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コロナショック、リーマンショックとの大きな違い 動かない消費、財政政策が重要に

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コロナショック、リーマンショックとの大きな違い 動かない消費、財政政策が重要に
安倍晋三首相(4月2日の衆院本会議、衆議院インターネット審議中継より)

日銀の黒田総裁は、「コロナショック」は「リーマンショック」とは異なり、新型コロナウイルスの感染拡大が終息すれば、景気は回復していくとの考えを示しています。

しかし、世界中で急激に感染が拡大し、各国で「緊急事態宣言」がなされています。都市は封鎖され、死者も増加するばかりです。この状態が長く続けば世界経済に与える影響は計り知れません。飲食店やホテル、航空会社など既に瀕死の状態にあり、これらの企業が倒産すれば、それに関わる企業も連鎖倒産する危険性があります。

米労働省が4月2日に発表した失業保険の新規申請件数は、3月28日までの1週間で664万8千件となり、リーマンショック後の2009年3月に記録した66万5000件の10倍に達しています。今後、日本でも同じような事態が発生してしまうのでしょうか。(ライター・メタルスライム)

●リーマンショックとは?

リーマンショックは、2008年9月に米国の大手投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻したことが発端となり、世界的に景気が後退してしまった出来事です。

アメリカでは、当時、金融緩和によってお金が余っていたため、サブプライムローンという低所得者向けの住宅ローンが増えていました。金融機関は、サブプライムローンを売りさばくために、不動産の証券化という手法を使いました。証券化とは、住宅ローンなどをまとめてペーパーカンパニーに売却し、それを担保にペーパーカンパニーが債券等の投資商品を発行するというものです。

世界的な低金利の中、証券化商品は高い利回りであったことから、世界中の金融機関を含む投資家に好まれ購入されました。ところが、サブプライムローンの延滞率は2007年頃から高まってきて、ヘッジファンドはそれに気づいて、証券化商品の売却を始めました。その結果、証券価格が下落しました。

証券化商品の価格が下がると、リーマンブラザーズは割安と判断し、証券を買い続けました。しかし、その後、証券価格が上昇することはなく、含み損が膨張し、結果として、2008年9月15日に破綻しました。

これに先立ち、2008年3月にアメリカ投資銀行大手のベア・スターンズが経営危機に陥っています。この時は、FRB(連邦準備理事会)が290億ドルの緊急融資をした上で、米大手銀行JPモルガン・チェースが救済に名乗りを上げ、救済買収しました。これがあったため、リーマンブラザーズも大丈夫だろうと思われていたのですが、そうはならず、市場は大混乱に陥りました。

●リーマンショックとコロナショックの株価を比較

リーマンショック後の株価を見てみると、リーマンショック翌日の9月16日のNYダウの終値は、11,059ドルで、1カ月後の10月16日の終値は、8,979ドル、2カ月後の11月17日の終値は8,273ドルです。下落率で見てみると1カ月後に18.8%下落、2カ月後には、25.1%の下落になります。

同じように日経平均を見てみるとリーマンショック翌日の9月16日の日経平均の終値は、11,609円で、1カ月後の10月16日の終値は、8,458円、2カ月後の11月17日の終値は8,522円です。下落率で見てみると1カ月後に27.1%下落、2カ月後には、26.5%の下落になります。

一方、コロナショックの株価は、ダイヤモンドプリンセスの乗客から連日陽性反応者がでた2月中旬の日経平均株価を見てみると、2月17日の終値は、23,489円で、その1カ月後の3月17日の終値は、16,726円です。下落率は、28.7%になります。

アメリカはどうかというと、2月17日の終値は、28,871ドルで、その1カ月後の3月17日の終値は、19,960ドルです。下落率は、30.8%になります。日米いずれもリーマンショック時よりも大きく株価が下落していることがわかります。

ただ、サブプライムの問題は、リーマンショックの1年位前からささやかれており、株価は2007年10月11日の終値14,015ドルから下がり始めていました。最安値を付けた2009年5月9日の終値6,547ドルと比較すると53.2%も下落していることになります。

以上を前提にすると、感染拡大が止まらずこの状態が長引けば、日本の株価は1万円を割ることも考えられます。

●リーマンショックは「金融危機」、コロナショックは?

