住宅ローン控除(減税)の節税効果は?シミュレーションで解説

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住宅ローン控除

住宅ローン控除(減税)の節税効果は?計算方法、手続きの流れ

住宅ローンを使ってマイホームを取得したり増改築したりした場合に、一定の要件を満たせば、「住宅ローン控除」を適用することができます。

13年間の通算で最大650万円の税額控除を受けられるケースもあり、その節税効果は大きく、利用したいと考える方も多いでしょう。

そこでこのページでは、住宅ローン控除の適用要件から計算方法、節税効果まで解説します。

(監修:税理士法人 資産経営パートナーズ 加瀬直樹 税理士)

目次

住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは、住宅ローンを利用して住宅を購入したり増改築したときに、一定の条件を満たすと税額控除が受けられる制度です。簡単にいうと、毎年の所得税や住民税が安くなります。

住宅ローン控除は正式には「住宅借入金等特別控除」といい、一般的に「住宅ローン控除」または「住宅ローン減税」と呼ばれています(以下このページでは住宅ローン控除とします)。

税額控除とは

控除は、金額から一定額を差し引くという意味で、税金の控除には「所得控除」と「税額控除」があります。

所得控除は税額を計算する際に所得から控除される一方で、税額控除は、算出された税額から直接控除されるので大きな節税効果があります。

住宅ローン控除の適用要件

住宅ローン控除の対象となるのは、住宅ローン控除の対象となるのは、2021年12月31日までに自己が利用するために取得した住宅のうち、一定要件を満たすものです(2020年11月時点)。

また、住宅を複数所有している場合は主に住んでいる住宅であること、2016年3月31日以前の家屋の新築や購入または増改築等については、居住者(国内に住所を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人)であることなどが条件となっています。

その他の適用要件については、「新築住宅、中古住宅、増改築」によって異なるので、それぞれ解説します。

新築住宅

住宅または建築後使用されたことがない住宅の場合、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 新築または取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること。
  • 特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること。
  • 新築または取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上で、2分の1以上の部分を居住のために使用していること。(登記簿上の床面積)
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上である、または取得のための債務(金融機関からの借入金や住宅金融支援機構に対するもの)があること。
  • 居住した年とその前後の2年ずつの5年間(※)に居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
    ※2020年4月1日以後に譲渡した場合はその居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間
  • 取得の時に生計を一にしており、取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係にある人からの取得でないこと。
  • 贈与による取得ではないこと。

中古住宅

中古住宅の場合は、新築住宅の(3)以外の要件に加えて、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 建築後、使用されたものであること。
  • 次のどれかに該当する住宅であること。
    A. 家屋が建築された日から取得までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合は25年)以下であること。
    B. 一定の耐震基準に適合する建物であること
    C. 2014年4月1日以後に取得した中古住宅で、AまたはBを満たさないもののうち取得の日までに耐震改修を行うことについて申請し、居住の日までに耐震基準に適合することを 証明されているものであること。
  • 取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上で、2分の1以上の部分を居住のために使用していること。(登記簿上の床面積)

増改築等

増改築の場合は、新築住宅の(3)以外の要件に加えて、以下のすべての要件を満たす必要があります。

  • 自己が所有し、かつ自己が居住する家屋について行う増改築であること。
  • 次のどれかの工事に該当すること。
    A. 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替えの工事
    B. マンションなどの区分所有建物のうち、その人が所有する部分の床、壁または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
    C. 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
    D. 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定または地震に対する安全性にかかる基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
    E. 一定のバリアフリー改修工事
    F. 一定の省エネ改修工事
  • 工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
  • 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上で、2分の1以上の部分を居住のために使用していること。(登記簿上の床面積)

なお、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含む特定増改築を行った場合には、「特定増改築等住宅借入金等特別控除」を受けることができます。

通常の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)よりも控除額が大きいですが、控除期間が最大5年間と短くなっています。

新型コロナ税特法による適用要件の弾力化

新型コロナウイルス感染症拡大による緊急経済対策として税制上の措置がなされ、住宅ローン控除においては適用要件が一部緩和されています(新型コロナ税特法6条)。

(1)中古住宅を取得した後、その住宅に入居することなく増改築等工事を行った場合の住宅ローン控除については、新型コロナウイルス感染症やそのまん延防止のための措 置(以下「新型コロナウイルス感染症等」といいます。)の影響によって工事が遅延し たことなどにより、その住宅への入居が控除の適用要件である入居期限要件(取得の 日から6か月以内)を満たさないこととなった場合でも、次の要件を満たすときは、 その適用を受けることができます(新型コロナ税特法 6条、新型コロナ税特令4条)。
 ・一定の期日(※)までに、増改築等の契約を締結していること
 ・増改築等の終了後6か月以内に、中古住宅に入居していること
 ・令和3年12月31日までに中古住宅に入居していること
(※) 中古住宅の取得をした日から5か月を経過する日または新型コロナ税特法の施行の日(令和2年4月30日)から2か月を経過する日のいずれか遅い日。

