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税務調査で知っておきたい「推計課税」とは?適用されると税負担が増える?

「総合課税」や「分離課税」などは、一般的に使われる課税方法なので、ご存知の方も多いでしょう。

通常、所得に課される税金はこのどちらかが適用されますが、例外的に「推計課税」という方法で、税金が課されることがあります。

字の通り、「推計」で売上や経費などが決定され、その金額に税金が課せられるという、納税者にとってはとても恐ろしい制度です。

どんなときに「推計課税」が適用されるのか、もし適用されたらどのような対応をすれば良いのでしょうか。

目次

「推計課税」ってなに?

「推計課税」は、売上や所得、経費の詳細(実額)が分からない場合に、「近隣の同規模同業者の差益率(仕入金額に対する収入金額の比率)」や、「水道光熱費やその他事業に必要な経費の金額」などから、売上・所得を間接的に推計し、推計額に対して課税を行う方法です。

所得税・法人税に関する税務調査の際に、故意過失を問わず「帳簿書類が無い」という状況がしばしばあります。

税務署側が理想としているのは直接帳簿書類を用いて所得を認定すること。しかし、故意過失を問わず帳簿書類がないからといって、課税をしないということは納税者間の税負担の公平性に欠けてしまいます。そのため、税務調査の際に帳簿書類がないために実額計算が困難である、と判断した場合に、納税者に課される税額を「推計課税」によって求めることが認められています。

推計課税の計算方法

推計課税の具体的な計算方法は4つあります。

  • 比率法
  • 効率法
  • 消費高法
  • 純資産増減法

代表的な推計方法は、比率法と効率法です。

比率法、あるいは同業者比率法とは、仕入・売上や収入・所得等の算定要素に一定の比率を適用して所得を算出する方法です。

例えば、ある飲食店A店の経費・売上の状況がわからない場合には、近隣の同規模・同業種の青色申告者の平均値を参考にし、A店の売上や所得を推計するのです。

一方、効率法とは売上単価や材料・経費となるものの単価などから総所得を推計する方法です。

単純化した例を挙げると、売上単価が1,000円、売上1単位あたりの経費が200円の場合、客数が100人とすると、総売上が10万円で利益は8万円である、という計算になります。

あまり使われない方法ですが、純資産増減法とは、その年の純資産の増加額と加算項目・減算項目の金額を基に、所得を算出する方法です。

また消費高法とは、日々の消費支出から所得を算出する方法です。

このような推計の結果、「実際には経費率が高いのに、類似事業者の低い経費率が参照され、多めに所得税を課されてしまう」といった事態が生じてきます。これが推計課税の恐ろしいところなのです。

推計課税はこんなに怖い

推計課税による売上額や所得額は、現実の金額と異なる可能性が高いです。それも、売上・所得の金額が本来の金額よりも過大な額で推計されてしまい、余分に税金を納めなくてはならなくなる、という状況も多く発生するもので、非常に厄介です。

このようなケースで、なかには数十万、数百万といった税額を過大に納付する必要に迫られる事例もあります。

しかも推計課税は、売上金額を正直に申告している人であっても対象となり得るものです。故意過失を問わず、売上や経費の根拠を提示することができなければ、脱税の疑惑をかけられることとなり、やはり過大に納税することになってしまうこともあります。

例えば事業主が赤字を抱えているケースでは、利益が赤字になることを申告していたとしても、帳簿書類などによる根拠が無ければ、推計で売上や経費を算出されてしまうのです。

実際には200万円しか売上がないにもかかわらず、推計で500万円の売上があるとされれば、本来無いはずの重い税負担に悩まされる事態になってしまいます。

どんなときに適用されるの?

重い税負担を強いることもある推計課税ですが、その適用対象となるのは売上や経費の実額計算が困難なときに、やむを得ず許される保管的な計算方法であるとされています。

具体的には、「税務調査を拒否する」、「経費や売上の証拠を提出できない(帳簿書類がない)」、といった場合です。

税務調査を拒否したときに適用される

税務調査を受けたときに、「税務官に求められた資料を提示しない」、「税務調査を拒否する」などの非協力的な態度を取ると、実額計算が困難であるとみなされて、推計課税が適用される可能性が高くなります。

経費や売上の根拠がないときに適用される

税務調査を受け入れたとしても、「帳簿書類の信用性に疑問があるとき」、あるいは「そもそも帳簿書類が存在しない」などの場合には、推計課税が適用される可能性が高くなります。

