
  • 強制調査:国税局査察部が「脱税が疑われる」法人などに行う調査

税務調査のほとんどは「任意調査」です。さらに任意調査には「準備調査」と「実地調査」の段階があり、準備調査で申告書の問題点などを洗い出し、その後実地調査が行われます。実地調査もいくつか種類がありますが、事前に納税者に調査日の通知を行う「一般調査」の方法が多いです。

税務調査に備えてすべきこと

では、税務調査に備えてどのようなことを注意していればよいのでしょうか。「正しく記帳されているか」「記帳内容どおりに申告されているか」など、ポイントを押さえながら確認してみましょう。

計上漏れに注意する

ごく基本的なことですが「記帳内容の間違い」には気をつけましょう。とくに「売上や経費の計上漏れ」は起こりがちで、税務調査ではその点を指摘されることがあります。日頃から帳簿内容と売上伝票、領収書などの金額が一致するように管理しておきましょう。

そのためには普段から伝票や領収書をこまめに記帳する習慣をつけておくことが重要です。あるいは人件費を管理するためのタイムレコーダーを導入したり、定期的に資産を棚卸ししたりしておくことも効果的でしょう。

否認されやすい科目に注意する

勘定科目のなかには税務調査で否認されやすい内容のものがあります。特に売掛金、役員報酬、外注費、海外視察費などは否認されるケースは多いため、計上できる内容を正しく把握しておきましょう。

売掛金

税務調査では、売掛金の金額と計上の時期が正しいかがチェックポイントとなります。よくある指摘事項として「12月の売上分が1月に入金される場合に、その売上を1月に計上している」というものです。「12月の売上分は12月に計上する」のが正しく、これを期ずれといいます。

また、売掛金で疑わしい事項があった場合、取引先に対して「反面調査」が行われることもあります。売掛金があるからには、取引先には同内容の買掛金が存在するはずです。そして、会計処理に間違いがなければ、売掛金と買掛金の残高は一致するはずです。そこで反面調査を実施することで取引先の買掛金残高を調べ、本調査での売掛金の裏付けを取るのです。

貸倒損失

貸倒損失(貸倒金)とは、売掛金などの金銭債権を回収できなくなった場合に、その金額を損金として計上するための勘定科目です。たとえば、取引先が倒産してしまうとその債権は回収できません。そういったときに「貸倒損失」を使って、損金として計上するのです。

ただし、貸倒損失を損金算入できるのは、取引先が会社更生法などの手続きを受けて金銭債権が切り捨てられている場合や債権者の資産状況などから全額が回収できないと判断できる場合に限られますので、適正な判断が必要とされます。もしこの条件に該当しないのに損金として算入していると、税務調査で否定される可能性があります。

役員報酬

役員報酬は自由に損金算入してしまうと「利益額を調整する」といったことができてしまいます。そのため、損金算入できる役員報酬には一定のルールが設けられており、以下の3つに限られています。

  • 定期同額給与:毎月支払われるもの(固定給)
  • 事前確定届出給与:一定時期に支給されるもの(ボーナス)
  • 利益連動給与:利益などに応じて支給されるもの(出来高)

このうち定期同額給与に関しては、事業年度開始から3カ月以内に株式総会を開催して、役員報酬を決定する必要がありますし、事前確定届出給与に関しては「株主総会などで支給を決めた日から1か月以内」もしくは「会計期間開始の日から4か月以内」に税務署へ届け出る必要があります。

このように損金算入できる役員報酬の種類や条件は決まっているので、きちんとこれらを守るようにしましょう。

外注費

税務調査では、契約内容や業務実態によっては外注費としての損金が否認され、「給与」と見なされるケースがあります。国税庁の「法令解釈通達」では、以下のような項目を定めており、税務調査においてはこれらの要件や契約内容を基準に総合的に判断するとされています。

  • 別の作業員が業務をしたり、役務を提供したりできるか
  • 作業時間の指定や時間的な拘束を受けたりするか
  • 作業内容・作業方法について指揮監督を受けているか
  • 納品していない成果物が滅失しても報酬を請求できるか
  • 作業者のために材料や道具などを用意しているか

