税務署の処分に納得がいかなかったら?納税者の権利や利益を守る「不服申立制度」とは - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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税務署の処分に納得がいかなかったら?納税者の権利や利益を守る「不服申立制度」とは

税務署から納得のいかない課税処分を受けたときや、差し押さえなどの滞納処分に不服があるときは、どうすればいいでしょうか。

そんなときは「不服申立制度」を活用して、その処分の取り消しや変更を求めることができます。

今回は、この「不服申立制度」がどんな制度か、どのように申請したらよいかなどを詳しく解説します。

目次

不服申立制度の概要と権利救済の現状について

まずはあまり耳慣れない「不服申立制度」の概要と、その制度による権利救済の現状について解説します。

不服申立制度は「処分の取消しや変更を求める制度」

不服申立制度は納税者の正当な権利や利益を、簡易で迅速に救済できるように作られた制度です。国税通則法に規定されており、その第75条には税務署長などが行った処分に対して不服がある納税者は「不服申立て」をできると規定されています。不服申立ての内容は大きく以下の2種類に分けられます。

  • 再調査の請求:税務署長などに対して処分の再調査を求める不服申立て
  • 審査請求:第三者機関である国税不服審判所に対して処分の審査を請求する不服申立て

納税者はこの2つの不服申立て手続きのどちらかを選べます。「再調査の請求」を選択してその結果に不服がある場合は、その後に「審査請求」を行うこともできます。

なお、国税不服審判所長の裁決にも不服がある場合には、最終的に裁判所に「訴訟」手続きを行って裁判によって判決を得ることになります。

現状は再調査の請求・審査請求ともに2,000件弱

不服申立制度による権利救済の状況については「国税庁レポート」に記載されています。この2017年度版によれば再調査と審査請求の件数、訴訟件数は以下の通りになっています。

  • 再調査の請求:処理件数1,805件(うち6.8%は承認)
  • 審査請求:処理件数1,959件(うち12.3%は承認)
  • 訴訟:終結件数245件(うち4.5%は承認)

これらの処理件数に加えて、国税庁では不服申立制度の目的でもある「迅速に救済する」基準として再調査の請求なら「原則3か月以内」と定め、達成割合は95.6%となっています。

また、審査請求なら「原則1年以内」としており、こちらは98.3%の割合で達成しています。そのうえ、過去6年間の達成割合はそれぞれ9割を超えており、スピーディな解決に努めていると言えます。

税務署長に不服申立てする「再調査の請求」の手続き

再調査の請求は税務署長が行った課税処分や滞納処分について、その「税務署長」に不服を申し立てることをいいます。これにより処分の取消や変更を求められます。具体的な手続きのポイントは次のとおりです。

再調査の請求をするための3つの条件

再調査の請求を行うには以下に挙げる条件を満たさなければなりません。

  • 処分通知を受けた翌日から3か月以内に手続きする
  • 不服申立ての対象になる処分を受けている
  • 再調査の請求書を作成して納税地を所轄する税務署に提出する

不服申立ての対象になる処分とは、例えば納付税額を増加される更正処分や、青色申告承認の取消処分、差押えなどの滞納処分などが代表的です。

ただし、納付税額を減少したり、還付金額を増加させたりする処分には不服申立てができません。これは申立ての対象になる処分は自己の権利・利益が侵害されるものに限って申立てできる制度だからです。

再調査の請求をするための手続き方法

再調査の請求をするにあたっては「再調査の請求書」を作成して提出する必要があります。再調査の請求書は国税庁のウェブサイト上からダウンロードでき、以下の項目を記入します。

再調査の請求人

納税者の住所地や氏名、個人番号などを記入します。こちらは納税者自身の個人情報を記入してください。

再調査の請求に係る処分の内容

税務署や処分日、処分内容を記入します。通知を受けた書類を確認しながら、該当する内容を記入すればよいでしょう。

再調査の請求の趣旨

全部取消、一部取消、変更のいずれかに丸を付けます。なお、一部取消や変更を求めるなら、その範囲を書かなければなりません。具体的には「税目」「税額」「原処分名」などを記入するので、たとえば「所得税の青色申告承認の取消処分の取消しを求める」といった具合に記入します。

再調査の請求の理由

取消や変更を申し出る理由について記載します。この理由については具体的に「法的根拠」に則って請求する必要があります。たとえば「所得税法第〇条第〇項第〇号の規定によって青色申告承認取消処分を行った。これは次の通りに事実を誤認知ったものである」といった具合です。

このほか委任状などの添付書類があれば、それらも一緒に納税地を所轄する税務署に持参または郵送により提出します。その後、税務署により調査・審理が行われて、再調査決定書謄本によってその結果が通知されることになります。

国税不服審判所に不服申立てする「審査請求」の手続き

再調査の請求についての決定後の処分になお不服があるときには、国税不服審判所に審査請求をすることができます。なお、審査請求は、再調査の請求の手続きを経ることなく、行うこともできます。手続きのポイントは以下の通りになっています。

国税不服審判所とは「権利救済を目的とした国税庁の特別機関」

国税不服審判所とは税務署や国税局などの執行機関から分離して設置された特別機関です。全国に本部、12つの支部、7つの支所があります。公正な第三者機関として納税者の権利救済を目的としており、裁決を行う組織と言えます。もし審査請求をしたい場合には、ここの所長に向けて審査請求書を提出するようにしてください。

審査請求をするための3つの条件

審査請求をする場合には以下のような条件になっています。

  • 再調査決定書謄本を受けた取った翌日から1か月以内に手続きする(再調査の請求を経ずに、審査請求をする場合は、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内)
  • 不服申し立ての対象になる処分を受けている
  • 審査請求書を作成して国税不服審判所長に提出する

審査請求をするための手続き方法

審査請求をするには「審査請求書」を記入してそれを提出することになります。この書類は国税不服審判所のウェブサイト上からダウンロードできます。

基本的な項目は「再調査の請求書」と同じになっているので、先ほど説明した項目を確認しながら作成するようにしましょう。なお、再調査の請求をした場合に関する項目も設けられているので、もし手続きを行っていたら請求年月日を記載しておくようにしてください。

そして審査請求書が作成できたら、それを国税不服審判所に正副2部を提出します。また、合わせて所轄する税務署にも正副2部を提出することになります。審査請求書の場合も持参または郵送のどちらでも提出できるので、自分の都合に合う方法を選ぶようにするとよいでしょう。

国税不服審判所の裁決にも不服なら「訴訟」手続きを

もし国税不服審判所の裁決にも不服であるなら、裁判所に対して「原処分取消訴訟」などを提起して救済を求めることも可能です。

ただし、この場合は裁決書を受け取った日の翌日から6か月以内に手続しなければなりません。訴訟手続きをする場合には、なるべく早くに弁護士に相談して訴訟の準備を進めるようにした方がよいでしょう。

おわりに

課税制度では納税者の権利救済のために「不服申立制度」を設けています。万が一、税務署や国税局の処分に不満がある場合は、この制度を思い出してください。なお、不服申立ての際には税理士などの専門家と協力することも大切になるので、相談することをおすすめします。

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