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住宅資金の贈与はいくらまで非課税?「住宅取得等資金贈与の特例」について解説

監修: 鎌田 浩司 税理士

両親や祖父母からマイホームの購入資金として贈与を受ける場合、一定額までなら贈与税が非課税になる「住宅取得等資金贈与の特例」が設けられています。

この特例制度は、購入する住宅の種類、契約締結日などによって非課税の限度額が異なるなど利用条件が細かくなっています。要件を満たせず、のちに高い贈与税を払うことにならないように、特例適用の要件や手続きの方法について確認しましょう。

目次

住宅取得等資金贈与の特例とは?

住宅取得等資金贈与の特例(住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)とは、直系尊属である父母や祖父母からの贈与が、家を新築、購入又は増改築等(以下、「新築等」といいます。)をするための資金であったときに、その一部の贈与税が非課税になる制度のことです。

もちろん、家の新築等を行う場合のその家の敷地である土地等の取得のための資金も含まれます。

適用要件や金額には定めがありますが、もし適用を受けられれば、贈与税の節税はもちろんのこと、相続税の生前対策としても活用できます

令和3年度税制改正大綱」において、新型コロナウイルスの影響による先行きの不透明さなどを鑑み、本税制をはじめとした住宅取得環境に関わる税制が見直されました。これにより、非課税限度額の増額と条件緩和措置が図られたため、従来より利用しやすくなっています。

非課税限度額

この特例を用いて非課税となる限度額は、500万円〜3,000万円で、「取得時の消費税率、契約を結んだ日、住宅の種類」の状況によって異なり、下記表のように定められています。

【家屋の新築等の費用に含まれる消費税等の税率が10%である場合】
契約を結んだ日住宅の種類
省エネ等基準に適合する住宅左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,500万円1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,500万円(※1)1,000万円(※2)

※1 令和3年度税制改正にて現行の限度額(1,200万円)より増額
※2 令和3年度税制改正にて現行の限度額(700万円)より増額

【上表以外の場合】
契約を結んだ日住宅の種類
省エネ等基準に適合する住宅左記以外の住宅
~2015年12月31日1,500万円1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日1,200万円700万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,000万円500万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,000万円(※3)500万円(※4)

※3 令和3年度税制改正にて現行の限度額(800万円)より増額
※4 令和3年度税制改正にて現行の限度額(300万円)より増額

ここでの「省エネ等基準に適合する住宅」とは、以下のような家屋を指します。

  • 消費エネルギー効率の良い家屋
  • 大地震への耐久性のある家屋
  • 高齢者等の生活の便を向上させる構造・設備のある家屋

基本的に、こうした家屋に該当する場合は、ハウスメーカーなど業者の側から説明があるでしょう。不明点等があれば、制度活用を考える際に問い合わせてみましょう。

また、非課税限度額は「受贈者1人について」の金額で、贈与者が2人以上いても非課税限度額は同じです。

たとえば父から5,000万円、母から2,000万円を贈与されれば、合計7,000万円のうち、特例による限度額分が非課税になる、という処理になります。父と母の贈与に対して別々に限度額分が非課税扱いとなるわけではない点に注意してください。

住宅取得等資金贈与の特例の適用要件

住宅取得等資金贈与の特例を受けるためには、「誰が対象になるか」「どういった家が対象になるか」について、以下の要件を満たしている必要があります。

誰が対象になるか?

贈与者(贈与をする人)と受贈者(贈与を受ける人)について、対象となる要件が定められています。

贈与者

直系尊属であること。

自分の父母や祖父母、曾祖父母が当てはまります。また、養子縁組をしている場合には、養子縁組後の贈与は対象になります。注意を要するのは、配偶者の親や祖父母、曾祖父母は対象外となります。

受贈者

・原則として、贈与を受けた時点で日本国内に住所があり、かつ、日本国籍を有していること
・贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
・贈与者から見て後の世代の直系卑属であること
・贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
・平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で、旧非課税制度である「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けていないこと
・配偶者、親族、その他一定の特別な間柄の人から住宅用の家屋を取得したのではないこと、あるいはこれらの人との請負契約等によって新築・増改築したものでないこと
・贈与を受けた翌年の3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること、加えて同日までにその家屋に住むこと(当日までに住んでいなくても、その後すぐに住めそうであること)。但し、贈与の翌年12月31日までにその家屋に住んでいないときは、この特例の摘要を受けることができません)

どういった家が対象になるか?