なお、外注費で処理していたものが給与と見なされた場合は、所得税の源泉徴収や社会保険料の手続きなどを行う必要があるほか、消費税も追加で納付しなければなりません。

海外視察費

役員や従業員が海外渡航するために支給する「海外視察費」は、一定条件を満たせば損金算入してもよいと決められています。税務調査でのチェックポイントは、主に「業務上必要であるか」といった費用の妥当性です。たとえば、現地企業の訪問や、事業に関連した展示会の参加などであれば業務上必要と判断されますが、一方で、視察のついでに単なる観光をした場合はその分否認される可能性が高いです。そういったときは按分し、必要な分を損金算入しましょう。

また、通常認められる金額以上の渡航費を支給していた場合、その分を「給与」と見なされることもあります。そうなると源泉徴収の必要があるということと、さらに役員の場合は役員報酬となり、損金算入できないので注意してください。

交際費

本来は損金不算入とされる「交際費」ですが、特例で「最大800万円まで全額を損金算入(中小企業のみ)」または「飲食費の半額を損金算入」のいずれかを適用できるようになっています。

交際費は認識間違いや不正計上が多く、「正しく損金算入されているか」「私的な費用が交際費として計上されていないか」といった観点から税務調査でチェックされやすい科目といわれています。

交際費については範囲が広いので、指摘内容もさまざまです。たとえば「従業員の慰安のための支出」や「1人あたり5000円以下の飲食費」、「会議のために提供した飲食物代」などは交際費として計上できないため否認されます。それ以外の場合でも、必ず領収書などの証拠を残しておきましょう。

税理士の立会いを検討する

税務調査の通知を受けたら、税理士への立会い依頼を検討しましょう。通常であればその企業の経理や代表者のみで調査は行われますが、税理士に立会いしてもらうことで以下のようなメリットがあります。

  • 経費として否認される場合に、税理士が根拠を持って説明してくれる
  • 調査官の質問に対して、税理士がアドバイスをしてくれる
  • 経営者や経理担当者が1人で悩まずに済み、精神的な負担が少なくなる

顧問税理士がいる場合は、その方に依頼をするのがスムーズですが、税理士でも得意分野があるため税務調査には対応していないこともあります。その場合は法人税分野を得意としていたり、税務調査を専門にしているような税理士を新たに探しましょう。なかには国税庁出身の税理士もいるので、「どのような税理士なのか」をよく検討した上で税務調査の立会いを依頼しましょう。

税務調査で指摘されたらどんなペナルティが?

税務調査の結果、記帳内容・申告内容などに問題がなければ是認の旨の通知を持って終了となります。一方で指摘事項があった場合にはペナルティとして「追徴課税」を納めなければならなかったり、税制面で優遇されている「青色申告」が取り消されてしまうかもしれません。

追徴課税

追徴課税とは申告した税額が本来の金額よりも少なかったとき、追加で納める税金のことです。

まず、改めて正しい金額で申告を行い、本来納めるべき税金を追加で納付します。ところが通常の期限を過ぎての納付になるため、納付が遅れたことに対するペナルティとして「延滞税」が課されます。法定期限の翌日から最初の2か月が原則年7.3%で、それ以降は原則年14.6%の割合で課されます。

さらに本来の税額より少なく申告したことに対するペナルティとして「加算税(過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税)」があります。どの加算税が課されるのかは申告状況によって異なりますが、もっとも重い「重加算税」の場合、最大で本税に対して40%の税率で課されることになります。

青色申告の取り消し

法人税の申告方法にも個人と同じように「青色申告」と「白色申告」のふたつがあります。青色申告には、赤字を繰り越せる「欠損金の繰越控除」など税務上優遇された制度があるので、なるべく青色申告法人であり続けたほうがよいでしょう。

税務調査において、たとえば以下のような場合には青色申告者としての承認が取り消されてしまうことがあります。

  • 調査官の求めに応じず、帳簿書類の提出を拒んだ
  • 帳簿書類の記載方法が正しくない
  • 所得の隠蔽などを行っていた

税務調査で指摘を受けたからといって、必ずしも青色申告が取り消されるわけではありませんが、最低限調査官の求めには素直に応じ、隠すような行為などはしないようにしましょう。

おわりに

法人税に関する税務調査は、どの企業に対しても行われる可能性があります。「法人税を申告しない」「売上をごまかす」といった行為は、結局自社にとって不利益しかありません。普段から正しく記帳をして、正しく申告・納税するように努めるようにしましょう。もし、税務調査の対象となる前に、自ら過少申告や無申告に気付いた場合はすぐに税理士に相談することをおすすめします。

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