(2)住宅ローン控除の控除期間13年間の特例措置については、上記(1)と同様に、新型 コロナウイルス感染症等の影響により、控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(令和2年12月31日)までにできなかった場合でも、次の要件を満たすときには、その適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)。
 ・一定の期日(※)までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること
 ・令和3年12月31日までに住宅に入居していること
(※) 新築については令和2年9月末、中古住宅の取得、増改築等については令和2年11月末  

控除額の計算方法

控除額の計算方法は、主に一般住宅(住宅借入金等特別控除)、認定住宅(住宅借入金等特別控除の特例)で異なります。

一般住宅(住宅借入金等特別控除)

認定住宅にあたらない新築・中古住宅や、特定増改築にあたらない増築をした住宅の控除額の計算方法は以下のとおりです。

住宅ローン控除の計算方法(一般住宅)
居住の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
平成26年1月1日から 令和元年9月30日まで 10年 1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額40万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円※1
令和元年10月1日から 令和2年12月31日まで ※2 13年 [住宅の取得等が特別特定取得に該当する場合]
【1~10年目】
年末残高等×1%(控除限度額40万円)
【11~13年目】
次のいずれか少ない額が控除限度額
 a.年末残高等〔上限4,000万円〕×1%
 b.(住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限4,000万円〕×2%÷3
「住宅取得等対価の額」は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額をいいます。
10年 [上記以外の場合]
1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額40万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円※1
令和3年1月1日から
令和3年12月31日まで
10年 1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額40万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は20万円※1
※1 新築については令和2年9月末、中古住宅の取得、増改築等については令和2年11月末
※2 控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(令和2年12月31日)までにできなかった場合でも、次の要件を満たすときには、その特例の適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)
 a.一定の期日(注)までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること
 b.令和3年12月31日までに住宅に入居していること

計算式に出てくる「年末残高等」とは、12月31日時点で返済していない住宅ローンの残額のことをいい、たとえば、年末残高が3,000万円の場合の控除額は以下のように計算します。

3,000万円(年末残高)×1%(控除率)= 30万円(控除額)

上記の計算で出た控除額が1年間の所得税から税額控除されますが、控除額が所得税よりも多い場合は、残りの控除額が住民税から差し引かれます。ただし、住民税から控除される額は、所得税の課税総所得金額等の額の7%、または13万6500円のうちの小さい方の額が上限とされています。

そのため、計算で求めた最高額が必ず全額控除されるわけではないということを覚えておきましょう。

[居住の用に供した年]
その家に住み始めた年のこと。

[特定取得]
住宅の取得等の対価の額または費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額)が、8%または10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等。

[特別特定取得]
住宅の取得等の対価の額または費用の額に含まれる消費税額等が、10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等。

認定住宅(住宅借入金等特別控除の特例)

認定住宅には、「認定長期優良住宅」と「認定低炭素住宅」の2種類があります。認定長期優良住宅とは、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に記載されている条件を満たしている家屋を指し、認定低炭素住宅とは、都市の低炭素化の促進に関する法律に記載されている条件を満たしている家屋です。

これらの家屋を新築した際は、一般住宅の場合と控除額が少し異なります。

居住の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
平成26年1月1日から 令和元年9月30日まで 10年 1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額50万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は30万円※1
令和元年10月1日から 令和2年12月31日まで ※2 13年 [住宅の取得等が特別特定取得に該当する場合]
【1~10年目】
年末残高等×1%(控除限度額50万円)
【11~13年目】
次のいずれか少ない額が控除限度額
 a.年末残高等〔上限5,000万円〕×1%
 b.(住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限5,000万円〕×2%÷3
「住宅取得等対価の額」は、補助金及び住宅取得等資金の贈与の額を控除しないこととした金額をいいます。
10年 [上記以外の場合]
1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額50万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は30万円※1
令和3年1月1日から
令和3年12月31日まで
10年 1~10年目
年末残高等×1%(控除限度額50万円)
住宅の取得等が特定取得以外の場合は30万円※1
※1 新築については令和2年9月末、中古住宅の取得、増改築等については令和2年11月末
※2 控除の対象となる住宅の取得等をした後、その住宅への入居が入居の期限(令和2年12月31日)までにできなかった場合でも、次の要件を満たすときには、その特例の適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)
 a.一定の期日(注)までに、住宅の取得等に係る契約を締結していること
 b.令和3年12月31日までに住宅に入居していること

