メルカリ創業者の「リケジョ支援」は節税になる? 私財30億円投げうって財団設立
節税
メルカリの創業者で代表取締役CEOを務める山田進太郎氏が、ジェンダーギャップの解消などに向けて、総額30億円の私財を自身が設立した財団に寄付する意向を明らかにしました。
報道などによると、その第一弾として、理系を目指す女性100名に対して支給する奨学金プログラムを開始します。将来的には常時1000名以上へ支給する構想もあるようです。
支給金は、国公立学校なら年額25万円、私立学校なら年額50万円。継続審査はあるものの、最大で高校在学中の3年間、または高専在学中の5年間、支給を受け続けることも可能とのことです。
30億円もの高額寄付ができる人は限られますが、寄付をすると「税金が安くなる」というのを耳にすることがあります。どのような場合に寄付が節税になるのでしょうか。冨田建税理士に聞きました。
●「寄付した額以上に節税できることはない」
まず、このような寄付をされる尊いご意向を素直に尊敬したいと思います。そのうえで、以下ではふるさと納税ではない通常の寄付についてお話します。
個人が「特定寄附金」といわれる一定の寄付金を払ったときは、一定の算式に基づく額を所得金額から差し引いて、これに基づき税率等を考慮して、所得税等を有利に計算できます。これを「寄附金控除」といいます。
また、個人が政治関連の寄付金や、認定NPO法人・公益社団法人等に寄付した場合は、寄附金控除の制度が適用できるほか、これに変えて、一定の算式に基づいた額を本来の税額から差し引ける「寄附金特別控除(税額控除)」の制度も使えます。
もっとも、寄付先は誰でも良いわけではなく、公共性の高い一定の団体でないと認められません。
例として、国や地方公共団体への一定の寄付金や、オリンピック委員会への寄付金、政党に対する寄付金、理化学研究所等の日本の進歩発展に寄与する法人への寄付金が挙げられます。また、公益社団法人の例としては、藤井(聡太)二冠のご活躍で盛り上がる日本将棋連盟への寄付金等が挙げられます。
山田氏が設立した財団は「一般財団法人」のようです。一般財団法人への寄付については、「寄附金控除」の対象にはなりません。
なお、寄付金として支払った額以上に節税できることはありません。そもそも寄付に際し節税を意識されているのかという面もありますし、このような寄付をされた方のご意向は節税とは無関係に尊い点は申し添えたいと思います。
私自身、日本の進歩発展に寄与する団体や環境団体、恵まれない国内の子供の団体への寄付を考えたことがありますが、いきなり知らない団体に寄付するのはハードルが高く実行できない実態があるように感じます。今後、税金面のアシストの他、ご縁を作りやすくするなど、寄付のハードルを下げる社会的な枠組みの提案をしていきたいと思います。
【取材協力税理士】
冨田 建 (とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士
43都道府県で不動産鑑定業務に従事経験があり。様々な媒体に寄稿も行っている。令和3年8月11日には不動産の相続や税務、評価の考え方を実例を交えて述べた自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」を上梓。
事務所名 :冨田会計・不動産鑑定㈱/冨田 建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://www.tomitacparea.co.jp