推計課税が適用された例

どれだけ巧妙に脱税を進めていようと、最終的には税務署に見破られます。

ある人は、金銭のやり取りは現金手渡しのみで行い、領収書や帳簿類の記録を一切つけずにいました。当然税務署にも無申告でした。

ある日税務署からお尋ねがあり、その結果、推計課税に加えて加算税という「罰金」が科されることになり、正直に申告していた場合の倍額の税金を納めることになったそうです。その額は数百万円にも上りました。

自身の金銭の動きを偽装したとしても、偽装を知る人や取引先の取引履歴などから、間接的に金銭の動きを突き止められます。結果、推計課税や加算税などの罰則により多額の税金を納めることになります。

無申告でも自分はバレないから大丈夫と慢心せず、正しく申告することを努めましょう。

青色申告者には適用されない

推計課税が適用される要件は2つありましたが、原則として青色申告者に対しては推計課税が適用されません。ただし、場合によっては青色申告を取消したうえで推計課税がなされることがあります

また、青色申告の取消しには遡及効(遡って効力を発揮すること)があり、最大で過去7年間にわたって青色申告による特典をなかったことにされてしまうことがあります。これによる税務上の負担も相当なものであるため、取り消しの条件についても把握しておきましょう。

青色申告の取り消し対象となる条件は以下のとおりです。

  1. 帳簿書類を提示しない場合
  2. 帳簿書類の備付け、記録、保存について、財務省令の内容あるいは税務署長の指示に則っていない場合
  3. 所得金額や純損失金額について隠ぺい、仮装の申告を行い、それが当初の申告金額の50%を超える場合
  4. 2事業年度連続で申告書を提出しなかった場合
  5. 取消しが相当であるような事情がある場合

もし青色申告が取り消されてしまっても再申請を行うことはできますが、1年間は再申請が承認されることは少ないという点にも注意しましょう。

推計課税を防ぐためにはどうする?

推計課税を防ぐためには、帳簿書類をきちんと保管しておくことが重要です。売上の履歴は定期的に帳簿に付け、取引情報を記録しておき、領収書やレシートなど経費の証拠となる書類などもとっておくようにしましょう。

また、このような取引情報については、「MFクラウド」「freee」のような会計ソフトに登録(記帳)することで、自動的に記録することができます。

なお記帳に関して不明なことがあれば、お近くの税理士や会計士に相談してみると良いでしょう。

加えて上述の通り、5つの取消事由に該当しないケースであれば、青色申告を用いることで推計課税を防ぐことも可能です。

無申告は絶対にNG

最もやってはいけないのが無申告です。無申告を知っている人からの密告や法定調書、あるいは登記情報などから、遅かれ早かれ足がついてしまいます。

無申告が明るみに出た後の推計課税 + 重加算税の方が、納税金額が多くなってしまうのです。

赤字でも帳簿をつけておく

フリーランス等の個人事業主の場合は、年間の利益が38万円以下であれば、所得税の確定申告は必要ありません。利益が赤字になっている場合にも当然、確定申告は不要です。ただし、赤字であることを証明するために、帳簿書類の作成と保管を忘れないようにしましょう

仮に赤字であることを証明できないとなったら、推計課税により売上や経費が推計され、本来払う必要のなかった数十万円、数百万円という税金が課せられる可能性が高くなります。

推計課税が適用されてしまったら

もちろん、推計課税によって行われた更正や決定がいつも正しいとは限りません。それらの処分に不服があるときは、処分の取消や変更を求める不服申し立ての手段として税務署長に再調査の請求や国税不服審判所長に審査請求をすることができます。

ただし、実際の所得額が推計額と異なることを立証する責任は納税者側にあると考えられますので、税理士や弁護士といった専門家に相談することをオススメします。

審査請求の結果、裁決が「全部取消し」、「一部取消し」、「変更」のいずれかであれば、推計課税額を下方修正することが可能になります。

裁決がもしも「棄却」、「却下」であったならば、残念ながら推計額を払うほかありません。

おわりに

推計課税により重い税負担を課せられれば、場合によっては日々の生活も苦しくなってしまいます。推計課税がなされないための一番の対策は帳簿書類の作成・保管です。今では便利な会計ソフトも多数あるので、帳簿作成にあたっては是非とも活用したいところです。

そして記帳方法などに疑問を抱いた際には、お近くの税理士に相談することをおすすめします。無料で税理士に相談できる「みんなの税務相談」も活用してみてください。

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