住宅用家屋であることが前提で、それが新築・中古の場合と、リフォームした場合とで、それぞれ要件が定められています。要件にあてはまることを示す書類を手に入れるには、ハウスメーカーなど、契約を行った業者に直接問い合わせをしましょう。

新築・中古の場合の要件

次の4つの要件をすべて満たすこと。

(1)家屋が日本国内にある
(2)家屋の床面積が 50 ㎡以上 240 ㎡以下である
令和3年1月1日以降の贈与については、受贈者の贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円以下である場合に限り、40㎡以上240㎡以下が条件となる
(3)家屋の床面積の2分の1以上が居住用である
(4)取得した住宅が次のイ~ニのいずれかに該当する
 イ 未使用の住宅用の家屋
 ロ 中古の住宅用の家屋で、取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
 ハ 中古の住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準を満たしていることが書類で証明されたもの
 ニ 上記ロ又はハにあてはまらない中古の住宅用の家屋で、取得日までにその家屋の耐震改修を行うことを申請して、贈与を受けた翌年の3月15日までにその改修によって地震に対する安全性の基準を満たしていることが、書類で証明されたもの

ここでいう「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において、いわゆる「棟上げ」まで工事が進んでいるものが含まれます。「取得」には、「棟上げ」まで工事が進んでいるものは含まれず、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引渡しを受けていなければ対象外になります。

リフォームした場合の要件

リフォームした場合は、新築・中古の場合の要件の(1)~(3)に加えて、次の3つの要件をすべて満たすこと。

(1)リフォーム工事に要した費用の額が100万円以上である
(2)リフォーム工事が、自分が所有し、かつ、住んでいる家屋に行われたものである
(3)リフォーム工事を証明する書類がある(確認済証の写し、検査済証の写し、増改築等工事証明書のいずれか)

ここでいう「リフォーム」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において、いわゆる「棟上げ」まで工事が進んでいるものが含まれます。 

特例制度適用後の贈与税の計算方法

住宅資金として金銭の贈与を受けた場合の贈与税について、特例を用いた場合とそうでない場合に、贈与税にどのくらいの差がでるのかを試算します。

土地・建物で総額8,000万円の省エネ等基準に適合する住宅(消費税は10%)を、自分名義で購入することにした。令和3年5月1日に父から3,000万円の資金援助を受けたとする

この場合の、住宅取得等資金贈与の特例の非課税上限金額は1,500万円で、贈与税は366万円です。

贈与税 ={3,000万円 - 1,500万円 - 110万円(基礎控除)} × 40%(特例税率)  - 190万円(控除額) =366万円

住宅取得等資金贈与の特例を用いない場合は、特例の1,500万円の非課税分、贈与税の負担が増すことになります。

贈与税 = 3,000万円 -110万円(基礎控除) × 45%(特例税率) - 265万円(控除額) =1,035万5000円

よって今回のケースでは、特例を用いたほうが669万5000円もお得になるのです。この特例の節税効果は、莫大なものであることがわかります。

夫婦で贈与を受ける場合

夫の親から1,000万円、妻の親からも500万円贈与を受ける、といった場合は、購入等する家屋を夫婦共有の名義にしましょう。すると非課税枠を二人分用いることができ、大変お得です。

この際、共有名義で登記しなければなりませんが、このときの持ち分は実際の負担割合に応じて設定します。

注意しなければならないのは、配偶者に購入資金の負担能力が無い場合です。上記の例で、住宅用家屋が5,000万円で、夫が購入資金の全額を負担したとします。このときに夫と妻共に1/2の持ち分で登記すると、夫から妻へ「5,000万円 × 1/2 - 500万円 = 2,000万円」贈与したことになります。

このケースで贈与を無くすためには、妻の持ち分を「500万円/5,000万円」、つまり1/10にする必要があります。

実際には、贈与税の基礎控除(110万円)があるため、「500万円 + 110万円 = 610万円」まで妻の持ち分を増やしても課税されません。

なお、婚姻期間が20年以上であれば、贈与税の配偶者控除(2,000万円)が使えます。その場合は「(500万円+2,000万円=2,500万円)/5,000万円」で持ち分を1/2にできます。

これらの点を踏まえ、持ち分は実際に配偶者が自己資金で支払える金額をもとに決めることをおすすめします。

住宅取得等資金贈与の特例の注意点

贈与税が非課税になるメリットがある一方で、住宅取得等資金贈与の特例を用いた場合に、税務上考えられる問題があります。

それは「小規模宅地等の特例」を将来的に受けることができなくなることと、住宅ローン控除の金額に影響が出る点です。

相続のときに不利になることがある

小規模宅地等の特例とは、敷地面積が330㎡以下の自宅を相続する場合、その評価額を8割減額できるという制度です。例えば1億円の自宅を相続する場合には、評価額が2,000万円になるので、非常に節税効果の大きい特例制度です。

