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有期契約労働者の「無期転換ルール」とは?企業が行うべき対策は?労働法「2018年問題」のまとめ

労働法の「無期転換ルール」「2018年問題」というものをご存知でしょうか。

改正労働契約法で追加された「無期転換ルール」を含めた3つのルールにより、企業はさまざまな対応を求められ、2018年以降から無期契約労働者が大量発生すると予想されていることから、「2018年問題」と呼ばれ話題になっています。

無期転換ルールとは、一定要件を満たす非正規雇用者(有期契約労働者)が申込みをすると無期労働契約に転換されるという制度のことですが、企業はこの制度を受け入れる準備をしなくてはならないタイミングが迫ってきました。

そこで、有期契約労働者の無期転換ルールとはどのような制度なのか、2018年問題と合わせて解説いたします。

目次

労働法が改正された背景と「2018年問題」

2012年8月10日公布の改正労働契約法により、有期労働契約のルールが整備され、次のようなルールが規定されました。

  • A..無期労働契約への転換
    有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合に、労働者の申込みにより無期労働契約に転換されるというルールです。
  • B..「雇い止め法理」の法定化
    最高裁判例で確立した「雇い止め法理」が法律に規定されました。一定の場合には、使用者による雇い止めが認められないというルールです。
  • C..不合理な労働条件の禁止
    期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

Bは公布日の2012年8月10日から、AとCは2013年4月1日から施行されます。

有期労働契約とは、パート・アルバイト、派遣、契約社員、嘱託など雇用の呼称にかかわらず、6か月や1年など、期間の定めがある労働契約のことをいい、有期労働契約で雇用されている人のことを、非正規雇用者や有期契約労働者と呼びます。

2017年8月8日公表の総務省統計局の労働力調査によると、有期契約労働者は全国で約2,018 万人おり、その割合は1997年より20期連続で増加しているという結果がでています。

こういった「有期契約労働者の増加」だけでなく、有期労働契約であることを理由とした「不合理な労働条件(処遇)の改善」や、「雇い止めの不安の解消」などの問題に対処するために、改正労働契約法が公布されたのです。

なぜ2018年問題と言われるのか

この無期労働契約への転換ルール(無期転換ルール)が、最初に適用されるのが、改正労働契約法施行の5年後、つまり2018年4月1日を始期とする契約からです。

よって、2018年以降は無期契約労働者が大量発生し、無期転換の受け入れをすることが厳しいと考える企業や団体が、法律の目を掻い潜り、不当な労働条件に変更したり、5年経過する前に有期契約労働者の「雇い止め」を積極的に行うなどの問題が起きるのではないかと予想されています。

こういったことが、労働法の「2018年問題」と呼ばれる由縁となっています。

「無期転換ルール」とは

さきほど少し触れましたが、「無期転換ルール」とは、同一の企業(使用者)と労働者の間で、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合に、労働者の申込みにより無期労働契約に転換されるというルールのことです。

無期労働契約とは「期間の定めのない労働契約のこと」を指します。

無期転換の申込方法

無期転換への申込をする場合、「無期労働契約転換申込書」や「無期労働契約転換申込み受理通知書」をなどを作成し、書面で行うと良いでしょう。

参考様式が厚生労働省のページに記載されているので、そちらを参考にしてみてください。

無期転換を申し込まれた時は

無期転換への申込をされたら、使用者は申込時点の契約の期間満了日の次の契約から、無期労働契約への転換を行います。

次の図のように、5年を超えて6年目に無期労働契約への申込権利が発生し、7年目に転換されるという流れです。

申込がないと無期労働契約へ転換されない

同じ職場で通算5年勤務すれば、6年目に自動的に転換されるというわけではなく、労働者からの申込みがあって初めて無期労働契約が成立します。

なお、労働者から無期転換への申込みがあったその時点で無期労働契約が成立するため、使用者はこれを拒否をすることはできません。

ただし、申込時点からすぐに無期契約になるわけではなく、無期転換へ申込みが行われた契約期間が満了した翌日から、無期契約になります。

通算期間の計算方法

無期転換への権利が発生するための通算期間の5年というのは、改正施行日の2013年4月以後に開始する契約が対象となるため、2013年4月より前に開始した契約は通算期間には含まれないので注意が必要です。

また、5年の間に契約のない空白期間があれば、それは通算期間に含まれないことになっていて、空白期間が一定以上になると通算期間がリセットされます。

これを「クーリング」といいます。

間に契約がない時期があれば通算期間からクーリングされる

通算のカウントの対象になる期間によって、次のように定められています。

通算のカウントの対象になる期間が1年以上のとき

通算期間のカウント対象が1年以上の場合に、契約がない期間が6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含まれません。

契約がない期間が6か月未満の場合は、その空白期間の前後の有期労働契約を通算契約期間とします。

通算のカウントの対象になる期間が1年未満のとき

通算期間のカウント対象が1年未満の場合は、次の表のとおりに通算契約期間がクーリングされ、その次の契約期間から通算契約期間のカウントが再度スタートします。

カウントの対象となる契約期間 契約がない空白の期間
2か月以下 1か月以上
2か月超~4か月以下 2か月以上
4か月超~6か月以下 3か月以上
6か月超~8か月以下 4か月以上
8か月超~10か月以下 5か月以上
10か月超~ 6か月以上

定年再雇用と高度専門職の特例措置

定年後に引き続き雇用された「継続雇用の高齢者(定年再雇用)」と、専門的知識等を有する「高度専門職者※」は、無期転換への申込権利が発生するまでの期間に関する特例というものが適用されます。

※高度専門職者とは..