借り換えや繰上返済したとき

基本的に、借り換えや繰り上げ返済したときの計算方法は上記で解説した方法と同様になりますが、借り換え時の年末残高については次のような決まりがあります。

借り換えをして住宅ローンが増えた場合

住宅ローンの年末残高 =
借り換え後の住宅ローンの年末残高 × (借り換え前の住宅ローンの残高 / 新たな住宅ローンの借入時の残高)

借り換えをして住宅ローンが減った、もしくは同じ場合

住宅ローンの年末残高 =
借り換え後の住宅ローンの年末残高

また、借り換えや繰上返済をした時に、住宅ローンの返済期間が返済開始から10年未満になってしまうと、それ以降は住宅ローン控除が受けられなくなってしまうので注意が必要です。

住宅ローン控除の節税シミュレーション

具体的な数字を用いて、いくら節税になるのかをシミュレーションしてみましょう。

Aさんが20年の返済期間で一般住宅の新築を購入したとします。

【Aさんの設定】
住宅ローンの年末残高 3500万円
年収 600万円
課税所得 303万円
所得税 20万円
住民税 33万円

※正確な数字を計算するには住所地など細かな情報が必要となるため、ここでは概算で金額を出しています。

この場合、控除額は次のように計算されます。

控除額 = 3500万円 × 1% = 35万円
所得税:20万円全額控除
住民税:住民税から13万6500円控除{303万円(課税所得) × 7%>13万6500円}

このケースでは、所得税と住民税の控除額の合計である33万6500円が1年間の住宅ローンの控除額となります。

年末調整または確定申告で申請する

住宅ローン控除の申請は確定申告で行いますが、給与所得者であれば、2年目以降は年末調整で適用することができます。

初年度の申請方法

住宅ローン控除を受けるためには、初年度に確定申告をする必要があり、確定申告書に必要書類を添付して税務署に提出します。

給与所得者の場合は、2年目から会社の年末調整で住宅ローン控除を適用できますが、初年度は自分で確定申告をしなければなりません。

2年目以降の申請方法

2年目以降の申請方法は、給与所得者とそれ以外の場合で異なります。

給与取得者の場合は、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出すると年末調整で住宅ローン控除が適用されます。

それ以外の自営業者など場合は、2年目以降も確定申告する必要がありますが、確定申告書に添付する書類は1年目よりは少なくなります。

確定申告の必要書類と入手先一覧

住宅ローン控除のための確定申告に必要な書類と入手先は以下のとおりです。

適用期間 必要書類 入手先
初年度、 2年目以降 確定申告書 税務署、もしくは国税庁ホームページ
初年度、 2年目以降 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署、もしくは国税庁ホームページ
初年度、 2年目以降 住宅取得資金に係る借入金(住宅ローン)の年末残高等証明書 住宅ローンを借り入れた金融機関
初年度 不動産売買契約書、工事請負契約書 契約した不動産会社
初年度 住民票の写し 市役所
初年度 源泉徴収票 勤務先
初年度 家屋、敷地の登記事項証明書 法務局
初年度 (認定住宅の場合) 認定通知書の写し 契約した不動産会社

申請期限はいつまで?

適用は購入・増築した住居に入居した年に行います。住宅ローン控除は払いすぎた所得税を返還してもらえる還付申告にあたるので、通常の確定申告と異なり、入居した翌年の1月1日から申告することできます。

住民税に関しては、確定申告(還付申告)をすると、国から自治体に内容が通知される仕組みになっているため、個別で行う必要はありません。

令和3年度税制改正での変更点

令和3年度税制改正によって、主に以下の点が見直されることになっています。

なお、令和3年度税制改正大綱(令和2年12月10日公表)に基づく内容であり、今後変更される可能性がありますのでご留意ください。

13年特例の延長

令和元年度税制改正で消費税10%への引き上げによる負担軽減を図るために、令和元年10月1日から令和2年12月31日までに取得等した場合には、控除期間が10年から13年に延長する特例措置がなされました。

令和3年度税制改正ではこの特例措置について、新築の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外は令和2年12月から令和3年11月末までに契約を行った場合には、令和4年12月31日までの入居者についても対象とすることとされました。

所得と面積要件の緩和

前述の特例措置において、合計所得金額1000万円以下であれば床面積40㎡以上50㎡未満の住宅(2分の1以上の部分を居住のために使用していること)も対象とされることとなりました。

控除額と控除率の変更検討

住宅ローンの借り入れは、住宅ローン控除の控除率1%を下回る金利であるケースが多く、その場合、住宅ローン控除額が住宅ローンの支払利息額を上回っていることなどが以前から指摘されていました。

この点を考慮し、令和4年度税制改正において控除額や控除率を見直すことが決定しました。

おわりに

住宅ローン控除は活用すればとても節税効果が高い制度です。新築や増改築をした際には、条件に当てはまるかを確認してみることをおすすめします。

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