押入れの中のトレカがお宝に!高値で売れたら確定申告が必要?
確定申告

不動産や株式など、値段が上下する資産はさまざまあるが、近頃注目されているのがトレーディングカード(トレカ)だ。
コロナ禍によるトレカブーム再来と収集熱の高まりにより、ネットオークションなどで出品されるレアカードの価格が上昇。日本玩具協会が発表した調査データでは、2021年度のカードゲーム・トレーディングカード分野は前年度比145.6%、金額にして558億円の伸び率を記録しており、大きく躍進していることがわかる。
中には、子供の頃に買ったトレカを売却したら思わず高額で売れたという人もいるようだ。
税理士の上仲孝明先生によると、「トレカを売却して利益を得た場合であっても、確定申告が必要になるケースはあります」という。
●売却金額が「トレカ1枚×30万円」以下なら課税されない
トレカの売却によって偶然利益を得た場合には「譲渡所得」、副業として営利目的でトレカを売買している場合には「雑所得」になると考えられます。なお、カードショップのように生活の糧となる程度までトレカの売買を繰り返し行っている場合には、「事業所得」になることも考えられます。
「しまっておいたトレカが高値で売れた」など、儲けることを意図せずに購入したトレカが高値で売却されたような場合は、「譲渡所得」に該当します。
譲渡所得の額は、譲渡価額(売却代金)から取得費や譲渡費用を差し引き、さらに譲渡所得の特別控除額50万円を差し引いて計算します。このとき、所有期間が5年を超える場合には、1/2を乗じた金額が譲渡所得となります。
ただし、トレカ1枚または1組の売却価額が30万円以下の場合には、生活用動産とみなされ譲渡所得は課税されないため、確定申告の必要はありません。
●トレカ1枚100万円で売れた!税金はどうなる?
それでは「25年前に買ったトレカが1枚100万円で売れた」というケースを想定し、税金がいくらになるのかシミュレーションしてみましょう。
【条件】
・会社員/年収 400万円(給与収入のみ)、社会保険料 55万円
・25年前に買ったトレカの売却金額 100万円(カード1枚)
このとき、25年も前に買ったものであれば領収書がないことが想定されます。そこで今回はトレカの売却金額の5%(50,000円)を概算取得費として、譲渡所得の計算をします。
まずは譲渡所得の計算です。
「売却代金 1,000,000円」から「概算取得費 50,000円+特別控除額 500,000円」を差し引くと450,000円。トレカは5年を超えて保有していたので、450,000円に1/2を乗じた225,000円がトレカの譲渡所得金額となります。
次に所得税額ですが、このケースでは給与所得における課税所得額が 1,730,000円になりますので、トレカの譲渡所得と合わせて課税所得は1,955,000円で計算します。
「1,955,000円 × 10% ー 控除額 97,500円=98,000円」が所得税額です。その他、復興特別所得税や住民税が約20万円となることから、所得税と住民税を合わせて約30万円となります。
今回のケースでは、会社員の給与だけであれば所得税の金額は86,500円です。その他、復興特別所得税・住民税が約18万円ですので、合わせると約26万円となります。
つまり、トレカが100万円で売れた場合であっても納付税額は約4万円の増加で済むということになります。
【取材協力税理士】
上仲 孝明(うえなか・たかあき)税理士
みずほインベスターズ証券、KPMG税理士法人等を経て開業。個人事業主、営利法人、公益法人等の税務顧問等を行っている。常にお客様の立場に立って考え、長期的な視点で寄り添うパートナーを目指して活動している。
事務所名 : 上仲パートナーズ税理士事務所
事務所URL:https://upz.jp