コーポレート・ガバナンスとは?定期的に行うべき内部管理体制の見直し

企業の不祥事が発覚するたびに、コーポレート・ガバナンスが問題視されます。不適切な会計処理や欠陥の隠ぺいなど、内部管理体制・監視機能はしっかりしていたのかが問題になることを、ニュースなどで目にすることもあると思います。
コーポレート・ガバナンスは、事業を継続的に安定成長させ、企業価値を向上させるために存在します。必要に応じて適宜見直しをすることにより、問題点は無いか確認するようにしましょう。
今回はコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方をまとめました。よく知っている方も、もう一度初心に戻って改善点は無いか考えて見ましょう。
目次
コーポレート・ガバナンスとは
コーポレート・ガバナンスとは一般に企業統治と訳されます。
難しい言葉ですが、東京証券取引所が公表した定義を引用してみましょう。
「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する」
つまり、企業の舵取りを行うための仕組みのことです。株主だけでなく、債権者、消費者、従業員などの利害関係者の権利を守りながら、事業を成長させることを目的としています。
誰が監視するのか
株主や利害関係者の権利を守る為には、どのような仕組みを作ればよいのでしょうか。
適切な情報開示と透明性の確保が求められています。
企業内で起こる不祥事などを隠ぺいしていないか、一部の経営者の独断で経営が暴走していないかなどを、監視・監督する役目が必要となります。
日本では従来よりメインバンクが監視・監督する役目を担ってきました。しかし近年では第三者として社外取締役や社外監査役を置くようになっています。
社外取締役には、他社の会長や役員、弁護士、会計士などの識者が選ばれています。また外国籍や女性を招く例も増えており、偏りが無いように配慮されるようになってきました。
ここで重要なことは、独立性があることです。社外取締役が経営者の意見に従っているだけでは、何の意味もありません。社外取締役として自分の役割を理解し、意見を形成できることが大切です。
また、監視・監督する分野ごとに社外取締役を選ぶことも大切です。次の3点は人材を分けたほうがよいでしょう。
- 戦略的なこと
- 法務関係
- 会計関係
日本では未だ取締役会に占める社外取締役の比率は、国際的に見て劣っています。今後ますます社外取締役の占める割合は高まっていくと思いますが、人数を増やすだけでなく、取締役会での招く目的と活用方法を意識して選ぶようにしましょう。
強化するには
コーポレート・ガバナンスを強化するには、社外取締役や社外監査役を置く以外にも次のような方法があります。必要なものを適宜取り入れるようにしましょう。
- CEOと取締役会議長との分離
- CEO抜きでの取締役会の開催
- 経営人事諮問委員会、社長指名諮問委員会などの設置
- 意思決定と業務執行を分離する為の執行役員制度の導入
- アドバイザリー・ボードの設置
- 集中日を回避した株主総会の設定
- 社内の判断基準を明確にした行動規範・倫理憲章の作成および周知
- 内部統制システムの導入
中小企業におけるコーポレート・ガバナンス
中小企業は経営者および同族の株式保有割合が高く、経営者の権限が大きい傾向にあります。しかも取締役会の監督も、十分機能していない場合が多く見受けられます。
同族企業に対しての利益供与や談合などの不祥事も、経営者の品性・人格次第になってしまいがちです。
しかし大企業のように、社外取締役や委員会の設置などを易々と導入することのできない場合はどうすればよいのでしょうか。
コーポレート・ガバナンスは企業が継続して存続するためには不可欠な仕組みです。利害関係者に対する利益享受をすることにより、企業の存在があることを意識しましょう。
その他にも次の事柄に重点を置き、まずはコーポレート・ガバナンスの機能を動かすことから取り組んでいきましょう。
取締役会を機能させる
形骸化してしまっているなら、取締役会の本来の機能を取り戻しましょう。取締役には、責任と権限があります。互いに監視・監督を行う役目を担っていることを意識しましょう。
メインバンクの役割強化
メインバンクは資金を提供するにあたり、健全な経営が行われているかを判断します。メインバンクに対し、自主的に積極的に情報を開示し、監視・監督してもらいましょう。
利害関係者に対する情報の開示
株主や経営陣、従業員、銀行、取引先などに対し、定期的に経営情報を開示しましょう。また、開示した先からのフィードバックを活かす仕組みを作りましょう。
おわりに
経営者自身がコーポレート・ガバナンスの目的を認識し、取り組む姿勢が大切となります。事業の規模によっても必要となる仕組みは変ってくるでしょう。適宜、健全に経営が行える仕組みとなっているかを確認するようにしましょう。
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