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福利厚生による「第3の賃上げ」で手取りを増やす!メリットや注意点を税理士が解説

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福利厚生による「第3の賃上げ」で手取りを増やす!メリットや注意点を税理士が解説
Ystudio / PIXTA

労働組合の全国組織である連合(日本労働組合総連合会)は2025年7月3日、今春闘の最終回答集計において、ベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.25%だったと発表。平均賃上げ率は34年ぶりの高水準となった一方で、中小企業の賃上げ率は4.65%(0.20ポイント増)にとどまり、大手企業と中小企業の格差是正に課題を残した格好だ。

このように、賃上げに悩む中小企業では、最近「第3の賃上げ」という取り組みが注目されている。

これは直接賃上げをするのではなく、食事代や家賃の補助など福利厚生を充実させることで、従業員の出費を減らし、実質の手取り分を増やすという方法だ。

導入実績3,000社以上の「チケットレストラン」は、食事補助を行う福利厚生サービス。提携先の飲食店やコンビニ等の利用で、企業と従業員が同額(月3,500円・消費税別)を負担することで、従業員は半額の料金で月7,000円分利用することが可能となる。

また、会社が住宅を借り上げ、従業員に貸与する「借り上げ社宅」という方法も有効だ。

そもそも会社が家賃補助を行うと、会社が補助した分は従業員の給与となり、その分所得税額が多くなる。

一方で、会社が借り上げ社宅に直接支払った分は、従業員の給与として課税されない。その分の所得税が減額されるため、実質手取り分が増えることになるというわけだ。

このように、従業員にとっては手取りを増やすありがたい福利厚生といえるわけだが、会社側にはどのようなメリットがあるのだろうか。鍵田貴之税理士に聞いた。

●多額のコストをかけず、従業員を大切にする企業姿勢を示すことができる

ーー「第3の賃上げ」は、従業員にとってはありがたい福利厚生かと思いますが、会社にとってもメリットはあるのでしょうか。

中小企業が大手と同じように純粋な賃上げで競うのは、現実的には難しいのが実情です。その点、福利厚生の拡充による「第3の賃上げ」は、多額のコストをかけず、従業員を大切にする企業姿勢を示せるため、人材定着や採用力の強化に有効です。

また福利厚生費は、一定条件を満たせば経費算入ができ、非課税扱いとなります。さらに、給与とは異なり社会保険料の対象とならない制度が多く、会社にとっても費用対効果の高い施策となります。

●「現金支給でなければ給与課税されない」わけではないので注意

ーー「第3の賃上げ」を導入する際に、会社側が注意すべきことはどんなことでしょうか。

「現金で支給しなければ給与課税されない」というのは誤った認識です。たとえば商品券やクオカードでの支給も、原則として給与課税の対象となります。

非課税扱いとするには一定の条件があり、たとえば借り上げ社宅では、国税庁の定める賃貸料相当額の50%以上を従業員から徴収しなければ給与課税となります。

また食事補助では、食事価額から従業員の負担金額を差し引いた額が、1か月あたり3,500円(消費税抜き)以下で、かつ食事価額の50%以上を従業員から徴収するなどの条件があります。

なお、社会保険では課税の有無とは異なる基準で報酬認定されるため、税務と社会保険の双方の取り扱いを事前に確認し、実務運用に反映することが不可欠です。

【取材協力税理士】
鍵田 貴之(かぎた・たかゆき)税理士
2024年11月に独立開業。会計事務所のあるべき姿は「経営者・事業主の皆様にとって専門家の『仲間』であるべき」をモットーに、フレッシュな視点を持つ、税務のプロフェッショナルとして、経営者の成功を共に喜び共に目指している。新規開業サポートほか、建設業特化サポート、不動産特化サポートなども行う。
事務所名 :GOODSUN税理士事務所
事務所URL:https://goodsun-tax.jp/

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