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パリ五輪で“ミライモンスター”続々登場の予感。未成年が賞金をもらうと税金はどうなる?

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パリ五輪で“ミライモンスター”続々登場の予感。未成年が賞金をもらうと税金はどうなる?
キャプテンフック / PIXTA

若きアスリートの飛躍が止まらないーー。2023年6月、テニス全仏オープン車いすの部男子シングルスで、17歳の小田凱人(おだ ときと)選手が、​​史上最年少でグランドスラム初優勝を果たした。5月には、世界最大のアクションスポーツ国際競技会「Xゲームズ」にて、13歳の小野寺吟雲(おのでら ぎんう)選手 がスケートボード男子ストリート部門で最年少初優勝。

去る2021年の東京五輪では「13歳・真夏の大冒険」の実況で一躍有名となったスケートボードの西矢椛(にしや もみじ)選手が、当時13歳10か月で金メダルを獲得し大きな話題を呼んだ。

気づけば来年2024年にはパリ五輪が開催される。各種競技の若き日本アスリートの活躍に注目が集まることになりそうだ。

では、未成年の子どもが賞金を稼いだり、スポンサー収入を得た場合に、税金を支払う必要はあるのだろうか。佐原三枝子税理士に聞いた。

●未成年の子どもでも適用される税法は大人と同じ

昨今では、スポーツだけでなく将棋や囲碁の世界でもトップが低年齢化し、未成年の方が大きな所得を得る場面を目にするようになりました。

弊事務所でも「我が子が人気ユーチューバーでかなりの収入があったことが分かったのですが、どうすればいいですか?」というお問い合わせがありました。親にすれば、子ども部屋にこもってなにかやっているくらいの認識しかなく、子どももそんなに儲けているつもりもなかったようで、とても現代的だなと思います。

結論から申し上げますと、未成年の子どもでも適用される税法は同じなので、子どもの所得が48万円を超えていると親の扶養から外れます。

さらにこの場合は確定申告をする必要があります。子どもが自分で確定申告をできない場合は、親が代理で申告することも可能です。発生した税金は子どもの儲けの中から支払います。子どもの儲けは子どもの財産であり、親は財産の管理を行っているという立場です。

つまり、税金に関しては大人と何も変わらないのですが、わかりにくいのはこの「所得」という言葉でしょう。

個人の儲けに関しては「所得税」が関係しますが、所得税には所得分類という独特の考え方があり、この分類が所得や税金の計算に影響します。

子どもが学業の傍らスポーツに励んでいて、たまたま出場した大会で賞金をいただいたという場合は「一時所得」か「雑所得」かのいずれかが該当すると考えられます。

●賞金の額が同じでも所得区分の違いで税金に差が

もし賞金が100万円で、その年に受け取った賞金がそれだけなら、その年の子どもの所得は次のように計算されます。なお、賞金を獲得するための経費はないと仮定します。

賞金が一時所得に分類される場合は、「賞金100万円 ー 50万円(一時所得の特別控除)=50万円」が所得額となります。
一時所得において税金はこの半分の金額にかかりますが、この例では25万円、つまり48万円以内になるため、税金の発生もなく親の扶養にも入れます。

しかし、雑所得には一時所得の計算で引かれたような控除がありません。そのため賞金が雑所得に分類される場合は100万円そのものが所得になります。48万円より大きいため税金が発生し、親の扶養からも外れます。

同じ賞金でも大きな違いです。

所得区分は、賞金が大会の主催者から支払われたか、主催者以外の者から支払われたかで判断され、主催者と支払者が同じであれば雑所得、異なれば一時所得になります。

●どの所得区分になるかで差し引ける控除額に違いも

では、子どもであってもプロとして大会に出場し、スポンサーも付いているような場合はどうでしょうか?

所得区分としては「事業所得」か「雑所得」のいずれかが考えられます。

令和4年からの制度改正により、賞金やスポンサーからの収入が年間300万以下の場合は、スモールビジネスとして雑所得に分類される可能性が高くなっています(帳簿保存などを行わない場合)。この場合の所得は「年間収入 ー 経費」として計算します。

事業所得・雑所得のいずれであっても「年間収入 ー 経費」で計算することは同じですが、事業所得であれば「青色申告承認申請書」を提出して一定の要件を満たしていれば、さらに最大65万の青色申告特別控除額を引くことができます。

ただし、事業所得にするということは、未成年の子どもが事業運営の主体となります。契約の管理・締結などで難しい面もあり、子供の収入がそれなりの規模になれば親が法人を作り、法人で契約や収入の管理をすることが多いようです。

では、法人を設立したらどうなるんだろうとか、子どもの社会保険の扶養についても気になるところですが、それはまた別の機会に!

【取材協力税理士】
佐原三枝子(さはらみえこ)税理士
Beautiful Business Beautiful Life 中小企業の利益構造と経営者の思考を美しくし、関わる人すべての人生を豊かにすることを理念に掲げ、税務、人事、DXを柱として税理士を超えた経営コンサルティングを提供している
事務所名 : 佐原税理士事務所
事務所URL:https://www.office-sahara1.jp/

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