パン屋に強い税理士の特徴は?選び方や顧問料実例を紹介

パン屋を営む方は、お客様においしいパンをお届けするため、日々研究を重ねられていることでしょう。
そんな中、「経理や会計業務に費やす時間を省きたい」といったお悩みから、税理士への依頼を検討されている方も多いのでは?
そこで、パン屋に強い税理士の特徴や選び方を篠昌義 税理士にお話を伺いました。あわせて税理士の費用実例もご紹介します。
目次
パン屋を得意とする税理士の選び方
税理士にも得意とする分野や業種があるため、以下のような特徴がある、パン屋を得意とする税理士に依頼することをおすすめします。
- パン屋特有の税務に長けている(同業種の顧問実績がある)
- 経営全般へのアドバイス・支援に対応できる
- 資金調達に強い
これらの詳細について、篠昌義税理士事務所の篠昌義税理士に伺いました。
パン屋の会計・税務のポイントについて教えてください
ー 篠昌義 税理士
パン屋を個人事業主として営んでいる場合に、重要となってくる会計・税務のポイントとして以下のような点があります。
1)原価計算の重要性
原則として、売上に対する原価は経費とすることができます。
逆に小麦などの原材料の残りや製品在庫に関しては経費ではなく期末在庫として資産計上する必要があります。
日持ちのするパンの製品在庫があったり、原材料を大量に仕入れしていてその在庫が多額にある場合には、それらを経費にしてしまっていることを税務調査で指摘されるリスクがありますので注意が必要です。
2)簡易課税を選択したときの事業区分
一言にパン屋といっても、パンを自社で製造して売っているか、店舗の喫茶スペースで食事として提供しているかなどによって、簡易課税の事業区分が異なります。
たとえば、「テイクアウト」or「食事としてその場で提供」の両方が可能な形態になっているパン屋はよくあるかと思います。
このように複数の事業区分がある場合には、その事業区分にかかる消費税額をわけて把握しておかないといけないため経理をする際に複雑になります。
3)配偶者や親族への所得分散
パン屋を家族経営しているような場合によく問題となるのが、所得分散の問題です。
所得分散をうまく活用することによって一人あたりの所得額を減少させ、節税することができます。
しかし、節税のために本当は働いていない配偶者や親族にも給与を発生させてしまうような脱税行為をしてしまっているケースもあります。
税務調査が入った際に、しっかりと労働に対する対価として給与を払っていることを証明できるようにしておきましょう。
この他にも、交際費に余計な経費が含まれていないか、減価償却は正しく行われているか、家事按分が適切になされているかなど、一般的に個人事業主がよく税務調査で指摘されるようなポイントは注意が必要になってくるでしょう。
- 税理士をつけるタイミングはいつがベスト?顧問契約が必要になるケースを解説
- 税理士の選び方 - 失敗しないために知っておくべき7つのポイント
- 個人事業主で税務調査の対象になる人とは?5つの特徴や実例を紹介【税務調査ガイド】
こんなお悩みも!パン屋さんのリアルな税務相談
税理士に無料で相談できるQ&Aサービス「みんなの税務相談」では、パン屋を営む方々からもさまざまな質問が寄せられています。
【相談例1】競合店のパンを参考として買う場合、勘定科目は何になる?
税理士の回答
「調査のための支払いであれば、支払手数料勘定になります。」(全文はこちら)
【相談例2】パン学校の学費を開業費にできる?
税理士の回答
「料理専門学校なら問題ありません。」(全文はこちら)
【相談例3】パン屋を開業したときの償却資産はどこまで申告する?
税理士の回答
「内装・造作等はすべて償却資産として申告しましょう。」(全文はこちら)
このような税務・会計のちょっとしたお悩みがあれば、ぜひ「みんなの税務相談」をご活用ください。会員登録後、すぐにご利用いただけます。
パン屋が税理士と顧問契約をするメリットは?
