「レジ袋有料化」はお店にとってトクな一面も。無料提供した場合と税務上どのような違いがある?
税金・お金

「レジ袋有料化」が義務付けられて久しいが、最近では企業が独自に、これまで無料だったものを有料化する動きが活発だ。
日本マクドナルドでは2024年2月19日、長崎県内全店舗(佐世保基地店を除く23店舗)にて、4月よりプラスチック製手提げ袋を有料化すると発表。
また、コンビニ大手のファミリーマートでも2024年1月より、一部店舗でプラスチック製のスプーンやストローなどの有料化を開始している。
一方、タルト専門店のキルフェボンでは、資源の消費量削減のため昨年7月から紙製の手提げ袋を有料化したが、それに対しX(旧ツイッター)で「キルフェボンでケーキ買ったら紙袋有料だけどいるか聞かれて(中略)ケーキとかって水平を保ちながら持ち運ぶものじゃん?(中略)いわば商品の一部にそれも含まれてるようなものなのに紙袋代取るんだーって感じた」といった声が投稿され、4.4万件の「いいね」がつき話題となった。
このように、消費者側からすると賛否ある「レジ袋有料化」だが、企業の立場からすると無料で提供していたものを有料で販売することにより、税務上どのような違いがでてくるのだろうか。門田睦美税理士に聞いた。
●無料・有料でも費用はコストになるが、有料販売分は「売上」になる
ーー売主がショッピング用の手提げ袋を無料で提供した場合と、別途有料で販売した場合とで、税務上の扱いはどうなるでしょうか。
ショッピング用の手提げ袋は、もともと企業側からの顧客に対するサービスまたは広告宣伝目的として無料とされてきたと理解します。たとえば企業のロゴが入っている袋であれば、顧客が購入後にそれを持ち歩く場合、お店の名前を知らせてくれる効果も期待できます。
企業側が手提げ袋などを購入する費用については「コスト」となり、所得税または法人税上の費用であり「損金」となります。これは無料で提供した場合も有料で販売した場合も同様です。
なお手提げ袋などを有料化した場合は、他の商品と同様に売買の一部となりますので、売上として法人税または所得税の課税対象になることに加えて、消費税上も課税売上になります。
プラスチック製の手提げ袋の有料化が一般的になり、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで当該取引が頻繁に行われていますが、飲食料品が軽課税率8%が適用されるのに対して、レジ袋は消費税率10%が適用されます。
そのため、消費税申告時には8%と10%の2つの税率での計算が必要です。原則課税であっても簡易課税であっても、それぞれの税率での計算が必要なことは同じです。
●有料販売はお店にとっては「得」になる一面も
ーー手提げ袋を無料で提供するのと、有料で販売するのでは、売主にとってはどちらが得なのでしょうか?
「どちらも同様にコストは発生しますが、有料で販売すると少なくともそのコストの回収ができるため、財務的には得になると考えます。
一方で、手提げ袋に店名などを記載することで期待できる広告宣伝効果は、有料化により手提げ袋を配布する機会が減ると、少なくなるでしょう。手提げ袋を持ち歩いてもらうことによる広告宣伝は、他の広告宣伝方法よりも安価であるとも思います。
ただしその効果は、お店の知名度によっても違いますし、プラスチック製の手提げ袋の場合には、環境を考えない企業であるというネガティブな印象を持たれる可能性があるため、一概には決められないものでしょう」
ーー手提げ袋を有料で販売した場合、仕訳などで注意することはありますか。
「前述のとおり、有料化したのであれば、手提げ袋は売上として仕訳を作成します。なお消費税については、飲食料品販売とは別に仕訳を作成し、消費税率は10%の売上になるため、原則課税の税抜経理では、仮受消費税として計上する際に飲食料品とは別の仕訳を作成することに注意が必要です。
また簡易課税を選択しても、当該手提げ袋にかかる10%の売上は税込経理として別に管理が必要となります。なお、一般的な会計システムを使用すれば、税率ごとの処理がされますので便利かと思います」
【取材協力税理士】
門田 睦美税理士
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事務所名 : 門田 睦美税理士事務所
事務所URL:https://kadotaltasroffice-lp.com/