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  1. 住民税に1000円上乗せする「森林環境税」、わざわざ新設する意味はあるのか?

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住民税に1000円上乗せする「森林環境税」、わざわざ新設する意味はあるのか?

住民税に1000円上乗せする「森林環境税」、わざわざ新設する意味はあるのか?

政府は「森林環境税」(国税)を創設する方針だ。2024年度から、年額1千円を住民税に上乗せする形で、日本国内に住所がある個人から徴収するというもの。対象は住民税を納める約6200万人(現在)すべてで、将来的な税収は600億円程度を見込む。

たかが1千円と捉えるか、されど1千円と捉えるか。受け止め方は様々だろうが、住民税に紐づけたことで、納税額は想定しやすく脱税も考えにくい。制度の導入をめざした林野庁にとってはこの上ない成果だろう。

すぐに徴収が始まらないのには事情がある。2023年度まで、政府は東日本大震災の復興などに必要な財源を住民税に上乗せして徴収する。負担感に配慮し、森林環境税の徴収を遅らせた。与党税制改正大綱には「国民の負担感等を勘案し、年額1千円とする」と記されている。

●森林対策のための地方財源

森林環境税は、パリ協定の枠組み下での地球温暖化防止のみならず、森林の荒廃に伴う土砂崩れなどの災害を防ぐため、「森林資源の適切な管理を推進することが必要だ」(林野庁)として創設が決まった。市町村が徴収したお金は、いったん国の特別会計に払い込まれ、その後、「森林環境譲与税」という名前で市町村や都道府県に配られる。

配る額は森林面積や林業従事者の数に応じて決まる。森林対策のための地方財源という位置付けだ。政府は無駄遣いに終わる懸念もあってか、配られた森林環境譲与税について、使途の公表を義務づける方針だ。

●地方は受け皿として機能するか、「ありがた迷惑」か

実は、30以上の府県やいくつかの基礎自治体では既に類似の目的で独自の税制を導入し、森林環境の整備のために徴収をしている。ただ必ずしも、納められた額を活用しきれていないという。つまり、そのような自治体があるなか、森林環境譲与税が配られたとしても、有効活用を望むのは難しそうだ。森林整備が活性化するという政府の狙いが、「絵に描いた餅」になってしまう懸念が拭えない。

●長野県は税収使いきれず、目標も未達

全国有数の森林県であり、森林面積が107万haに及ぶ長野県では、「森林づくり県民税」を2018年度から5年間継続することを昨年12月の県議会で決めた。(個人が年間500円、法人は資本金に応じて1千円から4万円)

長野県が抱える課題は大きく二つだ。まず、森林づくり県民税の基金残高が4億9千万円(2017年度末見込み)にも膨らむこと。活用しきれていないということを示している。

次に、間伐した面積の実績は2万503haで目標の87.6%にとどまること。これは所有者が不明で整備が進まなかったことも理由とされているが、受け手となる林業従事者が減っていることも要因とみられる。長野県林務部によれば、林業就業者数は1990年代に3千人程度で推移したものの、近年は2千人台を割り込み、2015年度は1789人にとどまった。

●地方が背負う過度な期待

もちろん、長野県のケースをもって、他自治体も同様だと言い切ることは早計かもしれない。ただ、人口減少に伴い、地方から都市部への人口流出には歯止めがかからない。林業従事者も減少傾向が続く。そうしたトレンドを大きく反転させるのは難しく、政府が創設する森林環境税が、結果として地方に過度な負担を背負わせることにならないか。

納税者1人あたり年間1千円の負担で日本全国の森林整備事業が息を吹き返し、ひいては国民が利益を受けるとすればありがたいことかもしれない。だが、果たしてそこまで期待していいものなのか。

民間税制調査会の共同代表で青山学院大学の三木義一学長(弁護士)は手厳しい。「環境保全という誰もが反対しにくい建前で、必要ない税が徴収され続けていくリスクが高い」と指摘する。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

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