まだ確定申告してないの? コロナで期限延長、放置し続けるとヤバい事態になるか
確定申告
緊急事態宣言が解除され、都道府県独自の休業要請も解除が進み、第2波、第3波を警戒する声はあるものの、生活が通常に戻ろうとしています。そんな中、実はまだコロナ体制下にあるものの一つが所得税の申告・納付期限。「柔軟に受け付ける」とされたままです。Twitterなどをみても、「まだ申告してない」「面倒臭い」という声もあり、突然申告期限がやってこないか気になるところ。国税庁に取材しました。(ライター・拝田梓)
●例年3月15日までなのに、今年は「いつでも受け付ける」状態
例年、所得税の確定申告期間は、2月16日から3月15日までとなっています。
今年はこの確定申告期間の真っ最中に新型コロナウイルス感染症が流行し始め、税務署でも職員に罹患者が出る事態に。この非常事態を受け、国税庁は「2019年分の所得税確定申告書の提出期間を4月16日まで延長する」と発表しました。
さらに4月に入ってからも事態が収まらないことから、法定申告期限を4月16日と区切った上で、「個別に期限延⻑の取扱いを⾏う」「4月17日以降も柔軟に確定申告書を受け付ける」と発表しました。
現時点(6/18)でこの期限延長は終わっておらず、言ってみれば「いつでも確定申告受け付け期間」という状態になっています。
法定期限内に申告できなかったことでの不利益はないのでしょうか。
●申告しないことで起きる不利益
通常の状態で確定申告期間に申告しないと起こる不利益は以下のようなものです。
・青色申告特別控除の額が、65万円から10万円に減額
・納税額に法定申告期限から申告日までの日数分の延滞税が掛かる
・無申告加算税がかかることも
確定申告期間に間に合わないと即申告ができなくなり、脱税になる、というわけではなく、ペナルティで多く税金を払わなくてはならないものの、申告自体はできます。
今年のこの状態は、このペナルティ部分がないということになります。
●放置し続けると、税金以外の様々な問題も
では、今年は法定期限内に申告できなかったことでの不利益は全くないのかというと、そうではありません。1つには、訂正申告ができないという不利益があります。
「いつでも確定申告受け付け期間」は、実は法定申告期限内に申告を済ませた人にとっても利点があります。
申告は済ませたものの間違いを後から発見した場合、法定申告期限内ならば訂正申告で済ませることができます。これは、確定申告書を出しなおすもので、ペナルティはかかりません。
今年のイレギュラーな事態では、「法定申告期限内に申告していれば、訂正申告もまだ提出が可能」(国税庁)となっています。
なので、後から領収書を発見した!といった場合でも、訂正申告を行うことができます。
しかし、法定申告期限を過ぎてから申告した人は、訂正申告は出せません。確定申告後に間違いを発見した場合は、通常通りに「更正の請求(所得税額が減る場合)」か「修正申告(所得税額が増える場合)」を出すことになります。
確定申告をしないままでいると、さらには、
・持続化給付金の申請ができない
・住宅ローンや自動車ローンなど各種ローンを組む際などに必要な書類が揃わない
・児童手当や保育所の申請に必要な書類が揃わないことがある
・市民税・県民税等の当初納税通知書に申告内容を反映できない場合や送付が遅れる場合がある
・市民税・県民税等の情報を用いて決定をしている保険料等にも影響する
といった税金以外の各種問題点が出てきます。
●国税庁、取材に対し「しばらくは現状のまま」
申告を遅くすることによる利点もあります。
税の納付が難しい場合には納税猶予制度が利用できますが、納税猶予制度の要件には当てはまらないが今少し懐具合が厳しいといった場合、余裕ができる目途が立つまで待つことができます。
また、納税猶予制度を利用する場合も、税金の納期限は申告書を提出した日になるため、4月16日までに申告書を提出した人が納税猶予制度を利用した場合納期限は来年の4月16日になるのに対し、たとえば6月18日に申告書を提出した人の納期限は来年の6月18日となり、できる限り納期限を後ろにすることができます。
ここで気になるのは、この「いつでも確定申告受付期間」が唐突に終わるのではないか、ということ。資金に余裕ができるまで待っていたら、待っている間に確定申告の受付が終わってしまったーーとなると元も子もありません。
この点について、国税庁は税理士ドットコムの取材に対して、「現時点ではいつまでという終了の話は考えていない」と回答。「期限を切るという話は全くなく、今後しばらくは現状のまま」(国税庁)としています。
緊急事態宣言が解除されたからと突然「1カ月後に確定申告受付は終了します」という事態に陥ることは、しばらくはなさそうです。















