年末の駆け込み「ふるさと納税」で寄付しまくり、上限オーバーしたらどうなる?
節税

「毎年、年末はふるさと納税をどうするのか悩みます」。東京都内の会社員Mさんは、ふるさと納税の期限である12月31日の直前まで、どこの自治体にするかを決められず、いつも31日にバタバタと申し込んでしまいます。
欲しい返礼品と寄付の上限額とにらめっこしながら、慎重に申し込んでいくのですが、厄介なのが、ある程度の寄付をしてしまった段階で、急に欲しかった高額返礼品を見つけてしまった場合です。
寄付の上限額を超えてしまった場合、純粋な寄付と同様に扱われ、単に支出するだけに終わってしまうのでしょうか。三宅伸税理士に聞きました。
●全部が単なる支出になるわけではないが…
ふるさと納税制度は、寄附額のうち2000円を越える部分について、所得税と住民税から全額が控除されるので、一定の限度額以下の寄付であれば、トータルの支出額は2000円です。
(下記【参考】①〜③適用 一定の手続きは必要)。
上限額を超えた寄付をした場合、超えた部分は【参考】③が適用されず、①と②のみが適用されることになりますので、全部が単なる支出になるわけではありませんが、一定額は単なる支出になってしまいます。
そして、ふるさと納税の魅力である返礼品の返礼率(寄付額に対する返礼品の価格の割合)は寄付額の30%以下に制限されていますので、上限をオーバーしてもお得になるケースは考えにくいでしょう。
上限額や返礼率のことを考えると、ふるさと納税の返礼品リストに欲しいものを見つけても、ご自身の上限額を超えてしまう場合は、ふるさと納税ではなく普通に購入される方がよいかもしれません。
ふるさと納税の限度額の目安として(扶養控除等の条件により異なりますが)、年収が1000万円のサラリーマンであれば年収の1.4%~1.8% (14万円~18万円前後)
年収500万円のサラリーマンであれば年収の0.5%~1.2%(2万8千円~6万1千円)です。(「総務省ふるさと納税ポータルサイト」より)
気になる方は「総務省ふるさと納税ポータルサイト」やふるさと納税の各種サイト内の限度額シミュレーション等でご自身の限度額をご確認いただいた上で、ふるさと納税をお楽しみください。
【参考】寄付金の控除額および限度額
① 所得税からの控除
= (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
※所得金額等の40%が控除の対象となるふるさと納税額の上限です
② 住民税からの控除(基本分)
=(ふるさと納税額-2,000円)×10%(一律)
※総所得金額等の30%が控除の対象となるふるさと納税額上限です
ふるさと納税による寄付の場合は①、②により控除できなかった額を、下記③で全額控除できます
③ 住民税からの控除(特例分)
= (ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率)
※住民税所得割額(住民税額)の20%が控除の対象となるふるさと納税額上限です
【取材協力税理士】
三宅伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月堂島で三宅伸税理士事務所を開業。設立当初からクラウド会計の導入をすすめコロナ禍でもストレスフリーな事務環境の提供している。常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーに起業支援、医療関係、相続等を軸に幅広く活動している。
事務所名 :三宅伸税理士事務所
事務所URL:http://miyake-tax.jp/index.html