「コロナショック」は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大によって、経済活動が麻痺しているわけですが、リーマンショックとはどのような構造的な違いがあるのでしょうか。

(1)リーマンショック

リーマンショックは、実際にはもっと複合的ですが、わかりやすく書くと次のようなプロセスで日本経済にダメージを与えました。

リーマンブラザーズ倒産 → 金融危機 → 資金流動性低下 → 企業倒産(失業) → 米国景気の悪化 → FRBによる低金利政策 → ドル安 → 日本の輸出産業に打撃 → 派遣切り → 日本景気の悪化

これに対し、米国政府は、リーマン破綻からわずか数週間で7,000億ドル(約74兆円)の公的資金の投入と主要9行への資本注入を行いました 。また、欧州諸国でも大手金融機関が続々と国有化され、金融機関の倒産を回避しました 。その結果、5カ月程度で、金融危機は脱することができたのです。しかし、実体経済が回復するには日本の場合5年もかかりました。

(2)コロナショック

コロナショックの影響は未だ不透明ですが、次のようなプロセスをたどっています。

新型コロナウイルスの世界的感染拡大 → 各国の都市封鎖・活動自粛 → 各国の需要・供給の減少 → 各国の消費減少 → 各国の景気の悪化 → 企業倒産(失業)→ 各国の経済対策

リーマンショックは金融機関の破綻による金融危機でしたが、今回のコロナショックでは、金融機関の経営危機などには発展していません。もちろん、企業倒産が今後増えれば、金融危機が訪れる可能性はあるので、潤沢な資金供給は重要ですが、消費が動かないことには金融政策をしたところで経済は回りません。何より大事なのは、財政政策になります。

●各国の対応と今後日本がすべきこと

景気悪化を食い止めるべく各国では経済対策がとられていますが、現時点の各国の経済対策を見てみましょう。

【アメリカ】
過去最大の2兆2000億ドル(約230兆円)の景気刺激策法案に署名し、法律が成立しています 。年収7万5000ドル(約820万円)未満の大人1人につき1200ドル(約13万円)、全ての子ども1人につき500ドル(約5万5000円)の給付を行うほか、航空業界や飲食店、ホテル業などの中小事業者への資金支援が含まれています。

【イギリス】
従業員の賃金の80%を月2,500ポンド(約33万円)まで肩代わりします。このほか3,300億ポンド(約43兆円)規模の資金繰り支援策を決めています。

【ドイツ】
7500億ユーロ(約90兆円)規模の経済対策を決めています。大企業向けに4000億ユーロの債務を保証し、1000億ユーロを企業への出資に充てるほか、さらに1000億ユーロを政府系の金融機関に融資するとしています。このほか、従業員10人以下の事業者に対しても3か月で最大1万5000ユーロ(約180万円)を支給することにしています。

【日本】
休校によって仕事を休まざるを得ない人の休業補償(日額4,100円〜8,330円)と1世帯に布マスク2枚の配付です。

世界の先進諸国が思い切った経済対策を迅速に決定しているのに対して、日本は、「ごく限られた人に対する休業補償」とウイルスをブロックできない「布マスクを2枚配付」するだけという残念な状況です。安倍首相は、迅速かつ大胆な経済対策を行っていくと宣言していますが、今現在、検討されているのは、内部留保がたっぷりある大企業に1,000億円規模の出資と住民税非課税世帯と収入半減世帯に自己申告で30万円を給付する案です。

どう考えても、優先すべきは、個人へのマスク2枚の配付や大企業への出資ではなく、政府の自粛要請によって影響を受けている飲食店などの中小企業への休業補償です。布マスクに250億円も掛けるくらいなら、1台でも多く人工呼吸器を製造したり、中小企業への補償をしたりすべきではないでしょうか。

●「30万円」の現金給付、もらえる人がほとんどいないセコい政策

また、現金給付の対象を住民税非課税と収入半減世帯としていますが、元々無職であった人や年金生活者はコロナによって影響を受けていないのに30万円の給付を受けて、自営業で頑張って営業を維持している(半減していない)人には給付しないということです。

「30万円」というインパクトのある数字を打ち出して、いかにも思い切った経済対策をやっている感をだしていますが、実際にはもらえる人がほとんどいないというセコい政策としか言いようがありません。政治家は大きな金額を発表したいと考え、財務官僚は支出を抑えたいと考えるので、表面上の数字を大きくして弱者救済と言う名目で対象者を絞るという案ができたのでしょう。しかも、5人家族も単身者も同じ1世帯30万円という不平等さです。

ウイルスとの闘いは長期戦になると言われていますが、ワクチンが開発されればいずれ終息します。今は、その時期がわからないために不安で株が下がっていますが、その希望の光が見えれば株価は反転するはずです。それまでの間、企業を倒産させないよう政府は支援をしていく必要があります。今回、「アベノマスク」は世界から失笑を受けてしまいましたが、起死回生を図るためにも世界を驚かすような、すばらしい政策を打ち出してもらいたいものです。

<参考リンク>
新型コロナウイルス感染拡大 各国の景気対策は(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200326/k10012352041000.html

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