前述したとおり、パン屋を経営する際には特有な税務を理解しておく必要がありますが、税理士と顧問契約をすべきかわからない、という方もいるでしょう。
そこで、顧問契約すべきケースや顧問契約のメリットについて、篠昌義税理士事務所の篠昌義税理士に伺いました。
ー 篠昌義 税理士「正しい申告と節税ができること」
パン屋に限ったことではありませんが、個人店を営む個人事業主にとって、税理士と顧問契約をすることで、税務申告を正しく行い、税務調査で指摘されるリスクを減らすとともに、しっかりと節税できることがメインのメリットになるかと思います。
自身でしっかりと勉強し、丁寧に記帳し、税務申告もしっかりとできていると自負されている方でも、いざ税務調査が入ったときに勘違いやミスが発覚し、追徴課税をとられてしまう個人事業主の方をよく見ます。
やはり会計、税務のプロである税理士がしっかりとチェック、アドバイスしてくれることは非常に心強いものです。
ー 篠昌義 税理士「経営面での有効なアドバイスがもらえることも」
また、個人店の場合、近年のコロナの影響や物価高の影響などにより経営が悪化しているケースも散見されます。そういった場合にも顧問税理士がいれば経営全般へのアドバイス、支援などを受けることもできます。
パン屋に関して言えば、現在、ロシア・ウクライナ情勢による小麦の価格高騰やその他原材料の物価高、電気代などの高騰により、経費全般が増加傾向にあります。
このような状況の中で、たとえば適正な利益を確保するための販売価格設定に対するアドバイスや各種補助金の有効活用、資金繰り確保のための銀行融資に関するアドバイス、銀行の紹介、有効な節税術のアドバイスなどを受けられることが、顧問税理士をつけることによる大きなメリットとなってくるでしょう。
パン屋における税理士顧問料の相場は?
パン屋の税務・会計に強い税理士の特徴や、顧問税理士の必要性がわかったところで、気になるのが「税理士顧問料」です。
税理士ドットコムに寄せられた相談実績によると、パン屋のお客様の場合、税理士顧問料の平均は個人事業主で年間約23万円、法人で年間約47万円となっています(※)。
なお、これはあくまで実績平均であり、実際の料金は、売上規模や税理士に依頼する業務内容によって変わります。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」における相談実績
実際いくら?パン屋を営む方のご成約例
それでは、これまで「税理士紹介サービス」に寄せられた10万件の相談実績をもとに、パン屋を営む方が実際にいくらで税理士と顧問契約をしているか、実例をご紹介します。
実例1)年間顧問料:150,000円
売上高600万円/個人事業主(愛知県)
開業初年度は自身で確定申告をされていたものの、非常に煩雑だったので、今年度以降は顧問税理士に依頼したいというご相談です。
開業したばかりなので、なるべく低めの料金設定で飲食店に明るい税理士をご希望でした。
複数の税理士とご面談をし、その中から最もお安い金額を提示してくれた税理士と記帳代行・確定申告料込み年間15万円(税別)でご契約されました。
実例2)年間顧問料:190,000円
売上高1500万円/個人事業主(福岡県)
記帳から確定申告まで依頼できる税理士を探しているというケースです。
WEB面談に対応できるのであれば近場の税理士でなくても構わない、とのことで、隣の市に事務所を構える税理士をご紹介。記帳代行・確定申告料込み年間19万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:240,000円
売上高3000万円/個人事業主(静岡県)
これまで自分で確定申告されていましたが、売上が上がってきたこともあり本業に専念したいとのことで、顧問税理士を探しているというご相談です。
以前、法人経営をされていたときに年間24万円でご契約されていた税理士がおり、同程度の金額で依頼できる税理士をご希望でした。
予算内で依頼できる、店舗近くの税理士事務所をご紹介し、年末調整・確定申告料込み年間24万円(税別)でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:320,000円
売上高2400万円/個人事業主(東京都)
個人事業主から法人成りを考えているパン屋の方より、設立サポートとその後の顧問契約も視野に入れ、税理士を探しているというご相談です。
弊社への問い合わせと平行してご自身でも税理士を探されていらっしゃいましたが、ご紹介した税理士が面談で好印象だったとのことで、記帳代行・年末調整・社保サポート・確定申告料込み年間32万円(税別)でご契約されました。
実例5)年間顧問料:300,000円
売上高1000万円(見込み)/法人(宮城県)
パン製造・販売業をこれから開業される法人の方より、顧問税理士をお探しというご相談です。
記帳代行は自社で行うため、税理士には決算申告や補助金の申請、税務相談をお願いしたいというご希望でした。
ご紹介した税理士と面談され、親切で力になってくれそうと感じられたことが決め手となり、決算申告込み年間30万円(税別)でご契約となりました。
実例6)年間顧問料:340,000円
売上高3000万円/法人(北海道)
パンと焼菓子の製造販売をされている法人の方のケースです。
現在ご契約中の事務所があるものの、税理士の都合で契約終了となるため、新たに顧問税理士を探したいとのご相談でした。
自計化しているため記帳代行は不要とのことで、面談された事務所と決算申告込み年間34万円(税別)でご契約となりました。
パン屋を営む方へ。税理士探しでお悩みではありませんか?
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