「税務調査が来た!」そのとき慌てないための準備と心構えを相続専門税理士が解説
税務調査

相続税の申告をした経験がある人なら、「もし税務調査が入ったら、どう対応すればよいのだろうか」と不安に感じたことがあるのではないだろうか。
相続税申告において、税務調査を回避する方法や、追徴課税された原因No.1などについては、こちらの記事で紹介している(https://www.zeiri4.com/c_1007/n_1235/)。
では、税理士に相続税申告を依頼して対策を講じたにもかかわらず、税務調査が入った場合には、どのように対応すればよいのだろうか。ベンチャーサポート相続税理士法人の桑原 弾税理士に話を聞いた。
●税務調査官は質問を通じて、相続税の追徴課税につなげようとしている
ーー税務調査では、故人のことや相続人に対して、どんな意図で質問をするのでしょうか?
「税務調査官が質問する意図・ゴールは、すべて『相続税を追徴課税するため』です。故人についての世間話や趣味の会話すら、亡くなる直前までどのようなことに、毎月いくらぐらいお金を使っていたかのヒントにしようとしています。
亡くなる前の状況について質問するのは、故人の預貯金の管理は主に誰がしていたかを聞くことで、もし隠した預金を自分のものにしているとしたら、相続人のうち誰が怪しいかといった推理に活かそうとしています。」
●税務調査の時点では、被相続人の口座はすでに調べ終わっている
ーー税務調査が来る際には、何を用意しておけばいいのでしょうか?
「相続税申告の数字の根拠となった、故人の財産に関する契約書や取引明細などを用意しておく必要があります。何から何まで見られないために、用意しておくことよりも、いらないものを片付けておくことのほうが重要でしょう。
ただし、証拠書類を書き換えたり、明らかに脱税の証拠となる資料をわざと捨ててしまうと、その事実が発覚した場合に、より重い追徴課税が課せられてしまうことがあるのでご注意ください。
なお、被相続人の口座については、税務調査の当日にはすでに調べ終わっていることが多いです。税務署は『銀行調査』と言って、相続人に通帳を提出してもらわなくても、直接銀行で取引履歴を閲覧することができるからです。」
●自動車や不動産、有価証券など高額取引の情報は税務署に筒抜け
ーー故人の財産について、相続人が認識していない財産についても、税務署では把握しているのでしょうか。
「把握している場合もあります。たとえば自動車や不動産、有価証券や金地金など、高額な取引については、法律により業者が税務署に取引情報を連携する仕組みとなっています。
そのため、税務署が特別に調査しなくても、そのような情報が自然と集まってくることがあります。」
●関係あるものだけを用意し、聞かれたことだけに回答することが大切
ーー最後に、税務調査が来た際に心がけておくことなどをお教えください。
「心がけは3つあり、『相続税に関係のあるものだけを用意すること』『聞かれたことにだけ回答すること』『嘘はつかず、分からないことは分からないと答えること』です。
税務調査においては、余計なことを話さず、言われたことにのみ反応・対応すれば十分です。変に気を回すと余計に疑われることもあるため、聞かれたことに正々堂々と答えましょう。しっかり申告していれば何もやましいことはありませんし、たとえ誤りが見つかっても正しく申告し直せばよい、と安心して臨みましょう。」
【取材協力税理士】
桑原 弾(くわはら だん)税理士
岡山大学工学部卒業後、大阪国税局に採用され東淀川税務署に配属される。100件以上の税務調査を経験した後、2008年に同社へ入社。
ベンチャーサポート相続税理士法人では、相続税申告において日本最大級の実績とノウハウにより、顧客の立場に立って一番有利な相続アドバイスを行う。グループの行政書士・司法書士・社会保険労務士法人と連携をとり、あらゆる相続の悩みに対応している。
事務所名 :ベンチャーサポート相続税理士法人
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