日本一周のゆたぼんさん、企業から「100万円」の寄付…法人の節税につながる?
節税
学校に通わずYouTuberとして活動するゆたぼんさんが10月31日、「【神神回】ガチで100万円振り込まれました」と題した動画を投稿した。
ゆたぼんさんは現在、日本一周旅行に出ているものの、資金不足だとして援助を求めていた。100万円を振り込んだのは、ITサービスを提供する会社の経営者だという。
経営者の男性はツイッターで「ゆたぼん君に僕の会社から支援させていただきました!これからも生徒さん一同と共にゆたぼん君の成長とチャレンジを楽しみにしてます」などと報告している。
法人が寄付金を支出した場合、節税することができるのだろうか。冨田建税理士に聞いた。
●寄付金の支出額以上に節税となることはありえない
法人の寄付金は、3つに分類されます。それぞれ「税金の計算上、経費として認められる額」(損金算入額)が異なります。
(1)指定寄付金等:国や地方公共団体への寄付金や、一定の公益団体等の指定団体への寄付金(指定寄付金)。全額を損金算入にできます。
(2)特定公益増進法人等への寄付金:一定の上限額まで損金算入額にできます。
(3)それ以外の寄付金:一定の上限額まで損金算入額とされますが、その限度額は(2)よりも少ないです。
法人税法上、法人税などは「売上等の収益、即ち益金から税務上の経費、即ち損金を差し引いた純粋な稼ぎ」である課税所得に税率を乗じて計算します。このため、経費たる損金が多ければ課税所得が少なくなり、税額が減ります。
なお、寄付金制度の計算構造上、寄付金の支出額以上に節税となることはありえません。
●手続きがややこしい
ゆたぼんさんへの寄付の場合は(1)(2)のいずれにも該当しないので(3)にあたります。最も限度額が少なくなるので、法人にとって税務上、不利な場合が考えられます。もっとも、寄付をする人は寄付で節税がどうのとは考えていないと思いますが…。
私的流用の寄付でも制限なく損金算入を認めると不公平ですので、これを阻止するために寄付金の一部損金不算入の制度があるという趣旨は理解します。ただ、手続きがややこしく、応援したい対象がいても寄付に消極的になる面は否めません。
私も先日、ご縁があって所有する法人から子ども食堂に10万円程寄付をしたのですが、この時も(3)だった上に限度額の算定もややこしく、申告書作成時に嫌気が差した記憶があります。
私としては、賛同できない寄付は一切しませんし、税収の過剰な福祉へのバラマキには大反対ですが、日本の子どもたちへのほか、日本の発展のためになる寄付や環境関連等、個人的に賛同できる寄付金であれば、ご縁があれば自分のできる範囲で今後もしたいと考えています。ただ、税制が面倒で萎えます。ですので、寄付金制度を再検討するよう要望したいと思いますが、みなさまはどうお考えでしょうか。
【取材協力税理士】
冨田 建税理士・不動産鑑定士・公認会計士
全国43都道府県で不動産鑑定業務の実績の傍ら、各種講演・執筆も行う。令和3年に不動産評価や相続・公示価格や立退料等につき書いた「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓し好評で増刷するなど、勢力的に活動中。
事務所名 : 冨田 建不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所、冨田会計・不動産鑑定株式会社
事務所URL:https://tomitacparea.com















