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住宅購入、ローンと現金一括のどちらにすべき?メリット・デメリットを比較

著者: 山田 浩 CFP認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務・中小事業主資産相談業務)

人生でもっとも高価な買い物といわれる「住宅」。人生最大の買い物を考えるとなれば、購入方法で迷われている方も多いでしょう。では、住宅購入をする際、現金一括で購入する場合と、住宅ローンを利用して購入する場合とではどちらが「お得」なのでしょう? そこで、それぞれのメリット・デメリットをはじめ、住宅ローンにかかる諸費用について解説していきます。

目次

現金一括購入した場合

まずは現金一括で購入した場合のメリットとデメリットを確認しましょう。

メリット

現金一括購入した場合のメリットとしてまず挙げられるのが「即座に住宅を自身の財産にできる」ということです。

住宅ローンは多くの手続きが必要となり、融資実行まで1か月前後かかるのが通常です。現金で購入する場合はその所要時間を短縮できるため、比較的短期間で住宅を自身の財産にできることが大きなメリットといえるでしょう。

また、現金一括購入の場合、住宅ローン利用時にかかる金利や保証料、保険料などの諸経費がかからないため、「諸費用をおさえることができる」のもメリットのひとつです。

デメリット

現金一括購入でのデメリットは大きく分けて2つあります。

デメリット1)購入額以上のキャッシュの確保が必要

住宅の購入はライフプランにおいて大きなイベントのひとつですが、住宅の購入に全保有キャッシュ(現金、預金、貯金)を投じてしまうと、その後のライフプランにおけるイベントでキャッシュが足りなくなってしまいます。

生活費はもちろん、子どもの進学(教育費)と結婚費用、そして自身の老後資産形成を考慮し、手持ちのキャッシュを確保したうえで、住宅購入する必要があるでしょう。

デメリット2)税制面での優遇措置が受けられない

税制面での優遇を受けることができる「住宅借入金等特別控除」をご存知でしょうか?

「住宅借入金等特別控除」とは、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に適用される税制上の優遇措置で、住宅ローン控除(減税)とも呼ばれます。

仮に令和3年(2021年)中に購入した住宅に住み始めた場合、年末ローン残高の1%を10年間所得税から控除できます(※ただし限度額は40万円)。

現金一括購入で住宅を購入した場合、この極めて優遇性の高い控除を適用することができません。

ただし、現金一括購入の場合でも不公平感をなくすという観点から、「認定住宅新築等特別税額控除(投資型減税)」という制度が設けられています。

この制度の適用には対象住宅として「長期優良住宅」「低炭素住宅」の認定が必要となり、ハードルがやや高くはなりますが、現金一括購入の場合でも最大65万円の所得税控除が適用されます

住宅ローンを利用して購入した場合

では、住宅ローンを利用する場合について確認しましょう。

メリット

メリットは大きく2つあります。

メリット1)手元資金がなくても、住宅を取得できる

たとえ手元資金がゼロ円でも、住宅ローンを利用すれば住宅を取得できます。

住宅ローンの利用でもっとも多いケースは、頭金を準備し借入残高をできるだけ最小限にしたうえで住宅ローンを利用するものですが、頭金がゼロ円だからといって、審査に通らないわけではありません

自己資金がゼロでも、住宅ローンを利用して“夢のマイホーム”を手にする方もいるのです。借入残高を毎月分割返済し「期限の利益」が得られるところに、住宅ローン利用のメリットがあるといえるでしょう。

メリット2)節税効果が高い

前述のように、住宅ローン利用時に適用できる「住宅借入金等特別控除」は、節税効果に大きく貢献します。また、住宅借入金等特別控除は「所得控除」ではなく、「所得税控除(税額控除)」ですから、ストレートに所得税額を抑えられる効果が期待できるでしょう。

デメリット

一方でデメリットとしては時間と費用が現金一括購入よりも多くなる可能性が挙げられ、大きく分けると以下の3つのデメリットが考えられます。

デメリット1)借入れまでに時間がかかる

住宅ローンの契約前には必ず審査があり、一般的に「仮審査」と「本審査」の2つの過程があります。住宅ローン手続きの全体的な流れは次の通りです。

  1. 借りたい住宅ローンの決定
  2. 仮審査の申し込み
  3. 仮審査結果の通知
  4. 本審査の申し込み
  5. 住宅ローン契約の締結
  6. 住宅ローンの実行

前述したように、仮審査申し込みから融資実行までは1か月以上かかることが想定されるため、住宅ローンを利用する場合は借入れまでにかかる時間を考慮したうえで、計画的に実行していくことが望ましいでしょう。

デメリット2)諸費用が多くかかる

住宅ローンを利用する場合、現金での一括購入によりも諸費用が多くかかります。

一般的にかかるとされるものとしては、住宅ローンにおける金利や保証料、事務手数料のほか、団体信用生命保険の保険料、住宅ローン契約書の印紙代、抵当権設定登記の費用などがあります。

たとえば、住宅ローンの金利は借入額に対して0.4%〜1.5%程度(2020年現在)、事務手数料は借入金額の2%前後(定額型の場合は5万円前後)、印紙代は契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合で2万円は最低でも必要となることを念頭に入れておきましょう。

デメリット3)総返済額が多くなる可能性がある

前述の通り、住宅ローン借入時には現金一括購入より諸費用がかかりますが、そのうち多くを占めるものが「利息負担」です。

利息負担は借入金額、借入期間、金利によって金額が異なりますが、最終的な総返済額は一括購入に比べると多くなる可能性が高いです。

現金一括購入と住宅ローン利用時の総支払い金額比較

ここでは、現金一括購入と住宅ローンを利用した場合の総支払い金額をシミュレーションしてみます。

比較する参考値

  • 購入価格:4,000万円
  • 金利:年1.0%(全期間固定金利)
  • 借入期間:30歳から定年退職65歳までの35年間

※なお、諸経費は借入金額に応じた概算値とします

住宅ローンと現金の比較

このように、現金一括購入の場合は、住宅借入金等特別控除の減税額を考慮しても、住宅ローンを利用した場合の総支払額より少なくなります。また、住宅ローンを利用した場合、住宅借入金等特別控除を考慮しても自己資金が多いほど総支払額は少なくなります

結局のところ、どちらがお得?

住宅ローンを利用した場合にかかる諸費用を考えると、単純に金額だけをみた場合、総支払額においては、現金一括購入で住宅を購入したほうが「お得」といえるでしょう。

ただし、日銀による金融緩和政策は現在も継続しており、2021年3月の総点検においても「これまでの枠組みを変更する必要はない」という日銀総裁の見解が報道されています。当面低金利は継続されると考えられるでしょう。

また、コロナ禍における全世界的な中央銀行の緩和政策と財政出動は、今後数年継続するものと観測されています。

こういった背景から、現金一括で住宅を購入できるくらいの自己資金があるのならほかの投資を検討するのも、ひとつの方法ではないでしょうか。他方で今後インフレが加速した場合、住宅ローンを利用したほうにお得感があることはいうまでもありません。

おわりに

現金一括購入と住宅ローンの利用は、どちらにも「メリット」と「デメリット」があります。そのときどきの金融政策、財政政策を鑑みた、最適な手段を選択するところにマネーリテラシーが問われるところでしょう。どちらがいいとは一概にいえませんので、メリットとデメリットをしっかり比較したうえで、自身に合った方法を選択してみてください。

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