この特例を受けるために、自宅の「取得者」に課される要件は以下のとおりです。

  1. 被相続人の配偶者
  2. 被相続人の同居親族
  3. 1.2.にあてはまる人がいない場合
    被相続人と別居している親族で、相続開始前の3年以内に自分や配偶者などの持ち家に住んだことがない人で、かつ、相続開始時に住んでいる家屋を相続開始前に所有したことがない人

このうち、3.の要件にあてはまるのは、例えば、マンションやアパートなどで賃貸暮らしをする子ども夫婦などです。つまり、住宅取得等資金贈与の特例を受けた場合は、3.の要件を満たさない可能性があります。

3.の要件を満たさない場合には、将来の相続の際に、小規模宅地等の特例が受けられなくなってしまうということです。

よって、将来の相続税対策も見据えるためには、「住宅資金等贈与の特例の非課税限度額および税率」と、「小規模宅地等の特例による自宅の評価8割減」の効果とでは、どちらの税負担が重くなるのか、について考慮しなくてはなりません。

上述のケースでは、住宅資金等贈与の特例により699万5000円の節税効果を得ることができましたが、結果的に将来それ以上の相続税負担を強いられることになった、という状況もありえるのです。

節税効果の具体的な比較については、個々のケースによって異なるため、贈与税や相続税に詳しい税理士に相談すると良いでしょう。

住宅ローン控除額の金額に影響する

住宅取得等資金贈与の特例は、住宅ローン控除と併用することが可能です。

ただしこの特例を用いた場合、住宅ローン控除の金額には影響が出てきます。注意が必要なのは、特例を用いての贈与額と住宅ローン借入額との合計が、住宅購入金額よりも高い場合です。

住宅ローン控除の対象となる金額は、以下2つの金額のうち、小さい方の金額が選ばれます。

  1. 住宅ローンの借入額
  2. 住宅購入金額 ー 住宅取得等資金贈与の特例での非課税額

例として、住宅購入金額が4,000万円、住宅ローン借入額が3,000万円、特例を用いて非課税で受けた贈与が1,500万円の場合を考えてみます。

このとき、住宅ローン控除を受ける際の計算の基礎となる住宅の取得価額は2.で計算された「3,000万円 > 4,000万円 - 1,500万円 = 2,500万円」になります。単純計算で、1.の3,000万円と比べて、「3,000万円 × 1% - 2,500万円 × 1% = 5万円」の控除額が減るということです。

そのため、住宅取得等資金贈与の特例と組み合わせて住宅ローンを用いる場合には、住宅ローンの設定金額を多すぎないように調整しましょう。

住宅取得等資金贈与の特例の手続き

住宅取得等資金贈与の特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日に、贈与税申告書および添付書類を提出します。1日でも期日を過ぎればいかなる理由があっても特例の適用が認められなくなります

添付書類は、以下のとおりです。

  • 受贈者の戸籍謄本などで次の内容を証する書類
    (1)受贈者の氏名、生年月日が記載されている書類
    (2)贈与者が直系尊属であることを示す書類
  • 申告する年分の所得税に係る合計所得金額がわかる書類(源泉徴収票など)
  • 住宅用家屋に関する登記事項証明書
  • 住宅用家屋の新築に係る工事請負契約書の写しや売買契約書の写しで次の内容が分かる書類
    (1)新築に係る契約又は取得の相手方
    (2)新築又は取得に係る契約締結日
    (3)新築又は取得のに係る対価等の額及び含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額
  • 省エネ等の基準を満たす住宅の場合、その性能・構造などを証明する書類
  • その他必要な書類

この特例は、「贈与を受けた資金の全額を、住宅用家屋の取得等の支払に充てる」際に用いることができる制度です。そのため、住宅を購入などした後に、住宅購入資金分の贈与を受けても、特例を受けることはできません。

おわりに

住宅取得等資金贈与の特例は、節税効果が大きいので、ぜひ活用したい制度です。適用を考える際には、実際に購入(または契約)する前に、要件に該当するかどうかを確認しましょう。

また、相続時精算課税制度や住宅ローン減税制度など、他の制度との併用の仕方次第では、大幅に購入資金の負担を軽減できます。制度の活用を考えていて「どうすれば節税に効果的なのか」と疑問をお持ちの際は、お近くの税理士に相談すると良いでしょう。また、無料で税理士に相談ができる「みんなの税務相談」もご活用ください。

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