「税金泥棒」「終身雇用熱望」まぜるな危険!…職員採用ポスターが攻めすぎ 奈良・生駒市
税金・お金
「税金泥棒型の学生はお断り」。暇そうな職員が目立ったり、税金の無駄遣いを指摘されたりすることもあって、公務員というだけで「税金泥棒だ」と批判する声はなかなか消えない。そうしたなか、奈良県生駒市の採用試験ポスターが「攻めすぎている」と話題だ。
●「終身雇用熱望型」もいらない
「これまで言われてきたような公務員のイメージで受けてくると、危ないですよ。仕事の安定よりも、やりがいを求める方に受験してほしいと思っています」。生駒市人事課の担当者は、こう話す。
ポスターでは、「税金泥棒型」のほか、「終身雇用熱望型」「思考停止型」「机椅子一体型」をイラストで表現し、これらに当てはまる人は、採用試験を受けないよう求めている。イラストは市内のデザイナーが担当した。
具体的にどのようなイメージの職員をさすのか。人事課の担当者に取材してみた。
「税金泥棒型」は、市民のおかげで自分たちが給与をもらえ、仕事が成り立っているということの認識がないタイプの人のこと。「給与をもらって当然だ」と思う人は論外だという。
「終身雇用熱望型」とは、公務員はクビにならないので退職するまでずっと安泰と思っている人のこと。人事課ではこうした思考の人よりも、仮に途中で公務員をやめたとしても他の道で食べていけるような気概がある人を望んでいる。
●「職員も現場に出て、市民とともに汗を」
また、「思考停止型」とは、自分の意見を持たずに「はい、わかりました」と上司の意見にうなづいてばかりの人。持論をぶつけて熱い議論をし、結果的に従うのとはワケが違う。「何が市民のためになるのか、自分から考えて行動してほしい」との思いを込めた。
最後の「机椅子一体型」は、現場に出ずに机の上でだけ仕事をしている人のことだ。机上の空論に終始し、現場感覚とかけ離れてしまうリスクがある。人事課の担当者は「市民に汗をかいてもらっている。職員も現場に出て、市民とともに汗をかかないといけない」と話す。
●ポスター反響大きく、受験者数は倍増
生駒市では5年ほど前から、ユニークな採用戦略をとり話題を集めている。従来の公務員試験を廃止し、民間企業の就職活動をしている層にも幅広く受験してもらうねらいで、SPI試験を導入した。ポスターの効果も大きく、受験者数はそれまでの2倍程度に伸びた。
一部の大学のキャリアセンターからは「生駒市さんは倍率が高いですからね」と言われるようになり、受験生にとっては狭き門になった。
ただ、人材をとる観点からは、多くの母数から選べるメリットは大きい。採用戦略について他自治体から助言を求められることもあるという。
人事課の職員にとって悩みのタネは、次年度の採用ポスターをどうするかだ。近年は毎年話題になり、メディアでの紹介も増えた。「次にスベったらどうしよう」。そうした不安とともに、秋ごろから内部での検討は本格化していく。