締結された雇用期間に支払われると見込まれる額が、1年間あたりの賃金の額に換算したときに1,075万円以上の者で、且つ次のいずれかに当てはまる方が該当します。

  • 博士の学位を有する者
  • 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、 社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士
  • ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
  • 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
  • 大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・ 鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナー
  • システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
  • 国等(※)によって知識等が優れたものであると認定され、上記1から6までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者
    ※国、地方公共団体、一般社団法人または一般財団法人その他これらに準ずるものをいいます。

定年再雇用と高度専門職には5年ルールが適用されない

下記の者について、一定の手続きを行うと通算5年の無期転換ルールが適用されません。

  • 定年再雇用者
  • 5年を超える一定期間内に完了するプロジェクト(特定の業務)に従事する高度専門職者(発生しない期間は10年を限度とする)

ただし、継続雇用の高齢者と高度専門職者の全員にこの特例が適用されるわけではありません。

特例措置の手続き

この特例を利用するためには、使用者が次のような手続きをする必要があります。

  1. 高度専門職者は「能力が有効に発揮されるような雇用管理」又は、定年再雇用者は「適切な雇用管理」に関する措置についての計画を作成します。
  2. 使用者は、作成した計画を会社の本社や本店を管轄する労働局(労働基準監督署経由でも可)に提出します。
  3. 労働局は、使用者から申請された計画書が適切であれば、認定を行います。

なお、契約や更新の際には、無期転換ルールの特例が適用されていることを、対象労働者に明示する必要があります。

手続きをしていない場合は、継続雇用の高齢者や高度専門職者であっても5年ルールが適用されますので注意が必要です。

無期労働契約転換へ対応するための準備

無期転換の申込が開始される2018年4月を迎える前に、企業は無期転換への対応がスムーズにできるよう、予め規定を設けるなどの準備しておくと良いでしょう。

具体的には、次のような準備をしておくことになります。

無期転換ルールが適用される人数を把握する

まず、何名の有期契約労働者がいるのか把握し、その労働者がいつから無期転換の権利が発生するのかを確認しましょう。

リスト化するなどしておけば、自社内において対応が多くなる時期を予想することができます。

また、まだ権利が発生していない労働者から誤って申し込みがあったとしても、すぐさま対応することが可能になります。

無期転換後の労働条件を検討する

無期転換後の労働条件を定める際、主に次の3つのケースが想定できます。

  1. 直前の契約内容と同様の労働条件で無期労働契約を締結する
  2. 新しい社員区分を設ける(職務限定社員・地域限定社員等)
  3. 正社員として雇用する

基本的には、直前の契約と同様の労働条件で無期労働契約を締結することになるかと思いますが、新たな社員区分を設けたり、正社員として雇用するなどを検討しても良いでしょう。

厚生労働省では、職務限定社員・地域限定社員等のこれまでなかった社員区分のことを、「多様な正社員」と呼んで、導入を推奨しています。

各労働条件に合った就業規則を策定する

新しい社員区分を設けるなどした場合、各労働条件を決めるとともに、それぞれに合った就業規則を策定する必要があります。

そして、新たに策定された就業規則は、説明会などを行うなどして労働者にきちんと内容を説明をしましょう。

無期転換ルールで生じる誤解と注意点

無期転換ルールで生じる誤解と注意点をいくつか解説致します。

無期労働契約=正社員でなはい

無期労働契約というのは、雇用期間の定めがない雇用契約のことなので、無期労働契約に転換されたからといって、正社員になるわけではありません。

もちろん、正社員への転換になる場合もありますが、必ずしもイコールになるわけではないので、注意しましょう。

5年を超えても有期契約雇用は継続できる

通算5年を経過したからといって、すぐさま無期労働契約に転換しなければならないわけではありません。

労働者が無期転換への申込をしなければ、有期労働契約のまま雇用を継続することができます。

ただし、無期転換をしないように示唆したり、転換を希望しない代わりに雇用するなどの内容で契約したりはできません。

有期労働契約のルールの「不合理な労働条件の禁止」により、このことが発覚するとその内容は無効となります。

無期転換を理由にした雇い止めは認められない

使用者が契約更新を行わず、期間満了をもって契約終了とすることを雇い止めといい、解雇・退職とは性質が異なります。

有期労働契約のルールのの「雇い止め法理」は、該当労働者が反復して契約更新をした実績がある場合などに、「客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当」という判断がされなければ、雇い止めが無効になる可能性がある。というものです。

つまり、無期転換の権利が発生する前に、これを理由とした雇い止めを行うことはできないということです。

おわりに

ややネガティブなイメージがついている、有期契約労働者の無期転換ルールですが、使用者も労働者も正しい知識を身に着けていれば、お互いにとって良い制度となるはずです。

厚生労働省では、労働契約等のセミナーを行っていたり、無期転換への対応がスムーズに行えるように、様々な支援を行っていますので、対応が困難だと感じている企業はぜひ支援策を活用してみてください。

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